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ベルイマン『秋のソナタ』のオペラ化舞台や、アルヴォ・ペルト&ロバート・ウィルソンのドキュメンタリーをBSで放送

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NHK BSプレミアムの舞台芸術紹介番組「プレミアムシアター」で7月8日(日)深夜24時=7月9日(月)午前0時より、フィンランド国立歌劇場による歌劇『秋のソナタ』、イングマール・ベルイマン 振付家の目を通して、ドキュメンタリー「失われた楽園」~作曲家アルヴォ・ペルト80歳~の3プログラムが放送される。

■フィンランド国立歌劇場 歌劇『秋のソナタ』(全2幕)

今年2018年はスウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマン(1918年7月14日~2007年7月30日)の生誕100年。北欧スカンディナヴィア半島でスウェーデンに隣接するフィンランドの国立歌劇場がベルイマンの代表作の一つ『秋のソナタ』をオペラ化した。作曲は現代フィンランドを代表するコンポーザーであるセバスチャン・ファーゲルルンド(1972年~)。ファーゲルルンドは色彩感豊かな楽曲作りで定評がある。

ベルイマン監督による原作映画は国際的なピアニストの母娘の葛藤を描いた心理ドラマで、奔放な母役をイングリッド・バーグマンが、娘役をリヴ・ウルマンが演じた。今回のオペラ版では母役をアンネ・ソフィー・フォン・オッター、娘役をエリカ・ズンネガルドという、いずれもスウェーデン出身の著名歌手が歌う。演出はフランス出身のオペラ演出家ステファン・ブラウンシュヴァイクが務める。

フィンランド国立歌劇場 歌劇『秋のソナタ』

フィンランド国立歌劇場 歌劇『秋のソナタ』

■イングマール・ベルイマン 振付家の目を通して

2016年にスウェーデン北部のベルイマンの自宅があるフォーロー島にアレクサンダー・エックマン、ポントゥス・リドベルイ、ペル・イスベルイ、ヨアキム・シュテフェンソンの振付家4名が訪れ、イングマール・ベルイマン・Jr.らの協力を経ながら、それぞれがベルイマンへのオマージュ作品を創る過程を追ったドキュメンタリー映像。

「イングマール・ベルイマン 振付家の目を通して」

「イングマール・ベルイマン 振付家の目を通して」

■ドキュメンタリー「失われた楽園」~作曲家アルヴォ・ペルト80歳~

アルヴォ・ペルト(1935年から)はエストニア出身の世界的作曲家。東方教会の典礼音楽やルネサンス音楽などの影響を受け、簡素な和声と反復によって深遠さを極めていく「ティンティナブリ様式」と呼ばれる作風を1970年代に確立、現代音楽の世界に一大旋風を巻き起こした。

「失われた楽園」はペルトが80歳になった2015年に密着取材を敢行した貴重なドキュメンタリー映画だ。エデンの園を追放されたアダムとイヴの物語を、ペルトとアメリカの著名舞台演出家ロバート・ウィルソンが共同で創作したミュージックシアター『アダムの受難』の制作過程を中心に収めた。エストニア、日本、ヴァチカンへの追跡取材もおこなわれ、作曲家のソフィア・グバイドゥーリナやヴァイオリニストのギドン・クレーメルなどが出演している。

ドキュメンタリー「失われた楽園」~作曲家アルヴォ・ペルト80歳~

ドキュメンタリー「失われた楽園」~作曲家アルヴォ・ペルト80歳~


至高のサックスが奏でる、上野耕平のバッハ 『上野耕平のサックス道! Vol.2』ライブレポート

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サックスと聞くと、皆さんどんな音楽を思い浮かべるだろうか。一番思い浮かべやすいのは、やはりジャズ。Take Five等の有名なジャズの曲は多い。そして弾き方はどうだろうか。ピアノや色々な楽器とのコラボレーション等の演奏形態を思い浮かべるだろう。しかし今回の演奏会の曲目は全曲バッハ。奏者は一人だ。伴奏も誰もいない。それだけにサックス奏者の力量が試されるような演奏プログラムだ。

その演奏を一人で担うのは、サックス奏者の上野耕平だ。上野が真剣勝負する意気込みが伺えた、2018年6月8日(金)浜離宮朝日ホールにて行われた『上野耕平のサックス道!Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』での演奏は、一体どんなものになるのだろうか。サックスでバッハを演奏する。それは言葉では簡単に言えるが、並大抵の努力や技術ではできない。上野も今回の演奏会を成功させるために、かなりの苦労と努力をした事だろう。そんな上野の真剣勝負をライブレポートしてきた。

サックスでバッハを? と驚いた人も多かったのではないだろうか。なぜならばバッハが生まれた1685年にはサックスは誕生していない。サックスが誕生したのは1800年代。サックスが楽器としての特許が認定されたのが1864年なので、その年をサックスが誕生した年だと考えると、バッハが生まれた時とサックスの誕生との差は約200年。それだけでも異色の取り合わせだという事がわかるだろう。そのバッハの曲をサックスが演奏するのだから、どんな音でどんな風に演奏するのかは開演前には想像がつかなかった。

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

開演前

開演前には舞台にたった一脚の椅子。その他には何もない。その椅子は中央に置かれ、しかも客席に向かって少し斜めに置いてある。

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

そう、まさにサックスだけのための演奏会が始まる事が、まだ演奏は始まっていないが客席にはその事が伝わって来ていて、ザワザワしている中でも、何か特別な事が始まるような期待感が椅子一脚から伝わってきていた。

第一部 無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV1007

開演と同時に上野が手にして出てきたのはバリトンサックスだ。良く見るアルトサックスを思い浮かべていた人は、その大きさにちょっとビックリしただろう。
そして、少し意外だったのが、サックスなのに音はチェロに近い。なぜかと思ったら、このバリトンサックスとチェロは最低音が同じだという。よくBGMなどに使われるこの曲のアルペジオはチェロとは違い、サックスの持つ独特の華やかさで、無伴奏チェロ組曲の新しい一面を見た気がした。

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

休憩

今回驚いたのは、休憩時間に次回の「上野耕平のサックス道!Vol.3」のチケットを買う行列の長さだ。休憩時間になるのと同時に、皆、小走りにロビーに出て行き、どうして走っているのだろうかと思っていたら、ロビーに長い列が出来ていた。まだ今回の演奏の一部が終わったばかりなのに、もう次の演奏会のチケットを購入しているのだ。それだけ、上野のサックスに惚れ込んでいるファンが多い事が伺えた。

第二部 無伴奏フルートのためのパルティータイ短調BWV1013

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』


『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』


『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

次に上野が持って出てきた楽器はソプラノサックスで、遠くで見ると一見、金色のリコーダーの様な楽器だ。この曲は舞曲であり、妖精のダンスを想像させるような軽快な高音が続く部分が多いが、全体的には教会の高い天井の空間をいっぱいに響かせて演奏しているようなバッハらしい曲だ。フルートで演奏するのでもブレスが難しいというこの曲を、ソプラノサックスで演奏してしまう上野ブレス使いの上手さに、「一体、どんな肺を持っているんだろうね。」と小声で話していた隣席の客達の言葉に誰もが頷く事だろう。

 

第三部 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004

 

ここで本来良く見るサックスを持って出てきた上野は、さらに真剣な表情になっていた。それもそのはず、この曲はこの演奏会での一番の難関と言っても良いだろう曲だからだ。上野自身もパンフレットに「今回死ぬほど苦労した曲」と書いてあるように、まさに超絶技巧! 高音域もサックスの限界音になっており、技術の高い上野だからこそ表現できるこの曲を、客席は息を飲んで聴き入っていた。

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

『上野耕平のサックス道! Vol.2 上野耕平無伴奏サクソフォン・リサイタル』

アンコール

鳴り止まない拍手とアンコールの期待。しかし上野が再び舞台に現れた時にはサックスは手に持っておらず、アンコール曲は一曲も弾かなかった。しかし、それも凄く潔いと思えた。アンコールでは普通、皆が良く知っているような曲を演奏する事が多いが、あまりにメインプログラムと違う曲を弾くと、メインの印象が薄くなる事も多い。それゆえに、上野のアンコールをしないという今回のスタンスは、「私はバッハに全力を尽くしました。今回はバッハのみです」という、上野らしいストイックなメッセージにも受け取れた。アンコールがない。それは返って上野のバッハを更に印象付けたのだった。

演奏会が終わって

実は普通のバッハのコンサートというのは、少なからず眠気を誘う。バッハのコアなファンならばまだしも、クラシックにあまり詳しくない人等は、まず開演直後から寝ている人もいるという印象が強い。しかし今回の演奏会は、全曲バッハだったのにもかかわらず、周りを見ても誰一人として眠気に誘われている人はいなかった。そして、さらに印象深いのは、10歳ぐらいの男の子が、前のめりになる勢いで食い入るように聴いていたのだ。

間違いなく、今回の客席は何かが違う。皆、上野の演奏の素晴らしさを既にもうわかっていて来ている人ばかりなのだという事を実感した。それだけ、上野の演奏には何かある! 神に愛される音とはこういう音なんじゃないかとさえ思えたぐらいだった。それは、サックスとバッハに取り組む、上野の音楽家としてのまさに真剣勝負な本物のストイックさが表れているのではないだろうか。それほどに観客を魅了していた演奏会だった。

この冬、この演奏会のシリーズの『上野耕平のサックス道! Vol.3』が行われる。今回の観客の熱さ、そして、チケットを求めての長蛇の列を見る限りでは、次公演のチケットは間違いなく入手困難になるであろうことが予測されるので早めの購入をお勧めする。

取材・文=エリザベス 撮影=岩間辰徳

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“大人可愛い”ダンスで誘う「秘密の旅」 音楽家・コシミハルが贈るバレエ特別公演の見どころとは

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“大人可愛い”をコンセプトに観客を「秘密の旅」へ誘う、コシミハルが贈るバレエ特別公演が7月18〜19日に開催となる。本特別公演「フォリー・バレリーヌ『秘密の旅』」は、幅広い世代を対象にバレエ鑑賞普及啓発の一助となすことを目的として企画・制作されており、開幕に先立ってコシミハルが作り上げる世界観と公演の見所が公開された。


■パリの華麗なミュージックホールのイメージ

 数百年にわたって人々を惹きつけるクラシック・バレエのエネルギーは、伝統に各時代の香りを加えて育まれます。名門パリ・オペラ座バレエ団でも、新たな試みがレパートリーを耕してきました。一例をあげるなら、2007年にドイツから現代舞踊の振付家サシャ・ヴァルツを招いたベルリオーズ作曲『ロミオとジュリエット』。大きな装置が動く舞台は、クラシックとコンテンポラリー・アートと歌劇が融け合い、見ごたえも聞きごたえも充分でした。現在の芸術監督オレリー・デュポンが初演で主役を務めた同作は、今春も上演されます。

コシミハル

コシミハル

 2018年7月に渋谷で始まる「フォリー・バレリーヌ」シリーズにも、未知の花が咲く可能性が宿ります。複数のカンパニーからバレリーナ8人が集う、シリーズ第一弾『秘密の旅』の芸術監督は音楽家のコシミハル。

 この就任を知ったとき脳裏に浮かんだのは、90年代後半からコシミハルが演出と振付を担った「ミュージックホール」。音楽家とダンサーによる蠱惑的(こわくてき)な舞台です。聴きなれた曲がコシミハルの歌と演奏を通して変貌するダイナミズムには、独特の解釈を観客に目から伝える舞踊も貢献。詩情、ユーモア、上品なエロティシズムをたたえた振付には、クラシック・バレエとジャズダンスを学んだ経験も役立ったようです。

「フォリー・バレリーヌ」というタイトルはパリのミュージックホール、フォリー・ベルジェール(Folies Bergere)を想起させます。1869年から続く大人の社交場のポスターは、ロートレックも描きました。マネの「フォリー・ベルジェールのバー」(1882)には、中央に立つ女性の背後の鏡に観客たちが映ります。チャップリンやジョセフィン・ベーカーが立ったステージでは、私が訪れた20世紀末の宵も華麗なレビューが繰り広げられました。

 恋愛ミュージカル映画『フォリー・ベルジェール/邦題:巴里の不夜城』(1956、アンリ・ドコアン監督)の、大階段を使うフィナーレで輝くスター役はジジ・ジャンメール。ボーイッシュな個性を映画でも舞台でも生かした振付家は、公私にわたるパートナーのローラン・プティ。ジジと同じくパリ・オペラ座の出身で、クラシックを学んだ後に多彩なアーティストと交流し、陰影に富む文学的作品も、軽快なエンターテインメントも成功に導きました。

 前者の代表はジャン・コクトー台本『若者と死』(1946)。ルドルフ・ヌレエフが「死神と化す恋人」の役にジジを望んだ映像作品(1966)では、貧しい画家役のヌレエフが椅子を使う動きも素晴らしい。後者の代表はフレッド・アステアとレスリー・キャロンが組んだ『足ながおじさん』(1955、ジーン・ネグレスコ監督)。
 

■年齢も性別も超えたスタイルを支える、洗練された美意識

 幅広い作品を手掛けたプティを敬愛するコシミハル自身も、型にはまらないスタイルが身上です。本当に好きな音楽を求めテクノ・ポップ、歌曲、ジャズ、シャンソンを探究した歌声は変幻自在。澄んだボーイソプラノ、郷愁を運ぶビッグバンド、甘くささやくクルーナー……。

 超絶技巧が飛び出す『ブン』(1938、シャルル・トレネ作詞・作曲、鈴木創士訳、『シャンソン・ソレール』1995収録)では、時計の針や羊の声、鳥のさえずりに驚かされます。この曲を歌い踊る舞台は、抜群のリズム感で身体を弾ませる振付も相まってスリリング。細いビロードのチョーカーを首に巻き、パリ製コルセットでウエストを締めた華奢な姿態が、リスさながらのすばしこさで跳ね回るのです。

 さて、ここで『秘密の旅』の内容を、少し明かしましょう。コシミハルのオリジナル、ジャズ、シャンソン、フランス近代音楽を連ね、曲ごとに物語がつきます。コシミハルの歌とダンスが披露されるのは『キャラメル・ムー』(意味はフランス風の柔らかいキャラメル、『オートポルトレ』1998収録)。複雑な音の波に乗るパフォーマンスはりりしく、ふとコケティッシュな表情がのぞくと、両性具有の存在に見えます。

 いっぽう、森に立つ廃墟の庭園で双子が遊ぶ『忘却の庭』(『覗き窓』2008収録)は、幽霊が子供たちを操るジャック・クレイトン監督『回転』(1961)に似た、ミステリアスな雰囲気。

 アルバム未収録のサティ作曲『最後から2番目の思想』は、コシミハルがピアノを弾きます。大人を真似て戯れる目隠しした姉妹には、サド侯爵の小説の人物や、ピンナップ・ガールのベティ・ペイジの面影が。抑圧された願望もにじむ『秘密の旅』は、観客の胸の奥に潜む思いを解き放つ道でもあるのでしょうか?

 最後に本公演のキーワード「大人可愛い」について。可憐さと怖さを合わせもつ世界を創るアーティストが、芸術監督に選ばれた理由は、おそらくヴァラエティに富む作品群を貫く心意気。そのスピリットは悲しい歌でも感傷に溺れず距離をとる、「いきな表現」の源です。

 どんな痛みも胸に納め颯爽とふるまう強さも、洗練された「大人」の条件。影や毒も含む美意識から生まれる「大人可愛い」ダンスを巡る、『秘密の旅』の開始は目前です!


文=桂真菜(舞踊・演劇評論家)

稲垣吾郎が天才・ベートーヴェンの足跡を辿る特別番組が、BS-TBSにて7月22日(日)朝10時から放送

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音楽史上、極めて重要な作曲家の一人といわれる楽聖ベートーヴェン。2015年、ベートーヴェンの半生と偉大なる名曲「交響曲第9番」誕生の感動を描き、喝采を浴びた舞台『No.9ー不滅の旋律ー』。傑作と称される本公演が、2018年11月11日(日)~12月2日(日)TBS赤坂ACTシアターにて再演される(その後、大阪、横浜、久留米を巡演)。本公演、そしてベートーヴェンの魅力をたっぷり伝える特別番組『稲垣吾郎“運命”に出会う。 ~ウィーン ベートーヴェンの旅~』 がBS-TBSにて7月22日(日)朝10時から放送される。

ベートーヴェンとは一体どんな人物だったのだろうか? 本番組では、舞台『No.9ー不滅の旋律ー』でベートーヴェンを演じる稲垣吾郎が、ベートーヴェンが生涯の多くを過ごした<ウィーン>で天才の足跡を辿る。ゆかりのある場所を巡ることは、ベートーヴェンの魂の軌跡をなぞる旅にもなる。

例えば、ベートーヴェンが 1805年に初のオペラを演奏したアン・デア・ウィーン劇場、現存するその古くて荘厳な劇場を訪ね稲垣200年前に思いをはせる。はたまた、ベートーヴェンが3年間生活していた(ウィーンから車で 1 時間ほどの保養地)バーデンの家を訪ね、ベートーヴェンが使用していた本物のベッド、実際の洋服、その部屋を見る。そして、ベートーヴェンが遺書を書いた場所のハルゲンシュタットも訪ねる。そこから垣間見える、天才の姿……一方、傲慢で偏屈な激情家としても知られていたベートーヴェン、耳が聞こえなくなった作曲家は、いかにして数々の名曲を誕生させたのか? 遺書に記された天才の絶望と歓喜とは……? 稲垣吾郎が知られざる“人間ベートーヴェン”の魅力に迫る。
さらに、聞けば聞くほどベートーヴェンのスゴさがわかる、気鋭のピアニスト・清塚信也と日本を代表する指揮者・佐渡裕がベートーヴェンの音楽の魅力に迫るウィーンで行われたスペシャル対談も必見だ。舞台『No.9ー不滅の旋律ー』が観たくなる特別番組に期待だ。

新国立劇場「こどものためのバレエ劇場 シンデレラ」~細田千晶&奥村康祐ペアが魅せた「こどもの想像力を超えた感動を」

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7月21~24日、新国立劇場バレエ団は「こどものためのバレエ劇場 シンデレラ(以下「こどもシンデレラ」)」を上演する。夏休みに親子でバレエ芸術にふれられる機会とあって、毎年好評を博しており、内容も濃密。大人が観ても十分に楽しめるクオリティだ。

今年上演される「こどもシンデレラ」では4キャストの主演が組まれている。今回は3年ぶりに主演を務める細田千晶&奥村康祐ペアのリハーサル現場を見学。菅野英男バレエマスターとともに、まずは一つひとつの振り付けをしっかりと確認していた。リハーサルを終えた2人に話を聞いた。(文章中敬称略)

【動画】3分でわかる!こどものためのバレエ劇場「シンデレラ」|新国立劇場バレエ団

 
 

■長い付き合いが支える信頼感

――お2人は2015年に「こどもシンデレラ」でペアを組み主演されています。細田さんは今回主演に決まった時はどのようなお気持ちでしたか。

細田 お姉さん役が来るのかなと思っていたので、びっくりしました。菅野さんのアドバイスを受けながら、「この部分は苦手だったなぁ」と思い出しています。

――リハーサルでは王子の登場からパ・ド・ドゥのところを繰り返しやられていました。お2人は『眠れる森の美女』3幕の宝石のヴァリエーションなど、本公演でも何度も組まれています。パ・ド・ドゥに関しては、もうお互いによく知っているという感じで?

細田 そんなことはないです(笑) ソリストとして踊る時に、パ・ド・ドゥは少しありますが、グラン・パ・ド・ドゥはあまりないので、その部分をどうしようかと考えているところです。1人で踊らないよう、もっと空気を読まなくてはと(笑)

――奥村さんは表現力や演技力に定評がありますが、リハーサルは意外とクールでした。

奥村 まだリハーサルが始まってから日が浅いため、女性のサポートをしている時は安心して持てるようになるまで、少し慎重にやっているかもしれません。女性に怪我をさせるわけにはいかないので。ある程度落ち着いてできるまでは感情的になりすぎないようにしています。まずしっかり形の枠組みをつくり、それからだんだん気持ちを入れていきます。

――奥村さんの場合は多くの女性ダンサーと踊っていますが やはり人によってタイミングや支えるポジションなどは全然違うわけですか。

奥村 はい、ダンサーそれぞれ個性があり、ピルエットを回すだけでもみんなそれぞれ違います。

細田さんとはソリストパートで一緒に組むことが何回もあったし普段から見ているし、「こどもシンデレラ」も1度やっているから、詰めて慣れていけば大丈夫だと思います。

本当に何回もリハーサルを繰り返しゲネプロでやっていても、本番の舞台は、幕が開くとどうなるか全然わからないんです。本番に急にテンションが上がる人もいるし、逆の人もいる。客席のお客様の温度や自分の緊張感も加わって、予定していた表現が変わってしまうときもあります。

――舞台の上で瞬時の判断の踊りや表現のやりとりがなされているわけですね。

奥村 サッカーでいえば、パスを受け取るというか。何度も組んでいる相手はすごく楽だし、怖さは感じないですね。細田さんだったら大丈夫だと、僕は信じています(笑) 

細田 何をしでかすかわかりませんけど(笑)

撮影:鹿摩隆司

撮影:鹿摩隆司

■プロならではの、互いの芸術性が融合する舞台を

――今王子やシンデレラの表現についてはどのように作っていこうとしているのでしょう。

奥村 お互いプロ同士ですから、それぞれの芸術性や表現をお互いに出し合い、それをすり合わせていく。そうしていった時にどういった形になっているかが大事だと思っています。

――プロ同士の芸術性の融合ですね。細田さんはどのようなシンデレラを思い描いているのですか?

細田 すごくポジティブですよね。逆境にめげない強い心を持っていて、それが成功につながっていくのだと思います。いじめられるかわいそうな弱い女の子ではなく、負けない強さを持ちつつ、信じていたら成功するという、芯の強い女の子かなと。本公演と違いお姉さん役が女性なのでチクチクと、結構いじめられるんですよね(笑)。

撮影:鹿摩隆司

撮影:鹿摩隆司

――本公演のアシュトン振付「シンデレラ」は2人の姉を男性が演じていますが、女性だと妙にリアリティがありますね。王子はどうでしょう。

奥村 シンデレラを苦しい生活から救うヒーローであり、憧れの王子様というイメージです。こどもたちの目はとにかくシビアなので、僕が舞台に出たらすぐに王子様って思ってもらわないと、ずっと王子でいられないんです。普通のお兄さんになっちゃいけない。こどもはその役柄についてそう見えるか見えないかがすごくはっきりしているんです。王子様って思ってもらえるようにがんばらないと。

■こどもの目はシビア。だからこそ表現が"弾ける"

――舞台に向き合うに当たって、本公演と違うところはどういう点でしょう。

奥村 僕らや大人は観る前にこの作品がどういうバレエで……といった知識がある。でもこども達はまっさらな気持ちで観る。そういう子たちに純粋に伝わるように、純粋にお話を楽しんでもらえるようにしようと思っています。

――こどもバレエは何度か拝見していますが、皆さん本公演とは違った弾け方をしている感じがします。

奥村 はい。技術も大事ですけど、「こどもシンデレラ」の場合はまずその役を見てもらわないと、こども達に通じない。通じて初めてきれいだった、シンデレラがお姫様になってよかった、といったところを感じてもらえる。だからこそ、みんな本公演よりも弾けているのかもしれません。

――より演技力が問われるわけですね。こどもは正直でシビアですね。

奥村 感じ方は大人よりも素直で正直だと思います。きれいだと思ったらきれい、よくないと思ったら純粋につまらないと思うし、飽きてしまう。そうした子達をどこまで引きつけられるかがものすごく大変です。子供と遊んだときの感じと同じです。つまらなかったらすぐに飽きますが、面白いと何度も「もう一回!」って要求してきますよね。面白いかつまらないか、どちらかしかない。感動しないと集中できないし。でも一度集中したら、ものすごく集中する。

――上演時間が休憩込みで約1時間25分。20分ほど休憩が入ると各幕約30分ずつくらいですね。

奥村 はい。それならアニメを見るような感じで集中できますよね。だから初めて劇場に来るような子達が本当に感動してくれると一番嬉しいですね。

■ふわっと柔らかな細田&やんちゃな奥村

――お2人のそれぞれの良さを。

奥村 細田さんはふわっとした、独特の空気感があって柔らかくて女性的なところです。

――透明感がありますよね。

奥村 ごくたまに本当に透明になっちゃう(笑)。「疲れた~」って言って壁に寄りかかっていると、彼女は色白なので、本当にすーっと後ろの白い壁と一体化してしまうくらい(笑)。

――文字通り透明……(笑)。

細田 奥村君は役作りも感情もきちっと出すし、「コッペリア」のフランツとか、やんちゃな性格の、少年っぽい役が似合うなぁと。王子役も似合うけど、チャーミングな役は特にいいなと思います。サポートもいろいろな人と踊っているので、いろいろ教えてもらえるし、すごく目線を合わせてくれる。踊りやすい雰囲気や空気を作ってくれるので、演技もやりやすいです。

――ムードメーカー的なところもあるのですね。確かに王子もキャラクターもいけますね。

細田 キャラクターは(「くるみ割り人形」の)ネズミの王様で開花しちゃったかもしれないですよね。一番楽しそうだった(笑)。

――そういえばシーズン・エンディングパーティーで「今シーズンで一番楽しかったのはネズミの王様」と仰ったという話も聞きました。

奥村 「くるみ割り人形」は王子が本当に辛くて大変で、わけがわからないくらいハードだったんです。その反動というのか、ネズミのリハーサルの日がすごく楽しくなってしまい、すごくはっちゃけてしまって(笑)。お面で顔が見えないのに中で表情を作ってノリノリでした。本当はネズミの王様もとてもハードなのですが。

撮影:鹿摩隆司

撮影:鹿摩隆司

■こども達の想像力を越えた感動を

――では最後にお客様にメッセージを。

細田 私自身、小学生くらいの頃に演劇やバレエを観賞する会に入っていたのですが、そうした機会があって、バレエダンサーになりたいという気持ちが強くなりました。だからこども達に少しでも夢や影響を与えられるような舞台にしたいと思います。たくさんのお客様に見にきていただきたいです。

――細田さんは実際にこどもの頃からバレエや演劇を観賞する機会があったわけですね。

細田 バレエを始めたのは4歳からなのですが。でもミュージカルや演劇、バレエを観ることで音楽にもふれ、想像力が養えたと思います。こどもの頃に芸術にふれる機会があったのは今、よかったなと思っています。

奥村 それぞれのこども達の想像力以上のものを与えられればいいなと思います。感動って家の中のできごとやテレビを見るといった日常からではなく、自分の想像力を越えた時に現れるんじゃないかなと思います。だから特に初めて舞台を体験して、想像もしなかった世界にふれたときの感動は貴重な体験じゃないかなと。

――こども達の新しい世界が開けるような、そんな公演を期待しています。そして将来またバレエを観にきていただきたいですね。ありがとうございました。

取材・文=西原朋未

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東京二期会の2019/2020シーズンラインアップが発表された。7月11日に行われた記者会見には、韮澤弘志理事長、山口 毅常務理事兼事務局長、歌手の宮本益光(バリトン)の3名が登壇した。

2019/2020シーズンラインアップは、「様々な愛の形」をテーマとした6作品で、全て新制作となる。

幕開け公演となるのは、すでに発表されていた2019年2月の宮本亜門演出『金閣寺』。フランス国立ラン歌劇場との共同制作となる本作は、今年の3~4月にストラトブール、ミュルーズにて計7回上演された。現地でも非常に高い評価を得ており、この成功を受けての日本公演となる。フランス公演と共通の演出が基調となるが、一部は日本に合わせて変更がなされた“東京バージョン”での上演となる予定だ。指揮は、ミラノ・スカラ座をはじめ欧州主要歌劇場で活躍をしているマキシム・パスカル。現代音楽に造形が深く、また三島由紀夫作品を愛好する有望若手指揮者で、今回が日本でのオペラ・デビューとなる。溝口役で主演を務める宮本益光の他、フランス公演に出演した志村文彦(道宣和尚役)と嘉目真木子(女役)も、この日本公演に出演する。

二期会記者会見  撮影:最上梨沙

二期会記者会見 撮影:最上梨沙

宮本益光は、「『金閣寺』は、西洋文化のオペラを上演するにあたって、日本人アーティストとして何を創造し、何を発信していくかという、音楽家としての存在意義を問うのにふさわしい作品。シーズンラインアップの最初にこの作品が選ばれたのは嬉しいこと。自分のすべてをかけて取り組みたい。」と意気込み語った。

4月には、マスネのグランド・オペラの代表作『エロディアード』が上演される。映像と照明を駆使した〈セミ・ステージ形式〉で好評を博した《東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ》の第2弾となる。指揮するミシェル・プラッソンは、『ファウストの業罰』(2010)、『ホフマン物語』(2014)に続いて、3度目の二期会への登場だ。フランス・オペラの外国への紹介をライフ・ワークとしている巨匠が、再びその素晴らしさを日本のオペラファンに伝えることとなる。

6月は、ハンブルク州立歌劇場との共同制作でリヒャルト・シュトラウス『サロメ』を上演。指揮は、読売日本交響楽団常任指揮者就任が発表されたばかりのセヴァスティアン・ヴァイグレで、『ばらの騎士』(2016)に続いて、読響とともに再びピットに入る。演出するヴィリー・デッカーは、『トリスタンとイゾルデ』(2016)でも高い評価を得ている。4月の『エロディアード』と『サロメ』は、同じ原作を持ったオペラであり、2作品セットで観くらべるという楽しみ方も可能だ。

二期会記者会見  撮影:最上梨沙

二期会記者会見 撮影:最上梨沙

10月は、プッチーニ『蝶々夫人』。アンドレア・バッティストーニ指揮、宮本亜門演出の顔合わせとなる。このプロダクションは、2020年春にザクセン州立歌劇場での上演も予定されており、ヨーロッパに先立ち、東京でプレミエを迎える。衣裳には、国内外で多岐に活躍するクリエーターの蜷川実花を迎える予定。新しく生み出される『蝶々夫人』を通して、日本文化の世界への発信にも期待がかかる。

11月は、毎年恒例となっている日生劇場での上演となるオペレッタ『天国と地獄』。指揮に2013年の『こうもり』でタクトを振った大植英次、演出に11年ぶりの二期会登場となる鵜山仁を迎える。客席と舞台の距離が近い日生劇場の特性を生かし、セリフと歌のどちらも楽しめるように、日本語訳詞上演となる。

2020年2月は、ヴェルディの『椿姫』。指揮に、今回が初来日となるジャコモ・サグリパンティを迎える。すでにバイエルン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、パリ・オペラ座などで活躍しているイタリアの若手指揮者のひとりで、2016年にはインターナショナル・オペラ・アワードの最優秀若手指揮者に受賞するなど、ヨーロッパを中心に目覚ましい活躍を見せている。新制作の『椿姫』となるが、今後《二期会名作オペラ祭》での再演も視野に入れており、より長いスパンで多くの日本人が親しめるプロダクションに仕上がる予定だ。演出は現在調整中。

あまり取り上げられない作品からオペラの王道作品まで、幅広いラインアップが揃った。

二期会記者会見  撮影:最上梨沙

二期会記者会見 撮影:最上梨沙

6演目全てが新制作であり、積極的に日本人の演出家やスタッフを起用することからも、「日本の新しいオペラを創造する」という東京二期会の気概が伝わってくる。『蝶々夫人』のように、日本でプレミエを迎え、それをヨーロッパに持っていくという新たな上演スタイルにも「世界に発信する日本のオペラ」という姿勢が見える。

今年の後半のラインアップにも、ニューヨークのメトロポリタン・オペラでの初演から100年というメモリアルを迎えたプッチーニ《三部作》や大和田伸也の出演が話題を呼んでいる『後宮からの逃走』など注目作品の上演が控えており、今後の東京二期会から目が離せない。

※キャスト等の詳細な公演情報は、随時、ホームページ等で発表される予定。


【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2018年7月16日~2018年7月22日)

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「この人にはこれくらいの感じで良いだろう」「この人は筋を通さないとヤバい」そんな風に、普段周りでよく接する人たちや属している組織のなかで、無意識にランクづけしていたものや暗黙の了解やルールに問題が起きやすくなっています。いつもより特に、相手のコンディションや、ちょっとした仕草に注意を払っていたほうがいいみたい。

持ちつ持たれつでダラダラ続けていたこと、不平不満があっても見逃してきたこと、ゆるさで成り立っていた人間関係や利害関係がついに限界を迎え、今後の関係性をどうするのか見直しをせまられることもあるでしょう。関わる人の多さや広さ、蓄積されたものほど根本からの修復は困難かもしれません。思い切ってそこから離れる、解散する、それぞれの道を行く、冷却期間を置くというのもひとつの手です。

今月はあなた自身が置かれている状況や、想いの持ち方によって、浮かび上がってくる問題がいい方にもそうでない方にも転びそう。というのは、どの人にとってもこれまでとは物事の捉え方が違う角度や深さへと変化をしている過渡期にあるからなのです。どう思うのか、どうするのか。以前の自分ではそんな風には受け止められなかった、そんな選択にはならなかった、と思うことも増えていくでしょう。

一方で、春頃より地道に続けてきたプロジェクトや、新たに始めている物事には途中経過としていいお知らせもありそう。これから先を長い目で見て取り組んでいること、誰にアピールするでもなく内面的におこなわれている改革ほど、その成果が現れそうです。真剣に成し遂げたいことほど、他人には広く知らせず地道に進めてみて。

【12星座別 今週のラッキーワード】
・おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
新規作成、初体験
・おうし座(4月20日~5月20日 生まれ)
クラシック、オールドスクール
・ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
カラフル、キラキラ
・かに座(6月21日~7月22日 生まれ)
直感、スピード
・しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
スリリング、ギャンブル
・おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
大舞台、オーバービュー
・てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
情感豊か、コミュニケーション
・さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
現実的、ドライ
・いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
未知の世界、イマジネーション
・やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
デトックス、解放
・みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
美しいもの、インスタ映え
・うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
こだわり、主義

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松坂桃李『マクガワン・トリロジー』、城田優『ピピン』など【7/13(金)〜16(月)のオススメ舞台・クラシック記事】

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SPICE・7/13(金)〜16(月)オススメの舞台・クラシック記事



↓記事はこちらをチェック↓
▼松坂桃李が“殺人マシーン”の呼び名にふさわしい演技を披露 舞台『マクガワン・トリロジー』
https://spice.eplus.jp/articles/198255

▼Crystal Kayがミュージカル初出演、 城田優主演『ピピン』、今井清隆ら他メインキャストも発表
https://spice.eplus.jp/articles/198583

▼舞台『半神』観劇レポート~新たな観客との出会いをつくる挑戦
https://spice.eplus.jp/articles/198417

▼『ワンピース音宴〜イーストブルー編〜』の魅力とは? 山里亮太と平祐奈×田中公平インタビュー
https://spice.eplus.jp/articles/195362

▼上演間近!『大田王2018』川下大洋+三上市朗+後藤ひろひとに独占取材
https://spice.eplus.jp/articles/198389

▼<フランス革命ものエンタメ作品>を楽しむための人物ガイド-魅力溢れる登場人物が織りなす世界
https://spice.eplus.jp/articles/194128

 

▽そのほかの記事はこちらから▽
舞台:https://spice.eplus.jp/articles/play
クラシック:https://spice.eplus.jp/articles/classic

『0歳児からの“光と映像で楽しむオーケストラ”』歌の新井宗平お兄さんと山本かずみお姉さんからコメントが到着

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7月30日(月)、 ザ・シンフォニーホールにて大阪交響楽団『0歳児からの“光と映像で楽しむオーケストラ”』が開催される。

今回でVol.12となり、毎回大好評の『0歳児からの“光と映像で楽しむオーケストラ”』。歌の新井宗平お兄さんと、山本かずみお姉さんによる進行で、赤ちゃんからおじいちゃん、おばあちゃんまで家族みんなで楽しめるコンサートとなっている。

本格的なオーケストラ演奏が楽しめる平日昼間1時間の公演となっており、今話題のプロジェクション・マッピングも楽しむことが出来る。

また会場内には授乳室、おむつ替室、ベビーカー置き場が用意されており、安心して過ごすことができる。

尚、今シーズンは7月(指揮は横山 奏)のほかに、12月(指揮は松井慶太)、そして2019年3月(指揮は平川範幸)の3回開催されるとのこと。

小さなお子さんのいらっしゃるお母さん、久しぶりにコンサートホールで お子さんといっしょにクラシックを楽しんでみてはいかがでしょうか。

「ノーベル賞のオーケストラ」ロイヤル・ストックホルム・フィルが来日 豪華で記念すべき3日間となる特別演奏会を開催

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2018年9月2日(日)から4日(火)サントリーホールにて、サカリ・オラモ指揮 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団の特別演奏会が開催される。本公演に出演するのは、日本とスウェーデンの外交関係樹立150周年を記念し、ノーベル賞の授賞式や晩餐会で演奏する名誉あるオーケストラで、“ノーベル賞のオーケストラ”とも称されるロイヤル・ストックホルム・フィルだ。

指揮は、同オーケストラの首席指揮者を務め、欧米のメジャーオーケストラから引く手あまたの人気指揮者サカリ・オラモ。そして、今や、日本を代表するソリストである辻井伸行が登場。また、『第九』の合唱団には新国立劇場合唱団が参加する。オーケストラの来日にあわせて、都内の北欧系レストランでも歓迎ムードとなっている本公演は、日本とスウェーデンの友好関係を音楽でお祝いする、豪華で記念すべき特別な3日間となるだろう。

<プロフィール>

サカリ・オラモ(指揮)

世界的に活躍している指揮者サカリ・オラモは、1998年から2008年までバーミンガム市交響楽団の音楽監督を務め、フィンランド放送交響楽団では約10年にわたり首席指揮者を務めたのちに2012年より名誉指揮者に就任、現在は、BBC交響楽団およびロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団、ウェスト・コースト・コッコラ・オペラ、そしてオストロボスニア室内管弦楽団の首席指揮者を務めている。元々、卓越したヴァイオリニストでもあったオラモはフィンランド放送交響楽団のコンサートマスターとして実績を重ね、その後、指揮者に転身、瞬く間に世界中のオーケストラからの高い支持と評価を受け、多忙な指揮活動を続けている。2017/18年のシーズンは、BBC交響楽団とのドイツ、スイス、日本でのツアー、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団とのヨーロッパ・ツアー、そしてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とのコンサートなど、話題性の高い公演を多数行う。

ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団

1902年設立。ストックホルム・コンサートホールを本拠地に年間約100のコンサートを上演するほか、ノーベル賞及びポーラー音楽賞の授与式や祝典で演奏することから、《ノーベル賞のオーケストラ》としても知られている。2008年から首席指揮者と芸術監督にサカリ・オラモが就任。その他、定期的に客演する指揮者にはリッカルド・ムーティ、アンドリス・ネルソンス、フランツ・ウェルザー=メスト、ヘルベルト・ブロムシュテットらの一流指揮者が並び、桂冠指揮者にはアラン・ギルバートが就任している。サカリ・オラモとは積極的なレコーディングも行っており、カール・ニールセンの交響曲集は、2016年のBBCミュージック・マガジン賞を受賞するなど、国際的に高い評価を受けている。

奇跡のハーモニーが紡ぐ歌の心 男性声楽ユニットLa Dill

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「サンデー・ブランチ・クラシック」2018.4.29 ライブレポート

クラシック音楽をもっと身近に、気負わずに楽しもう! 小さい子供も大丈夫、お食事の音も気にしなくてOK! そんなコンセプトで続けられている、日曜日の渋谷のランチタイムコンサート「サンデー・ブランチ・クラシック」。4月29日に登場したのは、世界最大級の声楽家団体(プロの声楽家2700名在籍)である二期会から選抜された若手実力派オペラ歌手4名による男性声楽ユニットLa Dill(ラ・ディル)だ。

カウンターテナーの彌勒忠史、テノールの金山京介、バリトンの坂下忠弘、岩田健志からなるLa Dillは、それぞれがオペラやコンサートで活躍するクラシックの歌い手でありつつ、J-POPや昭和歌謡などを美しいハーモニーで聴かせる声楽ユニットとして注目を集めている存在だ。2014年にシンガーソングライター尾崎亜美のプロデュースにより、クラシック声楽とJ-POPの世界を融合させた新たな世界観を持つアルバム「匂い立つ風」をリリースした他、「題名のない音楽会」「日本名曲アルバム」などに出演。“4オクターブの奇跡のハーモニー”が絶賛を集め、全国各地でのコンサートは軒並みソールドアウトの活況が続いている。

そんなLa Dillが、サンデー・ブランチ・クラシックに2回目の登場とあって、ゴールデンウィーク最中のリビング・ルーム・ダイニングは彼らを待ちわびる熱気でいっぱい。その期待感の只中に、La Dillの4人とピアニストの吉田貴至が登場。今日のプログラムがはじまった。

美しいハーモニーで立ち上る歌の世界

冒頭を飾ったのはスターダスト・レビューが1993年に発表した「木蓮の涙」。愛する人に先立たれた深い悲しみを歌った楽曲が、ひそやかなソロからはじまり、やがてハーモニーが重なり、彌勒のカウンターテナーがオブリガードのように歌われると、曲想が静かに、だが切々と伝わってくる。やがてカウンターテナーの高音域にメロディーが移ると、4人のハーモニーはより深く厚みを増して、吉田のピアノもしっとりと寄り添い、しみじみとした世界観がカフェを包み込む。静かに音が消えていくとため息と共に大きな拍手がわき起こった。

La Dill

La Dill

その余韻が残る中、「ゴールデンウィークの只中、様々なイベントが目白押しの中、我々のコンサートを選んでくださってありがとうございます!」と4人が挨拶。La Dillの活動や、成り立ちが紹介されたあと、2曲目はオフコースが1982年に発表した「言葉にできない」。終わるはずのない愛が途絶えた哀しみ、それでも尚あなたに会えたことは喜びだったとの、想いが詰まった小田和正の名曲中の名曲が、バリトン、テナー、カウンターテナーのソロで歌い継がれ、クラシック唱法のハーモニーで全く新たな輝きをもって届けられる。特に、歌詞の持つ切々とした感情がストレートに訴えかけられてくるのは、豊かな声量を持つクラシック歌手である4人が、決して「この声を聞いてくれ!」というクラシック歌手ならば当然あるはずの欲求とは異なる、4人のハーモニー、そして愛され続けてきた楽曲の心を伝えることに腐心してくれているからだろう。言葉にできない想いが歌によって届く見事な歌唱に感動が広がった。

(左から)吉田貴至、La Dill

(左から)吉田貴至、La Dill

吉田貴至

吉田貴至

ここでピアニストの吉田貴至が紹介され「ピアニストを紹介した後にいきなりなのですが」と笑わせながら次に披露されたのは、無伴奏のアカペラによる「夜空を仰いで」。加山雄三が1966年に発表した楽曲で、加山の主演映画「若大将シリーズ」の第9作『レッツゴー!若大将』の主題歌としても使われた、弾厚作(加山のソングライターとしてのペンネーム)の作詞・作曲による作品。作曲家としては多くの楽曲がある弾厚作だが、作詞も担当している楽曲は数少なく、これぞ若大将のおおらかさ、朗らかさが感じられる1曲だ。そんな楽曲がLa Dillのハーモニーで表現されると、声のみが重なるアカペラによる歌唱であることも手伝って、まるで隣で囁かれているような、しっとりとした情景の浮かぶ歌になる新鮮な感動があった。

曲の持つ世界観が、情景として見えてくる見事な歌心

「アカペラは緊張しますね!」「でもお客様にリラックスして頂ければいいですね!」という和やかな会話のあと、続いたのは槇原敬之の名を世に広く知らしめるきっかけとなった1991年の大ヒット曲「どんなときも」。自分が自分らしくある為に、どんなときも正直でいたいという、大人が社会で生きていく中で貫くことが難しいからこそ、人々の心に深く届いた人生の応援歌が、吉田のリズミカルに弾む前奏から、まず金山、坂下、岩田の3人のハーモニーで歌われる。続いて彌勒がメロディーをとり、「どんなときも どんなときも」の、きっと多くの人が歌うことができるサビの部分は金山のテナーが中心となる編曲の妙も素晴らしい。背中を押してくれる楽曲の力が明るく伸びやかに響き渡り、高揚感でいっぱいになった客席から、万雷の拍手が贈られた。

(左から)坂下忠弘、金山京介

(左から)坂下忠弘、金山京介

(左から)彌勒忠史、岩田健志

(左から)彌勒忠史、岩田健志

「楽しい時間はあっという間に過ぎ去ってしまいますね」とのことで、最後の曲を前に、La Dillの今後の予定が話されたが、都内の公演はすでに完売とのこと。La Dillを追って旅行がてらのコンサート鑑賞も良いなぁ、と思わせたあといよいよラストは1990年に発表された井上陽水の代表作のひとつ「少年時代」。金山のテナーの澄み切った語るようなソロから、声が重なり「夢はいつも思い出のあとさき」の後の間が、4人全員とピアノの呼吸がピッタリと合って絶妙。曲の持つ未完成の少年時代に想いを馳せる世界観が立ち上り、ピアノの美しい間奏に続いて歌唱がアカペラになると、歌詞の大切さがひと際鮮やかに伝わって歌心が見えるよう。歌い終わったLa Dillと吉田に、鳴りやまぬ拍手がいつまでも続いた。

La Dill

La Dill

La Dill

La Dill

その拍手に応えてもう1度ステージに戻ったメンバーは「2万人の歓声はすごいね!」「お腹にズンズンくるね!」と笑わせたあと、彌勒が7月に「七月大歌舞伎 夜の部の通し狂言『源氏物語』」で指揮を、岩田が9月の二期会オペラ・プッチーニ3部作から『ジャン二・スキッキ』で公証人アマンティオを、坂下が同じ9月に1部がシューマンの歌曲、2部がシャンソンで構成されたリサイタルを、金山が11月の二期会オペラ『後宮からの逃走』で青年貴族ベルモンテを、等それぞれ個人での多彩な今後の活動が話されたあと、ピアニストの吉田が「私はLa Dillのコンサートに来て頂ければ十分です!」と語って「優等生だな~」とメンバーからからかわれる一幕も。そこから、アンコールとして尾崎亜美がLa Dillの為に書き下ろしたオリジナル曲「匂い立つ風」が、CDとは異なるアコースティックバージョンで披露される。この楽曲ではLa Dillのメンバーは楽譜なし。坂下の温かい心にしみる歌声からはじまり、あくまでもさりげなくハーモニーが重なっていく様が美しい。吉田のピアノも流麗に響き、4人のコーラスは厚みを増していきながらも歌詞を確かに伝えてくれる。余韻に満ちた後奏が消えていったあとも、音楽の世界が長く残り、惜しみない喝采が続いた。歌の心、世界観がカフェを満たした贅沢な時間だった。

La Dill

La Dill

いつまでも続く息の長いグループでありたい

演奏を終えたLa Dillのメンバーと、ピアニストの吉田貴至にお話を伺った。

ーー素晴らしいコンサートをありがとうございました。今日のカフェの雰囲気や感じられたことなどから教えてください。

坂下:2回目になるのですが、イギリス風な感じの雰囲気でとても素敵なところだなと思いました。

彌勒:いつものコンサートとは違う感じのお客様もいらしてくださったので嬉しかったです。

彌勒忠史

彌勒忠史

金山:前回はデビューして間もない1年目のところだったのですが、そこから今では楽曲も違いますし、僕たちグループとしても成長したプログラム、アコースティックなものをお届けすることがてきたのがとても良かったです。

岩田:どこかレトロというか、色合いがすごく落ち着いていて、自分たちのグループの歌とも似ている感じがして、柔らかい雰囲気がよく出たのではないかと思います。

彌勒:そう、そこはすごくリンクするよね。

吉田:お客様との交流も感じましたね。


ーーそんな場所で歌われるにあたっての、今日のプログラムの選曲はどのように?

彌勒:先ほどもお客様からお声がけをいただきましたが、例えば加山雄三さんなどは、我々リアルタイムで聞いているメンバーはいないのですが、でもとても喜んでくださる世代の方達がお客様にいらっしゃいますし、特に今日は休日ですが、最近は平日のお昼のコンサートも大変盛況で。そうなりますと我々の親世代の方々がいらしてくださることも多いので、少し懐かしめの曲も入れてみています。それによって我々にとっても、時代を超えて名曲として伝えられている曲を歌っていけることにもなるので、そういう観点も含めて今日の選曲になりました。

ーー親しみやすい楽曲だっだだけでなく、昨今オペラ歌手の方達がこうしてポップスを歌われる機会も増えている中で、La Dillさんの歌唱は声量を誇るのではなく、歌の歌詞や世界観を丁寧に伝えてくださっているなと感じて、とても感動しました。

彌勒:それは最大の褒め言葉ですね。

金山:嬉しいです。ありがとうございます。

ーー皆さん、それぞれがオペラなどソロの活動と平行してLa Dillとしての活動を続けている意義については?

彌勒:これは是非岩田君から。

岩田:えっ? 僕ですか? (笑)ソロで歌っている時とは違い、人と合わせながらどう自分の声を出していくのか? を意識しながら僕は歌っています。だからソロで歌う時とは声量も変えますし、メンバーの中で、音楽の中で自分がどういう立ち位置でいるべきか? を常に感じながら歌っています。

岩田健志

岩田健志

彌勒:やはりアンサンブルの楽しさというのは絶対的なもので。特に西洋芸術音楽、我々がやっているクラシック音楽の特徴的なひとつがハーモニーなんですね。ですから歌舞伎座の謡いの方達が一斉に並んでユニゾンでお歌いになることとは、価値観が違うんです。日本の音楽にはハーモニーという概念がないのですが、西洋音楽は調和を生み出すというのが根本にあるので、4人で声を合わせ、ピアノともアンサンブルをする。ここでしか得られないものが、普段1人ひとりでの活動では味わえない、西洋音楽の根本にある部分を楽しめるグループですね。どうですか?

金山:これは個人的な考えなんですけど、僕は普段オペラをやっていてソリストとして活動しているのですけれども、ソリストというのは如何に他の人とは違う自分だけの声を出すか、オンリー・ワンの声と言いますか、カラオケのように誰かのオリジナル曲を歌手の方の歌い方に近づけて歌うのでもなく、何百年も続いてきた楽曲を金山京介の声として歌うことを目指しているんです。でもその中で自分の声だけを求めてしまう時がどうしてもあって。それがこうしてLa Dillとして歌うとアンサンブルやハーモニーを感じることによって、普段のオペラのステージにも良い作用を及ぼしてくれて。またLa Dillの中でも曲によってリードボーカルが決まっているのですが、自分がリードを取る時には全体の中から立たせる為に、しっかりと歌います。ですからLa Dillとしての活動とソロの活動がとても良いバランスで、相互作用をもたらしているんだなと歌わせていただききながら感謝しています。

坂下:僕はソロで歌う時にはしっかり主張する方だと思うのですが、このメンバーはすごく良い感じに声がとけ合うので、ここで歌う時にはそれを邪魔しないような感覚も大事にしていて、そこはすごく切り替えてやっていますね。

La Dill、吉田貴至

La Dill、吉田貴至

ーーそれがソロで歌う時にまた刺激になったりもしていますか?

坂下:そうですね。けんかしないような感覚をつかめますね。ともするとけんかしているような歌を歌いがちなんですけれども、そういうのではなく音楽を立たせるということを考えていけますね。

ーーオペラの愛の二重唱は歌手の方にとっては闘いの二重唱だったりもする、とも伺いますからそれはまた貴重な場でもあるでしょうね。そのLa Dillの方達とご一緒されていかがですか?

吉田:ピアノってメロディーを弾いても言葉がないんですよね。その言葉を紡いでくれるというのが、自分のピアノから言葉が出ていくような感じで歌ってくださるので、それがすごく楽しいです

彌勒:良いこと言うね!

吉田:特に今日は日本語の曲だったので、言葉をダイレクトに日本人に伝える時に、如何に邪魔をせずに歌詞にピアノを乗せていくか? ということに腐心して、自分で言葉を紡いでいるように弾かせてもらっていますし、インスピレーションももらえるので、なんて幸せなことなんだろうと思います。

吉田貴至

吉田貴至

ーーピアノの後奏までも含めて音楽なのだという世界観が伝わりました。また曲によってリードボーカルを取られる方が代わられて、様々なハーモニーとアンサンブルの妙味がありましたが、編曲などにも皆様のご意見が?

彌勒:今は女性作曲家の鳥羽山沙紀さんが主に編曲を手掛けてくださっていて、とても有能な方なのですが、特にピアノの吉田さんは「ここはこうした方が良いのではないか?」と積極的にフィードバックをしてくださっています。

ーー今後の様々な活動についてのお話もコンサートの中でたくさんしてくださっていましたが、更に先のLa Dillとして、また個人として目指すものや、夢などはありますか?

坂下:僕はクラシック出身ですが、それにこだわらずにソロでは色々なジャンルを歌っていきたいと思っています。例えばシャンソンやタンゴにも挑戦して、マイク有りでも無しでも自分の声を見つけて、自分にしかない個性を出していきたいです。それとは別にLa Dillでは、それぞれがこう歌っていきたいというものがお互いに見えてきていて、アンサンブルとしての面白さが増しているので、その個人の想いも尊重しながら様々なジャンルに飛び立っていけたらと。それがいつもはやらないような曲であればあるほど楽しいし、自分の可能性も見出せるのでそんな夢があります。

坂下忠弘

坂下忠弘

彌勒:私にとってこのグループは部活動みたいなもので(笑)。普段たった1人で何十人のオーケストラをバックに、何百人、何千人のお客様を前にして歌う孤独感というものは、ソリストなら皆持っているんです。でもそれがここにくると本当にホッとして、気のおけない場なんですね。更にハーモニーを創るという活動は自分にとってもとても大事なものなので、例えばダークダックスさんのような息の長いグループとして活動していきたいというのが、長期的な夢です。そして目の前のことでは、今La Dillはオペラのソリストとして活動している人間が集まって、ポップスやアンサンブルを聞かせているので、逆にこのメンバーがフル出場でオペラに登場したら面白いのではないかと思っていて。これは近々実現することになると思うので、楽しみにしていただきたいです。

金山:僕もLa Dillで「還暦コンサート」をしたいと思っていて。

彌勒:あぁ、それはしたいね! 是非したい!

金山:それぞれ年齢が違うので5回できますから! そして、坂下さんがおっしゃったように自分の可能性を広げるグループとして、より大きくなっていけたらいいなと思っています。La Dillで歌うことが自分のソリストとしての幅を広げてくれていることを強く感じるので双方を同等に大切にしていますし、これが続けば続くほど互いが比例して上に昇っていける、そうありたいなと思っています。

金山京介

金山京介

岩田:僕はメンバーで全国ツアーをしたいです。北海道から沖縄まで!

金山:47都道府県? あー、それはやりたいですね!

岩田:そして東京では武道館でライブを! と思っています!

吉田:僕もそれは一緒です。全国ツアーを廻りたいです。これまでも各地のアンサンブルコンテスト等でも審査員を務めさせて頂いたりしているのですが、地元の方と触れ合える。例えば優秀な高校生の歌を聞いたりですとか、我々にとっても素晴らしい経験になっているので、もっと色々な地域に行って様々な方達と出会いたいです。

ーー皆様の更なるご活躍を楽しみにしています。是非またサンデー・ブランチ・クラシックにもいらしてください!

彌勒:それはもうこちらこそ是非! その日を楽しみにしています!

La Dill、吉田貴至

La Dill、吉田貴至

取材・文=橘涼香 撮影=鈴木久美子

【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2018年7月23日~2018年7月29日)

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感情を奮い立たせてくれるようなアツい感動話や、困難や批判中傷に打ち勝っていくエモいドラマより、日々の生活に起きる具体的な課題へと目が向きやすいとき。現実逃避をするように誰かを何かを追いかけていたとしても、どこかフワフワした夢語りや疑似恋愛のような感覚を楽しむというよりは、活動そのものがどんなスタンスで取り組まれているものなのか、急に気になり始めるかもしれません。

自分自身のストレス解消や願いを叶えてくれるものであれば、本質や本性がどうであれ、役に立ってくれさえすればいいという利己的な傾向にもメスが入りそう。コール&レスポンスをしているように表向きは見えていても、通じ合えない虚しさに気がついてその場を去りたくなることもあるでしょう。本当に繋がるべきものや、この先も手元に残るものは何なのか、確かめたくなるのかも。

疎遠になっていた物事や人について思い巡らせることも増えそうですし、実際にパッと連絡したくなる用事がみつかるかもしれません。ただ、この時期は利害の絡むネタを深く開示したり、実際に取り引きはしない方がいいみたい。昔を知っているからといって今がどうなっているのかはわかりません。縁を逆手に取ったトラップ、地雷には注意したいところ。

ここから秋にかけては、コミュニケーションする相手や所属する組織、居場所を見直したり、不要な人間関係の整理がどんどん進んでいきます。いずれにしても、暑さにやられて思考回路もストップしがち。本当の望みや想い自体が自分でも見えなくなりがちな不安定な時期です。相手のコンディションやペースを無視した勢いのまま、一方通行な言動で「もういい!」なんて自爆してしまわないように。

【12星座別 今週のラッキーワード】
・おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
新規作成、初体験
・おうし座(4月20日~5月20日 生
クラシック、オールドスクール
・ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
カラフル、キラキラ
・かに座(6月21日~7月22日 生まれ)
直感、スピード
・しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
スリリング、ギャンブル
・おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
大舞台、オーバービュー
・てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
情感豊か、コミュニケーション
・さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
現実的、ドライ
・いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
未知の世界、イマジネーション
・やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
デトックス、解放
・みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
美しいもの、インスタ映え
・うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
こだわり、主義

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新感線☆RS『メタルマクベス』、『世界一受けたい授業 THE LIVE 恐竜に会える夏!』など【7/20(金)〜23(月)のオススメ舞台・クラシック記事】

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SPICE・7/20(金)〜23(月)オススメの舞台・クラシック記事


 

↓記事はこちらをチェック↓
▼橋本さとし21年ぶりの古巣復帰に「想いを爆裂させたい!」新感線☆RS『メタルマクベス』disc1
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▼芦田愛菜がタイムマシンにお願い『世界一受けたい授業 THE LIVE 恐竜に会える夏!』最速レポート
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▼石井竜也がポップスについて語る「良い言葉で歌詞を作り、記憶に残す音楽を作ることが一番難しい」
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▼2次元をぶち壊す2.5次元!?『宇宙戦艦ティラミス』、校條拳太朗×高本学×米山和仁インタビュー
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▼元宝塚歌劇団・雪組トップ娘役の咲妃みゆ 初作品『First Bloom』からオリジナル曲の映像が公開
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▼「ノーベル賞のオーケストラ」ロイヤル・ストックホルム・フィルが来日 豪華な特別演奏会を開催
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▽そのほかの記事はこちらから▽
舞台:https://spice.eplus.jp/articles/play
クラシック:https://spice.eplus.jp/articles/classic


日本を代表する人気ヴァイオリニスト大谷康子に聞く

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――最近出版された本「ヴァイオリニスト今日も走る!」が随分と評判のようですね。

ありがとうございます。表紙の写真にびっくりされませんでしたか(笑)?

――はい。正直言って何で走っておられるのかと思いました(笑)。大谷さんと云えば、楽しそうにヴァイオリンを弾く姿が印象的なので、そんな表紙をイメージしていました。

私のことをご存知の方は、“ずばり!そのタイトル通り!”とおっしゃいます。でも、普通はびっくりされますよね (笑)。 出版社からも本当にこの写真で良いの? このタイトルで大丈夫? と言われました。しかしこれこそが私の今の気持ちなのです。走らずにはおれない気持ち、走り回ってでも皆さまに音楽を届けたい気持ちを、この本にぎゅっと詰め込みました。

「ヴァイオリニスト今日も走る」、お読み頂けると嬉しいです! (C)H.isojima

「ヴァイオリニスト今日も走る」、お読み頂けると嬉しいです! (C)H.isojima

――大谷さんはソリスト、音大教授、文化大使、テレビ番組の司会者、文筆家などマルチに活動されておられます。1日24時間では足りず、走り回られている姿が容易に想像出来ます。そしてサービス精神旺盛でサプライズ好きな大谷さんは、演奏会のアンコールにステージから登場すると思わせて、後ろの扉からヴァイオリンを弾きながら登場するような演出をよくされるとか。そういった事を象徴するカタチで、ホール内を走る表紙の写真なのですね。

そうです。1708年製のピエトロ・グァルネリを片手に、ホールの内、外に限らず、いつも走り回っています(笑)。

先ほど、楽しそうにヴァイオリンを弾いていると仰って頂きましたが、私は本当にヴァイオリンを弾くのが好きで、ヴァイオリンを手にするとニコニコしてしまいます。

しかしヴァイオリニストは眉間にしわを寄せて、しかめっ面の深刻な表情で演奏するのが本格派。それこそが高尚なクラシック音楽に向き合う姿勢のようにおっしゃる方もまだまだ多いことが実情です。音楽には色々な要素があります。ウィンナワルツのような楽しい音楽も有れば、ショスタコーヴィチのような深刻な内容の音楽もある。人気のあるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の第3楽章のような爪先立ちで踊るような曲は、楽しそうに弾く方が自然だと思いますし、そういった音楽の多様性を伝えて行くのが演奏家の役目だと思います。この作品は何年に作られ、社会背景はこう…といった事は、演奏家自身が勉強しておくのが当たり前で、その先にある音楽を目指さないと聴き手に内容が伝わりません。この奏者はこういう経歴で…というような情報の先入観なく音楽に触れていただき、 ‘音の学問’ではなく、感性豊かに‘音を楽しむ ’お客さまが増えて欲しいですね。

――以前からソリストとして演奏されている傍ら、長年コンサートマスターとしても活動されて来られました。ソリストとして十分顔も売れて、有名になられても尚、コンサートマスターにこだわって活動されたのはどうしてでしょうか。

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団で13年間、東京交響楽団では21年間、2007年からはソロ・コンサートマスターを務めさせて頂きました。オーケストラは社会の縮図です。色々と難しいことも多いですが、ソロ活動なら自分の好きなようにやれてしまう。オーケストラで指揮者から、こうして欲しいと言われれば、自分と違う意見でも取り敢えずやってみる。すると、意外とこれでも行けるかも! いや、もしかしたら、そういう部分を入れた方が良いかもしれない! と思わせてくれる、そんな解釈を色々と教えて頂きました。こういった事はとても勉強になりました。

愛用のヴァイオリンは1708年製のピエトロ・グァルネリ。なんと誕生から今年が310年! (C)Masashige Ogata

愛用のヴァイオリンは1708年製のピエトロ・グァルネリ。なんと誕生から今年が310年! (C)Masashige Ogata

――その代わり、ダメな指揮者だとオーケストラのメンバーは誰も指揮者を見ずにコンサートマスターを見て自動演奏が始まる。

本当に色々な事が起こります(笑)。

後もう一つ。コンサートマスターは好き嫌いを問わず、色々な曲を弾かなければいけません。バッハ以前の曲から現代曲まで……。自分一人なら好きな曲、弾きたい曲を選んで演奏しますよね。これは勉強になりましたね。

それと、例えばベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。この曲は譜面づらはそれほど難しくないのですが、何しろ奥が深い。私自身、若いころは、恐れ多くて自分がまだ手を出すべき曲ではないと思って来ましたが、オーケストラでベートーヴェンの「荘厳ミサ」を弾くようになって、あの有名なソロを弾いてみてハッとしたのです。天国への階段を登るようにさえ感じるこのソロを弾いていて、この音型はヴァイオリン協奏曲にも通じるものが有ると思い、目から鱗、だんだん判って来ました。交響曲もたくさん弾いて来て、これならベートーヴェンもコンチェルトを弾く事を許してくれるだろうと思えるようになりました。

チャイコフスキーのコンチェルトもそうです。この曲はチャイコフスキーの数あるバレエ音楽をオーケストラで弾き、独特な音型を実感してこそ弾き方がわかるようになるのではないでしょうか。

――なるほど、確かにオーケストラのコンサートマスターでないと弾けない曲も沢山ありますよね。マタイ受難曲のソロもそうですし、リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」なんかもそうですね。

「英雄の生涯」! もうコンサートマスターをするつもりはありませんが、「英雄の生涯」が弾けるならコンマスをやってもいい(笑)! それほどこの曲は好きですね。というか、リヒャルト・シュトラウスはすべて大好きですが、やはりリヒャルトといえば何と言ってもカルロス・クライバーとウィーンフィルの「ばらの騎士」が大好きです。これぞリヒャルト! 彼のヴァイオリン・ソナタは、「ばらの騎士」より前に書かれていますが、天才は自我が確立しているのでしょうか。後で書いた交響詩のエッセンスがソナタには入っている。この曲、自分の生徒さんに教えていて、ベートーヴェンのように弾かれても、何が違うのかを言葉で言うのは難しいですね。あの様式感は、オーケストラの中で何曲も彼の交響詩を弾いていないと、実際のところ分からないと思います。

モーツァルトのコンチェルトは、オーケストラで彼のオペラを弾いていないと無理です。私のレッスンでは、モーツァルトのコンチェルトはオペラの場面の中で、メロディを会話に乗せて弾く。会話にすると、メロディに表情が付いて伝わりやすいのです。

オーケストラのコンサートマスターをずっとやらせて頂いた事で、音楽人生の財産、引き出しのようなものが出来ました。

――コンサートマスターの経験が随分ソリストとして活動していく上で役に立つ事はよくわかりました。そんな大谷さんの弾くヴァイオリン協奏曲をこれでもか! と堪能できる演奏会があるようですね。

そうなんです。実は2015年のデビュー40周年の時に、4曲のヴァイオリンコンチェルトを弾きました。ヴィヴァルディのイ短調作品3の6のコンチェルトから始まり、メンデルスゾーン、プロコフィエフ第1番、そしてブルッフの第1番のコンチェルトで、「前代未聞の快挙」とメディアでも取り上げていただきました。しかし、今回はそんなもんじゃありません(笑)。プロコフィエフのコンチェルトをサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」に変えたプログラムを、1日で2公演行います。私は何十時間でもヴァイオリンを弾き続けていたいといつも思っているので周囲の方がご心配されるような不安はありませんが、実際にはどこまでやれるのか、自分でも楽しみです。

指揮は新進気鋭の原田慶太楼さんで、オーケストラは大阪交響楽団。会場はザ・シンフォニーホールです。

 
ヴァイオリンの魅力を堪能できる演奏会は、大阪交響楽団の第104回名曲コンサート。 (C)飯島隆

ヴァイオリンの魅力を堪能できる演奏会は、大阪交響楽団の第104回名曲コンサート。 (C)飯島隆

――もしかすると大谷さんの事なので、アンコールはヴァイオリンを弾きながら、客席の後ろから登場されるつもりなのでは(笑)?

さて、それはどうでしょうか。当日のお楽しみという事で(笑)。

――演奏される4曲の聴きどころを簡単にお願いします。

1曲目のヴィヴァルディのコンチェルトは、ヴァイオリンを手にしたことがある人なら、きっと演奏した事がある思い出の曲ではないでしょうか。もちろん名曲です。懐かしくお聴き頂きたいですね。

2曲目は、ご存知メンデルスゾーン。皆さま、もうすっかりおなじみのコンチェルトだと思います。第1楽章の冒頭部分を立派な感じで弾く人が多いですね。オーケストラの強弱記号はPです。実はこの曲、メンデルスゾーンによって書き換えられて、今の冒頭のメロディになっています。彼の人生が現れていると云いますか、行こうか、戻ろうか、迷いもあって…タンタターン! 私はこう行こう! 繊細に心が揺れ動いて決まる。出だしから注目してください。

3曲目は私の大好きな曲、ブルッフのコンチェルト第1番です。やはり聴きどころは第2楽章でしょうか。ブラームスやリヒャルト・シュトラウスをはじめ、多くの作曲家がお手本にしています。「アルプス交響曲」との共通点は有名ですよね。

メンデルスゾーンもブルッフも、キングレコードからCDが発売されています。是非、聴いてみて下さい!

最後の曲は、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」です。即興的な曲で、お客様の熱気やホールの響き、その時の気分で全く演奏が変わる曲です。そのあたりも含めて楽しんでください。この曲は今までに3,700回くらい演奏しています。いつ演奏しても、新鮮に感じられる曲です。

このプログラム、ヴァイオリンとオーケストラがどういう風に対峙して、協調したり時には反駁したり、互いを際立たせたりといった、やり取りが良くわかると思います。ヴァイオリン協奏曲の面白さや醍醐味をぜひ堪能し、元気になって頂きたいですね。

――最後に読者の皆さまへメッセージをお願いします。

生活の中に音楽が根付くような活動をこれからも続けていきます! (C)H.isojima

生活の中に音楽が根付くような活動をこれからも続けていきます! (C)H.isojima

私はこれまでの音楽人生の中で、大好きなヴァイオリンと共にさまざまなことをさせていただき、本当に恵まれていると思います。これまでもそうだったように、やはりこれからも走り続けていくと思います。一人でも多くの人に音楽の素晴らしさをわかっていただけるように、生活の中に音楽が根付くような活動をしていきたいと思っています。どうぞこれからもよろしくお願い致します。

取材・文=磯島浩彰

ウィーン・フィルの「シェーンブルン 夏の夜のコンサート」と、「ザルツブルク音楽祭」のオペラ『アイーダ』でネトレプコを堪能!

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ユネスコの世界遺産であるシェーンブルン宮殿の美しい庭園で、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団恒例の「シェーンブルン 夏の夜のコンサート」が5月末に開催された。指揮はワレリー・ゲルギエフ、ゲストはソプラノ歌手のアンナ・ネトレプコという豪華な組み合わせである。2018年7月29日(日曜深夜)のNHK-BSプレミアム「プレミアムシアター」では、このコンサートと、昨年の「ザルツブルク音楽祭」でネトレプコが主演したオペラ『アイーダ』をまとめてお届けする。まさに、ネトレプコファン垂涎の深夜シアターだ。

ウィーン・フィルの「シェーンブルン 夏の夜のコンサート」は、2004年に始まって以来人気を呼び、今や正月の「ニューイヤー・コンサート」と並ぶ恒例の行事として定着。宮殿前の特設ステージで、クラシックや映画音楽など、年ごとに工夫を凝らしたプログラムを演奏する。入場無料で極上のひとときをカジュアルに堪能できるとあって、世界各地から観光を兼ねて訪れる熱心なファンもいるほどで、庭園の通路のイス席や宮殿に面した丘の斜面など、園内の観覧スペースを埋め尽くす観客は、毎年10万人を超える。また、60カ国を超える国や地域で放送もされている。                               

今回のコンサート・テーマは「イタリアン・ナイト」で、ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニら、イタリアの作曲家のオペラアリアや管弦楽曲を満喫できる。合間にゲルギエフとネトレプコの出身国、ロシアのバレエ音楽の名曲が盛り込まれているのも面白い。

カリスマ指揮者、ゲルギエフ (c) Terry Linke

カリスマ指揮者、ゲルギエフ (c) Terry Linke

ゲルギエフは、20代半ばからマリインスキー劇場(当時キーロフ劇場)の指揮者を務め、ソ連崩壊の激動期を芸術監督として乗り切り、ネトレプコらを発掘。エネルギッシュかつロマンチックな表現でスケールの大きな音楽を作り、世界中から支持されて「カリスマ」「スーパー・ダイナミック」などと呼ばれている。ウィーン・フィルとの共演はすでに20年に及び、演奏会としてはこの公演が150回目だそう。

ネトレプコは、サンクトペテルブルク音楽院で声楽を学び、2002年の「ザルツブルク音楽祭」でモーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』のドンナ・アンナを歌って成功を収めて以来、メトロポリタン歌劇場、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、パリ・オペラ座など世界の主要な歌劇場で主役を務めるディーヴァ。今回は、チレーアの歌劇『アドリアーナ・ルクヴルール』やプッチーニの歌劇『トスカ』などのアリアを披露する。

「ウィーン・フィル×ゲルギエフ×ネトレプコ」と、際だった個性が反応し合う、濃厚で叙情豊かな初夏の一夜は、例年にも増して聴きごたえ、見ごたえたっぷり。

ネトレプコがアイーダ役に初挑戦した「ザルツブルク音楽祭2017」の歌劇『アイーダ』 (c)Salzburger Festspiele_Monika Rittershaus

ネトレプコがアイーダ役に初挑戦した「ザルツブルク音楽祭2017」の歌劇『アイーダ』 (c)Salzburger Festspiele_Monika Rittershaus

次いで、ネトレプコが初のアイーダ役を務め高評を博した、昨夏の「ザルツブルク音楽祭」の歌劇『アイーダ』は、リッカルド・ムーティ指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏。物語は、古代エジプトを舞台に繰り広げられる王と奴隷女(実は敵国の王女=ネトレプコ)の命がけの恋で、ネトレプコがコクのある歌唱、熱演で観衆を魅了する。

また、演出はニューヨークを拠点に世界で活躍のイラン人女性映像作家、シリン・ネシャット。ネシャットは、イスラム社会における女性の政治的、社会的、心理的に抑圧された状況を世界的問題として写真、ビデオ・インスタレーション、映画などで描写し、女性のあり方を模索し続けている。代表作は写真連作『アラーの女たち』(1993~97)、ビデオ・インスタレーション『荒れ狂う』(1998)、ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞映画『男のいない女たち』(監督賞、2009年)など。昨年、第29回高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)も受賞。

(文 原納暢子)

堤真一出演の舞台『民衆の敵』、劇団☆新感線など【7/24(火)〜26(木)のオススメ舞台・クラシック記事】

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SPICE・7/24(火)〜26(木)オススメの舞台・クラシック記事


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▼堤真一出演、舞台『民衆の敵』のメインビジュアル公開、新キャストに赤楚衛二など総勢36名決定
https://spice.eplus.jp/articles/199947

▼劇団☆新感線が2019年、結成39周年《39(サンキュー)興行》で国内ツアー
https://spice.eplus.jp/articles/199922

▼パルコの敏腕女性プロデューサー対談 今秋“三島×MISHIMA”『豊饒の海』『命売ります』を上演
https://spice.eplus.jp/articles/199137

▼舞台『野球』飛行機雲のホームラン ~Homerun of Contrail 主演の安西慎太郎にインタビュー
https://spice.eplus.jp/articles/199255

▼日本を代表する人気ヴァイオリニスト大谷康子に聞く
https://spice.eplus.jp/articles/199091

▼劇場内で夏フェス気分満喫! KAATキッズ・プログラム2018『キッズ・サマー・パーティー』
https://spice.eplus.jp/articles/200085

 

▽そのほかの記事はこちらから▽
舞台:https://spice.eplus.jp/articles/play
クラシック:https://spice.eplus.jp/articles/classic

『美少女戦士セーラームーンClassic Concert 2018』 堀江美都子、小坂明子出演の開催直前特番が放送決定

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『美少女戦士セーラームーンClassic Concert 2018』が2018年8月28日(火)、29日(水)に東京芸術劇場、9月7日(金)に大阪フェスティバルホールにて開催される。本公演を記念したニコニコ生放送の特別番組『これを観れば絶対行きたくなる!「美少女戦士セーラームーン Classic Concert 2018」開催直前特番♪』の放送が決定した。

本番組にはコンサート出演者である堀江美都子、小坂明子、寺下真理子、SUGURU、三石琴乃(コメント出演)ほか豪華アーティストが大集結。昨年の振り返りトークはもちろん、今年もオーケストラアレンジを担当した三宅一徳によるアレンジ解説や、原曲との聴き比べ企画。小坂明子、寺下真理子・SUGURUによる生演奏を交えた解説コーナーも予定している。

本公演のチケットは現在好評発売中だ。

テレビアニメ「ピアノの森」コンサートが奈良・春日大社で開催、さらに横浜・スタクラフェスにも参加決定

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青年コミック誌「モーニング」(講談社)で2015年まで連載された傑作クラシック音楽漫画「ピアノの森」(一色まこと著)。そのテレビアニメの第1シリーズが先日、好評のうちに最終回を迎えた。そして、ショパン・コンクールを舞台にした第2シリーズが、2019年1月より放送される予定だ。

このアニメに参加しているピアニストたちによるコンサートが2018年9月24日(月・祝)に奈良県で開催される。会場となるのは、春日大社境内にある飛火野(とびひの)と呼ばれる森に囲まれた場所に設置される特設ステージ。まさに“ピアノの森”でのコンサートが実現する。出演は、反田恭平(阿字野壮介のメインピアニスト) 、髙木竜馬(雨宮修平のメインピアニスト)、牛牛/ニュウニュウ(パン・ウェイのメインピアニスト)、そして大山桃暖(小学生時代のキャラの担当ピアニスト)という錚々たる顔ぶれ。

飛火野

飛火野

春日大社万燈籠

春日大社万燈籠

さらに、反田恭平、髙木竜馬、牛牛/ニュウニュウの三人は、9月23日(日・祝)に横浜の赤レンガ倉庫で開催される『イープラス presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称:スタクラフェス)にも参加する。14:10から会場内のHARBOR STAGEで行われる「クラシックinアニメ」において、「ピアノの森」の楽曲を演奏する予定だ。

スタクラフェスは、横浜赤レンガ倉庫前に設置される3つの野外ステージ(HARBOR STAGE/GRASS STAGE/Sunday Brunch Classic Stage)で、10:30~20:30まで10時間にわたり、気鋭の演奏家たちにより、クラシックのよく知られた名曲からオペラ、ミュージカルの名曲、さらにはスタジオジブリの音楽まで、多種多様なプログラムが繰り広げられる野外音楽フェスティバルだ。クラシックのコンサートといっても決して堅苦しいものではなく、屋外で潮風を感じながら、食べたり飲んだり、時には寝そべりながら、多様な音楽を気軽に楽しめるのが、このフェスの特徴。この中で「ピアノの森」を楽しむのもまた一興であろう。

イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL ’18』制作発表記者会見

イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL ’18』制作発表記者会見

こうしてクラシック音楽界も、リアルと2次元の幸福なタイアップにより、ますます盛り上がることだろう。


【STORY】
森に捨てられたピアノをおもちゃ代りにして育った主人公の一ノ瀬海が、かつて天才ピアニストと呼ばれた阿字野壮介や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平などとの出会いの中でピアノの才能を開花させていき、やがてショパン・コンクールで世界に挑む姿を全24話で描く。 TVアニメ「ピアノの森」第2シリーズは2019年1月よりNHK総合テレビにて放送決定!Netflixにて第1シリーズ(第1話〜12話)独占配信中

【出演ピアニスト(予定)】

■反田恭平 (そりたきょうへい)

阿字野壮介のメインピアニスト。モスクワ音楽院に首席で入学、現在はショパン大学に在学中。デビュー2年目にして全国ツアーでも20,000人を動員。今最も勢いのある若きピアニスト

■髙木竜馬(たかぎりょうま)※高は、はしご高

雨宮修平のメインピアニスト。ウィーン国立音楽大学、及びイモラ国際ピアノアカデミーに特別奨学生として学び、ウィーン楽友協会大ホールにもデビューしている実力者

■牛牛(ニュウニュウ)

パン・ウェイのメインピアニスト。6歳でデビュー。日本では12歳でサントリーホールにて初リサイタル。名門ジュリアード音楽院で研鑽を積んだ中国の若き天才ピアニスト

■大山桃暖(おおやまもだん)

小学生時代の一ノ瀬海、丸山誉子の演奏を担当。2005年大阪府出身。4歳からピアノを始める。 ヤマハヤングピアニストコンサート三木楽器大会小学1.2年生部門金賞(2012) ピティナ・ピアノコンペティション C級全国決勝大会銀賞、D級本選優秀賞(2015.2016)全日本学生音楽コンクール大阪大会本選入選(2016.2017)

©一色まこと・講談社/ピアノの森アニメパートナーズ

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