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【動画あり】 LE VELVETSが語るスタクラフェスへの期待~『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』<What's “スタクラフェス”?>

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<What's “スタクラ フェス”?> Artist Close-Up ④ LE VELVETS

来たる2018年9月23日(日・祝)秋分の日、『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称 “スタクラフェス” )が、横浜赤レンガ倉庫の特設会場にて開催される。会場には3つの野外ステージ(HARBOR STAGE/GRASS STAGE/Sunday Brunch Classic Stage)が設けられ、午前10:30~午後8:30まで10時間にわたり、気鋭の演奏家たちにより、クラシックのよく知られた名曲からオペラ、ミュージカルの名曲、さらにはスタジオジブリの音楽まで、多種多様なプログラムが繰り広げられる。クラシックのコンサートといっても決して堅苦しいものではなく、屋外で潮風を感じながら、食べたり飲んだり、時には寝そべりながら、多様な音楽を気軽に楽しめるのが、このフェスの特徴だ。

そんなスタクラフェスにおいて、よく知られたオペラやミュージカルの名曲ばかりを選りすぐり、人気の声楽歌手やミュージカル俳優たちが競演する夢の企画が実現する。それが「クラシック紅白歌合戦」だ(HARBOR STAGE 16:00~17:10)。出演は、LE VELVETS、伊礼彼方(Vo)、小林沙羅(Sop)、丹呉由利子(Mez)、中井亮一(Ten)、北川辰彦さん(Bar)、山本耕平(Ten)らである。

今回、宮原浩暢(バリトン)、佐賀龍彦(テノール)、日野真一郎(テノール)、佐藤隆紀(テノール)の4人からなるLE VELVETSに話を聞くことができた。

──スタクラフェスの趣旨は、音楽大学声楽科のご出身でミュージカルや、ポップスの世界にも積極的に進出しているLE VELVETSさんにピッタリなものだなと感じています。みなさんはこのフェスの開催を最初にお聞きになった時、どんな印象を抱きましたか?

佐賀 龍彦 僕たちの活動自体がクラシック音楽を皆様により身近にお届けしたいというものなので、スタクラフェス開催のお話を伺った時には、まさに「待ってました!」という気持ちでした。この野外フェスに参加させていただけるのがとても嬉しいです。

日野 真一郎 本当に色々なジャンルの方が出演されますので、新しいお客様に僕らを知っていただく機会になりますし、また僕らを通してお客様にこれまで知らなかったアーティストの方々を知っていただける、そんな広がりのある場になると思いました。「スタクラフェス」が皆でクラシック音楽を盛り上げていくきっかけになったら良いなと思っています。

佐藤 隆紀 クラシック音楽の敷居の高さが、野外フェスであることによって、いい意味で薄れる感じがあるので、たくさんの人にクラシックを聴いていただけるきっかけになるではないか、とワクワクしました。

宮原 浩暢 前々から「大勢でクラシックを盛り上げていけたら!」とずっと思いながら活動をしてきましたので、本当にいいお話だなと思いました。「是非僕たちも参加させてください!」という気持ちになりました。

──今回出演される「クラシック紅白歌合戦」は、「オペラからミュージカルへ」という、まさにLE VELVETSさんの活動とリンクするコンセプトのステージですね。プッチーニのオペラ『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」を歌っていただけるそうですね。

佐賀 「紅白歌合戦」ということで、音楽は争うものではないとは思うのですが、でもこの企画がきたからには絶対に負けられない戦いが繰り広げられますので(笑)、強力な一手、誰にも負けないための大定番の曲を選びました。気合いを入れて歌いたいです。

日野 ここはやはり、我々にたくさんの票が入るのを「野鳥の会」に数えてもらわないと(笑)。

佐藤 「誰も寝てはならぬ」は声のドラマだけでも感動していただける曲だと思います。オペラを聴いたことがない方でも心に刺さる曲ですから、力いっぱい歌いたいです。

宮原 「紅白歌合戦」と言うとそのジャンルのトップの方々が集まる場というイメージがあるので、ちょっと恐れ多い感じもしますが、フィギュアスケートの荒川静香さんによって馴染み深くなった「誰も寝てはならぬ」という名曲を、僕たちの声を重ねたハーモニーでお届けしますので、これは新鮮に感じていただけるのではないかと思います。

宮原浩暢

宮原浩暢

──今やクラシックコンサートにはなくてはならない1曲なので、お客様もきっと楽しまれることでしょう。もうひとつ、「ガーシュウィン・メドレー」も披露されますね。

佐賀 今回のテーマが「オペラからミュージカルへ」ということなので、昔から綿々とつながってきた音楽の歴史を表現できたらいいなと思い、その歴史の中に大きな位置を占めるガーシュウィンの名曲の数々をメドレーでお届けしたいと思っています。

──LE VELVETSのメンバーの方々が出演されているミュージカルにも、豊かな声量が求められるものが多く、まさにオペラからミュージカルへとつながる流れを感じさせてくれますね。

佐藤 ブロードウェイにミュージカルを観にいってもすごく感じるのですが、クラシックの発声とミュージカルの発声は、今やそれほど変わらないですね。ミュージカルもオペラも、とてもレベルの高い発声の技術を伴って演じられています。楽曲の成り立ちや表現の仕方こそ違え、しっかりと鍛錬を積んで良いものをお届けするという点では共通しています。そこを感じていただけたらと思います。

佐藤隆紀

佐藤隆紀

──今回のような屋外での歌唱経験はおありですか?

佐藤 実は結構歌っています。というのも僕らは元々路上ライブからはじめたグループなんです。ですから懐かしくもあり、初心に帰るという気持ちもありますし、何よりも、やはり野外で歌うのはとても気持ちのいいものなので、とても楽しみです。

佐賀 僕たちが最初に路上ライブをした時にはお客様が3人とかだったんですね。それが今回3万人を動員するというフェスで歌えるのはありがたい話だなと思います。野外で歌うと室内と違ってやはり気持ちがスコーンと抜けてテンションが上がるので楽しみです。

日野 野外で歌うのは難しいという声もよく聞くのですが、僕たちの声には野外が結構あっているのかな、と思えるところがあります。自分たちも気持ちよく歌えますし、お客様にもこれまで大変ご好評をいただいているので、オープンな場所で歌うのには向いているのだろうと思っています。

宮原 国立競技場や野球場でも歌わせていただいたことがあります。その経験から野外ではより声が伸びると実感しているので、野外で歌えるのはいつも楽しみです。

──LE VELVETSさんの参加した野外ステージはいつも必ず晴れている!という頼もしい言葉が制作発表記者会見で聞けました。

宮原 そうなんですよ! 僕らが歌うとそれまでぐずついていた天気も晴れてくるくらいなので。

佐賀 LE VELVETSが参加する限り、スタクラフェスは晴れますから安心してください!

佐賀龍彦

佐賀龍彦

──本当に頼りにしています! そんなスタクラフェスに参加するにあたり、演者・オーディエンスの立場を超えて、この野外フェスで楽しみにしていることや、気になるプログラムはありますか?

佐賀 やはりこの「紅白歌合戦」のLE VELVETSさんですね!(爆笑)

佐藤 僕は「クラシックinアニメ」ですね。アニメの曲って本当にいい曲が多いし、聴いていてもすごく好きなので、この企画には興味があります。

宮原 僕は芝生で聴くGRASS STAGEの「Passion Classic 三浦一馬 with フレンズ」のピアソラですね。ラテンの音楽を外でのんびり聴けたら、さぞやビールが美味しいだろうな!と思います。リハーサルと重ならなければ、是非聴きにいきたいと思います。

日野 「プレミアムサンセット~キャンドルを灯して~」も気になりますね! 日が暮れてきて、キャンドルを灯すんでしょう? この雰囲気は最高じゃないですか! また、通常のコンサートではお子様が入場できませんが、スタクラフェスは何歳の方でも入れるわけでしょう? 無料で聴けるステージもあり、そういうところがすごくいいなと思います!

日野真一郎

日野真一郎

──ここからクラシックの輪が広がっていくきっかけになって欲しいですね。皆さんはLE VELVETSとしての活動と、個々の活動を精力的にされていて、最近では宝塚OGの方達とコラボしたステージもあり、ダンサーかというくらい踊っていらっしゃいましたが。

日野 踊りましたね~!

──そうした様々な活動がLE VELVETSにフィードバックされていくものも多いのでは?

佐賀 そうですね、外での活動の一つひとつを、LE VELVETSの活動に落とし込むことができています。

佐賀龍彦

佐賀龍彦

日野 宝塚OGさんとの舞台は、LE VELVETS全員で出演させていただきましたが、一方では一人ひとりそれぞれが別々のミュージカルに出演もしています。そこで経験したことをLE VELVETSに帰ってきて、「こういうことを学んだ」と皆で共有できることで、個人としても成長できるし、グループとしても成長できるのが、いい循環になっています。

佐藤 グループだけで活動していると考えが固まってしまう部分もあるのですが、外に出てやってみると「あ、こういう風に歌ってもいいのか!」というような新しい発見や、吸収できるものが沢山あるので、それをまた持ち帰って皆で共有してレベルアップできるのはありがたいことです。

宮原 外での経験ということが自分の中の常識を覆していくんですね。僕たちがグループを結成したのも「こういう声でジャズのコーラスを歌ったらどうなるんだろう?」というところから始まりました。自分たちでも高めていきながら、外でも刺激をもらってくる。クラシックの世界ではちょっと常識外れなことかも知れないけれども、それによってクラシックが多くの方に届くエンターテインメントになっていけるのではないかと思います。だから様々な挑戦をさせていただいているのです。

宮原浩暢

宮原浩暢

──ときに、会場の赤レンガ倉庫や横浜界隈で、ご自身が行ってみたい、或いはお皆様にオススメのスポットやお店などはありましたら教えてください。

宮原 「カップヌードルミュージアム」に行きたいですね! 自分のオリジナルのカップラーメンを作れるんですよね! ただ、大人気で整理券を取らないといけないくらいなんだけど。

佐藤 へー! そうなんだ!

佐藤隆紀

佐藤隆紀

宮原 スタクラフェスの会場のすぐ近くなので、お子さま連れだったら行くと面白いと思います。

佐藤 僕はやはり、中華街で美味しい中華を食べたいですね!

宮原 あ、それは間違いないね!

佐賀 僕は絵画が好きなので「横浜美術館」でいい展覧会があったら、是非寄りたいです。

日野 やっぱり海でしょう! 波頭が見えるところには、是非行きたいです!

日野真一郎

日野真一郎

──では改めて、スタクラフェスを楽しみにしている読者の方々、興味はあるけれどどんなものなのかな?と思っている方々に向けて、お誘いのメッセージをお願いします。

佐賀 自分たちがまさにやりたかったスタイルのイベントなので、この機会に僕たちの魅力を皆さんにお伝えできるように頑張ります。皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしたいと思います。

日野 歌も楽器もあり、オーケストラもあり、1日券があればどこに行くのも自由だし、何を聴くのも自由という野外フェス。僕らも自由なスタイルでやっていける場にしたいと思います。演奏する側も聴く側も気持ち良く交流ができると思うので、是非楽しみにして、会場にいらしてください!

佐藤 クラシックの良さって「生」ということだと思うんです。会場で生で聴く良さには格別なものがあります。「クラシックは聴いたことがないんだけど」という方にも、はじめの一歩を踏み出して聴きにきていただけたら、お帰りになる時には必ず心の動く何かが生まれていると思います。是非、会場にいらしてください!

宮原 普段お目にかかれないタイプのイベントに参加させていただけるので、僕自身も思いっきり楽しもうと思います。個々プロとして立っているアーティストがこれだけの人数集まって「クラシックは面白いんだよ!」という想いを伝えるエンターテインメントショーなので、そこに入って楽しむしかないですね。皆様と是非楽しい時間を過ごしたいと思います!


取材・文=橘涼香  写真撮影=岩間辰徳


『ホーム・アローン』映画全編に合わせて130名のオーケストラとコーラスが生演奏

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思い切り笑ってクリスマスを楽しめる映画『ホーム・アローン』(1990年製作)のシネオケ(R)公演開催が決定した。「シネオケ(R)」とは、シネマ・オーケストラの略で、映画全編を大スクリーンで上映し、舞台上のフルオーケストラとコーラスが音楽部分を映画に合わせて生演奏するものだ。

クリスマスに1人、家族旅行に置いていかれた8歳の少年と泥棒の戦いが爆笑の、マコーレー・カルキンを一躍人気者にしたドロボー撃退コメディ・ムービーが、大迫力の演奏と共に2018年12月22日(土)・23日(日)の2日間、Bunkamuraオーチャードホールにて『ホーム・アローン inコンサート』として上映される。

(C) 1990 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

(C) 1990 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

同映画の音楽は、映画界の巨匠ジョン・ウィリアムズが手がけており、クリスマスソングを中心にしたハートウォーミングなスコア、フィナーレで流れる壮大なオーケストレーションのテーマ曲などは、ジョン・ウィリアムズの魅力がぎっしり詰まっている。130名のミュージシャンとコーラスたちのライブ演奏で贈る『ホーム・アローン』は、きっと今までに見たことのない特別なものになるだろう。

LE VELVETSインタビュー、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』など【8/7(火)〜8/9(木)のオススメ舞台・クラシック記事】

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SPICE・8/7(火)〜8/9(木)オススメの舞台・クラシック記事

 

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▼【動画あり】 LE VELVETSが語るスタクラフェスへの期待~『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』
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▼ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の再演が決定! 新キャストに葵わかなが出演
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▼『ワンピース音宴〜イーストブルー編〜』が8月12日より開幕!限定オリジナルグッズの販売決定
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▽そのほかの記事はこちらから▽
舞台:https://spice.eplus.jp/articles/play
クラシック:https://spice.eplus.jp/articles/classic

ようこそバレエの世界へ! 同時代人として観ておきたいダンサー、必見の舞台! 吉田都×堀内元『Ballet for the Future 2018』

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ローザンヌ国際バレエコンクール受賞を機に世界有数のバレエ学校に学び、各々、英国ロイヤル・バレエ団とニューヨーク・シティ・バレエでプリンシパルの座に昇り詰めた吉田都と堀内元が特別出演し、次世代のダンサーと観客にバレエの魅力を伝える〈吉田都 × 堀内元 Ballet for the Future 2018〉が実施される。2015年にスタートしたChacott チャコット ・バレエ公演シリーズの第四弾である。

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

吉田と堀内の許に、二人と同様、国際バレエコンクール受賞者や海外のバレエ学校・団出身者および現所属者が参集する。2000年のローザンヌ国際バレエコンクール受賞者にして今年はその審査員を務めた加治屋百合子は、アメリカン・バレエ・シアターを経てヒューストン・バレエでプリンシパルとして活躍中、新国立劇場バレエ団プリンシパルである福岡雄大は、2008年のヴァルナ国際バレエコンクール銅メダリスト。堀内がニューヨーク・シティ・バレエを退団した後の2000年以来、芸術監督を務めるセントルイス・バレエの現・元団員も参加する。

しかし〈Ballet for the Future〉は、スターダンサーが集う一期一会のガラではない。第一回以来、出演者は舞台に立つ前の段階から、吉田と堀内とともにレッスンで汗を流し、リハーサルを繰り返し、ともに舞台を作り上げる。一連のプロセスを共有することこそが、吉田と堀内が何よりも大切にする、この公演の核心なのだ。

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の前・芸術監督ピーター・ライトの下で頭角を現し、英国ロイヤル・バレエ団でさらに大輪の花を開かせた吉田が、稽古場で人一倍ならぬ、人三倍もの稽古をして舞台に臨む真摯な姿勢自体が、若きダンサー達の成長の糧となるに違いない。筆者自身、たまたま見学したレッスンに現れた吉田を間近で見る幸運に恵まれたことがある。舞台さながらの凛とした佇まいや軽やかでありながら精密なテクニックに目を奪われただけでなく、自身のボディと会話を交わすかのように、何気ない手足のポジションやポーズを丹念に確認し、調節し、踊りをさらに磨き上げようとする貪欲さに感服したものだ。

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

生前のバランシンが愛でた、歴代のニューヨーク・シティ・バレエ団員のなかでも抜きん出てシャープな堀内の踊り、芸術監督を同時に務めながら、自身のコンディションを万全に保つ堀内の姿もまた、周囲のダンサーを発奮させずにはおかないはずだ。実際、回を重ねる毎に、脇を固める若手達の放つ溌剌としたエネルギーが増していることは印象深い。

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

すなわち〈Ballet for the Future〉は、吉田と堀内の豊かな経験を次世代のダンサーと観客に惜しみなく伝える場、と言い換えることができる。

プログラムの主軸をなすのは、前三回の公演がそうであったように、セントルイス・バレエのレパートリーから選りすぐった演目だ。本公演の芸術監督でもある堀内が自ら振り付けた作品あり、彼が委託した作品あり、恩師バランシンの作品あり。いずれの作品も、アメリカのバレエの根幹をなす、明朗にして快活な味わいを備えている。ロシアやヨーロッパのバレエを鑑賞する機会の多い日本にあって、堀内をダンサー・振付家・芸術監督として育てたアメリカならではのバレエの間口の広さと奥深さを味わう格好のプログラムなのだ。

堀内の『La Vie』は、クラシックとジャズを融合させたフランス人作曲家クロード・ボリングの音楽さながらに、振付もクラシック・バレエの枠組みに留まることはない。随所にジャズ・ダンス顔負けの躍動感がみなぎり、ロマンチックなデュエットにはバランシン作品を彷彿させる入念なパートナリングが織り込まれている。

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

〈Ballet for the Future〉第一回公演では堀内と共演した吉田が、彼女の身上である英国仕込みの端正な踊りとは一味違う、快活な踊りで新生面を開いたことは記憶に新しい。今回の女性プリンシパルは、加治屋百合子をゲストに迎える。「円熟味を増し、圧倒的な表現力とテクニックを併せ持つ、今や世界有数のプリマ・バレリーナ」とは、彼女との最初のリハーサルを終えた堀内の加治屋評。「今から、本番が楽しみ」と語る。初めて踊る堀内作品で堀内本人と初共演する加治屋が、どのような表情を見せるのだろうか。

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

『Bloom』は、セントルイスを拠点とする振付家ブライアン・イーノスに委託した作品で、バレエのステップと自由闊達なムーブメントが渾然一体になった振付を眼目とする。ミニマル・ミュージックの響きを持つ音楽は、ニューヨーク・シティ・バレエ出身のクリストファー・ウィールドンが英国ロイヤル・バレエ団で発表したヒット作『不思議の国のアリス』の作曲者ジョビー・タルボットによる。

セントルイス・バレエのレパートリーの一翼を担うバランシン作品からは、『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』と『Valse Fantaisie』がお目見えする。前者は、チャイコフスキーが『白鳥の湖』用に追加作曲した音楽を用いて、別個の作品として振り付けたもの。繋ぎのステップを極限まで削ぎ落とし、跳躍や旋回などの美技をスピーディに連ねた振付が、文字通り、アメリカらしいダイナミズムを醸し出す。グリンカの「幻想的ワルツ ロ短調」に振り付けた後者は10分弱の小品ながら、音楽と呼応しながら刻々と隊列を変化させる群舞や変幻自在のデュエットに、バランシンの真骨頂が凝縮されている。バランシン作品が、ダンサー・堀内だけでなく、振付家・芸術監督・堀内の引き出しを豊かにしたことを実感できるだろう。

吉田は、彼女が自身の原点と呼ぶ古典バレエの中から『ライモンダ』第三幕の結婚の祝宴(抜粋)を選び、福岡雄大と踊る。彼女が2020年9月に新国立劇場舞踊部門の芸術監督に就任することは、既報の通り。同劇場の〈今日〉を支えるプリンシパルと〈明日〉を支えるリーダーの共演が実現することとなった。

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

洒脱な現代作品から正統派の古典作品まで、バレエ鑑賞初心者にも親しみやすいバラエティに富んだプログラムで、肩肘張ることなくバレエを楽しもうではないか。次世代にバトンをつなぎ、〈未来〉を築こうではないか。〈Ballet for the Future 2018〉の舞台の端々から、吉田と堀内の声が聞こえてくることだろう。

文=上野房子(舞踊評論家) 写真=瀬戸秀美「Ballet for the Future」公演より

『美少女戦士セーラームーンClassic Concert 2018』の回替わりプレゼントが発表! 原作イラスト使用アイテム全員プレゼントも

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2018年8月28日(火)、29日(水)に東京芸術劇場、9月7日(金)に大阪フェスティバルホールにて、パワーアップした新シリーズとして開催される『美少女戦士セーラームーンClassic Concert 2018』の回替わりプレゼントが決定した。来場者全員には、回替わりで”原作イラスト使用のクリアしおり(全5種類)”がプレゼントされる。

さらに、『美少女戦士セーラームーン』オフィシャルファンクラブ”Pretty Guardians”の会員には、回替わりキャラクターソングに因んだデザインのピクチャーチケットがプレゼントされる。気になる回替わりキャラクターソングは28日(火)14:00公演は「同じ涙を分け合って」/水野亜美、19:00公演は「聖・炎・愛~Fire Soul Love~」/火野レイ。29日(水)14:00公演は「STARLIGHTにキスして」/木野まこと、19:00公演は「ルート・ヴィーナス」/愛野美奈子。7日(金)の大阪公演は「タキシード仮面登場のテーマ」を予定している。
FC会員限定のピクチャーチケットは、公演日時点でFC会員であれば引き換えが可能。当日、FCサイト内に公開される特典引き換えページの提示が必要となる。

そして、各公演終了後にはキャストによるお見送りや出演者のサインが当たる抽選会も予定されている。チケットは好評発売中なのでチェックしておこう。

<回替わりキャラクターソング>

【東京公演】
28日(火)  14:00公演 同じ涙を分け合って
      19:00公演 聖・炎・愛~Fire Soul Love~

29日(水)  14:00公演 STARLIGHTにキスして
          19:00公演 ルート・ヴィーナス

【大阪公演】
7日(金)タキシード仮面登場のテーマ

【動画あり】NAOTOとDEPAPEPEが野外共演「どんな天気でも盛り上がれる」~『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』<What’s “スタクラフェス”?>

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<What's “スタクラ フェス”?> Artist Close-Up NAOTO/DEPAPEPE


2018年9月23日(日・祝)秋分の日、『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称 “スタクラフェス” )が、横浜赤レンガ倉庫の特設会場にて開催される。会場には3つの野外ステージ「HARBOR STAGE」「GRASS STAGE」「Sunday Brunch Classic Stage(無料鑑賞ステージ)」が設けられ、気鋭の演奏家たちにより、クラシックのよく知られた名曲からオペラ、ミュージカルの名曲、さらにはアニメの音楽まで、多種多様なプログラムが朝から晩まで繰り広げられる。クラシックといっても決して堅苦しいものにはせず、屋外で潮風を感じながら、食べたり飲んだり、時には寝そべりながら、多様な音楽を気軽に楽しめる趣向という。また児童の入場もOKだ。

この新しいタイプの、野外クラシック音楽フェスにおいて「ブランチ on クラシック」(GRASS stage 13:30-14:00)に出演する、ヴァイオリニストのNAOTOと、アコースティックギターDUOのDEPAPEPE(徳岡慶也、三浦拓也)に、このほど話を聞くことができた。

NAOTOは、ジャンルレスで華麗なパフォーマンスで人気を博し、ドラマ「のだめカンタービレ」で注目を集めたことも。最新作はNHK「スタジオパークからこんにちは」テーマ曲を含む「Gift」。独特の感性と切れ味鋭い超絶技術、ハイノートの美しさが名だたるアーティスト達にも愛され、多数の共演を重ねてきた。一方のDEPAPEPEは、徳岡慶也と三浦拓也によるアコースティックインストギターデュオ。アコギ2本による唄うようなメロディーで、心象風景や喜怒哀楽といった感情、四季折々の情緒を表現し、国境や世代を超えて幅広い支持を得ている。今回のNAOTOとDEPAPEPEのジョイント・ライブ「ブランチ on クラシック」では、心地よいストリングスのハーモニーでクラシックカバーやオリジナル曲が演奏される。

NAOTO、DEPAPEPE(徳岡慶也、三浦拓也)

NAOTO、DEPAPEPE(徳岡慶也、三浦拓也)

ーースタクラフェスの話を最初に聞いた時、どう思いましたか。

NAOTO クラシックのフェスというのは、色々あると思うのですが、野外というのはなかなかないので、いいなと思いました。僕もDEPAPEPEさんもそうですけれど、普段クラシックをやっているわけではないので、「出てもいいのかなー?」というのが正直なところでした。でも、誘っていただけて、ありがたく思いました。

DEPAPEPE三浦(以下、DEP三浦) クラシックのフェスティバルに呼ばれるっていうのは、すごく嬉しい反面、プレッシャーもあったので、自分たちをそこでどう見せられるのかというのは、僕たちにとってもチャレンジだなと思っています。

ただ、今回のコンサートはクラシックといっても、野外でくつろぎながら楽しもうというのが趣旨だと聞きました。自分たちが音楽を奏でる時も常にそういうスタンスでありたいと思っているので、趣旨に合っているように思えます。クラシック音楽のファンの方が多いとは思いますが、そこに自分たちの音楽がどう適合していくのか楽しみですね。

DEPAPEPE徳岡(以下、DEP徳岡) 僕らDEPAPEPE自体はクラシックの道を通ってきたわけではないので、不安なところはもちろんあります。でも、NAOTOさんと一緒に出られると聞き、それやったら大丈夫やなと思いました(笑)。

ーー野外演奏の魅力や醍醐味はどういった点でしょうか。

NAOTO 気象状況に左右される面も多いかなと思いますが、屋内だと「暑いー」とか「寒い―」ですとかはないのでいいのですけれど、それには変えられない良さが、野外にはあると思うんですよね。だから、ものすごく盛り上がれる。一番憶えているのは、僕が弾いている時だけ鳥が宙を旋回したんですよ。それを見た時、鳥も聴いてるんだなと思って。それを見つけられるのも野外ならではだし、それをMCで喋って、みんなで鳥と空を見たりできるっていうのも、すごく得難い体験ができたと思います。

NAOTO

NAOTO

ーーお天気さえよければ……。

DEP徳岡 いえ、雨なら雨で、楽しみ方は沢山あるんですよ。

DEP三浦 経験上、雨の中の野外での演奏も沢山あって、雨除けはもちろん必要かもしれませんが、雨のシチュエーションで聴くのもまた、おつなものです。そういうことって普段なかなか体験できないので、それも含めて野外ステージで楽しんでいただければと思います。僕らも、そういうことを楽しみながら演奏しています。

NAOTO 実際、雨は雨で、お客さん盛り上がるんですよ。こちらも、この状況でなんとか音楽を盛り上げようって張り切るし。雨降ってなんぼですよ(笑)。

DEP三浦 今回、もし盛り上がったら、クラシックなのに、ロックフェスみたいになるかもしれないですよね。

NAOTO あと、豪華客船のスケジュールを見て、それらが港に入って来てるかな?と確認しておくのも、楽しめる要素になりますね。

DEP徳岡 そうですね、景色も楽しめるのが、野外フェスの醍醐味です。ぼくらもNAOTOさんも、歌のないポップスというのをずっとやってきました。クラシックも歌のない音楽なので、周りの景色が曲に色付けしてくれる。それも野外の良さかなと思います。僕らもやっていて楽しいですよね。

DEPAPEPE・徳岡慶也

DEPAPEPE・徳岡慶也

ーー演奏内容について、現時点で可能な範囲内で教えていただけますか?

NAOTO 有名なクラッシックの曲はパワーがあるので、最初に配置します。曲の名前は皆さん知らないかもしれませんが、聴きやすくアレンジをしていますし、より、ポップ感溢れるものにしてあるので、とても盛り上がると思います。

―バッハの曲もあるとお聞きしましたが、しっとりとした感じになっている?

NAOTO 全然しっとりしていないです(笑)。ジャズファンクな感じになっています。でも、僕があの世に行ったときに、バッハさんに「俺の曲をこんなにしやがって」と説教されるんではないかと、ちょっと心配しています。だって、バッハって、めっちゃめちゃ真面目だったんですよ。もう「先生!」っていう感じで。ベートーヴェンなら「グッジョブ!」と言ってくれるかもしれないけれど、バッハ先生には怒られるかも(笑)。

DEP徳岡 でもバッハさんは、散々説教をした後、最後に「でも、嫌いじゃないけどな」とか言いそう(笑)。

NAOTO そういう意味でも、クラシックに詳しくない方が聴いても大丈夫です。まず、間違いなく言えるのは、今回のラインナップを見ていても、他の方たちはクラシックをやるんですよ、僕らだけクラシックをやらない。もちろんクラッシックの曲をやるんですけれど、大きなジャンルで考えると、僕らはポップスだから。

今までのフェスだと、僕はヴァイオリンなので何か癒しの方向を求められるんですよ。そのパターンで呼ばれることが多いんです。でも今回は、僕らが一番ロックな方向を求められてるんです。だからそれは、ご希望に添いましょう!という気になるし、やり甲斐がありますね。

DEP三浦 はち切れんばかりの何かで行こうと思います(笑)。選んだ曲の内の2曲は、クラシックを再現するのではなく、そのフレーズを入れて自分達なりにアレンジしています。僕らも、クラシック・ファンの人達にも楽しんでもらえるように演奏しようと思いますし、同時に僕らなりの曲も聴いていただきたいんです。「こういう曲もあるんだな」って、僕らのことを好きになっていただけると嬉しいですね。そして、ライブらしく、お客さんとコミュニケーションを取れたらいいなと思います。

DEPAPEPE・三浦拓也

DEPAPEPE・三浦拓也

DEP徳岡 同じ思いでおります(笑)。

ーーNAOTOさんから見たDEPAPEPEの印象、DEPAPEPEから見たNAOTOさんの印象をそれぞれお聞かせください。

DEP徳岡 語り尽くせないですね。NAOTOさんとは、もうお付き合いして結構経ちますが、NAOTOさんは、ヴァイオリンの技術などクラシックの才能を圧倒的に持ちながら、ポップスのフィールドでジャズ的な要素を展開して、トップクラスの「ヴァイオリン、NAOTO」っていう像があります。それなのに僕たちの音楽にも、現場で合わせてくれたり、普段も一緒に遊んでくれる。人柄的にも音楽的にも尊敬する人です。NAOTOさんとだったらこのフェスに出演するのが安心だ、と冒頭でお話ししたのは、そういう部分があるからなんです。もう、お世話になりっぱなしですね、僕ら。

DEP三浦 今、徳岡さんが言ったことは大前提ですが、NAOTOさんは音で会話する自由度がすごくある方で、演奏の過程でコミュニケーションをいっぱい取ってくれるんです。実は僕ら、NAOTOさんとはたくさん共演していますが、その度、音楽的なケミストリーのようなものがいっぱい発生しているんじゃないかなと思っています。NAOTOさんから刺激を受けて、こういうのやってみたいなということが僕らすごく出てくる。今回もまた、こういう特別なステージで共演させていただくことで、また新しい何かにチャレンジできるきっかけになったらいいなと。それに、公私ともに楽しいので、お世話になっていますし、大好きです!!

NAOTO 僕からも……大好きです!!(笑) 実は、僕らデビューが同期なんですよ。プロデューサーさんが共通で、レコード会社も近所だったのに、デビュー当時はどちらも走り回っていて、あまり接する機会がありませんでした。ファンもかぶってなかったしね。

でも近年はご一緒にする機会が徐々に増えてきて。ライブを見せてもらうと、お客さんと何かを作っていくという部分が、僕より遥かに素敵に成立しているなと。三浦さんのライブパフォーマンスにも、徳岡さんの作るメロディーにもそうした感じが如実に出ている。僕自身も、わかりやすい音楽をやってきたつもりだったけれど、どこか自分が曲を提供していかなきゃという意識のほうが強かったんだなって気づかされました。だから彼らのことを素晴らしいと思いますし、尊敬しています。

最近は3人でツアーを回ったり、レコーディングもしたりとか、一緒にいることが多くなりました。僕的には、DEPAPEPEに入れてもらっている感があって。お二人は元々お二人で一つだから、お互いの役割があると思うんですけれど、そこに僕が入ることによって新たな役割を僕が担えるんじゃないかと。そこで三人が三人とも楽しさを見つけられたから、これからもずっと一緒に出来るんじゃないかと思いますね。

DEP徳岡 やっぱり大好きです!

NAOTO 僕ら付き合ってます(笑)。

ーーこの野外フェスで、演奏者/観客の立場を超えて楽しんでみたいことは?

DEP徳岡 僕は、単純にクラシックを一般人のレベルでしか知らないので、とにかく聴いてみたいというのがありますね。それで、NAOTOさんに横で解説してもらうとか(笑)。

一同 それ、めちゃくちゃ贅沢!

NAOTO 歌舞伎の解説みたいな感じで、耳元でささやく感じですかね。背後で。

DEP三浦 そのうち「ちょっと、もういいから黙って」みたいになってきたりして(笑)。 今回僕が楽しみにしているのは、もちろん食べ物とかもありますが、やはり他の出演者の演奏を聴くことですね。

DEP徳岡 え? さっき、ごはんが楽しみって、めっちゃ言うてたやん!

NAOTO あれ?(笑)

DEP三浦 いや、いや、食べ物はもちろん食べるとしてですね(笑)。聞くところによると、海外ではクラシックの野外コンサートは多いそうですが、日本だとあまり野外でクラシックは聴けないでしょう? 今回は自分もお客さんとしても楽しみたいなと思うので、なるべく他の出演者の方のステージを見たいなと思っています。

NAOTO あ、ボタン外れてる。

(三浦のシャツのボタンを優しく直してあげるNAOTO)

(三浦のシャツのボタンを優しく直してあげるNAOTO)

NAOTO 僕はクラシック育ちなので、今回のフェスには後輩たちがたくさん出演してる。だから、ざっくり言うと「みんな、頑張ってねー」という感じです(笑)。ただ、今でもクラッシックを聴きに行くことはありますけれど、クラッシックのコンサートって、聴きながらお酒飲めないんですよ。なので、グラス握りながら聴けるっていうのは素敵です。

また、「いいオーボエソロだな」と思ったら「グッ(Good)!」って言いたいけれど、それをホールでやるのもマナー違反。一楽章、二楽章、三楽章の間は拍手をしないというのも意図としてはわかるけれど、多少の違和感があります。野外だとザワザワしていているのだし、合いの手や拍手を楽しんでもいいのではないかと思います。

ーー今回のフェスで「ブランチonクラシック」以外で何か気になるプログラムはありますか

NAOTO 僕たちプログラム的に難しいと思うんですけれど、青島先生の「世界まるごとクラシック」は見たいな。

DEP三浦 クラシックに詳しくないので見たいなー。でも、自分たちの直前!

DEP徳岡 ほんとだ、だめやん。でも見たいな。

NAOTO 僕らの終わった後には、ベートーヴェンの7番がありますよ。

DEP徳岡 あぁ! あの「のだめ」で演奏してた。

NAOTO 上野耕平さんのサックス。これも聴きたいな。考えてみると、この演奏会って、すごくお得ですよね、こんなに沢山のクラシックを聴いたら、普通こんな値段では聴けないですよね。美味しいホテルのビュッフェみたいだ。いいとこどりという。素晴らしいな。

ーー会場となる赤レンガ倉庫や横浜界隈で行ってみたいスポットやお店などはありますか

DEP徳岡 この前、NAOTOさんに教えてもらった中華街の聘珍樓。 

NAOTO あと、重慶飯店ね。 

DEP徳岡 買って帰ったお茶まで美味しかった。

DEP三浦 素敵な海を見るのも良いですよね。

NAOTO 海の見える温泉「横浜みなとみらい万葉倶楽部」とかいいよ。 

ちなみに、僕、横浜で一番好きなのは、ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルが好きなんですよ。ヨットの形の。まあ、これはあんまり関係ないですけれど、僕はいつも、餃子と呼んでいます。 

DEP三浦 そのまんまですね(笑)。

NAOTO 近くにアメリカンバーもある。朝5時までやってます。

DEP徳岡 一日遊べますね。

NAOTO みなとみらい線で電車の便も良くなったから、帰るのも楽です。

【動画】NAOTOさん・DEAPEPEさんよりメッセージ


取材・文=清川永里子  撮影=敷地沙織

龍真咲が『タイタニック』や『メモリーラブ』を熱唱! Kalafina“Wakana”とともに1日限りのシンフォニーコンサートに出演

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元宝塚歌劇団のトップスター・龍真咲とヴォーカルユニット「Kalafina」のメンバーWakanaが、ローマ・イタリア管弦楽団とコラボレーションした『Kalafina“Wakana”・龍真咲シンフォニーコンサートwithローマ・イタリア管弦楽団』が2018年8月11日、東京オペラシティコンサートホールで開催された。1日限りのスペシャルコンサートを前に、龍真咲が取材に応じた。

2016年9月に宝塚歌劇団後、『1789-バスティーユの恋人たち-』でマリー・アントアネット役を演じるなど数々のミュージカルやコンサートに出演している龍真咲。今回のコンサートでは、『タイタニック』や『サウンド・オブ・ミュージック』などの映画・ミュージカル楽曲全7曲を龍が選曲。ローマ・イタリア管弦楽団の演奏をバックに歌い上げた。

龍真咲

龍真咲

フルオーケストラをバックに歌うのが初めてだという龍。
 
「選択させていただいた曲の数々は、自分が今まで大好きだった曲や思い入れのある曲なので、オーケストラの音色を聴いた時にすごく感動しました。こういうコラボレートは、私も経験がなかったので、素晴らしい機会に恵まれたなと感謝しています。相乗効果というものを大切にしながら、しっかりと音色を聴いて、連続で歌うので、演じることもできたらなと思います」と話した。

そして、「私自身、宝塚時代から、オーケストラ合わせというオーケストラと初めて合わせる稽古が大好きで、いつも一番近いところで聞いていました。一つ一つの音色にメロディーがあって、素晴らしいなと感じますし、ポップスなども素晴らしいですが、こういうクラシックのものも大事にしていきたいなと思いました」と語った。

龍真咲

龍真咲

選曲については「『サウンド・オブ・ミュージック』の『マイ・フェイヴァリット・シングス』や、『ライオンキング』の『シャドウランド』はずっとずっと歌いたくて温めてきた曲。この歌に魂を込められる今日という日は、思い出に残る1日になるんだろうなと思います」。

さらに、「『タイタニック』は初めて映画館に行って観た洋画。『アルマゲドン』は、宝塚に入る前の学生時代にニューヨークに留学したことがあって、その時に海外で初めて買ったサウンドトラックでした。二つとも私にとって大切な作品です」と、思いを込めて選曲をしたことが見て取れた。

ファンにはたまらないが、コンサートでは、龍の宝塚時代の最後の曲としてつくられた『Memory LOVE』という曲を披露するといい、「退団から約2年経ち、この時期にこの曲を聴けて、いろんな意味で感慨深いなと思います」と話していた。

「Kalafina」Wakanaのソロライブツアーが決定! 「自分の道は見つかりました」

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ヴォーカルユニット「Kalafina」のメンバーWakanaと元宝塚歌劇団のトップスター・龍真咲が、ローマ・イタリア管弦楽団とコラボレーションした『Kalafina“Wakana”・龍真咲シンフォニーコンサートwithローマ・イタリア管弦楽団』が2018年8月11日、東京オペラシティコンサートホールで開催された。1日限りのスペシャルコンサートを前に、Wakanaが取材に応じ、今年9月からソロライブツアーを行うことを発表した。

アニソンのみならずNHK『歴史秘話ヒストリア』のテーマ曲も担当するなど、「Kalafina」のソプラノパートとしてファンを魅了してきたWakana。今回のコンサートでは、Kalafinaとしてのデビュー曲である『oblivious』(2008)などの楽曲全14曲をオーケストラアレンジで披露した。

「Kalafina」Wakana

「Kalafina」Wakana

Wakanaにとって、春に終えたイベントライヴから久しぶりのコンサートだった。
 
「こんなに歌わなかったことが10年間なかったので、久しぶりに喉が休めさせられました。いま、リハーサルで歌えて気持ちがいいなと思いました。楽しいですね」と話す。
 
フルオーケストラをバックに歌うことが初めてだというWakana。「40名のイタリアの方々が来て下さると聞いた時に全く想像ができなかったのですが、2日間リハーサルをさせていただいて、皆さんとてもフランクに接してくださった。最初は緊張したのですが、音に身を委ねるのが楽しいと思いました。何しろ皆さん、お顔が美しいので、お人形さんのようで、ずっと後ろを見ていたいような気持ちでした(笑)」と感想を述べた。

そして、「オペラシティという素晴らしいホールで、響きを楽しみながら、皆さんの音を自分の身体にどんどん取り込みながら、身を委ねて歌を歌いたいなと思います。来てくださるお客様にはそれをめいっぱい浴びて、楽しんでいただければ」と話した。

コンサートでは、自身初めて作詞をした『時を越える夜に』も披露。「作詞はとても難しかったですが、すごく楽しかったです。まず音楽を聞いて、自分で世界を描くというのは、すごく自由だし、真っ白なキャンバスに絵を描くような気持ちでした。こういう楽しさをこれからもっと見つけていけたらといいなと思います」と語っていた。

「Kalafina」Wakana

「Kalafina」Wakana

会見では、9月から東京・福岡・名古屋・大阪でソロライブツアーを行うことを発表。

「色々な自分のこれからの道も探しながら生きていました。自分がどういう風にいろんな音楽を歌えるかなということを模索しました。自分の道は見つかりました。私も分からないことだらけですけれども、これから自分の音楽をどんどん追求していきたいなぁと思います」と語った。


【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2018年8月13日~2018年8月19日)

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利害関係や損得勘定といった、生きていく中での「計算」について考えることがありそう。自分では無意識にやってきたことのなかには、どんな印象に受け止められているのか再点検しておいたほうがいいこともあるみたい。というのも、思わぬタイミングで盲目的に信頼していたことや、期待を裏切られるようなことに遭遇しそうなのです。

人のフリ見てわがフリ直せ、とは言いますが、この夏の異常な暑さとおなじように、歯止めの効かない熱さがずっと心身に残ってしまいそう。インパクトがあまりに強すぎると、感情的にカッとなって暴言を吐いてしまったり、軽い喧嘩のようになることも考えられます。冷静に立ち回ろうとすればするほど、相手の反感を買い続けることにも。

それぞれが「自分にとっての価値」で、物事や人間関係を判断する流れはこれからも続いていきます。それでも、まさか自分が相手からそんな風に価値づけされていたとは…なんて、あからさますぎる取引を思い知らされて、一瞬でさまざまな幻想が崩れ去っていくようなことがあるかもしれません。

ただ、よく考えてみて。どれだけ自分にとって価値があって信用していたとしても、相手の思惑など相手にしかわからないもの。そこまで深く傷つくようなことがある、誰もが持っている負の感情や、底知れぬ悪意を目覚めさせてしまう、そんな相手とこれからも一緒に生きられるでしょうか。おそらく思いあがっていたのは、自分ですよね。自分の価値は自分でまもって。相手に向けてではなく、そんな自分にどんどん別れを告げていく人が増えてくるでしょう。

【12星座別 今週のラッキーワード】
◆おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
爆発的、パンキッシュな
◆おうし座(4月20日~5月20日 生まれ)
思慮深さ、クールダウン
◆ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
希望、ポップス
◆かに座(6月21日~7月22日 生まれ)
論より証拠、クラシック
◆しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
審美眼、ラジオ
◆おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
個性、ソロワーク
◆てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
再点検、リマスター
◆さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
解毒、ヒーリング
◆いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
神秘性、テクノロジー
◆やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
贅沢な、コラボレーション
◆みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
直接交渉、パンチの効いた
◆うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
周りから固める、プレイリスト

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【動画あり】伊礼彼方がスタクラフェスに参戦!「邪道を進んできた僕が、王道のあの曲を歌います」~『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』<What’s “スタクラフェス”?>

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<What’s “スタクラ フェス”?> Artist Close-Up  伊礼彼方
 

2018年9月23日(日・祝)の横浜・赤レンガパークに若手実力派アーティストが集結し、3つの野外ステージで1日中さまざまなクラシック音楽を奏でる『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(以下スタクラフェス)。そのプログラムのひとつである「クラシック音楽歌合戦!オペラからミュージカルへ」に、『ジャージー・ボーイズ』『レ・ミゼラブル』と大作への抜擢が続く伊礼彼方が参戦する。出演を決めた裏にあった、伊礼の“心境の変化”とは――。

王道を行きたい自分を受け入れる

――まずは、スタクラフェスへの出演オファーがきた時の率直なお気持ちからお聞かせいただければと思います

あぁなんか……間違いなのかなぁと(笑)。クラシック音楽を聴くことはありますし、ミュージカルをやるなかで、弦楽器や管楽器の音を生で聴いて興味を持つようにはなりましたけど、クラシックと名の付く公演に出てきてはいないですからね。でもよく聞いたらミュージカル部門での参加ということで、間違いじゃなかったんだと(笑)。生の音が重なった時の音圧ってやっぱり感動的ですし、こういう素敵なフェスティバルの、しかも1回目に呼んでいただけてとても光栄だと思いました。

――『ジャージー・ボーイズ』東京公演(9月7日~10月3日)の真っ最中、というお忙しい時期にもかかわらずオファーを受けた決め手というのは?

最近ちょっと、心境の変化がありまして。僕は音楽(バンド)からこの世界に入りましたけど、今では芝居のほうが好きで、ミュージカルの歌も芝居だと思って歌ってるんですね。だからコンサートで歌だけを歌うっていうのは、なんだか軽々しいような気がして、積極的にはやってこなかったんです​。でも最近になって、例えば自分には演じられない役の歌を歌ったりするのに、コンサートはいい機会だと思うようになった。そんなことを思い始めたタイミングでお話をいただいて、ちょうど『ジャージー・ボーイズ』も僕が出演しない日だったので(笑)、ぜひやらせてもらいたいと思いました。応援してくださる方は、「芝居もいいけど歌だけも聴きたい」とずっと熱望してくださっていて、「いつかね!」って言いながら10何年経ってるわけですけど(笑)、その“いつか”がやっと、徐々に始まるという感じですね。

――その“心境の変化”は何がきっかけで……?

僕には昔から、どこかで「王道はカッコ悪い」と思ってるところがあって、カッコ悪いっていうと語弊がありますが、照れくさいというか自分の任じゃないというか。ミュージカル界でもどちらかというと邪道のほうを進んできたんですね。それにもともとパンク音楽が好きで、反骨精神みたいなものも身についちゃってるものだから、演劇界の色々な事情に対する反発心もありました。でも40歳という年齢が見えてきて、王道ミュージカルの曲を歌いたい自分を受け入れられるようになりましたし、「出れねー作品の歌なんか歌わねーよ!」なんて言ってないで(笑)、歌いたい曲を素直に歌えばいいんだって思えるようになったんです。僕もようやく大人になった、ってことですかね(笑)。

佐藤バルジャンと早くも対決⁉

――ソロ曲として、『エリザベート』の「最後のダンス」を選ばれた理由を教えてください。

『エリザベート』から何か1曲、というリクエストがありまして、共演者の方々が歌わなそうな、ドラムが鳴り響くリズミカルな曲は何かと考えてこれを選びました。歌ったことはないですけど、ルドルフ役で出演していた時、楽屋でモニターを見ながらよく一緒に口ずさんでいた馴染みのある曲ですし、家に譜面があってすぐに練習に取り掛かれるから、皆さんにご迷惑をおかけすることもないだろうと。あとは、(共演者である)LE VELVETSの皆さんに対抗するにはこういう色気が必要な曲じゃないとな、っていうのもありました(笑)。

――LE VELVETSの佐藤隆紀さんとは、来年の『レ・ミゼラブル』でバルジャン役とジャベール役として“直接対決”もされますね。

そうですね、負けてらんないです(笑)。初共演なのでとても楽しみです。まだ稽古が始まってない9月の段階で、バルジャンとジャベールとして歌うのは難しいですけど、せっかくだからMCでもいいから『レ・ミゼ』には触れたいですし、共演者の皆さんと一緒に何か歌えたらいいですよね。まだ決定ではないですけど、クラシックとミュージカルのコラボ曲はある予定で、もしかしたら僕がクラシックの歌手の方とミュージカルの歌をデュエットすることもあるかもしれないです。

――クラシックの方と歌うとなると、やはりそれなりの心構えが必要なものですか?

畑が違いますから、どう合わせればいいんでしょうっていうのはありますね。僕自身も何が違うのか厳密にはよくわからないですが、基本的にミュージカルはマイクで歌うっていうのが前提で、クラシックの方はマイクを使わない歌唱法。喉を後ろに持っていくとクラシックっぽい感じ、前に持ってくるとミュージカルの発声になるのは分かるんですけど、僕は後ろの状態でハイトーンは出せないですし、逆にLE VELVETSの宮原(浩暢)さんは『グランドホテル』で同じ役を演じた時、前に持ってくるのに試行錯誤されてたような記憶があります。個人的な意見ですが、クラシックの歌い方は、音楽としてはもちろん素敵なんだけどそのままの歌唱法でミュージカルをやってしまうと、芝居歌としての表現がまた違うので、そのスイッチが押せるかどうかが、ミュージカルで歌う時の技術だと僕は思っています。

ベースにあるのは、結局音楽

――スタクラフェスの出演者のなかで、特に気になっている方はいますか?

実は「世界まるごとクラシック」に出演される宮本笑里さんが、僕が路上ライブをやってた頃にたまたま通りかかって何回か見てくれているんですよ。後々デビューされた時、「あ、あの時の彼女だ!」って思って、いつか共演できたらなあと思ってました。ヴァイオリンケースを抱えて路上に立っている姿を思い出します。もう15年近くも前の話だから、彼女が覚えているかどうかは分からないですけど(笑)、今回こうやって、共演ではないにしても同じステージに立ててうれしいです。長い路上ライブ生活のあと、僕も屋根のあるところで歌えるようになったのに、今回また野外っていうところがまた面白いなと(笑)。

――そう考えると、ほかの皆さんにとっては珍しい経験であろう野外ステージは、伊礼さんにとっては“ホーム”なんですね。

……まあそうですね、路上は二度と戻りたくはないホームですけど(笑)。雨の日も雪の日も路上で歌って、ライブのチケットも全然売れなかったあの頃のことは、今思い出してもやっぱり苦痛。芝居という新しい道が開けた時、音楽はもう諦めよう、コンサートもやらないことにしようと決めたのは、あの頃には戻りたくないって気持ちがあったからでもあると思います。でもやっぱり、つらくても路上ライブを続けられたのは音楽が好きだったからだし、今でも音楽を聴くとすごく興奮する自分がいる。なんだかんだ言っても結局、僕のベースには音楽があるんでしょうね。さっきの“王道を行きたくなった自分を受け入れる”って話じゃないですけど、音楽が好きな自分も、そろそろ解放してあげる時期なのかもしれません。こういう野外ステージは雰囲気も解放的だし、廻り合わせを感じています。​

――今回のスタクラフェスは色々な意味で、転機のさなかにいる伊礼さんが観られる公演になりそうですね。最後に開催地である横浜について、小さい頃に住んでいらした伊礼さんから、オススメの楽しみ方などをご紹介いただければと思います。

僕が育ったのは赤レンガ倉庫みたいに素敵な横浜じゃなくて(笑)、鶴見区っていう川崎寄りのところなんですよ。だから、本当は赤レンガでデートしたいのに「赤レンガなんか!」って突っぱねちゃってたっていう、また王道への反発の話になっちゃうんですけど(笑)。僕が知ってるあの界隈の楽しみ方って言ったら、ディナークルーズくらいかな。僕は気持ち悪くなっちゃって、結局降りてから普通に牛丼を食べることになったんですけど(笑)、すごく素敵なので船酔いしない方にはオススメです。僕も今回の出演を機に、赤レンガに憧れる自分を素直に受け入れて、新たな楽しみ方を見つけたいですね(笑)。

【動画】伊礼彼方さんよりメッセージ

取材・文=町田麻子  写真撮影=山本れお

BSフジが「STAND UP! CLASSIC FESTIVAL」特番をTV放送

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BSフジは、2018年8月25日(土) 25:00より『青空100曲クラシック!~STAND UP! CLASSIC FESTIVALって何だ!?~』をTV放送する。9月23日(日・祝)に横浜赤レンガ倉庫にて開催されるクラシック音楽の野外フェス「STAND UP! CLASSIC FESTIVAL'18」(略称 “スタクラフェス” )を紹介する特別番組だ。

スタクラフェスでは、横浜赤レンガ倉庫特設会場に3つの野外ステージ「HARBOR STAGE」「GRASS STAGE」「Sunday Brunch Classic Stage(無料ステージ)」が設けられ、威風堂々からレ・ミゼラブルまで、全100曲以上のクラシック音楽やミュージカルの楽曲を、総勢300名以上の若手音楽家たちが演奏する。青空の下で100曲以上もの音楽を一日中楽しめる、この新たな野外フェスの魅力が、番組で紹介される。

【動画あり】藤田真央(ピアノ)「野外は初めてなので楽しみ!」~『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』<What’s “スタクラフェス”?>

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<What's “スタクラ フェス”?> Artist Close-Up 藤田真央

来たる2018年9月23日(日・祝)秋分の日、『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称 “スタクラフェス” )が、横浜赤レンガ倉庫の特設会場にて開催される。会場には3つの野外ステージ(HARBOR STAGE/GRASS STAGE/Sunday Brunch Classic Stage)が設けられ、午前10:30~午後8:30まで10時間にわたり、気鋭の演奏家たちにより、クラシックのよく知られた名曲からオペラ、ミュージカルの名曲、さらにはスタジオジブリの音楽まで、多種多様なプログラムが繰り広げられる。クラシックのコンサートといっても決して堅苦しいものではなく、屋外で潮風を感じながら、食べたり飲んだり、時には寝そべりながら、多様な音楽を気軽に楽しめるのが、このフェスの特徴だ。もちろんここではお子様も入場可能だ。

この新しいタイプの野外クラシック音楽フェスにおいて「プレミアムサンセット ~キャンドルを灯して」(GRASS stage 17:20 - 17:50)、そして、「Classic Revolution!新進気鋭の若手アーティストとオーケストラの饗演」(HARBOR stage 18:30 - 20:30)に出演するのが藤田真央(ふじたまお)だ。2017年、東京音楽大学1年在学中に第27回クララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝し、注目を集める若手ピアニスト。そんな彼に、スタクラフェスに向けた思いを聞いた。

――スタクラフェスの話を最初に聞いた時、このイベントに対してどのようなイメージを抱きましたか。

まず、面白そうだなと思いました。ただ、実は一つ心配しているのが、私、“雨男”なので、大丈夫なのかなと(笑)。でも、それ以外はポジティブなイメージしかないです。野外は初めてなので楽しみです。

――他の出演者のほとんどは"晴れ男"、"晴れ女"ばかりらしく、そちらのパワーが勝ればいいですね。そんな中、屋外での演奏は初めてとのことですが、野外コンサートについて思うことは何かありますか。

イメージとして、自然と調和するという意味では、やはり野外の方が色々なことを感じられる部分が多いのではないでしょうか。ベートーヴェンにしろ、ラフマニノフにしろ、散歩しながら音楽のイメージが湧いて楽譜を書いたといいます。だからといって野外演奏の方が適しているのかどうかはわかりませんけれども、とても面白い試みだとは思っています。

――17:20 からの「プレミアムサンセット ~キャンドルを灯して」では、日の沈む夕刻に、松田理奈さんの奏でるヴァイオリンの名曲と共に藤田さんがピアノ演奏をなさいます。松田さんとの共演に向けての思いをお聞かせください。

松田さんと共演するのは初めてなんですよ。先日、松田さんのコンサートに行きましたが、楽しそうに演奏されていました。松田さんが素晴らしいヴァイオリニストであることはもちろんですが、無伴奏ヴァイオリンでないかぎり、ピアノの存在というのも大きいですよね。その演奏は清水和音先生がピアノを演奏されたのですが、ヴァイオリンを上手く支え、時には引っ張ってと、本当に素晴らしかったです。

私もアンサンブルは好きですし、今までもヴァイオリンの方と共演してきました。大学の先輩にヴァイオリン奏者の辻彩奈さんがいらして、二人で演奏することもあります。ヴァイオリニストには、ピアノをあくまで伴奏として考えるタイプと、一緒にアンサンブルを楽しむタイプの二通りあって、辻さんは後者でしたので非常に面白かったですね。松田さんもアンサンブルを楽しそうにやっていたので、後者なのではないかと思います。初コラボレーションということもあり、とても楽しみです

松田理奈(左)、藤田真央(右)

松田理奈(左)、藤田真央(右)

――同じ夕刻のステージで、藤田さんはリスト「慰め(コンソレーション) 第3番」もソロ演奏しますね。

名曲です! 作品が素晴らしいので、あまり余計なことはしないようにと思っています。日の沈む夕刻とこの曲がどんな風に交わるかは……その時にならないとわからないですね。

――「 キャンドルを灯して」というサブタイトル通りに、キャンドルを実際に灯す演出も予定しているそうです。

そうなんですか? 凄いですね! ならば、リストのこの曲も、より効果的に聴いていただけるようになると思います。

この曲をお客様の前で​弾くのは初めてなんです。この曲の名盤はなんといってもホロヴィッツです。それが本当に素晴らしいんですよ。リストといえば超絶技巧のイメージがありますが、哀愁深い音楽を聴かせることも非常に難しい。リスト特有の和音の巧みな使い方もしますし、この曲は難曲だと思います。

――18:30からの「Classic Revolution!新進気鋭の若手アーティストとオーケストラの饗演」ではラフマニノフによる協奏的狂詩曲である「パガニーニの主題による狂詩曲」抜粋を披露されると伺いました。

この曲はアンサンブルの要素が強い曲だと思っています。以前アメリカのコンクールで弾いたのですが、掛け合いが本当に多いので、ラフマニノフ独特の和音や和声が難しいんです。「あ、こういう進行をするんだ?」と、いうようなところが多々あるんです。ヴァリエーションごとに色々なキャラクターを出さなければならず、それをコンクールでは二回くらいしか合わせをしないで本番に臨むので、とても大変でした。ラフマニノフの真骨頂と言えるような、非常にメロディックなところと、ブルースノートと言われている進行が好きです。そういった要素が秘められているのも面白いですよね。

ーースタクラフェスに参加するにあたり、演奏者/オーディエンスの立場を超えて、この野外フェスで楽しんでみたいことは何かありますか?

食べ物も沢山あるんですよね?

ーーはい、食べながら、飲みながら聴けるというコンセプトなので、まだお店は決まってませんが、沢山出店するかと思います。

好物がうどんなので、あると嬉しいですね。好きなうどんは、けんちんうどん。カレーうどんも好きです。もしもスタクラフェスの会場内にあれば、是非、演奏後に食べたいですね。演奏前はたぶん食べないので。

――演奏前にお食べにならない? そうなのですか?

「シャーロック・ホームズ」の一場面で、ホームズがワトソンと話していて、ディナーかランチが置いてあったんですけれど、それに手をつけないというシーンがあるんです。見かねたワトソンが「何で食べないのですか?」と尋ねると、「ワトソン君、頭が一番回るのは空腹の時なんだ。一番その時が集中できるのだよ」と言ったんです。それで私も、食べない方が集中できるんじゃないかと思っています。まぁ、架空の人物の話なんですけどね(笑)。

この前、ショパン・コンクール第一位だったチョ・ソンジンさんと話していて、「演奏前の食事はどうされています?」と聞いたら、本番の日は、例えば19時から開演だったら、14時にランチを食べて、後は全く食べないとおっしゃっていました。そうすれば、食べ過ぎて自分の洋服が着られなくなる​心配もないし、食べると集中できないと。やはり、集中を保つためには、空腹時の方がいいとおっしゃっていました。

――やはりホームズのセリフは間違っていないわけですね。

間違ってないですね。作者のコナン・ドイルがそうなのかもしれません。音楽は、邪念に負けないように集中力をキープすることが大事だと、ダニエル・バレンボイム氏も言っていて、そのことは私もずっと意識してます。彼は、聴く立場でも同じだ、と言ってました。家でCDをかける時にも、携帯など現代の利器の電源を全て切って、その音楽に集中するんだそうです。「一番最初の音から、一番最後の音まで集中する、それが音楽を聴くということなんだ」と。おっしゃってました。やはり集中は大事だなと思います。

――なるほど、では、うどんは演奏が終わってからですね。

そうですね(笑)。あるといいけれど。

――今回のフェスで、ご自身が出演される枠以外で、気になるプログラムはありますか。

知っている方がたくさん出演されます。反田恭平さん、金子三勇士さん、實川風さんも出演されますよね。以前共演した方々と再会できるのが楽しみです。伊藤悠貴さんとは一緒にビリヤードをやりました。色々な方々に会えて、その演奏を聴けるのが楽しみです。

――会場となる赤レンガ倉庫や横浜界隈で、ご自身が行ってみたいスポットやお店などはありますか? また、お客さんに対してオススメのスポットやお店などはありますか?

私、ベイスターズが好きなんです。年に2、3回は観戦しています。今は横浜DeNAベイスターズですけれども、私はその前の横浜ベイスターズ時代からのファンです。行ってみたい場所としては、横浜スタジアムの近くで、一棟のビルが全てベイスターズショップになっている「THE BAYS」。関内にあるので、スタクラフェスからもすぐだと思います。皆さんも是非、行ってみてください!

【動画】藤田真央さんよりメッセージ


取材・文=清川永里子 写真撮影=福岡諒祠

伊礼彼方、龍真咲など【8/10(金)〜13(月)のオススメ舞台・クラシック記事】

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SPICE・8/10(金)〜13(月)オススメの舞台・クラシック記事


 

↓記事はこちらをチェック↓
▼伊礼彼方がスタクラフェスに参戦!「邪道を進んできた僕が、王道のあの曲を歌います」
https://spice.eplus.jp/articles/200272

▼龍真咲が熱唱! Kalafina“Wakana”とともに1日限りのシンフォニーコンサートに出演
https://spice.eplus.jp/articles/202818

▼平成最後の夏の思い出に全力でオススメ! 『ワンピース音宴〜イーストブルー編〜』が開幕
https://spice.eplus.jp/articles/202891

▼『八月納涼歌舞伎』開幕! 幸四郎、獅童、七之助、中車が鶴屋南北の傑作に挑む
https://spice.eplus.jp/articles/202196

▼ケラリーノ・サンドロヴィッチ×鈴木杏=“KERAのみぞ知る”新作に! KERA・MAP『修道女たち』
https://spice.eplus.jp/articles/198992

▼舞台『八王子ゾンビーズ』山下健二郎 「三代目 J Soul Brothers×鈴木おさむで化学反応を」
https://spice.eplus.jp/articles/201211

 


▽そのほかの記事はこちらから▽
舞台:https://spice.eplus.jp/articles/play
クラシック:https://spice.eplus.jp/articles/classic

学生に朗報、スタクラフェスが枚数限定“学割”チケットを発売~「STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018」

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2018年9月23日(日・祝)秋分の日、横浜赤レンガ倉庫で開催される大規模なクラシック音楽の野外フェス『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称 “スタクラフェス” )が、“学割”チケットを枚数限定で販売する。学生には朗報だ。

販売される“学割”チケットは「1日券スタンディング(学生)」¥4,800(枚数限定)。これまで「1日券スタンディング」は一般向けに¥9,800でしか販売されていなかった。

「スタンディング」と言っても、丸一日立ちっぱなしでいる必要は全然ない。芝生エリアでレジャーシート敷くもよし、そのまま寝そべるのもOKとのこと。また、ここでいう“学割”の対象者には小・中・高・大・専門学校生が含まれ、年齢制限なし、ただし当日学生証を持参することが必須となる。

さらに、既に一般券購入済みで「1日券スタンディング(学生)」購入希望の場合は、公演当日に購入済みチケットと学生証を持参すればキャッシュバックが受け付けられる(当日に持参し忘れると対象外となるので注意)。

世界的指揮者の佐渡裕が「日本のクラシック界における革命的な企画!」と期待を寄せるスタクラフェスは、会場に3つの野外ステージ「HARBOR STAGE」「GRASS STAGE」「Sunday Brunch Classic Stage(無料鑑賞ステージ)」が設けられ、午前10:30から午後8:30まで10時間にわたり繰り広げられる。反田恭平、上野耕平という注目の若手から、松下奈緒、宮本笑里、青島広志といったテレビでおなじみの面々、サラ・オレイン、NAOTO、LE VELVETSといった ジャンルを超えたアーティストたちが集結し、オーケストラを含めると総勢300名以上のアーティストが出演。「威風堂々」などクラシックの名曲から、ミュージカルの定番「レ・ミゼラブル」の楽曲など、100曲以上が演奏される。

しかも飲食自由、児童の入場も可、無料ステージも用意されるなど異色づくめのクラシック野外フェス。ここに今回、学生向けチケット「1日券スタンディング(学生)」が加わったことで、多くの人々にとってますますクラシック音楽に慣れ親しむ機会が拡がったといえるだろう。

【動画】「STAND UP! CLASSIC FESTIVAL'18」PV

 

英国ロイヤルバレエの至高の魅惑を豪華出演者が披露!「ロイヤル・エレガンスの夕べ2018」まもなく開幕

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大人気の英国ロイヤル・バレエ団の「いま」を感じたい

いま英国ロイヤル・バレエ団が熱い。もともと世界三大バレエ団の一角と目される人気・実力を誇るが、芸術監督ケヴィン・オヘアの下でレパートリーを拡充し、『不思議の国のアリス』(クリストファー・ウィールドン振付)のような世界的ヒット作も生んだ。ライブ・ビューイングも好評を博し、日本でも『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン』として定着してきた。そんなホットな名門の精鋭スターたちが東京に集い、夢の舞台を繰り広げる――。英国ロイヤル・バレエ団出身のジャスティン・マイスナーが率いるダンスツアーズ・プロダクション主催「ロイヤル・エレガンスの夕べ2018」(8月30日~9月1日)は要注目といっていい。

日本で「ロイヤル・エレガンスの夕べ」が行われるのは2012年、2014年に次いで3回目となり待ち望まれた公演だ。あまたあるバレエガラ公演と一線を画すのは、英国ロイヤル・バレエ団の伝統たるロイヤル・スタイルの精髄を存分に見せてくれる点にある。ロイヤル・スタイルについて一言で説明するのは容易ではないが、演劇的であると共に優雅で品格ある独自のスタイルといっていいだろう。繊細で奥ゆかしく、それでいて感情表現豊かな踊りは、ロシアやフランスのバレエとは違った独自の洗練とドラマ性を誇り、観るものを惹きつけてやまない。

【動画】ロイヤルエレガンスの夕べ 2018


英国バレエの伝統と現在を凝縮した魅惑のプログラム

上演予定作品を見てみよう。『春の声』、『シルヴィア』、『二羽の鳩』それぞれよりのパ・ド・ドゥ、『ファサード』よりタンゴは、英国バレエ興隆の祖のひとりであるフレデリック・アシュトンの名作で、ロイヤル・スタイルの何たるかを余すことなく伝えるに違いない。また巨匠ケネス・マクミラン作品から演劇的バレエの傑作『ロミオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ、洒落た感覚で魅せる『エリート・シンコペーションズ』よりベセーナ·ワルツを取り上げる。そして現在の英国ロイヤル・バレエ団常任振付家ウェイン・マクレガーの『レイヴン·ガール』よりパ·ド·ドゥや先般同バレエ団において31年ぶりとなる『白鳥の湖』新版の演出・追加振付を担い成功に導いた鬼才リアム・スカーレットの『With A Chance of Rain』を披露し、英国バレエの伝統と現在を凝縮して紹介してくれるのがうれしい。他にもジョージ・バランシンの珠玉の名品や意欲的なコンテンポラリーを披露。昨今さまざまなガラ公演が行われているがカンパニーのカラーや芸術性を色濃く反映したプログラムで勝負してくるのは貴重である。

百花繚乱、ロイヤル・バレエのスターたちが集結!

出演者は英国ロイヤル・バレエ団所属のトツプ・アーティストたちだ。ラウラ・モレーラ(プリンシパル)は演技派の重鎮としてファンから絶大な信頼が寄せられている。ヤスミン・ナグディ(プリンシパル)は愛らしく表情豊かな踊りが持ち味。アレクサンダー・キャンベル(プリンシパル)は爽やかな若者役がよく似合う。平野亮一(プリンシパル)は長身で見映えが良くサポートの上手さは天下一品。マシュー・ボール(ファースト・ソリスト)は才気あふれる美男で来季からプリンシパルに昇格する注目株だ。ワディム・ムンタギロフ(プリンシパル)はロイヤルを代表する貴公子の誉れ高く世界中から引く手あまた。ローレン・カスバートソン(プリンシパル)は『不思議の国のアリス』の初演キャストとして知られ絶頂期にあるプリマバレリーナだ。高田茜(プリンシパル)は卓越したテクニックと個性豊かな表現力を併せ持つ花形。リカルド・セルヴェラ(バレエマスター、元ファースト・ソリスト)は舞台を締める実力派の名手で「ロイヤル・エレガンスの夕べ」に欠かせない。そのほかジョセフ・シセンズ、カルヴィン・リチャードソン(共にファースト・アーティスト)という将来を嘱望される新鋭が参加する。

本場感を感じられる至福のバレエ鑑賞を

スタッフにも注目したい。照明を英国ロイヤル・バレエ団照明主任サイモン・ベニソンが担当することは重要事項だ。マイスナーも含め英国ロイヤル・バレエ団のレパートリーを知るベテランが帯同することによって、ロンドンはコヴェント・ガーデンにあるロイヤル・オペラ・ハウスで観劇しているかのごとき本場感を生む。英国ロイヤル・バレエ団の芸術性を多様な角度から照らし出す素晴らしき作品の数々、紛うことなき極上のダンサー陣、そして熟練スタッフたちと三拍子揃って期待は高まるばかり。至高の舞台の開幕は目前に迫る!

文=高橋森彦


實川風が『サンデー・ブランチ・クラシック』に登場 透明な音色が奏でる気品あふれる世界

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“サンデー・ブランチ・クラシック” 2018.1.28 ライブレポート

日曜のお昼時をクラシック音楽とともにゆったりと過ごす『サンデー・ブランチ・クラシック』。1月28日に登場したのはピアニストの實川風だ。これまではヴァイオリンの演奏家とともにこの『サンデー・ブランチ・クラシック』へ出演したことのある實川だが、ソロでは初登場。シューベルトやショパンといった名作曲家をはじめ、アルゼンチンのヒナステラ、自身の編曲を加えた曲など、多彩な音楽を披露した。

会場の様子

会場の様子

語りかけるような音色とワルツのリズム“ワン・ツー・メイビー(Maybe)”

1曲目はシューベルト「即興曲変ト長調 作品90-3」。實川の透明で気品に溢れた音が、ノスタルジックな味わいを漂わせる甘いメロディを奏でる。まるで何かを語りかけてくるような音色が会場に染みわたる。三連符の一音一音が優しく歌う傍ら、左手の低音部が心の深いところから、何か不安な思いを訴えかけてくるように響くのが印象的だ。

實川風

實川風

「シューベルトは優しさと淋しさが一体化したような人で、明るい曲でも明るい要素がない」と弾き終えた實川の言葉に、なるほど、と思う。

続いて演奏されたのはやはりシューベルトと同じオーストリアの、しかし陽気なウィーンを代表する作曲家、ヨハン・シュトラウス作曲『「美しき青きドナウ」による演奏会用アラベスク』だ。シュルツ=エヴラーによるピアノ編曲版で、「楽譜が真っ黒で譜面読みをする時点ですでに難しい」と實川。

實川風

實川風

冒頭、ドナウ川のさざ波のような細かいトレモロが右手で奏でられる。この部分だけで音符がどれだけ連なっているかと思わせられるが、しかし紡がれる音楽は陽気で、どこか現代風の、都会的な味わいも感じさせる洒脱なワルツだ。

實川によるとワルツのリズムは「ワン・ツー・メイビー(Maybe)」なのだそう。これは現在拠点にしているオーストリアのグラーツで演奏会をした際に現地のオーストリア人に言われた言葉で、つまりワルツの3拍子の3拍目は感覚やセンスなのだとか。どことなく都会風のテイストは實川ならではの味わいなのかもしれない。

自身のアレンジによる「トルコ行進曲」。そしてアルゼンチンへ

3曲目はベートーヴェンの「トルコ行進曲」だ。これは名ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタイン編曲版を、さらに實川がアレンジしたものだ。軽快なマーチの、しかし左手の低音が時折不思議な、しかし心地よい不協和音を響かせる。演奏後に「今日が一番いろいろと音を足して演奏した」と語った通り、厚みと奥行きが感じられた。

そして最後はアルゼンチンの作曲家、ヒナステラの『アルゼンチン舞曲集 作品2』から「年老いた牛飼いの踊り」「優雅な乙女の踊り」「ガウチョの踊り」の3曲が演奏される。「年老いた牛飼い」というタイトルとは裏腹に、曲はアップテンポ。どこかお酒に酔ってくるくると回っている元気なおじいさん、という雰囲気だ。そして「優雅な乙女」は、南米らしい極彩色の衣装をまとった美女が艶やかに舞う、そんなエキゾチックなムードが漂う。「ガウチョ」はアルゼンチンのカウボーイのこと。陽気で武骨で荒々しい男性が草原(パンパ)を馬で疾走する。若々しい力が漲るような、しかし気品も湛えたピアニスト「實川風」のもう一つの顔を窺い知ったような力強い一曲に、客席からは大きな拍手が湧き起こった。

實川風

實川風

静かな音までしっかりと染み入るショパン

アンコールはショパン「練習曲作品10第3番ホ長調」。日本では「別れの曲」として知られている名曲だ。繊細なショパンの、弱い音――ピアニシモの音が、だがしっかりと響き身体に染みわたってくる。

さらにアンコールの2曲目はドビュッシー『子供の領分』より第6曲「ゴリウォーグのケークウォーク」。黒人の男の子を模したゴリウォーグ人形の動きを題材にした、ユーモラスで、しかしどこかドラマチックな曲である。心地よい強弱のメリハリのなか、最後はコケティッシュにフィニッシュ。ウィーンからアルゼンチン、パリのサロンから印象派の世界へと移り変わり、心に染みるような、色彩に溢れたひと時であった。

實川風

實川風

2手のピアノ曲をそれ以上に聞かせる挑戦

演奏後、實川にお話を伺った。

――今回、単独では初めての『サンデー・ブランチ・クラシック』出演となりましたが、いかがでしたか。

過去に2回出ていますので、雰囲気はわかっていました。アットホームで寛げます。ホールの舞台とは違って気負いがなく、自然とリラックスして演奏を始められました。

――1曲目のシューベルトが染み入りました。

シューベルトは歌曲をたくさん書いた作曲家です。今回の即興曲は具体的な言葉はイメージしていませんが、一音一音に言葉やドラマがるようなつもりで弾きました。シューベルトは内気ですが、優しいだけの内気ではなく激しく、どこかとっつきにくいネガティブなものもあると思うんです。

――シュトラウスの、ワルツのリズムは「ワン・ツー・メイビー(Maybe)」という言葉はなるほど、と思いました。今回も意識して弾かれていたのでしょうか。

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの映像を見て、「ンチャッ・チャ」というワルツのリズムに近づけたいなと。今回はシュルツ=エヴラーの編曲にちょっとカデンツァも加えて演奏しました。

――ベートーヴェンの「トルコ行進曲」は、實川さんのアレンジということでしたが。

前半はルービンシュタインの編曲ですが、後半はほぼ自分の編曲でした。右手でメロディを、左手でリズムを取りながら、カデンツァを膨らませて、トリルで装飾を加えながら音を足していきました。これまでもこの曲はアレンジを加えて何度かやっていますが、今日が一番音を加えたかもしれません。2本の手でそれ以上のことを演奏しているかのように弾くにはどうすればいいか、それを考えるのは面白いです。リストやラフマニノフといった名ピアニストで作曲家がそういう作品を残しているので、そうした編曲の例を参考にして、またいろいろ考えていきたいと思います。

實川風

實川風

――アンコールでショパンを弾かれました。昨年ショパン集のCD『ブレイズ・ショパン』も出されましたね。

CDは出しましたが、自信満々というよりは挑戦でした(笑)。ショパンは私にとって複雑な思いが多い作曲家なんです。ずっと昔から好きなのですが、近づこうとすると逃げていく。なかなか自分で「これでいい」と思えないところがある。とても多面的なんですよね、ショパンって。例えばベートーヴェンなら喜んでいるときは徹底的に喜んでいるから、こちらも弾くときは150%喜んで弾くわけですが、ショパンは「怒っている」と思い、その気持ちに寄り添って「怒っている」ように弾いていると、「なんでそんなに怒ってるの?」って冷めた目で言われそうで(笑)。

――わかる気がします(笑)。

どこか感情表現が一筋縄じゃいかない(笑)。 ある意味とても人間的です。

――今後はどのような活動を?

これからもコンサートで演奏を続けていくことが一番大切だと思っています。人からは、フランスの作品がよいと言われたり、ドイツの作品が向いていると言われたりしますが、どの作曲家に対しても自分が演奏するからには、フラットにかつ誠実に向かい合って演奏していきたいと思います​。

實川風

實川風

取材・文=西原朋未 撮影=岩間辰徳

『スリル・ミー』、『メタルマクベス』disc2など【8/14(火)〜8/16(木)のオススメ舞台・クラシック記事】

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SPICE・8/14(火)〜8/16(木)オススメの舞台・クラシック記事


 

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▼5年ぶりに松下洸平+柿澤勇人ペアが復活『スリル・ミー』二人だけのストレート・ミュージカル
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▼尾上松也、大原櫻子、宇宙Six原嘉孝がキレッキレに熱唱!『メタルマクベス』disc2 イベント
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▼大竹しのぶ「ピアフの歌は祈りであり叫び」~『SHINOBU avec PIAF 2018-2019』プロジェクト発足
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▼『秀山祭九月大歌舞伎』中村吉右衛門が語った『俊寛』の最後にみる景色
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▼英国ロイヤルバレエの魅惑を豪華出演者が披露!「ロイヤル・エレガンスの夕べ2018」まもなく開幕
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▼林翔太(ジャニーズJr.)がピアノ&タップに挑戦、ミュージカル『Rodgers/Hart』
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▽そのほかの記事はこちらから▽
舞台:https://spice.eplus.jp/articles/play
クラシック:https://spice.eplus.jp/articles/classic

ベルリンの縁がつないだ二瓶真悠(ヴァイオリン)と酒井有彩が伝えるドイツ・オーストリーの音楽

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「サンデー・ブランチ・クラシック」2018.5.13ライブレポート

クラシック音楽をもっと身近に、気負わずに楽しもう! 小さい子供も大丈夫、お食事の音も気にしなくてOK! そんなコンセプトで続けられている、日曜日の渋谷のランチタイムコンサート「サンデー・ブランチ・クラシック」。5月13日に登場したのは、ヴァイオリニストの二瓶真悠とピアニストの酒井有彩だ。

福島県出身で5歳からヴァイオリンを始めた二瓶真悠は、東京藝術大学附属高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部器楽科を卒業し、現在ベルリン芸術大学大学院ソリストコースに在籍している新星ヴァイオリニスト。第3回横浜国際音楽コンクール第1位、第8回東京音楽コンクール第1位および聴衆賞等受賞歴も多く、数々のオーケストラと共演。ベルリンと日本を往復しながら、演奏活動を重ね研鑽を積んでいる。
一方ピアニストの酒井有彩は、文化庁新進芸術家在外研修員、明治安田クオリティオブライフ文化財団奨学生として、ベルリン芸術大学を最優秀で卒業。ヤマハ音楽振興会留学奨学生として、同大学国家演奏家コースを卒業し、ドイツ国家演奏家資格を取得した俊才。国内外のコンクールでも多彩な受賞歴を誇り、交響楽団との共演も多く2018年デビューCDのレコーディングも予定されている。

そんな二人がステージに姿を現わすと、温かい拍手がカフェを包み込み、二瓶がまず挨拶。「パリに1年半、ベルリンに10年留学していて、ピアニストの酒井さんがベルリンに3年留学していらしたので、先輩に当たります。ベルリンではすれ違いで会えなかったのに、こうして日本で共演できることになったので、今日はドイツとオーストリーの曲を演奏します」とのことで、いよいよプログラムがはじまった。

二瓶真悠(Vin)、酒井有彩(ピアノ)

二瓶真悠(Vin)、酒井有彩(ピアノ)

軽やかなモーツァルトと、クライスラーが感じたアジア

1曲目はモーツァルの「ヴァイオリンソナタ第25番より第1楽章」ヴァイオリンとピアノの協奏的な融合が特徴的な作品で、ピアノが伴奏ではなく、明らかに二重奏ソナタの楽想で創られている1曲だ。その成り立ちに相応しく、酒井のピアノの珠を転がすような軽やかな音色が、二瓶のヴァイオリンの豊かな音色を引き立てる。モーツァルトらしい明るさ、心弾むメロディーが奏でられ、クライマックスの掛け合いにも二人が互いの音楽に呼応し、セッションしているような特段の躍動感があり、見事なフィニッシュに拍手が湧きおこった。

二瓶真悠

二瓶真悠

酒井有彩

酒井有彩

二瓶真悠

二瓶真悠

その拍手の中「モーツァルトが姉のナンネールと一緒に演奏しようと作曲した曲なので、今日はお姉さまの酒井さんと一緒に演奏できて嬉しいです」と二瓶が喜びを語り、続いて2曲目はクライスラーの「中国の太鼓」。「クライスラーが中国や日本に旅した時に作曲された曲で、外国人が中国語を聞いた時の高低差、リズム感が表現されています。日本人が弾くと説得力があるね、と言われる曲です」という二瓶の言葉通り、跳躍の闊達なイメージが超絶技巧で演奏され、技術的な面白さがまず前面に出る。一転中間部ではもの悲しく、外国人の感じる東洋のエキゾチシズムがたっぷり盛り込まれたメロディーを、二瓶のヴァイオリンが滔々と歌う。再びテンポがあがり、更に重音で畳みかけ、酒井のピアノと共に駆け上るように鮮やかに演奏が締めくくられた。自身も名ヴァイオリニストだったクライスラーのヴァイオリンの面白さが詰め込まれた小品だった。

端正なハイドンから色彩豊かなブラームスへ

ここでピアニストの酒井が改めて挨拶し「30分のコンサートなので2曲終わって、もう前半が終わりましたね」と笑わせて、3曲目はハイドンの「ヴァイオリン協奏曲より第1楽章」。二瓶が小学生の頃先生に「音程が悪い、もっと練習しなさい!」と怒られてばかりいた曲でイメージが悪かった(笑)」と幼い学習者時代のエピソードを披露。「でも最近になってこんなに良い曲だったの? 何故これまで弾かなかったの?」と思い直せたそうで、知名度はそこまで高くないが是非皆さんに聴いて欲しいと、演奏がはじまった。なるほど真摯で端正なハイドンらしさにあふれた楽曲で、二瓶のヴァイオリンの正確で品位のある演奏が曲の美しさを際立たせる。メロディーが繰り返される度により豊かさが増し、伸びやかになっていくのが印象的。酒井のピアノにも礼節があり、ヴァイオリンの華麗なカデンツァが繰り広げられ、堂々と息のあった締めくくりに会場から大きな拍手が贈られた。

(右から)二瓶真悠、酒井有彩

(右から)二瓶真悠、酒井有彩

二瓶真悠

二瓶真悠

二瓶真悠

二瓶真悠

酒井有彩

酒井有彩

そしていよいよ今日のラストを飾るのはブラームスの「FAEソナタよりスケルツォ」。「FAEソナタ」シューマンが友人のディートリヒとブラームスと共に作曲したヴァイオリンソナタで、3人の共通の友であるヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムに献呈されたもの。曲名となったいる「FAE」は音楽と結婚したと言われるヨアヒムのモットー「自由だが孤独に」(Frei aber einsam)の頭文字をとったもので、ドイツ音名のF・A・Eは日本で一般的に使われているイタリア音名で言えば「ファ・ラ・ミ」になり、この音列が楽曲モチーフとなっている凝った趣向の1曲だ。現在ではブラームス作曲の、このソナタの第3楽章として書かれた「ピアノとヴァイオリンの為のスケルツォ」のみが頻繁に演奏される楽曲として残っている。ミステリアスな部分、美しさ、明るさ、また切々と迫るもの、二瓶の演奏にはすべてのメロディに芯があり、たっぷりと歌われる様が心地よい。酒井のピアノも力強く呼応し、ヴァイオリンと演奏者が一体となって音色が奏でられていることが実感できる迫力ある演奏に「ブラボー!」の歓声が飛び交った。

二瓶真悠(Vin)、酒井有彩(ピアノ)

二瓶真悠(Vin)、酒井有彩(ピアノ)

二瓶真悠

二瓶真悠

その喝采に応えて再びステージに登場した二瓶が「今日は母の日なので」とのことで、アンコールはドヴォルジャークの「我が母の教えたまいし歌」。本来は歌曲として作曲され、ソプラノ歌手がレパートリーにしていることの多い楽曲だが、クライスラーがヴァイオリンとピアノのために編曲したことによって一層著名な楽曲となった経緯があり、G線(ヴァイオリンの1番低い音を奏でる線)を使ったヴァイオリンの温かいメロディーに、ピアノの高音が美しく添う。やがてヴァイオリンのメロディーが中音域、高音域に移り、より音楽のもつ世界観が切々と訴えかけられ、ピアノも激しく呼応。最後に再び低音に戻ったメロディーが、カデンツァのように高音に駆けのぼってピア二シッシモで消えていった時には、その美しさにため息が漏れた。ヴァイオリンとピアノのデュオの美しさを再認識させてくれる時間だった。

二瓶真悠

二瓶真悠

ベルリンのゆったりとした時間の余裕に育まれて

演奏を終えた二瓶真悠と酒井有彩にお話を伺った。

ーー素晴らしい演奏をありがとうございました。今日の会場の雰囲気や、演奏していて感じたことなどから教えてください。

二瓶:皆さんお食事もされていて、食べながら飲みながら話しながら、というクラシックコンサートはなかなかないので、お客様と近い感じがしてとても弾きやすかったです。

酒井:とても集中して聞いてくださっている感じが伝わりましたよね。

二瓶:本当にすごく伝わりました! こういうステージは新鮮でした。

酒井:お客様との距離感が近いので、お顔を見ながらコミュニケーションが取れる素敵な空間だなと思いました。

ーー今日は留学先にちなんでドイツ・オーストリーの曲ということでしたが、選曲の意図はどんなところに?

二瓶:プログラムのテーマを決めるにあたって、初めはどんなものが良いかな? と思っていたのですが、ピアノを酒井さんにお願いすることになって、ベルリン芸術大学の先輩ですので、それなら! と、ドイツ、オーストリーのプログラムにしました。

二瓶真悠

二瓶真悠

ーーそうなんですよね。お二人は留学先の先輩後輩の間柄で。

酒井:でも会ったのは今回が初めてなんです(笑)。

ーーそうだったんですか?

二瓶:はい「はじめまして」です。

酒井:二日、三日前にね(笑)。

ーーということは、今回のステージのリハーサルをなさったのが初対面に?

二瓶:そうです、そうです!

ーーその偶然はまた素晴らしいですね! そんなお二人での演奏はいかがでしたか?

酒井:弾きやすいの!

二瓶:すごく上手くてびっくりして。

酒井:そんなことない(笑)。

二瓶:いえいえ!(笑)。お話は聞いていたんです。ベルリンで一緒にやっている先輩から酒井有彩という方がいらして、もう日本に帰られたのでベルリンにはいないけれども、とても上手な方だから日本に帰ったら共演できるといいよね、と言われていて。それもあって今回お願いしたら、リハーサルも私がやりたいことをサッと理解してくださるので、無駄な時間が全くなかったですね。

酒井:彼女の音楽の意志が強いので、「どうしたいのか」がすぐわかりますから、私も弾いていてとても楽しかったです。

酒井有彩

酒井有彩

二瓶:ジャズじゃないのですが、セッションが楽しいという気持ちになりました。「こうくるのか、じゃあこうしてみよう」みたいな。

ーーそういう掛け合いを楽しんでいらっしゃるな、というのは聴かせていただいていても伝わりました!

二瓶:本当ですか? 良かった! やっぱりそういう交感ができるとクラシック音楽もより楽しく聞いていただけると思います。

ーーお二人共ベルリンに留学していて、その経験というのはやはりご自身の音楽に大きな影響を与えるものですか?

二瓶:ベルリンは時間の流れが違うんです。

酒井:ゆったりしていますよね。自分の勉強にすごく集中できるというか、自分の音楽だけに没頭できる時間があって。東京はだからこそ活気もあるのですが、ちょっと忙しい感じがあって、あれもこれもしなきゃ! と思ってる間に1日が過ぎていくので。

二瓶:向こうは「シエスタ」と言って平日でも午後1時~3時には音を出してはいけない、と決まっているんです。そういう時間を楽しむ余裕もあるし、首都ですが緑もたくさんあって小鳥の声も美しいんです。そんな余裕や、豊かな心はクラシック音楽を学ぶ中で絶対に影響があると思います。

酒井:あとはやはり言語ですね。言葉が音楽と直結しているので、そこからインスピレーションを得るものも多かったです。

ーーそうした素晴らしい環境の中で研鑽を積んでいらして、今日のドイツ・オーストリアの演奏曲の中で特に思い入れの強いものなどはありますか?

酒井:私は今日のプログラムのモーツァルト、ハイドンの曲は今回が初めてだったんです!

二瓶:えっ!? そうだったんですか? とてもそうは聞こえなかった!

酒井:2週間前にプログラムを聞いてからさらったの(笑)。

二瓶:あー! すみません!(笑)。でもモーツァルトなどはどんどん引っ張っていってくださるから、まさか初めてとは! ブラームスと「中国の太鼓」は?

酒井:ブラームスは何回か弾いたことがあって、「中国の太鼓」はアンコールで。

二瓶:わぁ、もう本当にありがとうございました! 私の思い入れとしてはやっぱりハイドンはレッスンでいつも怒られていた曲だから(笑)、怒られた曲は弾きたくないな(笑)、と思っていたのですが、ベルリンにいると本当にたくさんのソリストたちが演奏にきて。その方達の演奏を聴いて「私の知ってるハイドンじゃない!」と思い、せっかくベルリンにいるんだからもう1回勉強しようと思ったんです。それで今回協奏曲はこういう場ではあまり弾かないのですが、弾いてみようと思いました。

(右から)二瓶真悠、酒井有彩

(右から)二瓶真悠、酒井有彩

ーーそうですね。こうしたコンサートの場ではそれほど多く演奏されている曲ではないかな? と思うので、お客様も新鮮にお聞きになったのでは? と思います。今、勉強もされながら演奏活動をされている中で、今後の活動への夢や目標などはありますか?

二瓶:目標としてはまだドイツで勉強が足りないところがあるので、まだまだ勉強は続けたいのですが、今悩んでいるのはこのままドイツにいるのか、日本に帰るのかということです。ピアノと違ってヴァイオリニストはオーケストラに所属するということがあるので、日本にはヨーロッパに劣らない素晴らしいオーケストラがたくさんありますから、それも魅力ですし、でも今ドイツにいますから身近に言えばベルリンフィルハーモニーなどがあるので、機会があるならドイツで働いてみたいという気持ちもありますね。

ーー酒井さんは日本に戻るという選択をされた訳ですが、今後については?

酒井:私は留学していた時にはほとんどソロ演奏のコンサートをやっていたんです。室内楽を集中的にさせて頂く機会が増えたのは日本に帰ってきてからで、デュオもありますが、どちらかと言えばトリオ、カルテット、クインテットが多く、この1年本当に多くの室内楽を勉強させていただきました。それによって楽譜の見方もすごく変わりましたし、ピアノは打楽器なので、シンプルで簡単なフレーズを弾くのがすごく難しかったりもするんです。弦楽器の方だと横の流れで綺麗にフレーズが作れるのですが、ピアノはそれが難しくて。

ーーピアノは伸ばした音にクレッシェンドがかけられない楽器ですものね。

酒井:そうなんです。そのシンプルなフレーズを美しく歌うということで、室内楽からたくさんの刺激を受けていますし、今までは室内楽を練習していても自分のことが頭を占めていたのですが、今ではヴァイオリンの弓はこうくるのか、とか、チェロとベースがが重なるからここのピアノは完全にサポートに回った方が良いとか、ここのベースはピアノだけだからしっかりと支えなければとか、全体像を見るようになって。それによってソロで演奏をする時にも楽譜の見方が変わりましたので、これからもソロと室内楽を並行してやっていきたいと思っています。今年初めてのCDを録音するので。

二瓶:(拍手)

酒井:来年の1月発売なのですが、頑張ろうと思っています。

ーーこういう先輩のお話にも刺激を受けるでしょうね!

二瓶:はい、本当に! 今日はそういう意味でも一緒に演奏ができてとても嬉しい時間でした。これからもよろしくお願い致します!

酒井:こちらこそ!

ーーお二人のご活躍を楽しみにしています。またサンデー・ブランチ・クラシックにもいらしてください!

二瓶:是非伺いたいと思います! 頑張ります!

(右から)二瓶真悠、酒井有彩

(右から)二瓶真悠、酒井有彩

取材・文=橘 涼香 撮影=岩間辰徳

新国立劇場バレエの超話題作『不思議の国のアリス』~必読!ダンスみどころガイド by 高橋森彦

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2018年11月に新国立劇場バレエ団が新制作する『不思議の国のアリス』(Alice's Adventures in Wonderland)は老若男女の皆々様すべてにお勧めしたい舞台だ。2011年にクリストファー・ウィールドンが英国ロイヤル・バレエ団に振付し、欧州や北米でもヒットした話題作である。ルイス・キャロル原作の児童文学を新たにバレエ化するに際し、台本のニコラス・ライトは主人公アリスの年齢を下げ「少女アリスが夢の中で体験する恋と冒険の物語」として世代を超えて深く楽しめるようにした。大量の打楽器を駆使した流麗で心の琴線に響く音楽(ジョビー・タルボット)やヴィクトリア朝時代の風物を鮮やかに蘇らせた舞台美術・衣裳(ボブ・クロウリー)、繊細で色調豊かな照明(ナターシャ・カッツ)等も充実し芸術性とエンターテインメント性が響きあう英国発の新時代のバレエが誕生したのだ。ここではダンス面を中心に魅力をご紹介しよう。

Alice in Wonderland. Nehemiah Kish as the Knave of Hearts, Yuhui Choe as Alice.  ©ROH, 2014. Photographed by Bill Cooper

Alice in Wonderland. Nehemiah Kish as the Knave of Hearts, Yuhui Choe as Alice. ©ROH, 2014. Photographed by Bill Cooper

ウィールドンはイギリス生まれで英国ロイヤル・バレエ団に入って踊ったのち米の名門であるニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)に移籍した。若くして振付家に転身し、NYCB、ボリショイ・バレエなど世界有数のバレエ団に作品提供する。彼の創造の原点には英国バレエの演劇的英知とNYCBでジョージ・バランシンやジェローム・ロビンズの傑作を踊って感得した豊かな音楽性があるように思われる。ミュージカル『パリのアメリカ人』(2019年1月に劇団四季が日本初演)では2015年のトニー賞振付賞を受賞しており、いま最もホットな舞台人の筆頭格なのは確かだ。『不思議の国のアリス』はウィールドンの才能が存分に発揮された快作であり、英国ロイヤル・バレエ団における再演の度に完成度を高めてきた(初演は2幕構成だったが後に3幕構成に改訂された)。振付のベースはバレエだが、ステージダンスやコンテンポラリーダンスのテイストも織り交ぜた自在な作舞が特徴だ。

Christopher Wheeldon OBE

Christopher Wheeldon OBE

Alice's Adventures in Wonderland. Artists of The Royal Ballet  ©ROH, 2013. Photographed by Johan Persson

Alice's Adventures in Wonderland. Artists of The Royal Ballet ©ROH, 2013. Photographed by Johan Persson

具体的に見ていこう。第1幕はガーデンパーティから不思議の国への旅をプロジェクションマッピングや小道具も駆使してテンポよく進めるが、第2幕、第3幕は踊りの見せ場が続く。ポイントはアリスとハートのジャックのパ・ド・ドゥ。第2幕でアリスは現実世界で庭師だったジャックと不思議の国で再会し喜び合う。耳に残るテーマ曲と共に高々としたリフトもしながら踊り高揚感が爽やかに伝わる。第3幕ではジャックがハートの女王のタルトパイを盗んだ疑いで裁判にかけられるが、そこへアリスが助けに入り二人で踊って絆が深まる。ここでもバレエをベースに洗練された感覚で二人の感情を導き出す振付の妙に注目したい。全3幕を通してアリスとジャックの関係性という縦糸を用意し、相互の心の機微も伝わるので、アリスの恋と冒険に深みが増した。

©ROH, 2011. Photographed by Johan Persson

©ROH, 2011. Photographed by Johan Persson

©ROH, 2014. Photographed by Bill Cooper

©ROH, 2014. Photographed by Bill Cooper

Alice's Adventures in Wonderland. Vadim Muntagirov as The Knave of Hearts. ©ROH, 2014. Photographed by Bill Cooper

Alice's Adventures in Wonderland. Vadim Muntagirov as The Knave of Hearts. ©ROH, 2014. Photographed by Bill Cooper

客席を大いに沸かせるのがハートの女王である。大きな大きなハートのスカートを付けた女王様は貫禄十分。第3幕で古典バレエの名作『眠れる森の美女』で可憐なオーロラ姫が4人の王子と共に初々しく踊るローズ・アダージョよろしく4人の君臣を相手に踊るが、必死の形相をしてふてぶてしく、それはそれは滑稽で抱腹絶倒すること間違いなし。女王と現実世界のアリスの母親を同じ演者が演じており、キョーレツな存在感を放つ女王と気が強くジャックをクビにした憎らしい母親の姿が被るのも痛快である。

Alice in Wonderland. Zenaida Yanowsky as the Queen of Hearts.  ©ROH, 2011. Photographed by Johan Persson

Alice in Wonderland. Zenaida Yanowsky as the Queen of Hearts. ©ROH, 2011. Photographed by Johan Persson

一風変わったお茶会の場面に現れるマッドハッターが踊るタップダンスも面白い。これは初演者であるスティーヴン・マックレーがタップを得意としていたことからウィールドンが取り入れた。マックレーが繰り出す足さばきはキレッキレで「バレエダンサーがタップを踊ってみました」といったシロモノではない。しっかりと地面と対話しながらリズミカルに踊りカッコよく魅せる。マックレー以後同役に選ばれた人はタップの特訓を受けなければいけなくなったそうでダンサー泣かせだが、上手く踊れば拍手喝さいを浴びるおいしい役柄なのだ。

それ以外にも『不思議の国のアリス』ならではのキャラクターを表したダンスの数々を楽しめる。なかでも出色はイモ虫で、男性のソリストと女性の群舞がうねりのある動きを柔軟に妖しく踊って惹きつけられる名場面。そしてチェシャ猫の扱いには舌を巻く。顔、胴体、尻尾といった部位が闇の中で青白く発光してうごめき、変幻自在に姿を表したり消したりする様子は絵本から飛び出してきたかのよう。黒子が各部位を持って動かしているのだが、これも素晴らしい「振付」だと称えたい。プロジェクションマッピングのような新しい演出方法だけでなくパペットを人が動かすといった古典的技法も自在に用いながらバレエ=舞踊劇を豊かにしている。原作の特徴である「言葉遊び」の代わりに多彩なダンスによって心浮き立つようなファンタジーを躍動させるウィールドンの手腕に脱帽するほかない。

Alice's Adventures in Wonderland. Eric Underwood as the Caterpillar with Artists of The Royal Ballet. ©ROH, 2013. Photographed by Johan Persson

Alice's Adventures in Wonderland. Eric Underwood as the Caterpillar with Artists of The Royal Ballet. ©ROH, 2013. Photographed by Johan Persson

Alice's Adventures in Wonderland. Sarah Lamb as Alice (c)ROH, 2011. Photographed by Johan Persson

Alice's Adventures in Wonderland. Sarah Lamb as Alice (c)ROH, 2011. Photographed by Johan Persson

新国立劇場バレエ団が2018/2019シーズンの開幕作品としてオーストラリア・バレエ団との共同制作により『不思議の国のアリス』を上演するのは時宜にかなっている。同バレエ団はクラシック・バレエをきっちりと踊れるダンサーが揃う大バレエ団として定評があり力に不足はない。そして近年フレデリック・アシュトンの『シンデレラ』、ケネス・マクミランの『ロメオとジュリエット』、ピーター・ダレルの『ホフマン物語』、デヴィッド・ビントレーの『アラジン』といった英国の物語バレエの作品群に挑み表現力も高めてきた。アリス/ハートのジャックを米沢唯/渡邊峻郁、小野絢子/福岡雄大が務めるが、他の役柄を踊る気鋭たちの好演も期待できる。この秋の舞台芸術界最大の呼び物の一つなのは間違いないだけに見逃す手はない。

米沢 唯/小野絢子/渡邊峻郁/福岡雄大

米沢 唯/小野絢子/渡邊峻郁/福岡雄大

ハートのジャック ©Yusuke Nishimura

ハートのジャック ©Yusuke Nishimura

白ウサギ ©Yusuke Nishimura

白ウサギ ©Yusuke Nishimura

ハートの女王 ©Yusuke Nishimura

ハートの女王 ©Yusuke Nishimura

文=高橋森彦

【動画あり】細川千尋「このフェス、楽しすぎるでしょ!」~『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』<What’s “スタクラフェス”?>

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<What's “スタクラ フェス”?> Artist Close-Up 細川千尋


来たる2018年9月23日(日・祝)秋分の日、『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称 “スタクラフェス” )が、横浜赤レンガ倉庫の特設会場にて開催される。会場には3つの野外ステージ(HARBOR STAGE/GRASS STAGE/Sunday Brunch Classic Stage)が設けられ、午前10:30~午後8:30まで10時間にわたり、気鋭の演奏家たちにより、クラシックのよく知られた名曲からオペラ、ミュージカルの名曲、さらにはスタジオジブリの音楽まで、多種多様なプログラムが繰り広げられる。クラシックのコンサートといっても決して堅苦しいものではなく、屋外で潮風を感じながら、食べたり飲んだり、時には寝そべりながら、多様な音楽を気軽に楽しめるのが、このフェスの特徴だ。もちろんここでは児童の入場も可だ。

この新しいタイプの野外クラシック音楽フェスのSunday Brunch Classic Stageに、細川千尋ジャズトリオが登場する。細川は、2013年、スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバル・ソロ・ピアノ・コンペティションにて、日本人女性初のファイナリストとなるなどのソロ活動に加え、各地のジャズ・フェスティバルへの出演や、オーケストラとの共演など幅広いジャンルの演奏活動を国内外で行い、高い評価を得ているピアニスト・コンポーザーだ。クロスオーバーなオリジナル曲とトークも交えたソロ・ピアノコンサートが人気の一方、近年は細川千尋ジャズトリオとしての活動も活発で、9月28日(金)には大阪のザ・シンフォニーホールで「CLASSIC×JAZZ」のライブにも挑む。そんな細川に、スタクラフェスについて話を聞いた。

細川千尋

細川千尋

──スタクラフェスの話を最初に聞いた時、このイベントに対してどのようなイメージを抱きましたか?

「楽しすぎるでしょ!」と思いました(笑)。よくお名前を拝見するアーティストの方々が、これだけ一堂に会することって、なかなかないのではないか?と思いました。だから、このお祭りは楽しいに違いないと。

──屋外での演奏経験はおありですか?

いえ、外で演奏するのは今回が初めてなんです! ですからそれも楽しみですし、きっと屋内とは全く違う開放感があるでしょうし、鳥の声なども一緒に入ってきてくれたらいいなぁと思っています。

──「スタクラフェス」は新感覚のクラシック音楽フェスティバルですが、ジャズトリオとしては、ここでどういうプログラムを演奏したいですか。

やはり野外のクラシックフェスという初の試みであり、とても意義のある大きなイベントなので、私たちはジャズトリオですが、クラシック曲を中心にアレンジしたものをお届けする予定です。お客様は、きっとクラシックをよく聴かれる方がたくさんいらっしゃると思いますから、そういう方々にもクラシックからジャズへと抵抗なく入ってきていただけるようなプログラムにできたらいいなと思っています。

──演奏者/観客の立場を超えてこの野外フェスで楽しんでみたいこと、また気になるプログラムはありますか?

普段コンサートホールやライブハウスにはまだ入場できない年齢のお子さんも今回のフェスには沢山いらっしゃると思うので、そこがすごくいいなぁと思います。ジブリもあり、アニメもあり、世界まるごとクラシックもあり、どれもすごく素敵ですよね! うーん、どのプログラムも気になります! ここは一つに絞るのではなくて、どれも全部気ままにつまみ食いしたいですね(笑)。そういえば、実際に飲食しながら聴けるスペースもあるんでしょう? これは本当に楽しいに違いないです!

──出演なさるアーティストの方々が皆さん「心配なのは、自分がビールを飲む時間があるのか?だ」と言ってますね(笑)。

あぁ、それわかります!(笑) でも夕方だったら私の出番が終わっていて絶対大丈夫だと思うので(笑)、ビール片手に他の方の演奏を聴きたいと思います!

──会場となる赤レンガ倉庫や横浜界隈で行ってみたい、またお客様におススメしたいスポットやお店などはありますか?

横浜赤レンガ倉庫にはジャズのライブハウス「モーション・ブルー・ヨコハマ」があるのでよく行きます。横浜って空気がいい感じがするし、朝の日の出も夜の夜景も綺麗なんですよね。初日の出を見に行ったこともありますよ! 広々とした感じがすごく気持ちよいので、界隈を散策しながら素敵な音楽も聴く一日にしていただけたらいいんじゃないかな、と思います。

──では、最後にお誘いのメッセージをお願いします。

著名なアーティストの方々が色々なことをしてくれる、ジブリあり、アニメあり、オペラからミュージカルありですし、夕暮れにはGRASS STAGEで「プレミアムサンセット~キャンドルを灯して~」という目にも美しく楽しめる一日になると思います。私自身も初めて外で演奏させていただくことも楽しみですし、私たちにとっても色々なアーティストの方達との出会いの場ともなると思いますので、色々な意味で楽しみにしていますし、お子様方も気兼ねなくピクニック感覚でお越しいただけたら、と思います。

【動画】細川千尋さんよりメッセージ


取材・文=橘凉香  撮影=鈴木久美子

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