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【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2017年12月11日~2017年12月17日)

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さぁ少しモードを変えて、ガッツリ焦点を合わせてみましょうか。今あなたが撮ろうとしている素敵なモノは、色を変え形を変え、その時々にしか見せない姿でこちらにアピールを仕掛けています。このシャッターチャンスを逃す手はありません。そんな感じで、大小の差はあれど、ここ最近なかったような魅力的なニュースが飛び込んでくるかも。

ファインダーを覗いたら、身体で直接触れることができる情報に目を凝らしてみてください。人に会う、街に出る、本を読む。その時に得たことをすぐ人には話さないで、何回も頭の中でリプレイしてみてください。何気ないことが宝物のように思えたり、ずっと探していた答えが何かの隙間から見つかったりするかもしれません。

週が明けると今年最後の新月。もうこの1年ほど、もしくは、もっともっと長い時間をかけて十分考え抜いたこと、それにはもう答えが出ているでしょう、という過去の試練とはここで鮮やかなお別れを告げることになるのかもしれません。悲しい、寂しい、悔しい気持ちより「どうか達者で」と惜別の念になれるでしょう。

ここで意地になって食い下がっても、終わりは終わり。なんにせよ一度キッチリ終わらせ、周りにも知らせること。曖昧なフェードアウトにしないことが、次の回転を早めてくれるでしょう。始めるための終わりです。縁があれば、また必ず。

【12星座別 今週のラッキーワード】
おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
集大成、メモリアル
おうし座(4月20日~5月20日 生まれ)
勇気、ファミリー
ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
滑らかさ、ポエティック
かに座(6月21日~7月22日 生まれ)
貯蓄、ライブラリー
しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
求道的、アーティスティック
おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
独創的、デザイナーズ
てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
狩りに出る、シューティング
さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
損得勘定、ファイナンス
いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
話題作、ポータブル
やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
喜劇、ロングラン
みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
原色、ファンタジー
うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
全部乗せ、ミックステープ

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バロックは自由で楽しい! ロックな作曲家のヴィヴァルディを、Eテレ『ららら♪クラシック』で

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12月15日(金)の、NHK Eテレ『ららら♪クラシック』は、アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)のヴァイオリン協奏曲『四季』から『冬』を取り上げ、彼の人生や独創的な作曲術を通じてバロック作品の魅力に迫る。

東京のスタジオを飛び出して、埼玉県上尾市文化センターで公開収録された。若手古楽オーケストラのラ・ムジカ・コッラーナ(以下、ムジカ)に古楽器の特徴を教わったり、作曲家の宮川彬良がチェンバロに初挑戦するなど、お楽しみもいっぱい。

ヴィヴァルディは、今から約300年ほど前にイタリアの水都・ヴェネチアを拠点に活躍した作曲家・ヴァイオリニスト。多作家で、これまでに800曲以上の作品が確認されている。

ロックな生き方は作品にも反映、ヴァイオリンの名手で聖職者だったヴィヴァルディ

ロックな生き方は作品にも反映、ヴァイオリンの名手で聖職者だったヴィヴァルディ

ゲストの宮川は驚いて「僕は朝ドラの『ひよっこ』の音楽だけで100曲くらい書いているんですよ。なのに、ヴィヴァルディの800曲というのは、オペラなども1曲とカウントされているんです!」。

まさに宇宙人的創作ぶりのヴィヴァルディ。スゴ腕のヴァイオリニストで、聖職者でもあり、20代からピエタ教会の孤児院の女子にヴァイオリンを教え、ハイレベルの女性楽団を結成。教会で演奏させて収益確保に貢献していたほどで、観光客が聴きに来る人気ぶりだったそうだ。

そんなヴィヴァルディの作品から、「このメロディーは何を表しているか?」を観客に質問するクイズコーナーが用意されていた。楽譜に説明が添えられている象徴的なフレーズをピックアップして、ムジカに演奏してもらい、司会の高橋克典が客席に降りて、回答を拾っていく。公開収録ならではの和やかなひとときだ。観客の回答に呼応して、宮川がステージでジェスチャーをしたりも。大いに盛り上がった。

クイズコーナーでは、客席で回答をきいた高橋。宮川のコミカルなジェスチャーに、観客とサイコーの笑顔!

クイズコーナーでは、客席で回答をきいた高橋。宮川のコミカルなジェスチャーに、観客とサイコーの笑顔!

ムジカのリーダーでヴァイオリニストの丸山韶が「当時のヴァイオリンは羊の腸でできたガット弦で、あご当てもついていません。チェロはエンドピンがなくて、足で支えて弾いています」などと、現代の楽器との違いも説明。宮川が驚いて「えっ、チェロを足で挟んでるの!?」

また、楽譜に書かれた説明は多岐にわたり、例えば「アドリブで演奏」とか「装飾音を入れる」など、奏者に委ねるところが多々あることも明らかに。現代のジャズに通じるような、自由度の高い音楽だったのである。曲中に同じ旋律があると「1回目は原曲で、2回目はアドリブで弾いたりします」と丸山。当時の作曲家や演奏家のアドリブ旋律が楽譜に書き込まれていると、参考にするそうだ。

舞台に新たに用意されたチェンバロで、宮川がムジカと『冬』の一部をアドリブ演奏。原曲を弾き示してから、自身のアレンジで演奏したのだが、丸山との演奏では「二人の息づかいを感じて、空気をクリエイトする感じだった」と感激。ムジカ全員との演奏でも「音楽の再現ではなく、生まれてくる!」と、感動しきりだった。

ロッカーやジャズマンのような自由な精神を感じるヴィヴァルディの音楽から、バロックの楽しみ方を知ることができる貴重な30分!

国内外で活躍する若手古楽器奏者からなる、ラ・ムジカ・コッラーナ。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロ、バロックギターやリュートなどを自在に操る。丸山(vn)は、左から2番目

国内外で活躍する若手古楽器奏者からなる、ラ・ムジカ・コッラーナ。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロ、バロックギターやリュートなどを自在に操る。丸山(vn)は、左から2番目

文=原納暢子

番組情報
ららら♪クラシック 「公開収録・上尾市(1) ヴィヴァルディの“冬”」

日時:NHK Eテレ 12月15日(金)午後9時30分~ 午後10時00分
出演:司会 高橋克典(俳優)、牛田茉友(NHKアナウンサー)
 ラ・ムジカ・コッラーナ(古楽オーケストラ)、宮川彬良(作曲家)
■演奏曲
「“田園風協奏曲”第3楽章」ヴィヴァルディ:作曲
「“冬”第1楽章」ヴィヴァルディ:作曲
「“冬”第2楽章」ヴィヴァルディ:作曲
「“冬”第3楽章」ヴィヴァルディ:作曲
■公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/lalala/

92歳の作曲家が『題名のない音楽会』に登場! 「アニメ特撮音楽の巨匠・渡辺宙明&俊幸の音楽会」

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御年92歳の作曲家・渡辺宙明と息子で作曲家の渡辺俊幸が、12月16日放送のテレ朝『題名のない音楽会』でテレビ初共演! 

宙明は、テレビアニメや特撮ヒーロー音楽のパイオニア。『マジンガーZ』『人造人間キカイダー』『秘密戦隊ゴレンジャー』などの音楽で知られる。俊幸の作品は、NHK大河ドラマ『利家とまつ』、朝ドラ『おひさま』、映画『解夏』、アニメ『宇宙兄弟』など幅広く、来年1月公開のアニメ映画『劇場版マジンガーZ /INFINITY』では、45年間愛唱されてきた宙明の主題歌を編曲した。アニキの愛称でおなじみアニメソングの帝王・水木一郎が、新たに熱く歌い上げて、話題を呼んでいる。

トークも熱い、水木アニキ(中央)

トークも熱い、水木アニキ(中央)

俊幸は「父は世界的にみても、現役で活動している作曲家として最長老ではないでしょうか? 今年も、NHKーFMラジオ『アニソン・アカデミー』という番組の校歌を作曲しました。TVアニメ『マジンガーZ』が45年ぶりにアニメ映画『劇場版マジンガーZ/ INFINITY』となり、来年1月13日に公開されるわけですが、父の代表作であるその音楽を受け継ぐような形で私が編曲できたことも含め、今回の番組出演は親子としての記念碑的なものになり、とても幸せに思っています」。

番組では、宙明作品の魅力を、本人の証言とともに深掘りする。

「宙明サウンド」と呼ばれる独特の作風は、「ラ・ド・レ・ミ・ソ・ラ」のマイナーペンタトニックを生かした手法による。この音階は、日本音楽はもとよりアフリカの民俗音楽やアメリカのロックなどでもよく使われるが、豪快なヒーロー音楽に日本人の琴線に響く音階を取り入れたワケや用例などが明らかに。

さらに、スキャットを生かしたテーマソングにも触れる。

中高年なら、「バンバラバンバンバン・・・」で始まる『秘密戦隊ゴレンジャー』の歌を覚えている人も多いはずだ。ノリのいいスキャットを、なぜこのエンディングテーマに用いたのか。また、女性初のプロ野球選手・水原勇気が活躍するアニメ『野球狂の詩』で、「チュ」「ル」「ラ」を駆使したスキャットを生かした理由も明かされる。

必聴の歌唱シーンも満載。水木アニキが『劇場版マジンガーZ/ INFINITY』の主題歌や『鋼鉄ジーグのうた』を、アニソンの女王・堀江美都子が『野球狂の詩』をソロで歌う。かつて、ささきいさおが歌った『秘密戦隊ゴレンジャー』は、オープニングテーマの『進め!ゴレンジャー』とメドレーで、石丸幹二がメインヴォーカルを務める。

フリもピッタリ! 堀江(左)と一緒に歌う石丸

フリもピッタリ! 堀江(左)と一緒に歌う石丸

これらを指揮した俊幸は「ゴレンジャーのメドレーは、石丸さんならではの魅力あふれた歌唱で、水木さんの合いの手入りというのも豪華でした! 水木さんは実にエネルギッシュな方で、私の編曲による主題歌『マジンガーZ』の新録音も素晴らしい仕上がりとなりました。これをご縁に何か別の作品でもご一緒できるとうれしいですね」。

ゴレンジャー・メドレーで、石丸と熱唱する水木(右)

ゴレンジャー・メドレーで、石丸と熱唱する水木(右)

そしてシメは、俊幸の作編曲作品であるアニメ『宇宙兄弟』から、『宇宙兄弟のテーマ』と『ロケットロード』を含む『We are 宇宙兄弟』を横浜シンフォニエッタの演奏で。

収録をふり返りながら俊幸は「92歳という高齢の父と2代にわたる作曲家としてテレビで共演できたことは、実にありがたく幸せなことであったと感じています」。

ギネス認定のクラシック長寿番組に、最長老であろう作曲家が親子で登場というメモリアルな収録となった。今後の記録更新を願ってやまない。

堀江(中央)とも、和やかに語らう

堀江(中央)とも、和やかに語らう

文=原納暢子

番組情報
題名のない音楽会 「アニメ特撮音楽の巨匠・渡辺宙明&俊幸の音楽会」
 
■放送日時:2017年12月16日(土)  午前10時~10時30分 (テレビ朝日)
※地域によって、放送日時が異なります。
http://www.tv-asahi.co.jp/daimei_2017/schedule/
■出演:渡辺宙明、渡辺俊幸、水木一郎、堀江美都子、横浜シンフォニエッタ ほか
 
■放送予定曲
♪1:『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』より「マジンガーZ」
作曲:渡辺宙明 作詞:東文彦 編曲:渡辺俊幸
歌:水木一郎
 
♪2:「鋼鉄ジーグのうた」
作曲:渡辺宙明 作詞:林春生 編曲:山下康介
歌:水木一郎
 
♪3:「秘密戦隊ゴレンジャー」メドレー
(1)「進め!ゴレンジャー」
作曲:渡辺宙明 作詞:石ノ森章太郎 編曲:三宅一徳
(2)「秘密戦隊ゴレンジャー」
作曲:渡辺宙明 作詞:八手三郎 編曲:三宅一徳
歌:石丸幹二/堀江美都子/水木一郎
 
♪4:「野球狂の詩」
作曲:渡辺宙明 編曲:山下康介
歌:堀江美都子
 
♪5:「We are宇宙兄弟」
 (1)「宇宙兄弟のテーマ」
 (2)「ロケットロード」
作曲・編曲:渡辺俊幸
指揮:渡辺俊幸 演奏:横浜シンフォニエッタ
トランペット:西村浩二 ギター:小堀浩
ドラム:則竹裕之 キーボード:紺野紗衣、大迫杏子
パーカッション:萱谷亮一、大場章裕、野崎めぐみ

 

奇才と称されるヴァレリー・アファナシエフ、日本で17年ぶりに得意とするブラームスのピアノ協奏曲第2番を披露

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ロシア出身で、現在はベルギーに居を構えるピアニスト、ヴァレリー・アファナシエフは、奇才とか偉才などと称される。その演奏は意表を突くゆっくりとしたテンポ、ペダルで長く引き伸ばした音、音符と音符の絶妙な間(ま)など、個性と創造性に満ちている。

アファナシエフは近年積極的にレコーディングに取り組み、モーツァルトやベートーヴェンのピアノ・ソナタをリリースしている。

それらの録音では、すべての演奏がアファナシエフならではの解釈、表現、音楽性に彩られ、聴き慣れたソナタに新風を吹き込む。

来日公演でも意欲的なプログラムを組み、個性的で哲学的ともいえる深い解釈に基づく演奏を展開している。

「私が最近レコーディングを数多く行っているのは、レコード会社が私の自由を尊重してくれるからです。どんな作品をいつ録音するか、それは演奏者にとってとても重要なことで、何年か先まで企画などが決まっていると、息苦しくなってしまいます。でも、いまは自由に、好きなときに録音に着手できるのです。それが私をレコーディングへと向かわせ、必然的に数が多くなっているわけです」

近ごろの来日公演では、録音で話題を呼んだモーツァルトやベートーヴェンの作品を披露しているが、その演奏は冒頭から類まれなる集中力と緊張感に支配されたもので、聴衆にも同様の集中力を要求するもの。聴き手はアファナシエフのひとつひとつの音に精神を集中し、奏者とともに呼吸をしているような感覚に陥るのである。

「私は、聴いてくださる方たちの心の奥深く届く音楽を演奏したいと思っています。表面的な演奏や、やたらに自分の存在を前面に押し出す演奏は、好きではありません。作曲家に敬意を表し、作品の内奥に迫り、その魅力を聴き手に届けたいのです」

最近の来日公演でとりわけ印象深かったのは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」の第1楽章の信じがたいほどのゆったりしたテンポ。これは3連符の神秘的で幻想的な和音から始まり、この序奏部が全体の性格を決定している。

ベートーヴェンが弟子であり恋人でもあった伯爵令嬢ジュリエッタに捧げた曲で、詩人レルシュタープが「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と形容したことばでも知られる美しい旋律である。

しかし、アファナシエフの手にかかると、この3連符は静謐で内省的なモノローグのような音楽と化す。

「私はごく幼いころから《月光》の第1楽章に親しんできました。母がよく弾いていたからです。母はプロのピアニストではありませんでしたが、よく家で演奏していました。私は子どものころからそれを耳にしていたのです」

アファナシエフのショパンのポロネーズ6曲も、これこそアファナシエフの創意と工夫に満ちたショパンとの対峙である。ポロネーズはポーランドの国民的舞曲で、壮大で祝祭的な気分に彩られている。

これらをアファナシエフはショパンの深層心理に迫り、2度と祖国に戻ることができなかった無念の思いを描き出すように、諦念、慟哭、悲哀などの心の叫びを音に託す。そこには祝祭的な色合いは微塵もなく、打鍵の深さと強さが地団駄を踏んでいるショパンの姿をほうふつとさせる。

「私は演奏するとき、世界に耳を澄ますことにしています。ベートーヴェンを演奏するときは彼の音楽だけでなく世界を聴くわけです」

これはアファナシエフがCDの解説書で語っていることば。彼はCDを作るとき、常に音楽のみならず作品にまつわるエッセイも綴っている。彼は小説、戯曲、詩などを得意とし、執筆が生活の大きなウエイトを占めている。現在は、早朝に起き、まずピアノに向かう前にさまざまな原稿を書くそうだ。

そんなアファナシエフが、2018年5月、佐渡裕指揮トーンキュンストラー管弦楽団と共演し、日本では17年ぶりとなるブラームスのピアノ協奏曲第2番を全国5か所で演奏することになった。

「佐渡さんともトーンキュンストラー管とも初共演になります。私はブラームスのこのコンチェルトは昔から弾いていて、自分のからだの一部になっているような曲です。もちろん演奏する作品は、みな自分の心身の奥深く根付いている曲ばかりです。そうでなければ、ステージにかけることはできません。私は完全に自分のからだと心の一部になっている曲だけを演奏しているわけです。ブラームスのこのコンチェルトは13歳ころから弾いてきました。もちろん、年月を経るに従って解釈、奏法、表現は大きな変貌を遂げてきましたが、根底に流れるブラームスへの愛は変わりません。自分の人生のなかで、一生つきあっていきたいと思っているコンチェルトです」

ブラームスのピアノ協奏曲第2番は、作曲家の円熟期である48歳のときの作。イタリア旅行に出かけ、輝かしい陽光に魅せられ、ミケランジェリをはじめとする芸術に触れたブラームスが、ウィーンに戻ってから短期間で書き上げた意欲作である。

曲は当時としては異例の4楽章形式で、ピアノを伴う交響曲といわれる。それだけに、ソリストとオーケストラとの密度濃い音の対話が要求される。

「私は長い歴史と伝統を誇る、ロシア・ピアニズム(ロシア奏法)を受け継ぐ最後の世代だと思っています。ロシア・ピアニズムという流派は、ピアノを豊かにうたわせるのが基本です。ドイツ奏法はどちらかというと、とても器楽的な響きを重視します。ですから、私のブラームスのコンチェルトは、ピアノで歌をうたいます。ロシア・ピアニズムの体現者である作曲家のラフマニノフは、残された音源を聴くと、とても大きく豊かに深々と楽器を鳴らしました。私もその奏法を受け継ぎ、ブラームスで豊かな歌を表現したい。その歌心を聴き取ってほしいですね」

アファナシエフのブラームス、それは聴き慣れた作品に新たな光を当てる演奏になるに違いない。最後に、彼はちょっぴりシニカルな笑みをみせながら、こう語った。

「17年前、私が日本で演奏したブラームスのピアノ協奏曲第2番は、自分としてはあまり満足のいく演奏ではありませんでした。下手だったのです(笑)。若かったのか、楽譜の読みが足りなったのか、表現不足だったのか定かではありませんが、それを払拭する意味で、今度は完全に納得のいく演奏を行うつもりです。みなさんにその立会人になってほしいと思っています!」

まさに一期一会の貴重な機会となりそうだ。

取材・文=伊熊よし子  写真撮影=武田敏将

公演情報
大和証券グループPresents 佐渡裕指揮 トーンキュンストラー管弦楽団 日本ツアー2018
 
<出演>
佐渡裕(指揮) 
トーンキュンストラー管弦楽団
ヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ)※【プログラムB】のみ

 
<曲目>
【プログラムA】
バーンスタイン:交響組曲「波止場」
バーンスタイン:ウエスト・サイド・ストーリーより「シンフォニック・ダンス」
ショスタコーヴィチ:交響曲 第5番 ニ短調 Op.47
【プログラムB】
バーンスタイン:キャンディード序曲
ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 Op.68 「田園」
ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 Op.83

 
<日程(2018年)・会場>
※ヴァレリー・アファナシエフ氏の出演は【B】 のみです。
5/12(土) 京都・京都コンサートホール 【B】
5/13(日) 熊本・熊本県立劇場 【A】
5/15(火) 福岡・福岡シンフォニーホール(アクロス福岡) 【B】
5/17(木) 東京・サントリーホール 【B】
5/18(金) 新潟・新潟市民芸術文化会館 りゅーとぴあ 【A】
5/19(土) 大阪・フェスティバルホール 【A】
5/20(日) 東京・NHKホール【A】
5/22(松本・キッセイ文化ホール 【B】
5/23(水) 浜松・アクトシティ浜松 【A】
5/24(木) 名古屋・日本特殊陶業市民会館(名古屋) 【B】
5/26(土) 仙台・東京エレクトロンホール宮城 【B】
5/27(日) 札幌・札幌コンサートホールKitara 【A】
大和証券グループの特別協賛は、熊本、足利以外の11公演が対象です。

<チケット>
【東京公演のみ】
■座席選択先行受付:11/14(火)12:00~12/10
)23:59 
2018年5月17日(木)19時開演 サントリーホール
2018年5月20日(日)14時開演 NHKホール
■一般発売:2018年12月16日(土)~
※東京以外の公演はこちらをご参照ください。

<公式サイト>
トーンキュンストラー管弦楽団
https://www.tonkuenstler.at/de/japanese-information/tonkuenstler-orchester

【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2017年12月18日~2017年12月24日)

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月の前半は、うまく進みそうで進まないかわりに、思ってもみなかったことがスッと懐に入ってくるような、不思議な感覚で過ごした方も多かったのではないでしょうか。それはそれで面白いのですが、本来見て欲しいものや伝えたい内容への評価はなかなか返ってこない。そんなもどかしさがあっても、今週を境に少しずつ事態は前に進んでいきそうです。

誰と比較するでもなく求めるでもなく、自分のことは自分で褒められるように。本当にやりたいことだけを手元に残していこう、と思うようになるのかもしれません。やらないことを決めた途端、やるべきことがスケジュールとして具体的に見えてくる人も多いでしょう。思い切りの良い取捨選択をすることで、気持ちの上手な割り切り方、切り替え方もマスター出来てきそう。

うまく進まない流れの中には、過去の因縁からくる原因もあるようです。別人なのに過去に関わった誰かと似ている人に出会う、この景色は前にも見たことがある、このところそんなシーンに遭遇してはいないでしょうか。いい思い出と共にあるとは限らない、その相手や場面から“復習したかったこと”がきっとあるはずです。それでも離れがたい何かがあって、あなたの前に進もうとする気持ちを遮っているのなら、今度こそ迷いなく、“どうすれば良かったのか”心の声に耳を澄まして課題をクリアしていけるかも。

わだかまっていた思いがフッと消え去るような、あなたにとって嬉しいニュースが飛び込んでくることもありそうです。それはそっと胸の内に秘めておくような極めて個人的なことかもしれません。小さな幸せがずっと長続きするような、あなただけの宝物が手に入ることもありそうです。

【12星座別 今週のラッキーワード】
◆おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
臨場感、ツアー
おうし座(4月20日~5月20日 生まれ)
原点回帰、ルーツ
ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
仲間、ファンクラブ
かに座(6月21日~7月22日 生まれ)
瞑想、ヒーリング
しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
冒険、アトラクション
おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
喜劇、ユーモア
てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
鋭角的な、シャープ
さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
決別、チェンジ
いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
再開、リブート
やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
単純化、オートメーション
みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
協力、フォーメーション
うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
展望、ディスプレイ

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本島美和&細田千晶、新国立劇場バレエ団の美女2人が語る『シンデレラ』とニューイヤー・バレエ『パ・ド・カトル』

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新国立劇場バレエ団では12月16~24日に「シンデレラ」を、ついで年明けの1月6・7日には「ニューイヤー・バレエ」を上演する。

そこで今回は「シンデレラ」では仙女役、そしてニューイヤー・バレエの「パ・ド・カトル」に出演する本島美和と細田千晶に、それぞれの作品の特徴や見どころを語ってもらった。

本島美和

本島美和

細田千晶

細田千晶

■妖精たちを統べ、世界を俯瞰する。仙女ならではの特権も

撮影:瀬戸秀美

撮影:瀬戸秀美

新国立劇場バレエ団のフレデリック・アシュトン振付による「シンデレラ」は、実に初演が1999年。以来ほぼ1年おきにクリスマスシーズンに上演される、同バレエ団の主要なレパートリーのひとつとなっている。団員にも愛されている、夢と笑いと幸せにあふれるバレエだ。

バレエ団の長い歴史の中で本島は星の精、秋の精、夏の精、シンデレラ、仙女を、細田は星の精、冬の精、春の精、仙女とこれまでの上演のなかで数々の役柄をこなしてきている。

今回2人が踊る仙女は1幕にシンデレラを舞踏会へと送り出す、重要な役割を担う。

本島が「1幕と3幕しか出ていないのに不思議な存在感がある」と言うとおり、仙女の魔法世界かもしれない2幕でも、ひょっとしたらどこかで見守っているのかもしれない。

踊る側としてはどういう存在だと考えているのだろう。

細田「四季の妖精や星の精たちの世界を統括しているのかな。ずっと湯川麻美子さんや川村真樹さん、本島さんの仙女を見てきたので、私に彼女らの貫禄を出せるのかなぁと心配でしたが(笑)」

しかし貫禄の絶対的存在を醸す本島仙女に対し、細田仙女も慈愛にあふれた独特の存在感がある。

仙女(本島美和) 撮影:瀬戸秀美

仙女(本島美和) 撮影:瀬戸秀美

本島「私が最初に仙女を踊ったときは四季の精が西山裕子さん、西川貴子さんなど大先輩方ばかりで、“こんなすごい妖精達を束ねなきゃいけないのか”と(笑)。でも回数を重ねるうち、仙女の持つメッセージを考えるようになりました。“どうして12時に魔法が解けるようにしちゃったの?”と。仙女はシンデレラの亡き母の化身でもあるので“私にできるのはここまで。あとは自分の力でがんばりなさい。見守っていますよ”というメッセージがあるのかなと」

またアシュトン版「シンデレラ」屈指の感動的な場面の一つが3幕のクライマックス前、「スローワルツ」の曲とともに、暗闇に星明りがひとつひとつ灯っていくシーンだ。

細田「ここは観ていても踊っていても好き。幸せな気分になって、曲が流れるだけでウルウルします」

本島「この場面で最初仙女は立っているだけですが、実は客席がうっすら見えて客席の空気がひしひしと伝わってくるんですよね。星の明かりが灯るたびに客席もだんだん明るくなっていく。あれはなんとも言えない幸せな気持ちになります。仙女だけの特権かな(笑)」

なるほど、仙女は「世界」を統べ、俯瞰している。

■アシュトンならではのシャープな振付

それぞれに「シンデレラ」で様々な踊りをこなしてきた2人だが、アシュトン版「シンデレラ」は踊る上でも相当の苦労があるという。

本島「入団した年に秋の精と星の精の両方を踊り、ノイローゼになりそうなくらい大変でした(笑) とくに星の精は入る位置で踊りがそれぞれ違う。大変だけれど、それぞれの動きがかみ合った時、すごくカッコイイ。四季のヴァリエーションはもちろん古典バレエがベースにあるのですが、スタッカートの効いた独特の動きが求められる。アラベスクは一瞬で90度、シャープな動きで、とか。あんなに考え込まれたバレエはないですね」

冬の精(細田千晶) 撮影:瀬戸秀美

冬の精(細田千晶) 撮影:瀬戸秀美

細田「ヴァリエーションは振りが音楽と一体化している。だから振りを正確に踊ればその役の表現につながる。春の精は“バッタのように踊るイメージ”と言われたのですが冬は“クールに”と。振りもパキパキというのか、バレエは普通柔らかく優雅に踊りますが、ヒジや指先もまっすぐピンと伸ばして、シャープな動きが多くあります。」

華麗に優雅に見える踊りには、実は古典バレエとは全く違ったテクニックが盛り込まれている。ぜひその動きも注意して観てみたい。

■その初演はセンセーショナル。静かに火花散る「4人の歴史的プリマ」

きびきびとしたアシュトン作品とは全く逆の、古典バレエならではの優雅な動きが求められるのが1月6日・7日に上演される「パ・ド・カトル」。バレエ団としては前回2014年に続いての上演となる(ただし、新国立劇場での上演は今回が初めてとなる)。

作品の初演は1845年。マリー・タリオーニ、カルロッタ・グリッジ、ルシール・グラーン、ファニー・チェリートの当代きっての4人のプリマが一堂に会して踊った。

タリオーニは初めてポワントを履き、シルフィードを踊った大御所。グリッジは「ジゼル」初演時(1841年)の主演であり、グラーンはデンマークで活躍しブルノンヴィル作品の数々の主演を踊った。チェリートはイタリア出身のダンサーで、華やかで快活な魅力で観客を魅了した。いずれも19世紀のバレエ史に名を刻む名バレリーナだ。バレエ団が上演するのは1941年にドーリンが復刻したもので、タリオーニを本島、グリジを木村優里、グラーンを寺田亜沙子、チェリートを細田が踊る予定だ。上演時はストーリーのないバレエではあったが、復刻され甦った現代では「4人の名バレリーナ」という登場人物が生まれる。

細田「4人のダンサーたちの違いと掛け合いが見どころでしょうか。コメディチックなところもあるんです。それぞれに上下関係があるけれど、誰もが“私が一番!”と思っている。華麗に優雅に踊るけれど、ひそかに火花が散っているんですよね」

本島「皆ライバルなんですよね。でも当時の大プリマ達はそのライバル感を楽しんでいたのかなとも思います。主演を踊るバレリーナって孤独じゃないですか。だからバチバチと火花を飛ばしながらも、“一緒に踊るのも悪くない”といったふうに」

聞けば2014年の公演の際に、英国のテレビで放映された古い映像を見たのだとか。

本島「大原先生が持っていた録画で、音もジージーいって、画像もザリザリと荒れたすさまじい映像で(笑) でもこの作品、一人が踊って引っ込むときに、次のダンサーに“次はあなたね、どうぞ”とやるんですが、その時客席から笑い声が起こるんですよ」

つまり当時の英国のお客様達は、タリオーニ、グラーン、グリッジ、チェリートがどんなキャラクターかが、ある程度分かっていたのかもしれない。

本島 「すごいなぁと思いました、その雰囲気が。日本でそういう笑いが起きるかどうかはわからないですが、4人のキャラクターの違いは出していければと思います」

古(いにしえ)の名プリマたちと、本島や細田をはじめとするダンサーたちの個性の融合で、新たな「華麗なる女の戦い」が見られるかもしれない。

いよいよ「シンデレラ」の本番が始まり、休むまもなく「ニューイヤー・バレエ」へ。

細田「「シンデレラ」はキラキラしていて、「くるみ割り人形」ともどもクリスマスらしい作品だと思います。ぜひ幸せな気持ちを持ち帰っていただきたいです。「ニューイヤー・バレエ」の「シンフォニー・インC」も楽しい作品です」

本島「同じ演目でもキャスト違いの面白さを楽しんでいただきたいと思います。踊る人が変わると全然違った世界が生まれたりします。ぜひ一度だけと言わずに、何度も劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。」

(文章中敬称略)

取材・文=西原朋未

公演情報
新国立劇場バレエ団「シンデレラ」

■日程:12月16日(土)~24日(日)
会場:国立劇場オペラパレス
出演:新国立劇場バレエ団

 
【12月16日(土)13:00】
シンデレラ:米沢 唯
王子:井澤 駿
姉娘:菅野英男
妹娘:髙橋一輝
仙女:本島美和
春の精:柴山紗帆
夏の精:飯野萌子
秋の精:奥田花純
冬の精:細田千晶

 
【12月16日(土)18:00】
シンデレラ:小野絢子
王子:福岡雄大
姉娘:古川和則
妹娘:小野寺 雄
仙女:細田千晶
春の精:五月女 遥
夏の精:渡辺与布
秋の精:池田理沙子
冬の精:寺田亜沙子

 
【12月17日(日)14:00】
シンデレラ:柴山紗帆
王子:渡邊峻郁
姉娘:菅野英男
妹娘:髙橋一輝
仙女:木村優里
春の精:広瀬 碧
夏の精:飯野萌子
秋の精:奥田花純
冬の精:細田千晶

 
【12月20日(水)13:00】
シンデレラ:小野絢子
王子:福岡雄大
姉娘:古川和則
妹娘:小野寺 雄
仙女:細田千晶
春の精:五月女 遥
夏の精:渡辺与布
秋の精:池田理沙子
冬の精:寺田亜沙子

 
【12月22日(金)19:00】
シンデレラ:小野絢子
王子:福岡雄大
姉娘:古川和則
妹娘:小野寺 雄
仙女:細田千晶
春の精:五月女 遥
夏の精:渡辺与布
秋の精:池田理沙子
冬の精:寺田亜沙子

 
【12月23日(土・祝)13:00】
シンデレラ:米沢 唯
王子:井澤 駿
姉娘:菅野英男
妹娘:髙橋一輝
仙女:本島美和
春の精:広瀬 碧
夏の精:飯野萌子
秋の精:奥田花純
冬の精:細田千晶

 
【12月23日(土・祝)18:00】
シンデレラ:木村優里
王子:中家正博
姉娘:古川和則
妹娘:小野寺 雄
仙女:細田千晶
春の精:柴山紗帆
夏の精:渡辺与布
秋の精:奥田花純
冬の精:寺田亜沙子

 
【12月24日(日) 14:00】
シンデレラ:池田理沙子
王子:奥村康祐
姉娘:菅野英男
妹娘:髙橋一輝
仙女:木村優里
春の精:柴山紗帆
夏の精:飯野萌子
秋の精:奥田花純
冬の精:細田千晶

 
 
公演情報
新国立劇場 開場20周年記念特別公演 新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」
 
■日時:1月6日(土)18:00~/1月7日(日)14:00~
会場:国立劇場オペラパレス
出演:新国立劇場バレエ団

『パ・ド・カトル』
本島美和 寺田亜沙子 木村優里 細田千晶

 
『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
米沢 唯 奥村康祐

 
『グラン・パ・クラシック』
小野絢子 福岡雄大

 
『シンフォニー・イン・C』
第1楽章:米沢 唯、福岡雄大
第2楽章:小野絢子、菅野英男
第3楽章:池田理沙子、渡邊峻郁
第4楽章:木村優里、井澤 駿

 
■公式サイト:http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/
 

ROHシネマシーズン 2017/18、英国ロイヤル・バレエ『不思議の国のアリス』アンコール上映&ワディム“王子”からインタビュー映像到着

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バレエ、オペラともに世界最高峰の名門歌劇場、英国ロイヤル・オペラ・ハウスの人気公演の舞台映像を、東宝東和株式会社配給で、TOHOシネマズ系列を中心とした全国の映画館で上映する『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2017/18』。その中のバレエに関する特報が二つ飛び込んできた。

「不思議の国のアリス」 (C) ROH.Johan Persson

「不思議の国のアリス」 (C) ROH.Johan Persson

ひとつめ。12月の上映で大きな評判を呼び、連日大盛況となった本シーズン3作目 ロイヤル・バレエ『不思議の国のアリス』が、2018年1月5日(金)、9日(火)、10日(水)、11日(木)の4日間、TOHOシネマズ日本橋にてアンコール上映される。音楽・振付・美術・ダンサーなど、いずれの要素も卓抜にして豊か、SPICE編集子をも狂おしいまでに虜にさせた最強作品が奇跡のアンコールを果たす。見逃した方、もう一度ご覧になりたい方は、この機会を見逃すわけにはいかないだろう。

「不思議の国のアリス」 (C) ROH.Johan Persson

「不思議の国のアリス」 (C) ROH.Johan Persson

「不思議の国のアリス」 (C) ROH.Johan Persson

「不思議の国のアリス」 (C) ROH.Johan Persson

ふたつめ。このほど『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2017/18』からのXmasプレゼントとして、英国ロイヤル・バレエの”王子”ことワディム・ムンタギロフがシネマシーズンの見所と日本への愛を自ら語る、インタビュー映像が公開された。

ワディム・ムンタギロフ インタビュー動画


2014年より英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルを務めるワディム・ムンタギロフ。舞台上での輝きはもちろんのこと、185cmという長身且つエレガントな姿から、世界中のファンに“王子”の愛称で親しまれている人気ダンサーの1人。昨年『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17』で上映された『眠れる森の美女』においても王子役で出演しており、映画館で日本のファンを魅了したことは記憶に新しい。

今回の映像では、新国立劇場 開場20周年記念公演『くるみ割り人形』のシーズン・ゲスト・プリンシパルとして来日していたワディムが『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2017/18』について語っている。

ワディム・ムンタギロフ

ワディム・ムンタギロフ

『不思議の国のアリス』(2018年1月5日(金)~アンコール上映)、『くるみ割り人形』(1月19日(金)公開)、『冬物語』(4月20日(金)公開)、『バーンスタイン・センテナリー』(6月8日(金)公開)、『マノン』(6月22日(金)公開)、『白鳥の湖』(8月24日(金)公開)といった豪華演目が揃う本シーズンのラインナップにおいて注目作を問われると、「本シーズンの演目でハイライトを当てるとしたら、絶対に『白鳥の湖』です。僕の大好きな演目でストーリーも素晴らしく、愛と赦しを始め、全てが凝縮されていて音楽も美しい演目です。振り付け、音楽、ストーリーが見事に融合しています。」と、その魅力を解説。

ROH_バレエスペシャルフライヤー

ROH_バレエスペシャルフライヤー

また、映画館のスクリーンを通して世界中の人達に公演の感動と興奮を届けることができるシネマシーズンの取り組みについてワディムは、「今までバレエを観たことがない人にもいい機会だと思います。是非観に行ってほしいです。」とコメント。さらに映画館で初めてバレエを鑑賞するお客様に向けて「絶対に楽しんでもらえると断言します。僕たちダンサーはすごい努力をしていますので。それに今は、21世紀に入りバレエの芸術性は向上しています。ダンスと芸術が融合し始めているから、両方を同時に楽しめると思います。それに映画館へ行ってバレエの物語を知ることは、素晴らしい学びの機会だと思います。愛や愛する人のためにすべきことを教えてくれます。バレエを観れば、多くのことを学ぶことができますよ。」と自身の考えを語る。

ワディム・ムンタギロフ

ワディム・ムンタギロフ

“親日王子”としても知られるワディム、「日本は本当に大好きで、自由な時間があれば出かけるようにしています。箱根には何度か行って温泉に入ってみたり、泊まったりもしました。美しく静かでとても穏やかな気持ちになりました。現代生活は働きづめでせわしないから、旅先で1人で穏やかに過ごせる時間が大好きです。そこが日本の魅力ですね。日本食も健康的で本当に大好きです。目に入ったものは何でも買って食べちゃいます。」と来日時の楽しみを明かしました。さらに、インタビューの最後には「僕の同僚であるロイヤル・バレエのダンサーは皆、日本の観客が大好きです。皆さんの応援に応えようと一生懸命練習しているので、是非観に来てください。」と日本のファンに向けてメッセージを贈った。

なお、ワディムはシネマシーズンではロイヤル・バレエ『マノン』に出演する予定だ。

ワディム・ムンタギロフ

ワディム・ムンタギロフ

2018年1月は前述の『不思議の国のアリス』アンコール上映(TOHOシネマズ日本橋)に続き、19日(金)からは本シーズン4作目、ピーター・ライトの魅惑的な振付と世界中で愛され続けているチャイコフスキーの音楽が融合したバレエ『くるみ割り人形』が全国で上映される。英国ロイヤル・バレエ団が自信をもって贈る幻想的な世界を、映画館ならではの大画面と迫力ある音響が揃う最高の環境で、とくとご堪能あれ。

「くるみ割り人形」 (C) ROH.PHOTO 2017/18

「くるみ割り人形」 (C) ROH.PHOTO 2017/18

文=安藤光夫

上映情報
『不思議の国のアリス』アンコール上映
■公開日:2018年1月5日(金)、9日(火)、10日(水)、11日(木)
■劇場:TOHOシネマズ日本橋
■劇場サイト:https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/073/TNPI2000J01.do
■振付:クリストファー・ウィールドン
■音楽:ジョビー・タルボット
■指揮:クン・ケセルス
■出演:ローレン・カスバートソン(アリス)、フェデリコ・ボネッリ(ハートのジャック)、ジェームズ・ヘイ(ルイス・キャロル/白ウサギ)、ラウラ・モレーラ(ママ/ハートの女王)、スティーヴン・マックレー(マジシャン/マッドハッター)

 
『くるみ割り人形』
■公開日:2018年1月19日(金)公開
■劇場:
北海道 ディノスシネマズ札幌 2018/2/17(土)~2018/2/23(金)
宮城 フォーラム仙台 2018/1/20(土)~2018/1/26(金)
東京 TOHOシネマズ日本橋 2018/1/19(金)~2018/1/25(木)
東京 イオンシネマ シアタス調布 2018/1/19(金)~2018/1/25(木)
千葉 TOHOシネマズ流山おおたかの森 2018/1/19(金)~2018/1/25(木)
神奈川 TOHOシネマズららぽーと横浜 2018/1/19(金)~2018/1/25(木)
愛知 TOHOシネマズ名古屋ベイシティ 2018/1/19(金)~2018/1/25(木)
京都 イオンシネマ京都桂川 2018/1/19(金)~2018/1/25(木)
大阪 大阪ステーションシティシネマ 2018/1/19(金)~2018/1/25(木)
神戸 TOHOシネマズ西宮OS 2018/1/19(金)~2018/1/25(木)
福岡 中洲大洋映画劇場 2018/1/20(土)~2018/1/26(金)
※ディノスシネマズ札幌劇場、フォーラム仙台、中洲大洋映画劇場でも公開いたしますが、公開日が異なります。詳しくは公式サイトをご確認を
■振付:ピーター・ライト
■音楽:ピョートル・チャイコフスキー
■指揮:バリー・ワーズワース
■出演:フランチェスカ・ヘイワード(クララ)、サラ・ラム(こんぺいとうの精)、ギャリー・エイヴィス(ドロッセルマイヤー)、スティーヴン・マックレー(王子)、アレクサンダー・キャンベル(ハンス・ピーター/くるみ割り人形)

 
■公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/

音コン1位の歓びと留学への決意を新たに、鈴木玲奈が華やかで和やかなひとときを披露

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“サンデー・ブランチ・クラシック” 2017.11.12 ライブレポート

今年10月に行われた「第86回日本音楽コンクール」声楽部門で1位を授賞した、ソプラノの鈴木玲奈が東京・渋谷のeplus LIVING ROOM CAFE & DININGで毎週日曜日に開催されている『サンデー・ブランチ・クラシック』に登場した。聴き手の心をほっと和ませるような安心感のある歌唱、和やかなトークも板についていて、満員の客席は盛り上がり、1曲歌い終わるたびに「ブラボー」が飛び交っていた。

「今日は、コロラトゥーラ・ソプラノのプログラムを用意させていただきました。ソプラノの中でも一番高い声で、華やかで……」と、鈴木が得意とするコロラトゥーラの説明を盛り込んでご挨拶。

鈴木玲奈

鈴木玲奈

1曲目の「私は夢に生きたい」は、『ロメオとジュリエット』のヒロイン、ジュリエットの恋に恋する初々しい思いだ。グノーの清らかな旋律から、後の悲劇など誰が考えようか。明るく柔かなハイソプラノが心地よい響きで、会場を包んでいく。鈴木が「朝の満員電車で聴くのが好きです。ゆるやかできれいな曲で、イライラしがちな電車の中でも、心が穏やかになります」と話してくれた2曲目のマスカーニの「アヴェ・マリア」も、歌い終える頃には場内の隅々に温かなムードが充満した。

鈴木玲奈

鈴木玲奈

ここで、鈴木は音楽の都・ウィーンに留学して研鑽を積むことを報告し、ヨハン・シュトラウス2世の「春の声」を披露した。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の正月祝賀演奏『ニューイヤー・コンサート』でもおなじみの華やかなワルツだが、一般的にオーケストラ演奏を聴く機会の方が多い。ピアノの旋律とリリカルに呼応しながら、春を迎える幸せを歌う鈴木。ピアニストの前田美恵子とは大学時代から組んできた仲で、息もぴったりだ。日中の最高気温が零下というウィーンの厳しい冬が終わりを告げ、日ごとに春の気配を感じるうれしさが伝わってくる。

前田美恵子

前田美恵子

続く、モーツァルト『後宮からの逃走』の「優しさにお世辞をまぜて」や、プッチーニ『ラ・ボエーム』の「私が街を歩くと」も、楽曲の解説を交えつつ歌い上げる。モーツァルトの「優しさにお世辞をまぜて」は、昨年、鈴木が日生劇場でオペラ・デビューしたときに歌った思い出の歌。役どころは、ヒロインのコンスタンツェとともにトルコの太守に捕らえられた侍女・ブロンデだ。知恵がよく働く人で、荒っぽく言い寄る男に「そんな言い方ではダメですよ、お世辞を混ぜてやさしく言ってこないと、女性とつきあえませんよ……」と、かわすときの歌であることを説明。プッチーニの「私が街を歩くと」は、「お騒がせなムゼッタが、きれいな衣装をまとってパトロンとカフェにやって来たら、そこに前の彼がいて、お互い思いが残っているのに素直に言えなくて『私が街を歩くと、男の人が注目して……』と歌ってしまいます」との説明に、どちらもピッタリのチャーミングな役で、オペラのシーンが浮かんでくる。 

鈴木玲奈

鈴木玲奈

最後は、オッフェンバックの『ホフマン物語』で素晴らしいコロラトゥーラを歌う人形の「オランピアの歌」。主人公のホフマンが夢中になった女性の一人は人形だったというわけで、鈴木はゼンマイ仕掛けの人形に扮し、一人でやまびこのように呼応したり、高声を発しながら回転したり……。人形のゼンマイ音はラチェットで表現。前田が要所でラチェットを回すと、ゼンマイが巻かれて人形が元気を取り戻す。鈴木がコミカルな機械動作を交えて、妙趣に富んだパフォーマンスを披露し、観客は大いに沸いた。

鈴木玲奈

鈴木玲奈

終演後、楽屋で鈴木は「今日は留学前の最後のコンサートでしたが、客席と距離が近くてアットホームな感じで、お客さまがリラックスして聴いてくださっているのがわかって、ほっとしました」。

「日本音楽コンクール」優勝については「憧れのコンクールだったので、驚きとうれしさでいっぱいでした。会う人会う人から『おめでとう』と言われたのは初めてです。これから2年間、ウィーンで勉強します。歌にスケール感が出るように頑張りたいです」。

前田美恵子、鈴木玲奈

前田美恵子、鈴木玲奈

ピアニストの前田に、鈴木の長所を尋ねると「学生の頃から明るい性格はモチロンですが、舞台に出たときに存在感があって、スター性が垣間見えていましたね。一緒のステージもやりやすく、楽しいです」。

鈴木は「母がピアノを教えていたので、私も弾いていましたが、とにかく子供のときから歌が好きで、母に『ステージで横向きで演奏するより、前向いて歌うのが好きだったのね』とか、毎朝ハイCで『おはよう~!』って起きてきたとか言われています(笑)。ウィーンでひとまわり大きくなって帰ってきたいです」

前田美恵子、鈴木玲奈

前田美恵子、鈴木玲奈

取材・文=原納暢子 撮影=岩間辰徳

サンデー・ブランチ・クラシック情報
12月24日(日)
鈴木舞/ヴァイオリン&加藤大樹/ピアノ
13:00~13:30
MUSIC CHARGE: 500円

■会場:eplus LIVING ROOM CAFE & DINING
東京都渋谷区道玄坂2-29-5 渋谷プライム5F
■お問い合わせ:03-6452-5424
■営業時間 11:30~24:00(LO 23:00)、日祝日 11:30~22:00(LO 21:00)
※祝前日は通常営業
■公式サイト:http://eplus.jp/sys/web/s/sbc/index.html?

ふたりの「未来の巨匠」による初めてづくしの響宴が見逃せない! ~上野耕平(サクソフォン)&阪田知樹(ピアノ)デュオ・リサイタルの観どころを訊く

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昨今、平日昼間に開演する演奏会に注目が集まっていることをご存知だろうか? 以前であれば、短くて軽めのランチタイムコンサートやシニア層向けのコンサートなどが多かったのだが、現在ではライフスタイルの多様化が進む時勢に合わせるかのように、平日昼間にも見逃せないコンサートが目立つようになった。オペラシティコンサートホール(新宿・初台)で2018年1月11日木曜日の13時半に開演する「上野耕平&阪田知樹デュオ・リサイタル」も、そうした演奏会のひとつだ。20代なかばにして世界で通用する圧倒的なテクニックと豊かな音楽性を持つ、ふたりの「未来の巨匠」が初めて共演を果たすというだけでも胸熱なのだが、話題はそれだけではないのだから本当に目が離せない。今回の演奏会の注目ポイントについて、ピアニストの阪田知樹に詳しく話をうかがった。

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

――サクソフォンの上野さんとは今回が初共演になるそうですが、初共演とは思えないほどプログラミングが凝っていて驚きました!まず最初はそれぞれのソロで、バッハが演奏されますね。阪田さんはブゾーニが編曲したシャコンヌを取り上げられます。

上野さんと電話やメールでやり取りして、まず最初のソロをバッハでスタートしようよという話はスムーズに決まりました。ブゾーニ編曲のシャコンヌは昔から弾いていた曲なんですけれど、実は公開の場で演奏するのは今回が初めてなんです。

――それはとても意外でした!

ドイツに行ってから、チェンバロだとかフォルテピアノ(といった作曲当時に使われていた楽器)に触れる機会が増えました。チェンバロで弾くバッハと、現代のモダンピアノで弾くバッハって本当に天と地ほどの差があって。別にどちらが良い悪いではなくて、ただ違うんですよ。

今回演奏するシャコンヌは「ブゾーニが手を入れたから、これはバッハとしては……」みたいなことをおっしゃる方がいることも重々承知しているんです。けれども、こういう捉え方があっていいんじゃないかと、チェンバロを演奏したからこそ私は良い意味で確信しました。

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

――チェンバロなどの古楽器に触れると、ブゾーニ編曲のようなバッハ像を受け入れられなくなるという演奏家の方もいらっしゃるなか、阪田さんは反対に、チェンバロを経験したからこそブゾーニ編曲の良さが見えてくるとおっしゃられるのが大変興味深いです。

バッハってピアノだけで弾いていると、音楽がすごくシステマティックだとか、そういう風に捉えられがちなんですが、いざバッハにチェンバロで対峙したときには見えてくる世界が全然違います。感情の起伏があってロマンティックで、非常に歌心に溢れる作曲家だってことがよく分かるんです。そしてブゾーニの編曲はそれをピアノに柔軟にトランスレイト(翻案)した、私はもはや編曲というか、ひとつの作品だと思っていますね。

――プログラミングのお話に戻りまして、バッハの次に演奏することが決まったのは、どの曲なのでしょう。

次は、僕が作曲中のものがあることを提案したら、凄く興味をもってくださって。それで私の新作「アルト・サクソフォンとピアノのためのソナチネ」を入れることに決まりました。

――この新作は、どのような作品になるのでしょうか。

私が書いている曲の中では、ジャズの要素を含んだ作品というのは、あまり今まで取り組んでこなかったんです。だけどサックスの歴史のなかで、ジャズというシーンは落とせないワードだと思うので、今回初めてそういった要素も含めています。

ジャズピアニストでは、ビル・エヴァンスとかオスカー・ピーターソン、あとはアート・テイタムがとても好きなんです。彼らを聴いてイミテイト(模倣)するわけではないんですけれど、何らかのインスピレーションは受けつつ、自分なりに咀嚼したジャズテイストっていうものを取り組んでいます。

全体は3楽章形式で書いた作品になっておりまして、古典への回帰というか、古典を踏襲して、1楽章はフランス的な要素や、ラテン的な明るさを持っていて、2楽章はちょっと暗いジャズのテイストを含んだもの。3楽章は、ある種のバロック回帰みたいなところを見せつつの、軽やかで明るい曲……というのが、大体の構造ですね。

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

――ジャズといえば、ジャズの影響を強く受けたシュルホフの「ホット・ソナタ」もプログラミングされていますね。

私からサックスの方と共演するなら「是非この曲をやりたい!」と提案したのがシュルホフの「ホット・ソナタ」だったのです。上野さんも「すごく好きな曲だから、嬉しい」「こんな曲知ってるんだ~、ピアノなのに」って驚かれてました。

――阪田さんからの提案だったとは! 全く知られていないわけではないですが、決して有名というほどでもない作曲家ですよね。いつ頃、出会われたのでしょうか?

多分、3~4年前ぐらいには知っていたんじゃないかな。一時期、シュルホフにはまった時期があって、ピアノソナタ3曲を全部聴いてみたりとか、結構マニアックなことをしていたんです(笑)。

――そうした過去に作曲家と作品を発掘された経験が、今回のように何年か越しで活かされたりするんですね。

そうなんです。常に調べていまして、記憶力は良い方なので見たものは結構覚えちゃう方なんです。頭の中がデータベースみたいになっているので、あれはどうかな、これはどうかなって考えますね。

例えば来年(2018年)が没後100年のドビュッシーも取り上げますが、シュルホフはドビュッシーの門戸を叩きにいったこともあるんです。そしてドビュッシーはショパンを尊敬していましたよね。オリジナルと編曲作品が混在してはいるんですけども、ある種の連鎖的な意味。こういう繋がりも面白いんじゃないかなと思いながら選んでいます。

――なるほど、作曲家同士の関係性まで考慮しながらプログラミングをされているのですね。そう考えると、ショパンがバッハを尊敬していて……という繋がりもありますね。

そうなんですよ! このコンサートはトークも入るので、そういったことも予備知識的な感じでお話を交えられたらな……と、上野さんともお話ししております。

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

――そうした関係性で見ていった時に、シフラが編曲したブラームスのハンガリー舞曲第5番は、どのような意図があるのでしょうか?

上野さんと私がそれぞれ弾く、ヴィルトゥオーゾ作品的なものを入れようと思いまして、彼はリムスキー=コルサコフの「熊ん蜂の飛行」を網守さんが編曲されたものや、山中さんが編まれた「カルメンファンタジー」といった、原曲が有名な楽曲を演奏したいとおっしゃったんですね。

じゃあ、私も何かエンターテイナー性を出せる作品がないかなと同じ視点で考えて、「ハンガリー舞曲第5番」だったら聴いたら「ああ、この曲か」って分かりますよね。シフラというピアニストは世界一だったといわれるリスト弾きですし、(リスト国際ピアノコンクールで優勝した)自分との関連性というのもあります。そして何より、彼の持つ超絶技巧を存分に発揮した楽しさもあり、それでいてアンニュイな要素も持っていたりとか、ただの超絶技巧曲ではない、ニュアンスや空気感を持った編曲で、私は前から推していたんです。

――こちらも、まだ弾かれたことがなかったんですか!?

今回が初めてですし、他にも初めてが多いと思います。実は、演奏会でサックスと共演するのも初めてなんです。

――初めてづくしで、楽しみがより一層増えました!では、最後にコンサートにお越しくださるお客様へメッセージをお願い致します。

今回はアフタヌーンコンサートという題名で、東京・初台のオペラシティ・コンサートホールで開催されるわけですけれども、演奏の合間にアーティストが選ぶお菓子が出ます。そして何よりプログラムが定番のショパンやバッハもありつつ、耳馴染みある作品が新たな姿をもって出てきたりとか、刺激的な昼間のお時間になると思います。是非とも遊びにいらしてください!

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

阪田知樹  撮影=岩間辰徳

20代半ばとは思えぬほどの膨大な知識と、分け隔てない音楽への深い愛情からも、阪田が「未来の巨匠」となるのは間違いないと確信するばかりである。21世紀の日本のサクソフォン界を背負って立つ上野耕平との共演で、どんな化学反応が起きるのか。この初コラボレーションを見逃す手はないはずだ。

インタビュー・文=小室敬幸 撮影=岩間辰徳

公演情報
アフタヌーンコンサート2017/2018 シリーズ若き才能のきらめき Vol.3

日程:2018年1月11日(木)
会場:東京オペラシティ コンサートホール (東京都)
<出演>
上野耕平(サクソフォン)/阪田知樹(ピアノ)
<曲目・演目>
ドビュッシー:アルト・サクソフォンのためのラプソディ 
リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行


 

スランプ時も支え続けてくれたプロコフィエフ作品と共に迎えるデビュー10周年 ~滝千春ヴァイオリン・リサイタル

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世界中の名ヴァイオリニストを育てたザハール・ブロンの高弟として、国内外で堅実な演奏活動を重ねてきたヴァイオリニスト滝千春。来年2018年にデビュー10周年を迎えるにあたり、3月8日(木)に記念リサイタルを開催するという。この10年間のことや、オール・プロコフィエフ・プログラムで挑むリサイタルへの意気込みをインタビューで伺った。

滝千春  撮影=岩間辰徳

滝千春  撮影=岩間辰徳

――滝さんというと名教師ザハール・ブロン先生に師事されたというイメージが強いのですが、プロフィールを拝見するとその後、ドイツへ移り、ハンス・アイスラー音楽大学でベルリン・フィル等のコンサートマスターを歴任してきたサシュコ・カヴリーロフ先生に師事されていますね。

本当に自分のしたい演奏が出来ないスランプの時期があったのです。ヴァイオリンをどうやって弾いたらいいか分からないと思ってしまって、それをひとりで解決できるとも思えなかった……。

――それでガヴリーロフ先生に師事されたんですね。

彼についたことで凄く変われました。ただ、自分が積み上げてきたものを一旦ゼロにしなければならなかったのです。当時私は24歳。もうヴァイオリニストとしては若くはなかったので、とても勇気がいることでした。今となっては、それをやってとても良かったと思っています。自分を変えるのは大変でしたけれどね。

滝千春  撮影=岩間辰徳

滝千春  撮影=岩間辰徳

――具体的には、どのようなことを学ばれたのでしょう。

沢山ありますけれど、まずは楽譜に書かれていることをどれだけ大事にするかということですね。先生は本当に勉強されている方で、彼の家って壁一面本だらけで、それを見て私もこうやって勉強しなければいけないなって思わされました。

もちろん演奏でも「そもそも人はヴァイオリンをどう弾くのか」ということをよく熟知している方で、変な癖とか許さない人です。先生に時々レッスンしてもらいながら、そのことを思い出させてもらって、忘れないように忘れないように……って。

――デビューからの10年間、そうしたご苦労があった上で、今回のリサイタルを迎えられるわけですね……。今回はオール・プロコフィエフ・プログラムが組まれていますが、プロコフィエフは得意な作曲家なんだそうですね。

自分が弾いているときに何の違和感もないんです。先ほどスランプのお話をさせていただきましたけど、プロコフィエフの作品を演奏することに関しては、スランプのときも特に難しさを感じたことがなかった。

結構トリッキーな感じもするけど、実はすごく単純だったりとか。そういう分かりやすさというのも共感できて、その音で遊ぶのもすごく好きなんですよね。色鮮やかで、おもちゃ箱をあけるような感じです。

そして、それは自分が常に持っているもので表現できるんです。だから今回は得意なものをピックアップして、更に磨きをかけて、皆さんにどう披露ができるかっていうのを考えています。これも挑戦ですね。

滝千春  撮影=岩間辰徳

滝千春  撮影=岩間辰徳

――ヴァイオリンとピアノという組み合わせでプロコフィエフ作品をプログラミングしようと考えたときに2つのヴァイオリン・ソナタを核にしていますね。それ以外の部分で、他のオリジナル作品もあるなかで敢えて編曲ものを選ばれていらっしゃいますね。

彼の音楽に「物語」を感じるんです。彼は、バレエとかオペラを凄く愛していて、彼の音楽への入り口もオペラだったんですよ。要は物語から入っている人なので、プロコフィエフのヴァイオリン作品を披露するのではなくて、プロコフィエフの魅力をヴァイオリンを通して伝えたいのです。

――プログラムは「シンデレラ」のワルツから始まります。

良い曲が沢山あるので、本当は全部弾きたかったのですが、時間の関係で曲を選ばなくてはならなかったのですが、「シンデレラ」はどうしても入れたかったのです。

――続いては人気の高い「ロミオとジュリエット」ですが、ヴァイオリニストのリディア・バイチとピアニストのマティアス・フレッツベルガーによる編曲バージョンを取り上げられます。

ヴァイオリンのための編曲は2種類あるんですけれども、バイチさんの編曲は物語的にも成立しているんです。ジュリエットの場面から始まって、ロミオが出てきて……という構成も守りながら、15分にキュッと固めてくれているところが私はすごく嬉しくて。彼女の編曲はとても好きで何回も弾いています。

――続いて、前半のラストにはヴァイオリン・ソナタ第1番が置かれています。プロコフィエフにはおもちゃ箱をひっくり返したような側面もある一方で、この曲の第1楽章のように正反対の側面もありますね。

この曲は彼が8年ぐらいかけて作っているんですよね。愉快で、優しい、分かりやすい、かつ面白い……だけじゃない、その時代に苦労してきた彼の背景というのは、こういうところから窺えるのかなと思いますね。8年もかけてこの曲を作ったということからも、重みや痛みとか色々感じられるなって思います。その二面性もここで見せられるのではないかと。

滝千春  撮影=岩間辰徳

滝千春  撮影=岩間辰徳

――休憩を挟んで「ピーターと狼」が取り上げられますが、今回のリサイタルが世界初演となる編曲だそうですね。今回のために依頼を?

はい、そうです。ピーターと狼のヴァイオリンとピアノ版というのが無かったので、これはもしかしたら私がはじめてかな?……と思ったら、実は他にあったんですけども、依頼もしたのでそれはもう目をつぶって(笑)。

この有名な作品のなかでも本当に親しみやすい部分をヴァイオリンを通して表現できればと思っています。今回に限らず、これからも演奏することが出来れば……これも新たな挑戦ですね。

――そして、プログラムのラストを飾るのはヴァイオリン・ソナタ第2番です。元々はフルート・ソナタとして作曲されましたが、ヴァイオリニスト オイストラフが進言してヴァイオリン用のバージョンも作られた作品ですね。

「よくぞ言ってくれた!」という感じです。この曲は第1番よりも頻繁に演奏しています。迫力もありますし、有名っていうこともあります。華やかなのでプログラムの最後の方に持ってくるにはちょうど良いと思いました。

先ほども言った「おもちゃ箱」っていう言葉が出てきたのはこの第2番、特に2楽章ですね。同じモティーフをずっと重ねながら、この楽章を成立させているのは彼の技術でもありますけど、そのひとつのモティーフが何かのキャラクターのように思えて、それが飛び出してきたという感じがするのです。

――ソナタであっても、滝さんはこの曲を物語的に捉えていらっしゃるということですね。

はい、そう思っています。

滝千春  撮影=岩間辰徳

滝千春  撮影=岩間辰徳

――少し話題が変わるのですが、以前あるインタビューでピアノとのデュオについて問題意識を持っていらっしゃるとおっしゃっていましたね。

うーん……どうしてもピアノとヴァイオリンとなると、ヴァイオリンの方が出てきてしまうことが多いですよね。

――本来は対等な室内楽のパートナーのはずなのに、ピアノが伴奏になってしまうということですね。

はい。でも、楽譜はそうじゃないのです。ヴァイオリンはヴァイオリンパート、ピアノはピアノパートで、ヴァイオリンソナタに関してはお互い無くてはならない存在になっていて。だから、やっぱりピアニストは(伴奏者ではなく)ピアニストであってほしい。最近は、そういう意識が薄れている方がちょっと多いような気がしていて……。ふたりでやるなら、ふたり同等に同じ目線で取り組んでいこうよって、そう思うのです。

滝千春  撮影=岩間辰徳

滝千春  撮影=岩間辰徳

――今回共演されるピアニストの沼沢淑音さんはソリストとしても華々しいコンクール歴をお持ちの方ですね。

どうして彼を共演者にしたかというと、実は高校3年間を共に過ごした同級生なんです。一対一で作品に一緒に取り組んでいきたいっていう意味で、同世代だとリハーサルをしていても何でも言いやすいですよね。共に同等でありたいのです。

なので、彼にも私に何でも言ってほしいし、私も彼に沢山言いたい。妥協はしたくないという意味で、同級生の彼と一緒にやろうと決めました。

――沼沢さんはロシアに留学されて、ミハイル・カンディンスキーやエリソ・ヴィルサラーゼというロシアン・ピアニズムを受け継ぐ巨匠に師事されていますし、プロコフィエフを特集するにはピッタリな人選ですね。

そうなんです。そういうこともあって彼にお願いできたらいいなと思っていました。それが実現できたので、とても嬉しいです。

――最後にコンサートへ行こうかどうか、まだ迷われている方へメッセージをお願い致します。

本当に自分が一番大好きなプロコフィエフでこのようなプログラムを組むことができて、とても幸せに思っています。こういうコンサートを開くことが夢でした。お時間がある方は是非、ご来場頂ければ嬉しいです。

――本日は有難うございました!

滝千春  撮影=岩間辰徳

滝千春  撮影=岩間辰徳

インタビュー・文=小室敬幸 撮影=岩間辰徳

公演情報
デビュー10周年記念 プロコフィエフ―作曲家の肖像
滝千春ヴァイオリン・リサイタル​


 日時:2018年3月8日(木) 19:00 
 会場:紀尾井ホール
 出演者:滝 千春(ヴァイオリン)
     沼沢 淑音(ピアノ)
 プログラム:
 <オール・プロコフィエフ・プログラム>
 バレエ音楽≪シンデレラ≫からの5つの小品より"ワルツ"(編曲:M. フィフテンゴリッツ)
 バレエ音楽≪ロミオとジュリエット≫ Op. 64(編曲:L. バイチ/ M. フレッツベルガー)
 ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ヘ短調 Op. 80
 交響的物語≪ピーターと狼≫ Op. 67(編曲:根本雄伯)<世界初演版>
 ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ長調 Op. 94bis


 

情熱、ロマンス、遊び心~ピアニスト・細川千尋がつくりだす多彩な音色

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“サンデー・ブランチ・クラシック” 2017.11.19 ライブレポート

毎週日曜日の渋谷で、実力のある奏者を招いて開催される『サンデー・ブランチ・クラシック』。11月19日に登場したのは、ジャズピアニストの細川千尋だ。2013年、モントルー・ジャズ・フェスティバル(世界三大ジャズ・フェスティバル)のソロ・ピアノ・コンペティションで、日本人女性としてはじめてファイナリストとなった。

この日、3枚目のアルバムとなる『CHIHIRO』をリリースした細川。自身初のピアノ・トリオ・アルバムで、今日の演奏会はそのリリースライブとなる。開演前、会場のeplus LIVING ROOM CAFE & DININGは大勢のファンが集まり、満席となっている。午後1時、開演のアナウンスとともに、主役の細川が登場。早速、演奏を披露してくれた。

細川千尋

細川千尋

最初の曲は、細川自身のオリジナル曲「Holiday」。涼しげに流れるような導入部に続けて、心を躍らせるようなメロディーが現れる。ジャズ特有の跳ね回るようなリズムも相まって、明るく屈託のない印象を与える。自由闊達で、聴き手をとてもリラックスした気分にさせてくれる。

うきうきした気分が高まっていったかと思うと、今度は音量を大きく絞る。小さな音ながら活発さはそのままで、可愛らしく踊るように音楽を締めくくる。惜しみない拍手に応え、細川が舞台上で挨拶した。

「皆様こんにちは、細川千尋です。今日は短い時間ですが、楽しんでいただけたらと思います。1曲目にお届けしたのは、オリジナル曲の『Holiday』です。続いては、『キャラバン』と『ルパン3世のテーマ』を続けて演奏します」

そうして披露されたのが、2曲目のデューク・エリントン作曲「キャラバン」。導入部はゆったりとして響きが多く、気だるげな曲想だ。まもなく、低音域にせわしなく動く伴奏音型が登場する。低音が重く、どこか不穏に響く中、メロディーが現れる。砂漠を行くキャラバンのように、異国的な雰囲気を醸し出しているのがこのメロディーの魅力だ。また、どこか物憂げで享楽的なムードも漂っている。

演奏は徐々にテンションが上がり、奏者の動きも激しくリズムに乗ってくる。執拗に繰り返される音階の下降や、不協和な響きが、曲全体の緊張感を高めている。リズムを激しく踏みしめるような情熱的な曲想を聴かせたあと、音楽は閉じられる。

細川千尋

細川千尋

切れ目なく、3曲目となる「ルパン3世のテーマ」の演奏に入る。冒頭から、聴き馴染みのあるメロディーが活発に鳴り響いた。小粋で格好良い原曲の雰囲気はそのままだが、原曲とは違うジャズ・ピアノらしさも存分に出ている。よく知っているメロディーが、ピアノの豊かな響きの中に自然に埋め込まれている印象だ。ピアノ特有の上品な響きも加わって、また違ったニュアンスも聴こえてくる。

快活な曲は後半に入ると、さらに動きを増す。ジャズ的な変拍子に乗せて、内面の激しい情熱をぶつけるように旋律を歌い上げる。最後にはまたギアを上げ、激しい旋律を繰り返しながら低音域から高音域へと移行し、クライマックスを築いて終わる。気分の高揚するような迫力満点の演奏に、会場全体が喝采を贈った。流石に少し息が上がった様子で、細川がコメントした。

細川千尋

細川千尋

「ありがとうございます。本日11月19日に、私の名前にちなんだ『CHIHIRO』というタイトルのCDを出しました。続いては、このCDから2曲演奏したいと思います。私の大好きなバカラックの『アルフィー』、そして『マイ・リトル・スエード・シューズ』をお届けします」

そうして、4曲目のパート・バカラック「アルフィー」の演奏が始まった。プレイボーイを主人公にした同名映画の主題歌が元になった曲だ。導入は非常に優しく、繊細に入る。ゆったりとしたテンポで奏でられるメロディーは、静かでしっとりとしており、映画の場面が思い浮かぶようだ。遅い歩みの中にも頻繁にためをつくり、甘美な雰囲気を演出している。情感のこもった部分は、包み込むような豊かな響きがつくられていた。

つかの間の盛り上がりの後には長い休符があり、美しい音色の余韻が残る心地よい静寂が訪れる。その後はさらに音量が絞られ、切々と歌うような哀愁漂う音楽となる。最後は夢見るような穏やかな気分の中で、消え入るように終わる。

細川千尋

細川千尋

そのまま引き続き、5曲目のチャーリー・パーカー作曲「マイ・リトル・スエード・シューズ」の演奏に移った。冒頭から、活発で動きの大きい曲想が奏でられる。ゆったりとした前曲とは対照的に、響きの少ない短く切った音だ。前曲との対比から、さまざまな音色を自在に使い分けているのが伝わってくる。

音楽は快活に走っていたかと思うと急に止まるなど、忙しない子どもの動きのようだ。メロディーは陽気で愛らしく、少しラテン風のテイストも感じさせる。初めはシンプルな響きだったメロディーは、徐々に音の厚みを増していき、情熱的な盛り上がりも見せる。曲の終わり近くになると、再び素朴な響きとなり、小粋な感じで軽く音楽を締めくくった。

「次は、時期が若干早いですが、クリスマスの曲をお届けしたいと思います。『ホワイトクリスマス』をお聞きください」

細川千尋

細川千尋

この日6曲目となる曲目は、アーヴィング・バーリン作曲「ホワイトクリスマス」だ。『サンデー・ブランチ・クラシック』は、食事や飲み物を楽しみながらリラックスして聞ける演奏会だが、会場はごく自然に演奏に集中している。丸く優しいピアニッシモの音色で、音楽は繊細に始まる。一つ一つの音を大切につくりながら、甘美で哀切なメロディーが、控えめに姿を表した。多くのアレンジであまりにも有名なメロディーが、ピアノならではの華麗な装飾をつけて歌われる。

消え入りそうなほどに音量を絞ったかと思うと、ややニュアンスを変え、同じメロディーが活動的な印象で演奏され始める。旋律には動きが出てきたものの、うきうきするニュアンスは少ない。音量が控えめなため遠くから聞こえるようで、遠い過去を追憶するような印象を受ける。やがて、音階の下降を繰り返しつつ曲の終わりに近づいていき、静かに眠るように幕引きとなる。

細川千尋

細川千尋

「もう次で最後です。時間が経つのは早いですね。次は『サマータイム』をお届けしたいと思います。ガーシュウィンという、クラシックの作曲家ですがさまざまな分野の曲を書いている人の作品です。CDにも入っています」と、細川は舞台袖にレイアウトされているCDを指し示す。

「このCDは、ベースの鳥越啓介さん、ドラムの石川智さんと一緒に収録しました。『サマータイム』は、今日はピアノソロで演奏しますが、トリオもすごく良い演奏なので、是非聴いてください。今日は短い時間でしたが、ありがとうございました」

30分ほどのミニコンサートは、あっという間に最後の曲目となった。7つ目の曲目は、ガーシュウィン作曲「サマータイム」だ。軽快に跳ねるような、ノリの良い序奏で曲は始まる。聴き慣れた楽天的なメロディーは、この編曲ではクールで格好良い印象にアレンジされている。音楽は勢いを持続させて進み、弾むような変拍子や、激しい不協和音も登場する。終曲に向け、印象的な伴奏音形を情熱的に繰り返し、熱狂的なムードの中で華麗に締めくくる。

この日一番の拍手が、舞台の細川に贈られた。一旦舞台からはけるものの、カーテンコールに応えてすぐ舞い戻ってくる。

細川千尋

細川千尋

「舞台袖に帰ったら、マネージャーさんに『もうちょっと喋ったら?』と言われたので(笑)、もう少し話してみます。

今日は日曜日ですが、最初に弾いた『Holiday』は、休みの日に弾くといい感じの気分になります……。あとは何を話そうかな(笑)」

舞台でも自然体のトークが、ファンに愛される人柄をうかがわせる。

「私は2日前くらいにこのCDを初めて見たんですが、変わったジャケ写ですよね? 撮っていただいたカメラマンさんも今日は来ています。私はももよちゃんという犬を飼っているのですが、CDにもちょこっと出演しているので、見つけてもらえると嬉しいです。では、最後にアンコールを弾きたいと思います」

少しの間和やかな雰囲気になったあと、細川はアンコール曲である、ディズニーメドレーの演奏に入った。

細川千尋

細川千尋

冒頭からまず現れるのは、優しく甘美な『美女と野獣』のメロディーだ。ロマンティックな歌を、情感を込めて歌い上げるように奏でていく。絶妙なテンポのゆらぎをつくることで、聴く者を甘い雰囲気の中に没入させる演奏だ。

美女と野獣のテーマが静かに消えていくと、静まったムードの中で「いつか王子様が」のメロディーが聴こえてくる。ジャズ調のリズムにアレンジされ、少しおしゃれな印象だ。続いて現れるのは、「星に願いを」のメロディーだ。穏やかでしっとりとした雰囲気を保ちつつ、高音域で愛らしく歌い、柔らかく曲を締めくくる。

終演後にサイン会も

終演後にサイン会も

名残惜しいが、この日の曲目は全て終了となった。終演後には、ファンとの交流を大切にする細川らしく、集まった大勢のファンと一緒に記念撮影する一幕もあった。


終演後、細川に少しの間、お話を伺うことができた。

細川千尋

細川千尋

――細川さんは、『サンデー・ブランチ・クラシック』への出演は初めて(同会場での演奏は2回目)となります。出演されてのご感想はいかがでしたか?

お客さんとの距離も近く、ホールとは違う雰囲気のなかで弾けました。お客様が、すごく真剣に聴いてくださっているのが伝わってきて、嬉しかったです。雰囲気もお洒落なので、気分が上向きになります。

――新アルバム『CHIHIRO』をリリースしました。こちらのCDで、最も注目してほしい点は何でしょうか?

すごく激しい曲もあれば、バラードのように間をとても大切にするタイプの曲もあり、対照的な面を楽しむことができます。また、自分の作品は、今まで出した2枚のCDに入っている中から選んだのですが、ピアノ・トリオに編曲されたことで新たな味付けになったので、そうした所に注目してほしいです。

細川千尋

細川千尋

毎週日曜日、渋谷・道玄坂のカフェで行われる『サンデー・ブランチ・クラシック』。是非一度、訪れてみてほしい。

取材・文=三城俊一 撮影=尾崎篤志

リリース情報
ミニアルバム『CHIHIRO』
発売中
定価:2,500円(税込)
制作著作/発売元販売元:テレビマンユニオン
<収録曲>
Holiday (Chihiro Hosokawa ) 5'35 
Pasion (Chihiro Hosokawa ) 4'05
Espoir (Chihiro Hosokawa ) 6'00
My little suede shoes ( Charlie Parker ) 5'28
Summertime ( George Gershwin ) 3'44
Alfie ( Burt Bacharach ) 6'39

 

サンデー・ブランチ・クラシック情報
12月17日(日)
中野翔太/ピアノ
13:00~13:30
MUSIC CHARGE: 500円

12月24日(日)

鈴木舞/ヴァイオリン&加藤大樹/ピアノ
13:00~13:30
MUSIC CHARGE: 500円

■会場:eplus LIVING ROOM CAFE & DINING
東京都渋谷区道玄坂2-29-5 渋谷プライム5F
■お問い合わせ:03-6452-5424
■営業時間 11:30~24:00(LO 23:00)、日祝日 11:30~22:00(LO 21:00)
※祝前日は通常営業
■公式サイト:http://eplus.jp/sys/web/s/sbc/index.html?

『ダンシング・ベートーヴェン』公開目前! 上野水香が語る「第九」の思い出

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動画:『ダンシング・ベートーヴェン』予告編

今年没後10年を数えるバレエ界の巨匠モーリス・ベジャール。彼が1964年に発表した作品『第九交響曲』はベートーヴェンのあの有名な交響曲をバレエ化したものだ。80人を超えるダンサーにオーケストラ、合唱団を含め総勢350人という壮大な規模のこの作品は、ベジャールの亡くなった2007年以降、上演は不可能と言われていた。

映画『ダンシング・ベートーヴェン』は、2014年、モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)の兄弟的なカンパニーというべき東京バレエ団が創立50周年に際し、BBLとともに上演した『第九交響曲』の舞台裏を追ったドキュメンタリー映画だ。女優であり現在BBLの芸術監督を務めるジル・ロマンの娘でもあるマリーヤ・ロマンの目を通して、「第九」上演に至るまでの、ローザンヌと東京のリハーサルの様子や、ダンサーの人生模様、ベジャールという巨匠への思いなどが、作品のテーマである「愛」とともに綴られる。

12月23日からの公開を前に一般観覧者を招いて行われた試写会では、2014年公演に出演した上野水香(東京バレエ団プリンシパル)がトークショーに登場。ベジャールとの思い出や公演時のエピソードを語った。

撮影:西原朋未

撮影:西原朋未

■貫かれている「愛」と「吸い込まれそうな青い目」の巨匠

――『第九交響曲』は2014年に、BBLと東京バレエ団のコラボレーションで上演されました。試写をご覧になっていかがしたか?

上野 「そういえばこういうことをやったなぁ」と。こうした映画という形で見ると、あの時の記憶が蘇ってきます。

――映画作品としてはいかがでしょう?

上野 作品に貫かれているのは大きな「愛」だと感じました。ジル・ロマンさんはとても愛情深い方なんです。一緒にお仕事をしていてよく感じるのですが、バレエに対しても、ベジャールさんの作品に対しても彼の愛はとても大きい。また映画の中でダンサーの一人が妊娠し降板しますが、そのシーンにもそれぞれの人たちのバレエへの愛、夫や生まれてくる子供や作品への思いといったいろいろな「愛」が感じられました。

――上野さんはベジャール氏から直接指導を受けたことがありますね。その時の印象を。

上野 『ボレロ』を踊る際、初めてベジャールさん本人から直接指導を受けました。とても偉大な方で、それまでは写真でしか見たことがなかったのですが、実際に教えてくださるときの彼の雰囲気がとても柔らかく穏やかで驚きました。指導はとても細かく素晴らしかった。ベジャールさんと接していて、引き込まれるのが目なんです。青い目で、どんどんその目に吸い込まれそうな感じがするんです。とても奥深くて、その奥に海や空が広がっている……。それが何よりも印象に残っています。

撮影:西原朋未

撮影:西原朋未

■ベジャールの踊りの根底はクラシック

――ベジャール氏の教えで印象深いことや、今でも大事にしていることはありますか。

上野 ベジャールさんのバレエは全くの古典バレエではなく、コンテンポラリーといわれる現代の新しい要素も入っています。でも完全なコンテンポラリーでもなく、ネオクラシックというジャンルでもない。独特な「ベジャール」というジャンルがあるような振付で、私も最初は見様見真似で彼独特の型を教わりました。

でも最後にベジャールさんに「自分の作品はクラシックの基礎をしっかりやったうえで踊ってほしい」と言われたことが、強く印象に残っています。先日東京バレエ団で『ベジャールのくるみ割り人形』を上演し、私も踊らせていただきました。そこには、数多くのクラシック作品を振り付けたマリウス・プティパという振付家への敬意がたくさん盛り込まれていました。クラシックを非常に大事にされている。そういうところが強く印象に残っています。

■音楽に包み込まれるような、踊りと音の一体感

撮影:西原朋未

撮影:西原朋未

――そして伝説の舞台である『第九交響曲』ですが、これを上演すると最初に聞いたときはどう思いましたか?

上野 全身鳥肌が立ちましたね。すごく壮大なプロジェクトで。まず2つのカンパニーが一緒に舞台に立つ。さらにそこにズービン・メータという一流の指揮者とオーケストラが集まるなんて、想像を超えていました。

――オーケストラも生演奏だったのですよね。

上野 はい。普段、生のオーケストラで踊る時は、オーケストラは舞台の下のオーケストラピットで演奏しますし、指揮者はダンサー達の前にいるんです。でも「第九」は私たちダンサーの後ろに舞台を作って、その上にオーケストラや合唱団が乗りました。当然指揮者も後ろにいる。ですから演奏が後ろから聞こえてくるのです。それがとても新鮮で。まるで音に包まれている感覚になりました。

ベジャールさんの作品は音楽と動きが一体化されていて、「目で見る音楽」ということを、今までいろいろな作品に携わった中で感じていたのですが、「第九」はそういう素晴らしい点をより視覚的に捉えた感じです。音とバレエが同じところにあるという感覚を、お客様にもわかりやすく表現できたのではないかと思います。

――よくバレエは総合芸術と言われますが、まさにそれが実現していた舞台だったのですね。

■これからも自分にしかできない表現の追及を

――上野さんは東京バレエ団で長いこと活躍されていますが、一線で長く続ける秘訣とはなんでしょう?

上野 私自身、踊ることや舞台に立つことが大好きで、お客様に喜んでいただけるのが幸せだという、そうしたシンプルな思いだけでやってきました。ただ主役としてトップで踊ることの大変さは毎日ひしひしと感じています。舞台を重ねていくなかで、「この人はもっとよくなる、もっと見たい」と興味を持ってもらわないと上には行けないんですね。だから常に興味を持って観たいと思ってもらえる存在でなければと思っています。

――ダンサーには肉体的にも精神的にも大変なことがたくさんあるのではないかと思いますが。

上野 ほかの人と比べたことはないのですが、でも大変なことや苦しいことはたくさんあります。だから「好き」が力になるのでは。この映画も「愛」がテーマですが、バレエ愛が続ける力じゃないかと思います。

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015  (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

――映画のなかでダンサーが妊娠し、一度中断することの怖さ、葛藤などが描かれていました。同じ女性として私も感じるものがありましたが、上野さん自身は(バレエを)辞めたいと思ったことはあるのでしょうか?

上野 何度もあります! もちろんバレエは大好きですが、自分の中の足りないところや、悩みが大きくなった時、こんなんだったらやらない方がいいんじゃないかと思うことは多々あります。

――高みを目指すほどに壁があるのかもしれませんね。では最後に来年の目標を。

上野 今後もひとつひとつ大切に踊っていくだけです。新しいレパートリー、今の自分にしかできない表現を追求していけるように、挑戦をたくさんしていければと思います。

――ありがとうございました。

映画情報
『ダンシング・ベートーヴェン』
(c)Fondation Maurice Béjart, 2015  (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

■振付:モーリス・ベジャール
監督:アランチャ・アギーレ 
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲『交響曲第9番 ニ短調 作品125』
出演:マリヤ・ロマン、モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団、ジル・ロマン、ズービン・メータ
配給:シンカ  協力:東京バレエ団/後援:スイス大使館
■公開日・映画館:12月23日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他にて公開
公式サイト: http://www.synca.jp/db/

クリスマスの名曲をEテレ『ららら♪クラシック』で。歴史的知識もグンとアップ

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12月22日(金)のEテレ『ららら♪クラシック』は、クリスマス音楽をタイムトラベルしながら楽しめる。千年以上前から歌われているグレゴリオ聖歌や、誰もが口ずさめる『きよしこの夜』などの史実が、映像や専門家の解説を交えて紹介されるのも面白い。埼玉県上尾市文化センターでの公開収録。

オープニングは、ビング・クロスビーの大ヒット曲『ホワイトクリスマス』。室内合唱団のハルモニア・アンサンブル(以下、ハルモニア)の澄んだ歌声で、会場は一気にクリスマスモードに。古楽オーケストラのラ・ムジカ・コッラーナ(以下、ムジカ)は、ここでは5人編成で演奏。

ハルモニア・アンサンブルの美しいコーラスが会場を包み込んだ『ホワイトクリスマス』

ハルモニア・アンサンブルの美しいコーラスが会場を包み込んだ『ホワイトクリスマス』

司会の高橋克典は「両親ともにクリスチャンだったので、クリスマスは教会に行って静かに過ごしていました」などと、子供の頃のクリスマスの思い出を語る。やがて、ホリゾントにタイムスリップ映像が流れ、中世ヨーロッパへ…。

修道士に扮した男性5人がステージに登場し、グレゴリオ聖歌の『きょうキリストがお生まれになった』を厳かに歌う。ハルモニアのテノールとバスによる男声アンサンブルに、古楽演奏家の花井哲郎が加わって指揮も。心洗われるハーモニーに、高橋も感動の様子だった。

宗教音楽や古楽に詳しい音楽学者・金澤正剛による、グレゴリオ聖歌の解説が始まる。カトリック教会のローマ典礼聖歌で、拍子はなく、ラテン語の歌詞に抑揚をつけて、単旋律をユニゾンで歌っていたことや、市井でも歌われ、例えばイギリス民謡の『グリーンスリーブス』のように、世俗のさまざまな音楽に姿を変えて広まったりしたなど、興味深い話が続いた。ひとつのメロディーにいろいろな歌詞をつけて歌う「替え歌」を昔の人も楽しみ、今日まで歌い継がれている曲があるとは感慨深い。客席では、うなずいたりしながら聞き入る姿がみられた。

次いで、約300年前のバロック時代にタイムトラベルし、イタリアの作曲家・コレッリの『クリスマス協奏曲』から『パストラーレ』をムジカが10人編成で演奏。また『グリーンスリーブス』に変化したといわれる『このみどりごはだれ?』をハルモニアとともに披露した。

日本でも愛唱されている『きよしこの夜』は、200年前にオーストリアの小さな村で生まれ、欧米へ広まり、明治の初めに日本に伝わったといわれる。その経緯には興味深い事実が多数あるので、これはぜひ放送で楽しんでいただきたい。

フィナーレで『きよしこの夜』を指揮する宮川彬良

フィナーレで『きよしこの夜』を指揮する宮川彬良

ゲストで作曲家の宮川彬良がハルモニアのコーラスに感動し、「それぞれのメロディーを唱えて、しかもキレイにハモっている状態は人と人が交わる理想形。美しい和声は社会の理想形……」などと、持論を熱く語る場面も印象に残った。

最後に、宮川の指揮で、ステージと客席が一緒になって『きよしこの夜』を歌い、収録を和やかに締めくくった。

文=原納暢子

番組放送情報
Eテレ『ららら♪クラシック』「公開収録・上尾市(2) クリスマス名曲集」
 
■日時:12月22日(金)午後9時30分~ 午後10時00分
■会場:上尾市文化センター大ホールで収録
■出演:司会 高橋克典(俳優)、牛田茉友(NHKアナウンサー)
(古楽オーケストラ)ラ・ムジカ・コッラーナ
(合唱)ハルモニア・アンサンブル、花井哲郎
【ゲスト】金澤正剛(音楽学者・国際基督教大学名誉教授)、宮川彬良(作曲家)
■曲目:
「ホワイトクリスマス」 アーヴィング・バーリン:作詞・作曲 ニウ ナオミ:編曲
 ハルモニア・アンサンブル、ラ・ムジカ・コッラーナ(クィンテット)
「グレゴリオ聖歌 “きょうキリストがお生まれになった”」
 花井哲郎とハルモニア・アンサンブル(男声コーラス)
「クリスマス協奏曲より 終楽章 “パストラーレ”」 コレッリ:作曲
 ラ・ムジカ・コッラーナ
「このみどりごはだれ?」 イギリス民謡 ニウ ナオミ:編曲
 ハルモニア・アンサンブル、ラ・ムジカ・コッラーナ
「きよしこの夜」 モール:作詞 グルーバー:作曲 ニウ ナオミ:編曲
 ハルモニア・アンサンブル、ラ・ムジカ・コッラーナ
■公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/lalala/

METライブビューイングに鬼才トーマス・アデスの現代オペラ『皆殺しの天使』登場~ブニュエルの不条理映画を完全オペラ化

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ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されるオペラが世界中の映画館に配信される「METライブビューイング」に、2018年1月、途轍もない不条理オペラが登場する。現代屈指の英国人オペラ作曲家トーマス・アデス作曲による『皆殺しの天使(The Exterminating Angel)』(全3幕)である。


本作はシュールレアリスム映画の巨匠ルイス・ブニュエル監督が1962年にメキシコで作った同名映画を下敷きにしている。オペラ鑑賞帰りのホームパーティで、なぜか客間から出られなくなった紳士淑女たちを待ち受ける地獄が描かれる。オペラ化にあたってはザルツブルク音楽祭、MET、英国ロイヤル・オペラ・ハウス、デンマーク王立劇場が共同で委嘱し、台本はアデスと、演出家のトム・ケアンズが共同で執筆した。

METライブビューイング『皆殺しの天使』

METライブビューイング『皆殺しの天使』

2016年7月28日にザルツブルク音楽祭で世界初演、ロイヤル・オペラ・ハウス(2017年4月~)の上演を経て、2017年10月26日よりメトロポリタン歌劇場で上演された。今回のライブビューイングで配信されるのは2017年11月18日の舞台である。指揮はアデス本人、演出はトム・ケアンズ。歌手は、オードリー・ルーナ、アマンダ・エシャラズ、サリー・マシューズ、アリス・クート、クリスティン・ライス、イェスティン・デイヴィーズ、ソフィー・ベヴァン、ジョゼフ・カイザーら。

METライブビューイング『皆殺しの天使』

METライブビューイング『皆殺しの天使』

アデスは1971年ロンドン生まれ。その早熟の天才ぶりは、同じイギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンの再来と言われるほどだ。METに登場するのは前作『テンペスト』(2004年ロイヤル・オペラ・ハウスで世界初演、METでは2012年にロベール・ルパージュ演出で上演された)以来となる。

METライブビューイング『皆殺しの天使』

METライブビューイング『皆殺しの天使』

閉鎖空間の中に不可解に追い詰められた人々の心理をスリリングな音楽と共にえぐる、常軌を逸した問題作である。時にエロスが迸る場面もある。いわゆるオペラ・ファンだけでなく、演劇全般あるいは映画全般の愛好家にも今回の上映はぜひ観て欲しい。

METライブビューイング『皆殺しの天使』

METライブビューイング『皆殺しの天使』

なお、原作となっているブニュエルの同名映画を観たことがないという人には吉報がある。渋谷のイメージフォーラムにて、2017年12月23日より「ルイス・ブニュエル監督特集/『皆殺しの天使』『ビリディアナ』『砂漠のシモン』」が上映中なのだ(関西でも大阪シネ・ヌーヴォと京都みなみ会館で近日上映予定)。三作品はいずれもメキシコ時代の傑作だが(なお『砂漠のシモン』には、衝撃のデビュー作品『アンダルシアの犬』も併映される)、まず何をおいても『皆殺しの天使』を観ておけば、準備万端でオペラ版のライブビューイング鑑賞に臨むことができることだろう。


 

『皆殺しの天使』あらすじ

オペラ『ランメルモールのルチア』の帰り、ブルジョワ階級の知人グループがリーダー格の夫妻のホームパーティに招かれる。だが邸宅の使用人は、執事を残してみな去っていた。ディナーが終わり、明け方になったが、一同はなぜか客間から出られない。時間が経つにつれ人々は憔悴し、水や食料も底を尽き、喧嘩や自殺が勃発する。また、羊や熊が室内に現れる謎深さ。ソプラノ歌手が、この状況が始まった時、皆が何をしていたか再現してみようと提案し、その時を再現できた瞬間、一同はようやく自由になれる。だが災難はそれだけでは終わらなかった……。

METライブビューイング『皆殺しの天使』

METライブビューイング『皆殺しの天使』

上映情報
METライブビューイング17-18『皆殺しの天使』
 
■指揮:トーマス・アデス
■演出:トム・ケアンズ
■出演:
レティシア:オードリー・ルーナ
ルチア:アマンダ・エシャラズ
シルヴィア:サリー・マシューズ
レオノーラ:アリス・クート
ブランカ:クリスティン・ライス
フランシスコ:イェスティン・デイヴィーズ
ベアトリズ:ソフィー・ベヴァン
エドムンド・ジョセフ・カイザー

■上映時間:2時間41分(予定)(休憩1回)
■MET上演収録日:2017年11月18日
■言語:英語(日本語字幕付き)

 
■上映期間:2018年1月27日(土)~2月2日(金)
■上映館:
北海道 札幌シネマフロンティア 011-209-5400 10:00~
宮城 MOVIX仙台 022-304-3700 10:00~
千葉 MOVIX柏の葉 ​050-6865-3401 11:30~
埼玉 MOVIXさいたま 048-600-6300 11:20~
東京 東劇 03-3541-2711 18:30~
東京 新宿ピカデリー 03-5367-1144 10:00~
東京 MOVIX昭島 050-6861-0325 10:00~
東京 109シネマズ二子玉川 0570-077-109 10:00~
東京 T・ジョイPRINCE品川NEW 03-5421-1113 11:00~
神奈川 109シネマズ川崎 0570-007-109 11:00~
神奈川 横浜ブルク13 045-222-6222 11:00~
神奈川 109シネマズ湘南NEW 0570-016-109 10:00~
愛知 ミッドランドスクエアシネマ 052-527-8808 10:00~
京都 MOVIX京都 075-254-3215 10:00~
大阪 大阪ステーションシティシネマ 06-6346-3215 09:50~
大阪 なんばパークスシネマ 050-6864-7125 18:30~
兵庫 神戸国際松竹 078-230-3580 10:00~
広島 109シネマズ広島 0570-002-109 10:00~
福岡 福岡中洲大洋 092-291-4058 10:00~
※座席指定券の発売スケジュールは各上映劇場に問合せのこと
※確定時間とタイムスケジュールは各演目の公開直前に最新情報に掲載
■公式サイト:http://www.shochiku.co.jp/met/program/89/



ルイス・ブニュエル監督特集/「皆殺しの天使」「ビリディアナ」「砂漠のシモン」
■上映期間&上映館:
東京 2017年12月23日(土)~ シアター・イメージフォーラム
大阪 上映日未定 シネ・ヌーヴォ
京都 上映日未定 京都みなみ会館
「皆殺しの天使」
日本語字幕:金谷重朗
1962年 94分 メキシコ
©1991 Video Mercury Films

 
■スタッフ:
監督:ルイス・ブニュエル
脚色:ルイス・ブニュエル
原案:ルイス・アルコリサ、ルイス・ブニュエル
撮影:ガブリエル・フィゲロア
編集:カルロス・サバチ
美術:ヘスス・ブラチョ
音楽:ラウル・ラビスタ
録音:ホセ・B.カルラス
製作:グスタボ・アラトリステ

 
■キャスト:
レティシア<ワルキューレ>:シルビア・ピナル
エドムンド・ノビレ:エンリケ・ランバル
アリシア:ジャクリーヌ・アンデレ
レアンドロ:ホセ・バビエラ
コンデ医師:アウグスト・ベネディコ
クリスティアン:ルイス・ベリスタイン
ルセル:アントニオ・ブラボ
執事フリオ:クラウディオ・ブルック
アルバロ大佐:セサル・デル・カンポ
シルビア:ロサ・エレナ・ドゥルヘル
ルシア:ルシー・ガリャルド
アルベルト:エンリケ・ガルシア・アルバレス
フアナ:オフェリア・ギルマイン
アナ:ナディア・アロ・オリバ
ラウル:ティト・フンコ
ほか
■公式サイト:http://www.ivc-tokyo.co.jp/bunuelangel/
■イメージフォーラム:http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/1160/

WOWOW「バレエ☆プルミエール」に土屋太鳳が出演&クリスマス・イヴはBSで一日バレエ三昧

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大貫勇輔と本田望結が進行役を務めるWOWOWバレエ情報番組「バレエ☆プルミエール」に、 ダンス・バレエ経験者としても知られる女優の土屋太鳳が出演する。先日、都内のバレエスタジオにて、番組冒頭およびエンディング映像の撮影が行われた。

国内・海外のバレエ情報を届ける同番組。 最新の公演情報やバレエニュース、いま、絶対に見ておきたい注目ダンサーの紹介、バレエメソッドを活用したトレーニングの紹介など、ここでしか観られないスペシャルなメニューを取りそろえている。

土屋太鳳

土屋太鳳

そんなバレエ情報番組に出演が決まったのは、 3歳からクラシックバレエと日本舞踊を習い始め、“踊ること”を特技に挙げてきた土屋。女優業はもちろんのこと、キレの良いダンスでも話題を集める彼女だけに、今後の番組のさらなる盛り上がりが期待されている。 

今回撮影された映像の舞台は、誰もいないダンススタジオ。そこにやってきた土屋が、久しぶりのスタジオの感触を確かめながら、やがて自分でも軽く身体を動かしてみる…という内容だ。ブルーを基調とした清廉な映像美が、 ストイックな印象を醸し出す。

撮影中は、監督の指示にまっすぐなまなざしで耳を傾け、その要求に的確に応えていく土屋。さらに撮影の待ち時間には、しばしばスタジオの隅で踊る土屋の姿も。それはさながら、映像内の女性同様に、スタジオの感触を自身でも確かめているかのようにも見えた。この映像は12月24日(日)16:20より放送の「バレエ☆プルミエール」に登場する。 

土屋太鳳

土屋太鳳

土屋へのインタビューが届いたので紹介しよう。

 ――土屋さんがバレエをしていて一番楽しいと思うポイントは?また、 バレエを見るときに注目するとより楽しめるポイントがあれば教えてください。

土屋 バレエの練習自体は本当に厳しいと思うのですが、その厳しさの中にさえ輝きを感じる点がとても好きです。たとえば練習着もシューズも、使うものは全て何かどこかが美しくて、その美しさが練習で変化したとしても素敵な愛着に変わりますし、体の動きにしても、 立ち姿でさえバレエに出会わなければ出会えないものかもしれません。 そんな感じで、 ちょっとしたことから本番の舞台の上まで、 関わるもの全てに「バレエ」という美しい魔法がかかっているようで、 とても魅力的だと思います。  楽しみ方は本当にたくさんあると思いますが、 踊るにしても観るにしても、 まずは「バレエの魔法」に酔いしれてしまうことが、 最初の、 そして最高の一歩ではないかなと思います。 また、 ダンサーのかたによって役への解釈や表現のしかたが全くと言っていいほど違うので、 その点に注目するのも楽しいのではないかなと思います。

――気になるバレエダンサーはいますか?

土屋 熊川哲也さん、 宮尾俊太郎さん、 アダム・クーパーさん、 ジリアン・マーフィーさん。それぞれ心惹かれる理由は違いまずが、 とても素敵な方々だと思います。

――収録を終えてみて、 いかがでしたか?

土屋 やっぱりバレエは最強だと思いました。何が最強かは分からないのですが、ただただ素直に、その言葉が心に浮かびました。先程も申し上げましたが、バレエは、踊る人にも観る人にも深い魔法をかける不思議な存在だと思うのです。そして特に踊る人にとっては、 どのジャンルのダンスにも繋がる万能の扉のような存在ではないかと、 あらためて実感しました。


なお、上記番組も含めて2017年12月24日(日)、WOWOWでは「イヴのバレエシアター」 と題して、
午前10:30 マリインスキー・バレエ団「青銅の騎士」
午後 0:45 パリ・オペラ座バレエ団 ケースマイケル振付短篇集 弦楽四重奏曲第4番/大フーガ/浄夜
午後 2:20 英国ロイヤル・バレエ団「ジゼル」
午後 4:20 バレエ☆プルミエール#2
午後 4:50 ノンフィクションW パリ・オペラ座の「ザ・カブキ」 ベジャールの遺したもの
午後 5:50 ベジャールの「ザ・カブキ」 東京バレエ団 ミラノ・スカラ座公演
午後 8:00 英国ロイヤル・バレエ団「くるみ割り人形」
の7番組を一挙放送する。

さらに、同じ12月24日(日)にNHKのBSプレミアムでは、深夜24時20分~28時15分(25日午前0時20分~午前4時15分)より「プレミアムシアター」において、二本のバレエを放送する。
深夜 0:23 マリインスキー・バレエ「くるみ割り人形」
深夜 2:11 ウィーン国立バレエ「海賊
を放送する。

クリスマス・イヴは二つの「くるみ割り人形」鑑賞を中心に、バレエ三昧で過ごすのも、また一興であろう。

放送情報
12月24日(日) WOWOWライブ
「イブのバレエシアター」http://www.wowow.co.jp/special/013146

 
●10:30 マリインスキー・バレエ団「青銅の騎士」
音楽監督・指揮/ワレリー・ゲルギエフ
音楽/レインゴリト・グリエール
叙事詩/アレクサンドル・プーシキン
振付/ロスチスラフ・ザハロフ
振付/ユーリ・スメカロフ
出演
エフゲニー/ウラジーミル・シクリャローフ
パラーシャ/ヴィクトリア・テリョーシキナ
ピョートル皇帝/ダニーラ・コルスンツェフ
舞踏会の女王/エカテリーナ・コンダウーロワ
イブラヒム/イワン・オスコルビン
メンシコフ/イスロム・バイムラードフ
道化バラキレフ/グレゴリー・ポポフ
コロンビーヌ/ソフィア・イワーノワ=スコブリコワ
ハーレクイン/ワシーリー・トカチェンコ
収録日・場所:2016年7月/ロシア・サンクトペテルブルク マリインスキー第2劇場
 
●12:45 パリ・オペラ座バレエ団 ケースマイケル振付短篇集 弦楽四重奏曲第4番/大フーガ/浄夜
◇バルトーク「弦楽四重奏曲第4番」
振付/アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
音楽/バルトーク・ベーラ
芸術監督/バンジャマン・ミルピエ
舞台美術・照明デザイン/アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
衣装デザイン/ローザス
出演:
セウン・パク
ジュリエット・イレール
シャーロット・ランソン
ローラ・バックマン
ベートーベン「大フーガ」
振付/アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
音楽/ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン
芸術監督/バンジャマン・ミルピエ
演出/ジャン=リュック・デュクール
衣装/ナタリー・ドゥーフィス
衣装/ローザス
音楽分析/ジョルジュ=エリー・オクトース
出演:
アリス・ルナヴァン
ステファン・ビュヨン
カール・パケット
シェーンベルク「浄夜」
振付/アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
音楽/アルノルト・シェーンベルク
芸術監督/バンジャマン・ミルピエ
舞台美術/ジル・アイヨー
舞台美術/アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
照明/ヴィニチオ・ケリ
衣装/リュディ・サブンギ
音楽分析/ジョルジュ=エリー・オクトース
出演:ヴェロ・ペーン
エミリー・コゼット
マリ=アニエス・ジロー
ステファン・ビュヨン
カール・パケット
収録日・場所:2015年10月/フランス・パリ オペラ・ガルニエ
 
●14:20 英国ロイヤル・バレエ団「ジゼル」
音楽/アドルフ・アダン
振付/マリウス・プティパ
演出・追加振付/ピーター・ライト
演奏/ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
出演:
バリー・ワーズワース
ジゼル/マリアネラ・ヌニェス
アルブレヒト/ワディム・ムンタギロフ
ヒラリオン(森番)/ベネット・ガートサイド
ウィルフリード(アルブレヒトの従者)/ヨハネス・ステパネク
ベルタ(ジゼルの母)/エリザベス・マクゴリアン
クールラント公/ギャリー・エイヴィス
バチルド(クールラント公の令嬢)/クリスティーナ・アレスティス
狩りのリーダー/ジョナサン・ハウエルズ
パ・ド・シス/崔由姫、アレクサンダー・キャンベル、フランチェスカ・ヘイワード、アクリ瑠嘉、ヤスミン・ナグディ、マルセリーノ・サンベ
ミルタ(ウィリの女王)/イツァール・メンディザバル
モイナ(ミルタのお付き)/オリヴィア・カウリー
ズルマ(ミルタのお付き)/ベアトリス・スティックス=ブルネル
収録日・場所:2016年4月6日/イギリス・ロンドン ロイヤル・オペラ・ハウス
 
●16:20 バレエ☆プルミエール#2
●16:50 ノンフィクションW パリ・オペラ座の「ザ・カブキ」 ベジャールの遺したもの
●17:50 ベジャールの「ザ・カブキ」 東京バレエ団 ミラノ・スカラ座公演

振付/モーリス・ベジャール
音楽/黛敏郎
美術/ヌーノ・コルテ=レアル
出演:
由良之助/高岸直樹
塩冶判官/平野玲
顔世御前/上野水香
高師直/木村和夫
判内/高橋竜太
勘平/長瀬直義
おかる/佐伯知香
定九郎/松下裕次
直義/柄本武尊
力弥/井上良太
現代の勘平/梅澤紘貴
現代のおかる/高村順子
石堂/宮本祐宜
薬師寺/安田峻介
遊女/西村真由美
与市兵衛/永田雄大
おかや/田中裕子
お才/井脇幸江
ヴァリエーション1/松下裕次
ヴァリエーション2/長瀬直義
東京バレエ団
収録日・場所:2010年7月11日/イタリア・ミラノ スカラ座
 
●20:00 英国ロイヤル・バレエ団「くるみ割り人形」
振付/ピーター・ライト
振付/レフ・イワーノフ
出演:
ボリス・グルージン
英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
ギャリー・エイヴィス
フランチェスカ・ヘイワード
アレクサンダー・キャンベル
ローレン・カスバートン
フェデリコ・ボネッリ
収録日・場所:2016年/イギリス・ロンドン ロイヤル・オペラ・ハウス
 
■番組公式サイト:http://www.wowow.co.jp/special/013146
12月24日(日) NHK-BSプレミアム
「プレミアムシアター」

●深夜 0:23~2:11 マリインスキー・バレエ「くるみ割り人形」
「くるみ割り人形」(全3幕)
チャイコフスキー 作曲
台本:マリウス・プティパ
振付:ワシーリ・ワイノーネン
舞台美術・衣装:シモン・ヴィルサラーゼ
出演:
マーシャ:レナータ・シャキロワ
王子:ダヴィド・ザレーエフ
ドロッセルマイヤー:アンドレイ・ヤコブレフ   ほか
マリインスキー劇場バレエ団
合唱:マリインスキー劇場児童合唱団
管弦楽:マリインスキー劇場管弦楽団
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
収録日・場所:2017年6月7・9日 マリインスキー劇場II(サンクトペテルブルク)
 
●深夜 2:11~4:15 ウィーン国立バレエ「海賊」
「海賊」(全3幕)
原振付:マリウス・プティパ  ほか
振付:マニュエル・ルグリ
音楽:アドルフ・アダン  ほか
台本:マニュエル・ルグリ、ジャン・フランソワ・ヴァゼル
美術・衣装:ルイザ・スピナテッリ
照明:マリオン・ヒューレット
出演:
コンラッド(海賊):ロバート・ガブドゥーリン
メドーラ(ギリシャの娘):マリア・ヤコヴレワ
ギュリナーラ(メドーラの友人):リュドミラ・コノヴァロワ
ビルバント(コンラッドの友人):ダヴィデ・ダート ほか
ウィーン国立バレエ団
ウィーン国立歌劇場バレエ学校
管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
指揮:ワレリー・オブジャニコフ
収録日・場所:2016年3月31日、4月2日 ウィーン国立歌劇場(オーストリア)

 
■番組公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/premium/

【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2017年12月25日~2017年12月31日)

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年末年始はいつにもまして、あっという間に過ぎ去っていきそうな気配です。というのも、それぞれの中ですでに何らかの形で2017年への区切りを見つけ、新年に向けて動き出している方が多そうなのです。なんとなく思い残すところ、片付いてないことが多く感じられても大丈夫。ちゃんと次のレーンを走り始めています。

予定があってもなくても、できる限りいつも通りの自分のルーティンで過ごしたいとき。大人数での行動よりも、気の置けない人と気が向くままに過ごしたいと思うかも。大いに語り合うも、しっとり感じ入るも、今の気分が向いたものを優先してみて。予算だけがネックだと思うものはこの際、大盤振る舞いしてしまった方が吉。思ってる以上に得られるものがありそう。

また、今の自分が思っている事を、少し長めの文章や、印象的な写真や絵として残しておきたくなる人が増えるかもしれません。無意識に良いようにしか見せてこなかった自分自身や、吐き出し切れていないダークサイド、後ろめたさで見ないようにしてきた秘密裏を、意を決して公開する人もいるでしょう。隠されていたものが解き放たれることで、右往左往する人もいるかもしれませんが、蚊帳の外がいくら騒がしくなろうが、当事者にとっては個々の出来事としてそれぞれが受け止める、といった静かな結末となりそうです。

これからしばらく、自分の価値観を整備し、何が自分や相手の利益で、何が敵と味方なのかをじっくり吟味して深めていく時間が続きます。2017年だけでなくここ3~4年で溜め込んでしまった膿は今出し切って、清々しい新年を迎えにいきましょう。

【12星座別 今週のラッキーワード】
◆おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
情報伝達、ブロードキャスト

おうし座(4月20日~5月20日 生まれ)
指差し確認、チューナー

ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
儀式的な、スピリチュアル

かに座(6月21日~7月22日 生まれ)
浮遊感、スクロール

しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
大団円、パーティモード

おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
拡張現実、ドリーム

てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
密室空間、ナイトモード

さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
総決算、バーゲンセール

いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
熱烈な、パッション

やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
沈黙、クローズド

みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
連絡先交換、インフォメーション

うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
胸の高鳴り、ホットスポット

>>気になるエンタメ・チケットはe+でチェック!

 

松田理奈が子供たちとのコラボで魅せる『OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」』写真付きレポート

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“サンデー・ブランチ・クラシック” 2017.11.26 ライブレポート

クラシック音楽をもっと気軽にーー日曜の昼のひと時を音楽とともに過ごす『サンデー・ブランチ・クラッシック』。
今回登場したのはヴァイオリニストの松田理奈と画家・中山晃子のコラボレーションによる『松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」』だ。これは音楽とモダンアートによるコラボレーションで異ジャンルのアーティストと子供たちとのコミュニケーションを通して、アーティストたちは新たな表現の可能性を探るとともに、子供やその親たちにもアート体験を楽しんでもらおうという、新感覚のコンサートだ。

3回目は“客席体験”も

『OTOART』は「子供の感性を通して芸術表現の可能性を引き出す」ことをコンセプトとしており、子連れで楽しめるコンサートだ。この日も会場には小さな子供を連れた親子連れが多く、いつもとは違った雰囲気。そしてこれまでは子供たちをステージ前に集めての演奏&パフォーマンスだったが、3回目となる今回は子供も客席からステージを観賞するというスタイルが採られた。

ステージ上にはピアノの向こうにプロジェクター。そして右手には絵の具など画材が並んだテーブルが置かれ、中山が描いた絵がスクリーンに映し出される。

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

時間となり松田と中山が登場。1曲目はエルガーの「愛の挨拶」だ。
「エルガーがピアニストである奥さんにプロポーズした時の曲。それゆえピアノ(奥さん)とのコンタクトがたくさん盛り込まれている」と松田が後に説明した通り、甘く、しっとりと幸せな旋律が奏でられる。そこにプロジェクターに映し出される赤や白の絵の具。2色が曲に合わせてマーブル模様のように溶け合っていく。スクリーン上の絵の具は音楽によって生を吹き込まれたかのように自在に動き、また音楽の方もプロジェクターの光が演奏家に反射し、音が色彩を放つようだ。

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

ピンクとブルーの「シャコンヌ」

1曲を終えたところで、『OTOART』ならではのプログラムに入っていく。
「この曲の最後の部分を真っ白な状態で弾きますので、みんな何色で聴いてみたいか、味付けをしてください」と松田。その曲とはヴィターリの「シャコンヌ ト短調」で、子供から上がったリクエストは「ピンク!」。

ト短調の物悲しい雰囲気に満ちたヴィターリの「シャコンヌ」が、なんとなくハッピーそうな響きを持って奏される。そこに文字通り中山のアーがト色を添える。プロジェクターにピンク色が出てくるかと思いきや、流し込まれる絵の具は赤、続いて白。それらが曲の中で混ざり合っていくという、コラボレーションによる「ピンクのシャコンヌ」が完成した。

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

続いて出された「味付け」はブルー。まさに「シャコンヌ」にはぴったりの色で、重々しい苦しみもがくような音色の演奏に中山が濃い、ダークなブルーの色を添える。と、会場のどこかから子供の「こわい!」という声。子供の感性は実に素直だ。

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

合わせ鏡の中で曲と色とともに遊ぶ

そして3曲目。「鏡の中に入ってみましょう」と子供たちに呼びかける松田。曲はペルトの「鏡の中の鏡」。
松田曰く“ラの音を中心に、音が合わせ鏡の中に映るように広がる”曲で、ステージ上のスクリーン前には鏡が4枚セットされる。

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

演奏が始まるとともに客席にいた子供たちが次々とステージに上がり、鏡をのぞき込んだり、音に合わせて動いてみたり。スクリーンに映し出される中山の色彩が鏡の前で遊ぶ子供たちや鏡に反射して、キラキラと輝く。音と光と色と動きがプリズムを通して様々な色を醸しだすような、そんな世界が広がる。

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

松田理奈プロデュース OTOART vol.3「MUSIC × ALIVE PAINTING」

この『サンデー・ブランチ・クラシック』は食器が響いたり、子供が声を上げてもOKという気楽なクラシックイベントだ。しかし今回の演奏中に騒ぎ走り回る子供はおらず、松田&中山のパフォーマンスに見入っていた。

最後に「子供たちも演奏会を静かに聴けました。これを機に、親御さんたちも自信を持って、また音楽を聴きに来てください」と松田が語りかける。なるほど、この企画は普段音楽を聴きに行きたくても行けない、小さな子供を持つ親御さんたちの応援の意味合いもあったのかと気づかされた。

子供たちに楽しみながらプレ・コンサート体験を

演奏後、松田と中山両名にミニインタビューを行った。

――今回の『OTOART』は3回目となりますが、とくに工夫したことはありますか。

松田:1、2回目と違い、今回はちゃんと座席で聴く、プレ・コンサート体験にしてみました。受け身ポジションで音楽を聴きステージを共有するという体験をしてもらおうかと。

――「シャコンヌ」のリクエストにピンク色はびっくりしましたが、子供向けのコンサートでこの曲をセレクトすることにも驚きました。

松田:実は「ピンク」は想定外でしたので慌てました。 でもそのあと次のお子さんがブルーと言ってくれたので、視覚的・音楽的な感覚で変化が出せました。同じ曲で空間が変わるということを、どこまで表現できるのか、奏者としては挑戦でした。「シャコンヌ」を選んだのは、相手が子供だからわかりやすい音楽で寄り添いに行くのではなく、クラシックの品格、アート性を保ちたいと思って正面から子供達と対峙したかったからです。子供にとってはシャコンヌが難しい曲だ、なんて予備知識は全く無いので。

インタビュー中の様子

インタビュー中の様子

――中山さんは選曲などは事前に聞いていらっしゃるのでしょうか。

中山:はい。呼吸を合わせやすい選曲にしてくださったので、事前に意識を共有することができました。

松田:それぞれ立ち位置や役割を決めるのではなく、互いが発したものが空間で融合した形になりました。私の場合、普段はピアノとヴァイオリンがコンタクトを取りながらやっているんですが、そのコンタクトの中で融合したものがお客様に届く音になるわけです。お客様に届いたときにベストとなるように、と思って弾いています。そうしたことを異ジャンルのアーティストの方ともできるんだ、それが気持ちいいんだということがわかりました。今回は本当に楽しかったです。

ペインティング用の投影機

ペインティング用の投影機

――「鏡の中の鏡」は見ていてもとても楽しかったです。

松田:鏡の中の世界とともに、ステージに上がった時の空気も体験してもらおうと。でも楽曲を通して、私がやりたいと思っている、子供の感性が“垣根”を取ってくれるという、理想の形が一つ見えたと思いました。

つまり、クラシック音楽って日に日に古くなるもので、それを演奏する音楽家はある意味研究職なんですよね。そういう古くなっていくものに対して、個々のアーティストたちがもがき、何かを求めながら演奏活動をしているのですが、一方でモダンアートは現代、つまり真逆の一にあるんです。その真逆を向いているものに、子供の自由な発想や感性を通すことで、その垣根を取り払い融合させ、新たな発見や可能性を見つけたい。

また子供が取り払ってくれるのは、ステージとお客さんとの垣根でもあるんです。子供のフラットな感性で発信される反応を通して、大人も何か感じる。親御さんたちも今日は子供の姿を通して舞台を感じていたはずです。そうした相互のリレーションというのか。それが私がどうにかしてやりたいと考えている企画のなかにあるんです。

中山:クラシック演奏の「研究職」という言葉にはしっくりきました。第1回の時はどうコンタクトを取るのか、絵の具の質感をどうするとかいろいろ考えましたが、でもトーン、リズム、コントラストやコンポジションなど、美術用語と音楽用語は同じだったりする。視覚と聴覚の垣根を一旦取ってみて、松田さんの音楽からアウトプットされたものを私が拾い出して色彩として出し、それを感じた子供たちの集中力が私たちに返ってきて……という変化の循環を、みんなで共有する経験ができている。ジャンルは関係なしにコラボレーションを楽しんでいます。

松田:いろいろな要素が倍増していくんですよね。単に“×2”ではなく、どんどん増えて連鎖の玉手箱のように発展していく。

インタビュー中の様子

インタビュー中の様子

――今後のご予定は。

松田:この活動をしていく中で、ある幼稚園の園長先生から、「このメンバーでうちの幼稚園で演奏してほしい」と言われたんです。またいろんなアートとのコラボにもトライして、いろんなバージョンを提供していきたいです。第4回も今、いろいろ考えているところです。

中山:『OTOART』のプロジェクトは松田さんを中心に、いろいろなアートとコラボレーションしながら、ひとつひとつ研究検証していくプロジェクトなので、私は3回参加させてもらって良かったです。一緒にやっていく中ですごく勇気をもらえました。

松田:私も本当に楽しかった。本当にいろんな新しいことを得させていただきました。

――コンサートの最後に「親御さんも自信を持ってコンサートデビューを」という言葉が印象的でした。

松田:ステージを身近に感じてほしいんです。やはりクラシックは敷居が高く感じられてしまう。今日来たお客様も、昨日の夜まで不安がっていたそうなんです。「もし子供が騒いじゃったらどうしよう」とか、「子連れでヴァイオリンの曲なんて聴けるんだろうか」とか。でも子供たちはちゃんと聴いていた。親御さんが自信を持ってくれたのかなと。お母さんたちが緊張すると子供も緊張しちゃうし、逆に親がリラックスしていると子供もリラックスする。お母さんたちは曲を聴きながら、絶対我が子の顔を見ていたと思います。「この子こんな聴き方するんだ」と。このコンサートは子連れで来やすいですし、ここで慣れていただいて、次はコンサートデビューをと(笑)。

――未来の観客ですね。本日はありがとうございました。

松田理奈、中山晃子

松田理奈、中山晃子

取材・文=西原朋未 撮影=山本れお

サンデー・ブランチ・クラシック情報
12月24日
鈴木舞/ヴァイオリン&加藤大樹/ピアノ
13:00~13:30
MUSIC CHARGE: 500円

1月8日
樋口達哉/テノール
13:00~13:30
MUSIC CHARGE: 500円


1月14日
文代fu-mi-yo/声楽家
13:00~13:30
MUSIC CHARGE: 500円

1月28日
實川風/ピアノ
13:00~13:30
MUSIC CHARGE: 500円

■会場:eplus LIVING ROOM CAFE & DINING
東京都渋谷区道玄坂2-29-5 渋谷プライム5F
■お問い合わせ:03-6452-5424
■営業時間 11:30~24:00(LO 23:00)、日祝日 11:30~22:00(LO 21:00)
※祝前日は通常営業
■公式サイト:http://eplus.jp/sys/web/s/sbc/index.html?

『平安神宮 紅しだれコンサート』が4月に開催! 東儀秀樹 、宮本笑里、藤原道山、DEPAPEPEが出演

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2018年4月5日(木)~8日(日)の4日間、京都・平安神宮にて『平安神宮 紅しだれコンサート』が開催される。

同イベントは平安神宮の東神苑と南神苑の紅しだれ桜が4月5日(木)~8日(日)の4日間のみ、特別にライトアップし、東神苑・貴賓館をステージにした幻想的でやさしさに満ちたコンサートとなっている。

出演アーティストは5日(木) 東儀秀樹 <雅楽師>、6日(金) 宮本笑里 <ヴァイオリン>、7日(土) 藤原道山 <尺八>、8日(日) DEPAPEPE <アコースティックギターデュオ>の4組が決定している。

平安神宮 紅しだれコンサート』は、平安遷都1200年記念事業の一環として1989年より平安神宮を舞台に開催されてきたコンサートであり、京都の春の風物詩となっている。

紅しだれ桜のライトアップと、東神苑貴賓館をステージに演奏される癒やしの音楽を、目と耳で楽しんでみてはいかがだろうか。

紅しだれコンサート

紅しだれコンサート

 
4月5日(木)
東儀秀樹 <雅楽師>

東儀秀樹 <雅楽師>

東儀秀樹 <雅楽師>


1959年東京生まれ。東儀家は、奈良時代から1300年間雅楽を世襲してきた楽家。宮内 庁楽部在籍中は宮中儀式や皇居での雅楽演奏会などに出演するほか、海外公演にも参 加、日本の伝統文化の紹介と国際親善の役割の一翼を担ってきた。96年デビューアル バム『東儀秀樹』で脚光を浴び、以後次々とアルバムをリリース。現在は、雅楽器の 持ち味を生かした独自の表現に情熱を傾ける。

4月6日(金)
宮本笑里 <ヴァイオリン>

宮本笑里 <ヴァイオリン>

宮本笑里 <ヴァイオリン>


14歳でドイツ学生音楽コンクールデュッセルドルフ第一位入賞。その後、小澤征爾音 楽塾、NHK交響楽団などに参加し、07年『smile』でアルバムデビュー。さまざまな テレビ番組、CMに出演するなど幅広く活躍。17年にデビュー10周年を迎え、最新ア ルバム『amour』をリリース、7月にBunkamuraオーチャードホールで10周年記念コ ンサートを開催するなど精力的に活動中。

4月7日(土)
藤原道山 <尺八演奏者>

藤原道山 <尺八演奏者>

藤原道山 <尺八演奏者>


10歳より尺八を始め、人間国宝 故 初代 山本邦山に師事。01年CDデビュー以来、こ れまで多数のCDをリリース。並行して、坂本龍一、野村萬斎などアーティストとのコ ラボレートを積極的に行う。15年、15周年コンサートをサントリーホールにて開催、 山田和樹指揮、横浜シンフォニエッタとの共演を行う。東京藝術大学講師や講演会講 師として後進の育成にも力を注ぐ。

4月8日(日)
DEPAPEPE <アコースティックギターデュオ>

DEPAPEPE <アコースティックギターデュオ>

DEPAPEPE <アコースティックギターデュオ>


徳岡慶也と三浦拓也で結成されたアコースティックインストゥルメンタルギターデュ オ。アコースティックギター2本で唄っているかのようなメロディーを奏で、心象風 景や喜怒哀楽といった感情、四季折々の情緒を表現する。日本だけにとどまらず、タ イ、インドネシア、韓国、中国といった世界を舞台に活躍。「インストミュージック をポピュラーに!」を掲げ、国境、世代も越えて活動中。

 

イベント情報
平安神宮 紅しだれコンサート2018~こころのふるさと~
日時:2018(平成30)年 4月5日(木)・6日(金)・7日(土)・8日(日) の4日間 
場所:平安神宮(京都市左京区岡崎西天王町) 午後6時15分~9時(最終入場は午後8時30分 雨天決行)
平安神宮の東神苑と南神苑の紅しだれ桜をこの期間のみ、特別にライトアップ 東神苑・貴賓館をステージにした幻想的でやさしさに満ちたコンサート
※会場には客席をご用意しておりません。回遊しながら演奏をお楽しみください
出演者:
5日(木) 東儀秀樹 <雅楽師>
6日(金) 宮本笑里 <ヴァイオリン>
7日(土) 藤原道山 <尺八>
8日(日) DEPAPEPE <アコースティックギターデュオ>
演奏:1回目・午後6時40分〜7時20分 / 2回目・午後7時50分〜8時30分
入場料:1人 2000円 (前売 1700円=前売券は入場日指定)
※小学生以上は有料 3月1日(木)から発売予定
前売券販売: 京都新聞ホームページ、ジェイアール東海ツアーズ、日本旅行 京都新聞販売所、京都新聞文化センター、髙島屋京都店、大丸京都店、 イープラス(ファミリーマート)、電子チケットぴあ(セブンイレブン、サークルKサンクス)、 ローソンチケット(ローソン、ミニストップ)などを予定
主 催:京都新聞
特別協賛:JR東海
協賛: GSユアサ
後援:京都府、京都市、京都商工会議所、(公社)京都府観光連盟ほか(予定) 
問い合わせ:『平安神宮紅しだれコンサート』事務局 (京都新聞 COM 営業部内)
075(241)6170 (土、日、祝日を除く 10時~17時)
 

 

ムーティが5回目の指揮、元日の夜は『ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2018』で、優雅なワルツを

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元日恒例、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の新春祝賀演奏会『ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2018』が、夜7時からEテレで衛星生中継される。「ワルツ王」ヨハン・シュトラウス(1825~99)一家のワルツをはじめ、ポルカ、ギャロップ、行進曲などが、ウィーン楽友協会大ホールで演奏される。また、ウィーン・フィル日系団員のヘーデンボルク直樹やウィーン国立バレエ団のトップダンサー・橋本清香による舞台裏リポートも必見。

今年の指揮者はイタリア・ナポリ出身のマエストロ、リッカルド・ムーティ。ニューイヤーコンサートは1993年、1997年、2000年、2004年に指揮しており、今回で5回目である。ウィーン・フィルとは、1971年「ザルツブルク音楽祭」で共演以来、質の高い演奏を半世紀近く続けており、コンサート数はほぼ500回という。2011年の70歳の誕生日には、楽団から名誉団員の称号が授与されている。楽団独特の優雅で豊かなサウンドを熟知するムーティが、14年ぶりのニューイヤーでどんな音色を聴かせてくれるのか楽しみだ。

円熟のタクトが注目される、指揮者のムーティ (c) Todd Rosenberg

円熟のタクトが注目される、指揮者のムーティ (c) Todd Rosenberg

プログラムには、シュトラウスのワルツ『ウィーンの森の物語』『南国のばら』、ポルカ・マズルカ『都会と田舎』、弟ヨーゼフ(1827~70)のポルカ・シュネル『短い言づて』など、おなじみの曲目や、シュトラウスと同時代に同国で活躍したフランツ・フォン・スッペ(1819~95)の喜歌劇『ボッカッチョ』の序曲、アルフォンス・チブルカ(1842~94)の『ステファニー・ガヴォット』といった珍しい曲も予定されている。

『ステファニー・ガヴォット』は、オーストリア=ハンガリー帝国のルドルフ皇太子(1858~89)とベルギーのステファニー王女(1864~1945)の婚礼に、チブルカが献呈した曲。2018年は、オーストリアが共和国宣言して100年になる記念年である。選曲意図を知るのもお楽しみのひとつだ。

さて、開演前や休憩中の現地リポートを務めるのは、同楽団チェロ奏者のヘーデンボルク直樹とウィーン国立バレエ団第1ソリストの橋本清香。ともにニューイヤーコンサートの出演経験者で、団員やバレエダンサーたちの舞台裏などを紹介する。また、ウィーンの年越しや正月の過ごし方など、ウィーン生活者ならではの話も聞けそうだ。

ヘーデンボルクは、ウィーンに住んで20年近くになる。家族は全員音楽家で、父はスウェーデン人ヴァイオリニスト、母は日本人ピアニスト、兄のヘーデンボルク和樹はウィーン・フィルのヴァイオリニスト、弟のヘーデンボルク洋はピアニストである。

一方、橋本はウィーンに来て10年。夫の木本全優(まさゆう)もウィーン国立バレエ団第1ソリストで、夫婦でトップダンサーである。

今や、世界中90カ国以上で放送され、視聴者数は5千万人以上といわれる「ニューイヤーコンサート」、2018年は演出やパフォーマンスにどんなサプライズが隠されているだろうか。

ホールを彩る生花も豪華。イタリアの花の街・サンレモから運ばれてくるそうだ (c) Terry Linke

ホールを彩る生花も豪華。イタリアの花の街・サンレモから運ばれてくるそうだ (c) Terry Linke

ちなみに、生中継に先だって、午後6時からはEテレ『ウィーン ニューイヤーコンサートに乾杯!~音楽の祝祭を100倍楽しむ方法~』も放送される。音楽番組『ららら♪クラシック』で司会を務める俳優の高橋克典がウィーンを訪問し、ニューイヤーコンサートやウィーン・フィルの歴史を探る。

高橋が、伝統あるダンス学校に一日入学してワルツのレッスンを受け、その極意やワルツ文化を体感したり、ウィーン・フィルの楽友会館を訪ねて、普段は入れない楽器庫に潜入したり、「黄金のホール」と呼ばれる大ホールの音響の秘密を解明したり……。初心者もクラシックファンも「ニューイヤーコンサート」をより楽しく鑑賞できる、55分の音楽紀行ドキュメンタリーだ。

文=原納 暢子

番組情報
Eテレ『ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2018』
■日時:2018年1月1日(月・祝) 午後7時~10時 (FMラジオは午後7時15分~10時)
※再放送 Eテレで1月6日(土) 午後2時00分~5時00分(予定)
■会場:オーストリアのウィーン楽友協会大ホールから生中継
■出演:リッカルド・ムーティ(指揮)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ご案内 鎌倉千秋(NHKアナウンサー)
【ゲスト】ヘーデンボルク直樹 (ウィーン・フィル チェロ奏者)
橋本清香 (ウィーン国立バレエ団 第1ソリスト)
■曲目:
ヨハン・シュトラウス作曲 : 喜歌劇「ジプシー男爵」から「入場行進曲」
ヨーゼフ・シュトラウス作曲 : ワルツ「ウィーンのフレスコ画」
ヨハン・シュトラウス作曲 : フランス風ポルカ「花嫁探し」
ヨハン・シュトラウス作曲 : ポルカ・シュネル「浮き立つ心」
ヨハン・シュトラウス(父)作曲 : マリアのワルツ
ヨハン・シュトラウス(父)作曲 : ウィリアム・テル・ギャロップ
フランツ・フォン・スッペ作曲 : 喜歌劇「ボッカッチョ」序曲
ヨハン・シュトラウス作曲 : ワルツ「ミルテの花」
アルフォンス・チブルカ作曲 : ステファニー・ガヴォット
ヨハン・シュトラウス作曲 : ポルカ・シュネル 「百発百中」
ヨハン・シュトラウス作曲 : ワルツ「ウィーンの森の物語」
ヨハン・シュトラウス作曲 : 祝典行進曲
ヨハン・シュトラウス作曲 : ポルカ・マズルカ「都会と田舎」
ヨハン・シュトラウス作曲 : 「仮面舞踏会」のカドリーユ
ヨハン・シュトラウス作曲 : ワルツ「南国のばら」
ヨーゼフ・シュトラウス作曲 : ポルカ・シュネル「短い言づて」
アンコール 当日のお楽しみ
■公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/P2992/

『ウィーン ニューイヤーコンサートに乾杯!~音楽の祝祭を100倍楽しむ方法~』
■日時:2018年1月1日(月・祝) 午後6時00分~6時55分
※再放送は  1月6日(土)  午後1時05分~2時00分
■出演:【ご案内】高橋克典(俳優)
■公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/P4693/

映画『ダンシング・ベートーヴェン』、作品上演に至る9カ月の人間ドラマ

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2014年11月、NHKホール。東京バレエ団の設立50周年記念公演でモーリス・ベジャール振り付けによる『第九交響曲』が上演された。

まるで曼荼羅を思わせるような円と四角が描かれた舞台で踊る東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)のダンサーたち。その後方にはズービン・メータが指揮するオーケストラと合唱の一団。総勢350人という、とてつもないスケールで演じられたその舞台は、アジアからヨーロッパ、エキストラの黒人たち、などすべてを含めた様々な人種による舞踊が至高の音楽のもとで一つになり、昇華していくような、ひとつの宇宙空間を創り上げたような印象で、実に衝撃的だった。

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

このほど公開された『ダンシング・ベートーヴェン』は、その2014年の舞台上演に至るまでの9カ月間を追ったドキュメンタリー映画だ。1964年にブリュッセルで初演され一大センセーションを巻き起こしたこのバレエは2007年のベジャールの死後、再演は不可能と言われていたものである。この東京バレエ団とBBLによる再演はまさに奇跡的な、バレエファン、またクラシックファンにとっても話題となった公演だった。

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

「第九」同様、4楽章構成のこの作品はローザンヌの冬、東京の春、ふたたび夏のローザンヌに戻り、上演となる秋の東京でのリハーサル風景を映し出す。雪に埋もれ立ち枯れたローザンヌの1本の木から、満開の東京の桜へと移り変わる映像は、命の循環を思わせられる。

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

映画の語り部となるのは映画はベジャール亡き後、BBLを引き継いだ芸術監督ジル・ロマンの娘であり女優のマリヤ・ロマンだ。バレエ団という家族の中で育ったマリヤの視点は、帰郷した地で家族の姿を見守る娘の目で、スタジオの外からリハーサルを見る目は愛情とともに一抹のなつかしさのようなものも感じられる。

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

ドキュメンタリーはジル・ロマンやジュリアン・ファヴロー、大貫真幹、オスカー・シャコン、東京バレエ団の吉岡美佳らのコメントを交えながら進むが、しかし当然ながらダンサーも人間。カテリーナ・シャルキナの妊娠による降板というハプニングが起こる。

しかしそれに対するジル、父親のシャコンなど、それぞれの思いが交錯する場面は、ハプニングであるには違いないが、生まれてくる命を慈しむ愛情に溢れている。マリヤとシャコンの「生まれてくる子供がダンサーになるとは限らない」という会話は興味深く、スタジオを外から見つめているマリヤの姿が思い起こされる。

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

(c)Fondation Maurice Béjart, 2015 (c)Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015

そうした人間模様の中で軸となっているのは作品のテーマである人類愛、友愛。年末になると鳴り響く、風物詩ともいえる「第九」の、その作品の主題はベジャールの哲学、BBLを引き継ぎ引っ張るジル・ロマンをはじめ出演するダンサーそれぞれの人生模様という糸とともに織り上げられ、一層その色彩を濃くする。

2017年は鬼才・ベジャールが亡くなって10年目。バレエファン、クラシックファン、そして2014年の公演を見た人、そうでない人も様々な視点で見られるに違いない。

文=西原朋未

上映情報
『ダンシング・ベートーヴェン』
■振付:モーリス・ベジャール
監督:アランチャ・アギーレ 
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲『交響曲第9番 ニ短調 作品125』
出演:マリヤ・ロマン、モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団、ジル・ロマン、ズービン・メータ
配給:シンカ  協力:東京バレエ団/後援:スイス大使館
■公開日・映画館:12月23日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他にて公開
公式サイト: http://www.synca.jp/db/
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