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第15回〈世界バレエフェスティバル〉世界最高峰のダンサーが集結! 若年層向けにコーセーU29シートも発売

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3年に1度、バレエファンの熱い夏の祭典、第15回〈世界バレエフェスティバル(WBF)〉が2018年7月末から東京・大阪で開催される。過日、記者会見で概要と出演者がNBS/公益財団法人日本舞台芸術振興会より発表された。

高橋典夫・NBS専務理事は、15回目となる今年はWBF創始者の佐々木忠次氏亡き後、初の開催であり、また2020年東京五輪を控えたタイミングでもあることから「節目となるフェスティバル」と位置付ける。また今年はコーセーが協賛企業として参加。若年層向けのバレエ鑑賞普及の一環として、C席を定価の1/4の価格で購入できるという「コーセーU29シート」を発売するなど、新たな取り組みも行われる。

■WBFは日本の文化資源

WBFは東京で7/27・28に全幕『ドン・キホーテ』、Aプロ(8/1~8/5)、Bプロ(8/8~8/12)、恒例のガラを「ササキ・ガラ」として8/15に、さらに大阪で8/18に全幕『ドン・キホーテ』を上演する予定だ。

WBFは故・佐々木忠次氏が「世界のトップダンサーを1人でも多く日本に紹介したい」と始めたフェスティバル。1976年に開催された第1回にはマーゴ・フォンティン、マイヤ・プリセツカヤ、アリシア・アロンソといった当代きっての名ダンサーが登場した。

それから42年。第2回以降はオープニングに「戴冠行進曲」、フィナーレに『眠れる森の美女』アポテオーズを加え、3年に1度、世界屈指ダンサーを集めた、世界にもその名を知られるバレエの祭典として開催を続けている。NBSの高橋専務理事は「日本のバレエをいち早く国際化し、東京がバレエの中心地となったことに、このWBFが寄与した役割は大きい。WBFは日本の文化資源だ」と話す。そのうえで、2020年にはオリンピック・シーズンに「WBF特別編」の開催や、WBFのパブリック・ビューイング案、昨今急増している外国人客へのチケット販売なども視野に入れ、さらなる拡大を考えていると明かした。

高橋典夫(NBS専務理事)

高橋典夫(NBS専務理事)

■若年層に対する間口拡大「コーセーU29シート」発売

今年はコーセーが特別協賛企業として参加する。同社執行役員・宣伝部長の北川一也氏は会見で「WBFはクオリティの高い、世界中の研鑽された美が集う、本物の美を目にすることのできる機会。社内には流行りものではなく、本物の美を追求する認識がある」と話す。そして同社がこれまでフィギュアスケートやバレエの支援を行ったことにふれ、「そうした経験を活かし、バレエファンの間口を広げられれば」とも。

高橋専務理事も「若年層の観客を育てるのは、バレエに限らずオーケストラなどすべての課題」としたうえで、その取り組みの一環として、今年は29歳以下に適用される「コーセーU29シート」を発売するという。これは満29歳までを対象に座席数限定で、A・BプロのC席相当の席を4000円、全幕プログラム『ドン・キホーテ』を2000円で販売するもので、WBFでは初めての取り組みとなる。

北川一也(コーセー執行役員・宣伝部長)

北川一也(コーセー執行役員・宣伝部長)

■初参加9人。30人以上のダンサーが登場

今回出演予定のダンサーは、アリーナ・コジョカル(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)、マチュー・ガニオ(パリ・オペラ座バレエ団)、シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ団)やアレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ団)といったおなじみのメンバーに加え、ドロテ・ジルベール(パリ・オペラ座バレエ団)、ダニエル・カマルゴ(オランダ国立バレエ団)、デヴィッド・ホールバーグ(アメリカン・バレエ・シアター)など初参加が9人。現時点で33人のダンサーが名を連ねている。さらにモーリス・ベジャール・バレエ団から芸術監督推薦で数名のダンサーが加わる予定だ。

全幕『ドン・キホーテ』主演は7/27にウルド=ブラーム&エイマン、7/28にコジョカル&コラレス、さらに記者会見で語られたところによると、大阪8/18はアレクサンドロワ&ラントラートフが予定されているという。

バレエファンの「熱い夏」が、いよいよ始まる。

第15回世界バレエフェスティバル プロモーションムービー

≪予定される出演ダンサー≫
マリーヤ・アレクサンドロワ(ボリショイ・バレエ)
シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ団)
エリサ・バデネス(シュツットガルト・バレエ団)【初】
レオノール・ボラック(パリ・オペラ座バレエ団)【初】
アリーナ・コジョカル(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
オレリー・デュポン(パリ・オペラ座バレエ団)※Aプロのみ
マリア・アイシュヴァルト(元シュツットガルト・バレエ団)
ドロテ・ジルベール(パリ・オペラ座バレエ団)【初】
マリア・コチェトコワ(サンフランシスコ・バレエ団)
サラ・ラム(英国ロイヤル・バレエ団)
アンナ・ラウデール(ハンブルク・バレエ団)
ミリアム=ウルド・ブラーム(パリ・オペラ座バレエ団)【初】
タマラ・ロホ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
ヤーナ・サレンコ(ベルリン国立バレエ団)※Aプロのみ
ポリーナ・セミオノワ(ベルリン国立バレエ団)

ロベルト・ボッレ(ミラノ・スカラ座バレエ団/アメリカン・バレエ・シアター)
フェデリコ・ボネッリ(英国ロイヤル・バレエ団)
ダニエル・カマルゴ(オランダ国立バレエ団)【初】
セザール・コラレス(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)【初】※Bプロのみ
マチュー・ガニオ(パリ・オペラ座バレエ団)
デヴィッド・ホールバーグ(アメリカン・バレエ・シアター)【初】
イサック・エルナンデス(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)【初】
マチアス・エイマン(パリ・オペラ座バレエ団)
ヨハン・コボー
ヴラディスラフ・ラントラートフ(ボリショイ・バレエ)
ジェルマン・ルーヴェ(パリ・オペラ座バレエ団)【初】
スティーヴン・マックレー(英国ロイヤル・バレエ団)※Aプロのみ
マライン・ラドメーカー(オランダ国立バレエ団)
エドウィン・レヴァツォフ(ハンブルク・バレエ団)
アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ団)
レオニード・サラファーノフ(ミハイロフスキー・バレエ団)
ダニール・シムキン(アメリカン・バレエ・シアター)
フリーデマン・フォーゲル(シュツットガルト・バレエ団)

※3/5発表による。ほか、モーリス・ベジャール・バレエ団から参加、他にも数名のダンサーが参加を予定。

取材・文=西原朋未


ジェームズ・ボンドお気に入りの酒“ヴェスパー”と共に『007』を鑑賞

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 巨大スクリーンに投影されたスパイ映画『007』の映像に、大迫力のフルオーケストラ生演奏による音楽が合わさったシネマオーケストラ =“シネオケ(R)″公演、『ジェームズ・ボンド 007「カジノ・ロワイヤル」in コンサート』が2018年4月29日(日)に東京国際フォーラム・ホールAにて開催される。

本公演において、映画内で主人公のジェームズ・ボンドが注文するお酒である「ウォッカ・マティーニ“ヴェスパー”」が77杯限定で販売されることとなった。ヴェスパーは、ゴードンジンを3、ウォッカを1、リレ2分の1をシェイクし、レモン・ピールのスライスを入れての提供となる。(※客席内への持ち込みは不可)

シネオケ(R)は、映画のセリフや効果音はそのままに、劇中に流れる音楽をフルオーケストラが演奏するため、観客は映画全編を楽しみながらも映画館以上の臨場感を体感できる。『007』の世界観により浸るべく、ジェームズ・ボンド馴染みの一杯を頼んでみてはいかがだろうか。

熊川哲也 Kバレエ カンパニーのプリンシパル浅川紫織が引退を表明

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2018年3月14日、熊川哲也 Kバレエ カンパニーのプリンシパル浅川紫織が今秋の『ロミオとジュリエット』を最後に第一線を退くと発表された。2003年4月に17歳でKバレエに入団し、あらゆるレパートリーの中軸を務めてきた浅川は、昨秋の話題作『クレオパトラ』表題役でも好評を博し、先日の「New Pieces」における熊川の新作『死霊の恋』にも出演していたので突然の表明に誰もが驚いたはず。会見には芸術監督の熊川と浅川が出席した。

引退に至ったのは6年前に痛め持病となっていた股関節の怪我のため。熊川は浅川について「怪我に対してひたむきに打ち勝つ姿を見てきました。自分のなかでも細胞をえぐるような感情を巻き起こしてくれるダンサーでしたし、がんばってくれた同志です」と語り長年の労をねぎらう。

熊川哲也、浅川紫織

熊川哲也、浅川紫織

両者の出会いは浅川が17歳のとき。イングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクール留学中に同校を視察で訪れた熊川の誘いを受けてKバレエに入団した。「容姿、素晴らしい脚、精神力といったバレリーナとして絶対不可欠な条件が10代の頃から揃っていました。Kバレエの生え抜きとしてコール・ド・バレエ(群舞)から始めトップバレリーナになってからの10年間は感謝もありつつ素晴らしい夢をいただけましたし、常に感動がありました。名バレリーナ、大バレリーナとして輝いてくれたことに感謝しつつ培ってきた知識・ノウハウを後輩に伝承してほしい」と熊川は愛弟子を思いやる。

浅川は「ディレクターの言葉を聞いたら感極まってしまって……」と涙ぐむ。引退をいつ決めたのか?と問われ「自分のなかでは6年前に大きな怪我したときから『いつ歩けなくなっても』『いつ踊れなくなっても』という覚悟で毎日を送ってきました。引退は大きなことですが、カンパニーの顔として、プリンシパルとして、いろいろな責任を伴うなかで自然な流れになったという感じです。自分が歩けなくなるまで踊ればいい、私だけが良ければいいという状況ではないので」と決断の理由を明かす。

浅川は忘れられない舞台として入団後初舞台となった熊川版『白鳥の湖』初演を挙げ「成功の拍手、その場に自分がいるという感動を忘れることは一生ないと思います」と懐かしむ。プロダンサー生活をKバレエ一筋で過ごしたが「バレエだけでなく精神面に関してもいろいろなことを学ばせていただき幸せとしか言いようがありません。私がすべてを注いできたKバレエで最後の舞台を終える、全うできるのは幸せです」と感謝を口にした。

熊川哲也、浅川紫織

熊川哲也、浅川紫織

後輩たちに贈る言葉は?と聞かれると「若い頃、27歳で大怪我を負うとは思っていませんでしたし、先輩方のようにずっとずっと舞台で踊っていくのだと思っていたのですが、予期せぬことは起こります。私は毎日全身全霊でバレエに打ち込んできたので復帰できず踊れなくても自分のすべてをやったと思えました。若い世代の子たちには『今をフルアウトしてやり切れ!』ということを伝えたい」と述べた。

引退を決意してからの心境の変化は?という質問に浅川は「今まではバレエを踊ること、Kバレエで過ごす時間がすべてだったのですが、年齢を重ねたり、いろいろなものを見たりして、バレエに対しての他の方面からの接し方、関わり方もあるし、舞台で踊らなくなってもバレエ人生が終わる訳ではないという考えが生まれてきました」と回答し、引退後には「今からでも学べることはたくさんあると思うので、人間としてしっかりしていけるようにさまざまなことを勉強していきたい。ポジティブな気持ちでいます」と前向き。熊川も「これから社会人としてどう成長していくか。ポジション的には考えていってあげたいなと思います」と新たな門出をバックアップすることを約束し温かいエールを送った。

『白鳥の湖』リハーサルの様子

『白鳥の湖』リハーサルの様子

浅川はきたる3月21日に開幕する『白鳥の湖』でオデット/オディールを踊る。会見に先立ち宮尾俊太郎(ジークフリード)、石橋奨也(ロットバルト)とのリハーサルの模様も披露。「大切に踊ってきた役柄なので、この時期に踊れて本当に幸せですし、自分のすべてを投じるにふさわしい作品とキャラクター。自分のできることをお見せして、お客様を感動させたい」と意欲を示した。

『白鳥の湖』リハーサルの様子

『白鳥の湖』リハーサルの様子


取材・文・撮影=高橋森彦(舞踊評論家)

遅咲きのピアニスト、シャルル・リシャール=アムランが『ピアノ・エトワール・シリーズ』に出演

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彩の国さいたま芸術劇場の好評企画、新鋭のピアニストが意欲的なプログラムを披露する『ピアノ・エトワール・シリーズ』に、2015年ショパン国際ピアノ・コンクール第2位入賞のカナダ出身のピアニスト、シャルル・リシャール=アムランが登場する。

国際コンクールというと、10代の若手コンテスタントがひしめくが、1989年生まれのアムランはそのとき26歳。ほぼ無名に近かったため、予備予選(予選の前段階)からの参加だったが、その磨き抜かれた音色と豊かな音楽性で瞬く間に注目を集めた。いわゆる遅咲きのピアニストだが、アムランはここまでどのように歩んできたのだろうか。

「カナダの地元ケベック州でピアノを始め、5歳から18歳までパウル・スルドゥレスク先生の指導を受けました。スルドゥレスク先生は、早くから難しい曲を弾かせるのではなく、当時の私には難しいけれども、難しすぎることのない曲を選んでくれて、段階的に学ばせてくれたことが良かったと思います。音階やテクニックばかりでなく、音楽作品の深いところまで、私が興味をもてるような選曲をしてくれました。その後、18歳でモントリオールのマックギル大学で3人の先生に師事し、さらにアンドレ・ラプラント先生(1978年チャイコフスキー国際コンクール第2位入賞のカナダの巨匠)のもとでも学びました」。

じっくりと時間をかけて自身の音楽を深めていったアムランは、その実力を試してみようと自らの決断でコンクールを受ける。

「最初は小さいコンクールに出場しようとテープを送ったのですが、22歳でそれまでひとつもコンクールに通ってないピアニストはどうせダメだろうという先入観があったのか、どれも事前審査の段階で落とされてしまいました。それならば、国際コンクールに挑戦しようと、ソウル、モントリオール、ショパンと3つのコンクールを受けて、運よくすべて入賞することができました」。

シャルル・リシャール=アムラン

シャルル・リシャール=アムラン

地元モントリオール国際音楽コンクールのときはとても緊張していたが、ショパン国際コンクールでは、神経質になることはなかったという。

「もちろん審査員もいて、カメラも入っていますから普通の状態ではありません。でも、このワルシャワで、ショパンの作品を弾けることに幸せを感じていました。後でyoutubeで自分の演奏を見ましたが、自信を持って心が揺れることなく弾いているのが自分でもわかりました。期待やプレッシャーをたくさんもって受けに来ているコンテスタントに比べたら、純粋に弾く喜びの中に浸ることができたと思います。第1次予選で《バラード第3番》を弾いた後は、たくさんの拍手をいただきました。コンクールは再度出てきてお辞儀をしてはいけないので舞台には戻れませんでしたが、それも大きな自信になりました」。

第3次予選まで無事に通過したアムランは、本選で《ピアノ協奏曲第2番》を演奏する。

「この曲は、弦楽四重奏版やピアノ伴奏で弾いたことはありましたが、オーケストラと合わせるのはそのときが初めてでした。こういうとき最悪の事態になることもあるのですが、本選まで気持ち良く進めたので、自信をもって楽しく弾けました。そのあとこの協奏曲は50回近くオーケストラと弾いています。きっと今の方が上手に弾けると思いますよ(笑)。」

さて、今回のショパンを中心としたプログラムは、彼のいまを映し出す、考え抜かれ選曲となっている。

「一曲目のモーツァルト《幻想曲ニ短調》は、音符の数は少ないですが、静かななかに豊かな感情が含まれ、次のショパン《4つの即興曲》へも良い橋渡しになると思っています。即興曲は今回、楽譜が出版された順番に演奏します。最後の《幻想即興曲》は、実は4曲のなかで最初に書かれた作品です。第2番と第3番は、コンサートで演奏されることが意外と少ないので楽しみにしていただきたいです。《バラード》も4曲続けて弾きます。バラードはショパンの人生を辿るようなもので、第1番はかなり若いときに作られ、第4番は彼が人生の最後に差しかかったときに作曲されました。続けて演奏することは容易ではありませんが、続けることで彼の人生が見えてきます。どの曲も最後のコーダが特徴的で素晴らしいですよね。このコーダをどのように演奏するか、それを4曲続けた場合の表現も興味深いと感じています」。

シャルル・リシャール=アムラン

シャルル・リシャール=アムラン

そしてユニークなのは、アルメニア出身のババジャニアンの作品を取り上げる。何か良い作品はないかとyoutubeで探して偶然見つけたという。

「ババジャニアンは、良いピアニストで、作曲家としても優れていました。《エレジー》は、民俗音楽をもとにしたメロディアスな作品で、最後の《カプリッチョ》はヴィルトゥオーゾ的な華やかな曲です。それなのにソビエト時代の鉄のカーテンに阻まれ、忘れ去られてしまったのは残念なことです。以前からこうした知られざる作曲家や作品の発掘に興味があって、2枚目のアルバムにも録音しましたが、エネスコ《ピアノのための組曲第2番》も積極的に取り上げてきました。私の演奏でこの曲を初めて知ったとか、この曲を演奏したいと言って下さる方もいたりと反響が大きく、これこそが自分のやりたいことだと確信しました」。

ショパン・コンクール入賞以後、ほとんど休みがなく、世界で200回以上のコンサートに出演してきたと語るアムラン。「世界中の人たちが私の演奏に注目してくれるのは本当に幸せなことです」。落ち着いた物腰だが、ピアノと音楽を愛する青年の表情はいきいきと明るい。誰もが期待を寄せるショパン、音色の美しさが際立つモーツァルト、新しい出会いとなるババジャニアン。6月のコンサートは、彼の発見に満ちた演奏で、私たちを楽しませてくれるだろう。

『シンデレラ』がテーマなのに時代背景は戦時中 マシュー・ボーンの『シンデレラ』日本上演決定

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バレエ界の奇才マシュー・ボーンの最新作、『シンデレラ』が10月に東急シアターオーブにて上演されることが決定した。プロコフィエフの音楽の魅力を活かし、「シンデレラ」の舞台を戦時中に設定した、斬新かつスリリングで刺激的なラブストーリーである。

振付家・演出家であるマシュー・ボーンは、世界最長ロングラン記録を持つバレエ作品の創り手であり、ローレンス・オリヴィエ賞を5回受賞、トニー賞の優秀振付賞と最優秀ミュージカル演出賞の両方を受賞した唯一のイギリス人である。日本では白鳥役を全員男性が演じた『白鳥の湖』が大ヒットし、その人気を不動のものとした。 

Photograph: Hugo Glendinning

Photograph: Hugo Glendinning

『くるみ割り人形』『眠れる森の美女』など、これまでも斬新な手法で古典作品を新解釈し、人気作品を生み出し続けてきらボーンの最新作『シンデレラ』は、1940年のロンドン大空襲が舞台となっている。ボーンは、プロコフィエフが『シンデレラ』の楽曲を第二次世界大戦中に書き上げたということに興味を抱き、歴史に残る暗黒時代の雰囲気が何かしらの形で音楽に反映されていると確信して物語の舞台を戦時中に設定した。

一瞬一瞬がすべてであり、愛を見つけても突如として奪われてしまう時代。魔法のような夜に出会い、恋に落ちた2人の物語。新感覚の『シンデレラ』はバレエファンでなくとも楽しめることだろう。 

Photograph: Hugo Glendinning

Photograph: Hugo Glendinning

 

メイシアターに鳴り響く、大阪フィルのメンバーによる弦楽合奏の調べ!

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吹田市文化会館メイシアターが、1年間の改修工事を経て4月にリニューアルオープンする。

吹田市文化会館メイシアター

吹田市文化会館メイシアター

関西を代表するオペラ団体、関西二期会、関西歌劇団の本拠地でもあり、北摂エリアのクラシックコンサートの会場としても中心的な役割を果たして来たメイシアターは、1985年(昭和60年)4月に朝比奈隆指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏でオープン。大(1392席)、中(492席)、小(156席)の三つのホールを有し、ホール特性を生かした自主事業を展開して来たことで、音楽だけでなく演劇の世界でもたいへん話題となって来た。

大阪フィル創立名誉指揮者 朝比奈隆

大阪フィル創立名誉指揮者 朝比奈隆

               

杮落とし公演に先駆け、テスト演奏でいち早く大ホールの音出しを指揮した朝比奈隆は、「天井の高さも広さも申し分なく、理想的なホール」と絶賛。その後、事あるごとに大阪フィルはメイシアターのステージに上がることとなるが、2015年(平成27年)の30周年記念シリーズのラストを飾るプログラムで、桂冠指揮者の大植英次がヴィヴァルディ「四季」とベートーヴェン交響曲第3番「英雄」を指揮した事は記憶に新しい。

そして今回、リニューアルオープン記念として大阪フィルの弦楽器のメンバーが新装されたメイシアターのステージに上がり、ヴィヴァルディの「四季」を演奏する。

メイシアターの事務局長 古矢直樹は、「メイシアターは杮落としも大阪フィルから始まり、リニューアル再開後も大阪フィルから始まります。抒情的な美しさが人気のヴィヴァルディ「四季」を、大阪フィルのコンサートマスター崔文洙氏を中心に、指揮者を置かない形でお届け出来るのも珍しいのではないでしょうか。ぜひ多くの方にお聴き頂きたいと思います。」と語る。

大阪フィル首席客演コンサートマスター 崔文洙

大阪フィル首席客演コンサートマスター 崔文洙

30周年の時に「四季」のソリストを務めたのは大阪フィルの首席コンサートマスター田野倉雅秋だったが、今回は首席客演コンサートマスターの崔文洙が務めるのも興味深い。大阪フィルの弦セクションの音色は、重厚かつ華やかな響きが特徴的。日本を代表するコンマス崔文洙はこれまでにも「大阪クラシック」などで、大阪フィルの弦楽合奏を束ねて来た経験が有り、今回のプログラムでも大いに期待が持てる。特に「四季」の独奏部分はヴィルトゥオーソ的な技量が必要とされ、まさに崔文洙に打って付けの曲だ。平昌オリンピックでフィギュアの宇野昌磨選手がショートプログラムで取り上げた事でも知られるヴィヴァルディの「四季」。もちろん皆さまお待ちかねの“冬”も演奏されるので、普段あまりクラシック音楽を聴かない人も楽しめるのではないか。この演奏会がクラシック音楽を楽しむきっかけとなれば、素晴らしいことだと思う。

なお、メイシアターの翌日、大阪フィルハーモニー会館でも同じプログラムで演奏会が行われる。

森下真樹、海老原光指揮・日本フィル演奏でベートーヴェン『運命』第一楽章に再チャレンジ「森下が音になり、海老原が踊る?!」

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2017年12月、ベートーヴェンの交響曲第5番『運命』全4楽章を、MIKIKO、森山未來、石川直樹、笠井叡の振付で踊るという暴挙!に出たダンサーの森下真樹。この時に、日本フィルハーモニー交響楽団などで活躍する指揮者、海老原光氏にレクチャーを受けていた。実は、3月にMIKIKO振付の第一楽章を海老原の指揮によりオーケストラの生演奏をバックに踊ることが決まっていた。森下に全楽章を踊った後に感じたことを聞きたい、そしてさらなる無謀についても(本当はほかにも無謀はいっぱい、それはまた次の機会に)。都内で二人をキャッチした。

『運命』で富士山の雲海を見た

森下真樹

森下真樹

ーー森下さんに。『運命』全楽章を踊って何か見えてきたものはありましたか?

森下 いや、まだちょっと言葉にできないんです。せっかく来ていただいたのに。しばらく頂上に行ったきり下山できない時間があって。2カ月経つのかな(取材時)。(石川とは実際に富士山頂上に登った)頂上から笠井さんの振付で雲海より上に浮いて、そこから頂上にようやく戻って。

ーーもしかして3月公演が終わるまで富士山から降りられそうもないと?

森下 いえ一回下山してもう一回登ります。

海老原 3月に踊るのは第一楽章だけじゃないですか。クラシックの演奏家だと『運命』は第一楽章があって、第二楽章があって、第三楽章があって、第四楽章であのクライマックスで弾ける。それこそ雲海の上の「あ、見えてしまった」ところまで行く。僕らも第一楽章だけやることはよくあるんですよ、ジャジャジャジャーンは有名なので。でもその時は、雲の上まで行くための一歩目だとは思わなくて、第一楽章だけでも世界が終わるような感じなんですよ。だから全楽章やる時の第一楽章のテンションと、第一楽章だけやる時のテンションは少し違うんです。第一楽章だけやるときってタタタタンタンタンタンザンザンッハーハーハー(息切れ)……。全楽章やる時はそうではなくて。

森下 それはなぜ違うんですか?

海老原 わかんないです。

一同 笑い

リズムの積み重ねて積み重ねているのがベートーヴェン

海老原光

海老原光

ーー海老原さん、最初にベートーヴェン全楽章を踊ると聞いた時はどう思われましたか?

海老原 森下さんとは本当もう、何も出てこないくらいそのことは話しました(笑)。『運命』という本来踊りのために書かれてはいない曲から何らかのメッセージを受け取って身体表現にする、僕もものすごく興味を持って拝見しました。指揮者は自分では音を出しません。身体の動きと呼吸で演奏家を導くんです。大きな音楽を奏でたければ身体を小さくはしないし、細かい音を出してほしいのに緩慢な動きはしない。だから音楽の動きと指揮の動きとの関係性は、指揮者はきっと誰でも意識していて、僕自身も問題意識があったんです。それが実際に結びつくとどうなるか、僕がフィジカルだと思ってたものをダンサーの方がそう感じるのか感じないのか、無視するのか拾ってくださるのか、予測不可能なことをやってくださるのか、それがすごく楽しみでした。そして期待以上でした。

ーー森下さん、稽古当初に海老原さんに『運命』をレクチャーいただいたんですよね?

森下 日本フィル制作の川口さんから、すごく面白い指揮者の方だと。ご一緒することが決まっていたので、お話を聞いてみませんかとご提案をいただいたんです。MIKIKOさんは、純粋に音を聴いて、そこに私の人生を乗せて作りたいとおっしゃてくれました。なので、曲の背景などはあえてリサーチしないということに…振付がほぼ形になった段階で、海老原さんからのベートーヴェンについてや『運命』についてのお話を聞くことで最後のスパイスになればいいなと。

海老原 実はちょっと怖かったんですよ。僕らにとっても『運命』は一番オーソドックスな曲で、なんなら隅から隅まで知っているつもりでいる。同時に知っても知っても知り尽くせない何かがあるバイブルみたいなものなんですよ。お話しすることが有用なのか、逆に何かに捉われるんじゃないかという恐怖感があった。何を話したらいいか迷っていて、30分にしておこうと思っていたら2時間半も話してしまいました(笑)。

ーーお話を聞いた後の二人はすごいテンションだったそうですよ。

海老原 それなら良かった。僕も公演を拝見し、お話も聞いて、振付師の方はこんなにもダンサーの方の人生と深くかかわって振り付けをするんだなと感動しました。真樹さんだからこうしよう、真樹さんならどうなるのかを考える。

森下 今回の4人の振付家からは森下真樹の個や人生をイメージした振付をいただきました。

海老原 まさしく『運命』は、そしてベートーヴェンは本当にしがみついていないと振り落とされるような音楽。当時のパンク。その時代は綺麗な旋律と美しいハーモニーと、あと宮廷音楽と結びついたものがいわゆるクラシックでした。だけどそこにフランス革命、市民が主役になる時代が来て、その中で彼自身の情動をどう表そうかと思った時に見い出したのがリズムだった。とてつもないリズムの連続。とにかく積み重ねて積み重ねて…。それを振付家の皆さんはどこかで感じて表現していらした。

自分が音になりたい

森下真樹

森下真樹

ーーそして今度は海老原さんが指揮し、日フィルの方々が演奏する中で森下さんが『運命』第一楽章を踊ります。コンテンポラリーダンスと一緒に作業することはあまりないことだと思いますが?

海老原 バレエは振付が決まっていて、誰が踊ろうとどこであろうと変わらない。つまり、この音が出たらここに動きが来るみたいな感じで音と動きがすごく密接。でも実際に真樹さんのダンスとMIKIKOさんの振付を観た時にこの人たちはこの音に対してこうじゃなくて、自分たちが持っているストーリーやイメージ、身体の動きの流れがあって、『運命』は奇跡的に一致したくらい感じなんだと。僕ら音楽家は音楽が一番大事です。逆にこっちはこっちで動きに限定されずに、音に集中することで引っ張ることも、着いていくこともできる。そういう拮抗が生まれるんじゃないのかと思いますね。踊りのために演奏するわけでもなく、演奏のために踊りをするわけでもなく、お互いベストを尽くして同じ時の流れを過ごせばいい。どうですか、森下さん?

森下 はい。前から薄々気づいていたんだけど、私は「音になりたい」と踊ってるみたいなんです。わりとそのことが最近わかった。どんな動きを作っても、最後には音で演出されるというか、支配されてしまうもどかしさみたいなものがずっとあって。どう説明したらいいかわからないんですけど、音を越えられないんです。音との距離のとり方はいろいろあると思いますが、仲良くなってばかり。もっと拮抗したい。音になりたい…。だから音楽に支配されずに踊れる「無音」という音楽を選ぶことも多いです。音楽がきこえてくるような身体性を持つダンサーに魅力を感じます。どうしたらそうなれるか考えている自分に気づいたんです。その時に『運命』を踊ることになって。だからこそ逆に音を生み出す海老原さんがすごいと思っています。

海老原 その話を聞いて、僕も音になりたいと思って指揮をしてたんだと思いました。指揮者も何も音がないところから自分が動き出して、それに対して音が生まれてくる。面白いと思ったのは音に反応するのは音より動きの方が後ですよね。音が現在だとすると、音に対して未来を示す僕がいて、音を過去にして動いている真樹さんがいる。過去と現在と未来がほんのわずかなタイムラグがありつつも一気に訪れる、これは面白いぞと思ったんです。

僕やオケも振付に入れてください。

海老原光

海老原光

ーー海老原さんも背中越しに振るということですよね?

海老原 そうです。

森下 お互い背中越しです。

海老原 先日、舞台を使って、ここにスペースを作って、指揮台があって、オーケストラがいてみたいなことを確認しながらCDで音源を流して僕が振ってみたんですよ。その時に僕は森下さんを一切見なかった。そしたらステージのスタッフとかいろんな方に「あれ、観ないんですか? 動き確認しないんですか?」みたいなことを言われたんですよ。それはさっきお話したように、森下さんやMIKIKOさんのあり方に関係があるんです。音楽は時間芸術と言いますよね。そこに空間が加わるのがダンスだと思うんです。だとするならば、僕が時を進めることに集中すれば、真樹さんがそこに何かを感じるんじゃないか、ある種の自分勝手感と信頼感みたいなものがあるんです。

森下 あの時は私の身体を使って指揮をしていただいたりもしました。

海老原 バレエならオケはピットに置いて、舞台は踊りだけになる。でも今回は舞台の上にオケがいて、その前で踊ってもらうんです。たぶんオーケストラや指揮者の動きが視界に入った上で踊ることになるから、僕や演奏家も舞台の動きの一部になると思ったんです。ならば指揮を振っていることが、舞台の森下さんの動きに影響を与えるのかどうか確認したかったので、こういうふうに指揮するんですと森下さんの手を取って動かしてみた。

ーーなんて贅沢な経験。

森下 本当ですよね。

海老原 いやいや。後で恥かしくなりました。身体を動かすプロに向かって何てことをしたんだと(苦笑)。舞台上は一歩間違えたら演奏家とぶつかりそうな距離感なんです。

森下 いつも以上の緊張感ですね、きっと。

海老原 弦楽器奏者の位置が課題ですね。ヴァイオリンは体を揺らしながら弾きますし、手が意外と客席側に伸びてくる。

森下 そこで椅子を振り回す動きはできませんよね。

海老原 気づいちゃいました?

森下 はい(笑)。だから今ある振付をどうアレンジしなければいけないかを確認できた時間でした。せっかくだからどこかで目を合わす瞬間みたいなものがあると面白い思っているんです。MIKIKOさんとの相談ですけど。

海老原 今思いついたんですけど、『運命』の途中でオーボエだけが演奏する時間があるんですよ。クラシック用語ではカデンツァと言うんですけど、そこはお任せで僕は振らない。

森下 それって曲の真ん中ですか? ちょうど良いかもしれない。

海老原 きた! それだ。ぜひ僕を振付に入れてください。

森下 はい! MIKIKOさんには伝えさせていただきます。奇跡的にタイミングがあったら海老原さんにも稽古場にお越しいただけるととすごく膨らみそうな予感がします。

海老原 もちろんです、昼夜問わずお邪魔しますよ。稽古に行かないと!

子どもに大人の本気を見せつける

ーー改めてうかがいますが海老原さんにとって、第一楽章とはどんなものですか?

海老原 なんでしょうね……普通の作曲家は最初に所信表明をするんです。「皆さん、よろしいですか? 私がこれから述べます」と。でもベートーヴェンはいきなりダダダダーンダダダダーンと「我ここにあり」から始まる。本当に自己主張の塊。ルール違反も甚だしい。ありえない。だけど、彼はその他大勢ではなかったからこそ200年も生き抜いてきた。それを現代の我々が解釈して動きをつけているのを彼はどう見るだろう。おそらく彼が感じていたエネルギーを僕らも感じているに違いないと信じて表現しようと思いますね。ベートーヴェンはとにかく激しい。演奏家もそれがわかっているから、いかに力を抜くかを考えるんです。ところが距離を取るわけにいかないエネルギーがまたある。そこに入り込んでいかないと表現できない魅力と魔力と強制力。僕らはそんなことを感じてあの曲に対峙しているんです。

森下 その感じ漠然とですがわかります。距離の取り方で言えば第一楽章は本気でしがみついてついて行かなきゃいけない。

海老原 そういう曲なんですよ。嬉しいです、それをご一緒できて。そして今回は「子どもたちと芸術家が出あう街」という企画。聴いてもよくわからないけど、あの曲とあの動きは記憶に残ると言われるようなことをやりたいですね。子どものための教育プログラムは日本フィルは日本随一ですからね。お子さんたちに、僕らがどれだけ本気で音楽にかかわっているか見せつける機会ですから、熱い感じになるんじゃないかと。それに影響を受けて真樹さんが変わってほしいなと思っています。

森下 もう何色にも染まります。染まりたいです。

海老原 染めたいです。音楽以外のものとかかわった時に初めて音楽が、音楽の意味が見えてくる、音楽の生命力が際立ってくると思うんです。いやあ本当にシビれる、ワクワクしています。

《海老原光》東京藝術大学を卒業、同大学院修了後、ハンガリー国立歌劇場にて研鑽を積む。指揮を小林研一郎、高階正光、コヴァーチ・ヤーノシュ各氏に師事。2004年から2006年まで東京シティ・フィルハ-モニック管弦楽団指揮研究員を務め、飯守泰次郎、矢崎彦太郎両氏の薫陶を受ける。2007年ロブロ・フォン・マタチッチ国際指揮者コンクールで第3位、2009年ニコライ・マルコ国際指揮者コンクールで第6位入賞。2010年アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールでは審査員特別賞を受賞。2010年から2015年まで東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団アソシエイト・コンダクターを務めた。これまでに、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団などを指揮し、客演を重ねる。また、2012、2015年に再びクロアチア放送交響楽団の定期公演(ザグレブ)に出演。

《森下真樹》2003年ソロ活動開始、以降10カ国30都市以上でソロ作品を上演。近年ではダンサーとして笠井叡、黒沢美香、インバル・ピント&アブシャロム・ポラック振付作品に出演。また、劇作家・長塚圭史演出作品の振付やシンガーソングライター・矢野顕子(yanokami)ライブにダンサー出演、漫画家・しりあがり寿や作家・大宮エリーなどさまざまな分野のアーティストとコラボ。現代美術家・束芋との協働作品『錆からでた実』を青山円形劇場にて発表し、第8回日本ダンスフォーラム賞を受賞。

取材・文:いまいこういち(森下真樹ウォッチャー)

【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2018年3月19日~2018年3月25日)

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行ったことのない場所へ向かうには、地図が役に立ちます。ただ、今あなたが向かおうとしている場所は、どこにもそれらしき情報がのっていない、まだ誰も行ったことがないところにあるのかもしれません。もしくは、あなたが持つ“もうひとつの世界”の中にだけ存在するのかも。不安と緊張、好奇心と期待、不思議な感覚が芽生えたかのような夢を見る人も多そう。

季節がまたひとつ巡りゆく中で、一つだったものが二つ以上に増えたり、二人で居たところから一人ずつになったり、分岐点とその先の景色が目の前に広がり始めています。こっちでいいのか、ほんとうにそれでいいのか、何度か行ったり来たりしつつ大きく歩みを進めていくことになりそう。

想いに反して強制的な決着をつけてしまったことには、やり直しの機会が得られそう。大満足ということはなくても、なにかひとつ罪滅ぼしのような、自分への癒しにはなるみたい。同時に紆余曲折を経てなるべくしてなったものは、ここでほんとうにお別れ、ということも。深い哀しみや怒りもないわけではありませんが、ストンと幕が下りるように、もう一人の自分の中では、やっとでた答えにホッとした気持ちにもなるでしょう。

懐かしい仲間や恩師、しばらく会っていなかった人が、あなたを援護してくれる気配も。離れていた時間の中で積み重ねてきた物事が、願わくば相手に誇れるものでありますように。誰が自分のことをちゃんとわかってくれている真の理解者なのか、クリアにわかって来そうな一週間となりそうです。

【12星座別 今週のラッキーワード】
◆おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
再開発、リノベーション
◆おうし座(4月20日~5月20日 生まれ)
双方の視点、デュアルディスプレイ
◆ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
超大作、グランドデザイン
◆かに座(6月21日~7月22日 生まれ)
秘蔵映像、ディレクターズカット
◆しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
伝説的、レジェンド
◆おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
光源、エレクトリック
◆てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
全面的に、フルサイズ
◆さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
宗教的、カルトショー
◆いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
多種構造、オーガナイザー
◆やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
期間限定、ポップアップ
◆みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
大量摂取、ストリーミング
◆うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
混合、ミクスチャー

>>気になるエンタメ・チケットはe+でチェック! 


『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2018』 ワディム・レーピン、樫本大進、服部百音、パロマ・ソーがザハール・ブロンを囲む

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2017年9月にオーチャードホールで開催した『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』は、同芸術祭の芸術監督であり世界を舞台に活躍するヴァイオリニストのワディム・レーピンとボリショイ劇場の華、スヴェトラーナ・ザハーロワが共演するなどして大成功を収めたことは記憶に新しい。“日本におけるロシア年” ロシア・イヤーの今年は、天才レーピンを育てたヴァイオリンの名教師ザハール・ブロンの70歳を祝して世界のトップスターが集結してのガラ・コンサート。

昨年12月にはスイスのバーデン、ドイツのベルリン、デュッセルドルフでも開催された。ブロンは、1970年代にモスクワ音楽院でイーゴリ・オイストラフ教授の助手を務めた後、ノヴォシビルスク音楽院に移り数多くの優秀なヴァイオリニストを育成。チャイコフスキー国際コンクールなど世界中の主要なコンクールの覇者、入賞者を沢山輩出している。

今回は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターを務めソリストとしても大活躍中の人気ヴァイオリニストの樫本大進が参加。さらに、18歳にして欧州各地に活動の場を広げ、2015年にはノヴォシビルスクの『トランス=シベリア芸術祭』でレーピンと共演するなど今最も注目を集める服部百音も出演する。さらに、2015年ヴィエニャフスキ国際コンクール第2位、近年ベルリン響、ロンドン響と共演する新星パロマ・ソーの参加も決まった。

ブロンに薫陶を受けた日露の名手たちが、フェスティバル・アンサンブルをバックに、J.S.バッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」、サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」、マスネ「タイスの瞑想曲」などお馴染みの名曲を次々と披露する贅沢なコンサート。巨匠から若い才能まで、世界のヴァイオリニストの今を知ることのできる絶好の機会である。

演奏予定曲目

サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ(ワディム・レーピン)
ラヴェル:ツィガーヌ(ザハール・ブロン)
グノー(ヴィエニャフスキ):ファウスト・ファンタジー(服部百音)
ビゼー(ワックスマン):カルメン幻想曲(パロマ・ソー
J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043(ザハール・ブロン、ワディム・レーピン)
ショスタコーヴィチ:2つのヴァイオリンのための5つの小品(ザハール・ブロン 他)
サラサーテ:ナヴァラ(未定)
マスネ:タイスの瞑想曲(ザハール・ブロン)
ヴィヴァルディ:3つのヴァイオリンのための協奏曲ヘ長調(ザハール・ブロン、ワディム・レーピン、樫本大進)

※やむを得ず出演者、曲目が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

愛弟子 佐渡裕がトーンキュンストラー管で21世紀に蘇らせる「1950年代のバーンスタイン」

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作曲家としてのレナード・バーンスタイン

 レナード・バーンスタインがこの世に生を受けて、今年(2018年)で100年が経つ。存命中、指揮者として頂点を極めた存在でありながら、作曲家としては賛否両論。しかし、それが今ではどうだろう。《ウエストサイド物語》の〈シンフォニック・ダンス〉や、《キャンディード》の〈序曲〉は、戦後に作曲されたオーケストラ作品のなかで特に演奏されることの多い楽曲だといえるだろうし、《ミサ》のような演奏が困難な規模の大きな作品でさえも、この1年ほど世界各地で上演されている。作曲家バーンスタインの評価が、着実に地盤を固めつつあるのは間違いない。

 こうした変化を見ていて思い出すのは、1960年代のマーラー・ルネッサンスである。バーンスタイン同様、生前は指揮者としての名声の高さに比べると作曲家としては思うような評価を得られなかったマーラーだったが、1960年に「生誕100年」を迎えた頃から徐々に風向きが変わりはじめる。作曲家としての再評価が世界的に進み、オーケストラが日常的に取り上げるレパートリーへと変化していったのだ。まさにその立役者となったのが、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団と世界で初めて「マーラー:交響曲全集」をレコーディングした、バーンスタインその人であったのは広く知られている通りである。

 「指揮者バーンスタイン」の尽力もあって「作曲家マーラー」に新たな光がふり注いでいった1960年代。しかしながら「作曲家バーンスタイン」にとっての1960年代は真逆で、人生のなかで最も実りが少ない時期であった。

「いくつもの活動のなかから、一つだけを選択することは不可能である」

 さかのぼること1941年。学業を終えたバーンスタインは作曲家、指揮者、ピアニストとしての活動を並行して続けながら、アルバイト仕事によってかろうじて生計をたてている状況だった。そんな状況を変えるきっかけとなったのが1943年に就任したニューヨークフィルの副指揮者のポストである。そして着任して間もない11月14日、日曜日。事件が起こった。巨匠ブルーノ・ワルターが急病のためキャンセルした演奏会で、副指揮者バーンスタインがリハーサルせずに代役を務め上げたのだ。この演奏会はラジオで生放送されたため――作曲家としては幸か不幸か――、一夜にして名を広く知られることとなった。

 そして同じ年、ある男がバーンスタインのもとを訪ねている。のちに《ウエストサイド物語》を共作することになる振付家ジェローム・ロビンズだ。ロシアバレエ団の伝説的ダンサー、フォーキンに師事したロビンズは、自作のバレエ《ファンシー・フリー》の作曲をバーンスタインに依頼。すぐに意気投合したふたりは1年もしないうちに公演開幕までこぎつけ、メトロポリタン歌劇場での入場者記録を更新するほどの大成功を収めた。そして舞台作品の成功は、交響曲やソナタとは比較にならないほどの大きな収入を、バーンスタインにもたらすことになる。

 こうして1940年代半ばのバーンスタインの目の前には「指揮者」と「作曲家」、2つの道がほぼ同時に拓けてしまった。この問題に対して、バーンスタイン自身は次のように考えていたという。

私にとって、オーケストラの指揮、交響曲の作曲、劇場用音楽の作曲、ピアノ演奏といういくつもの活動のなかから、一つだけを選択することは不可能である。〔中略〕指揮者としての活動に没頭している間は、一切作曲には手を付けないし、ベートーヴェンの《第9交響曲》を指揮するためには、ポピュラー・ソングでさえ書かないようにしている。

岡野弁 訳『バーンスタイン わが音楽的人生』(作品社,2012)

 1940年代から50年代にかけてのバーンスタインが、指揮と作曲のどちらかを切り捨てることなく、すべてを並列で取り組もうとしていたことが分かるだろう。しかし、複数の異なるものを同時進行で進めることが出来ないということも、彼自身は重々承知していたのだ。

 実際、1950年代のバーンスタインは、作曲のために指揮の予定を削ることもあった。だから、作曲の時間をただでさえ、充分に確保できないことに苛立っていたバーンスタインが「主たる目的が目立たないことにある音楽を書くなど、作曲者としての音楽的野心を満足させられる経験とはいえない」と考えていた映画音楽の依頼を引き受けるはずもなかった……。

生涯唯一の映画音楽《波止場》

 映画プロデューサー、サム・スピーゲルからの依頼が来たときも全く同じ状況だった。しかしスピーゲルに根負けしてラッシュ・フィルムを観たバーンスタインは度肝を抜かれることになる。それまでの映画とは異なるリアルで自然な演技をみせる若き主演男優に引き込まれてしまったのだ。

 これが、その年のアカデミー賞で8冠を勝ち取った映画《波止場》(1954)とバーンスタインの出会いであった――もちろん、主演は当時30歳のマーロン・ブランドである。

 映画の翌年には、オーケストラのコンサートで演奏できる交響組曲《波止場》(1954/55)へ仕立て直している。組曲と銘打ってはいるものの、すべて切れ目なく演奏されるので実際は「交響詩」に近い。そして実に興味深いのは《ウエストサイド物語》を思わせる音楽が既にこの時点で繰り広げられていることだ。全く異なる物語のようでいて、社会に翻弄される男女の愛というプリミティブなプロットが共通する本作は、《ウエストサイド物語》の音楽をより深く味わうヒントにもなるであろう。

映画《波止場》予告編


 

30年にわたる試行錯誤《キャンディード》

 《波止場》を引き受けてしまったがために、作曲のスケジュールがずれこんでしまったのがオペレッタ《キャンディード》(1956/89)である。おそらくバーンスタインの作曲家人生のなかで最大の難産となった作品だ。台本作者がなかなか決まらず、作曲が難航。一度、完成したあとも改訂を施したり、上演ごとに手を加えてみたりと、30年以上にわたって決定版ができなかった作品であった。

 しかし、あくまで問題になっていたのは舞台作品としての全体構成にあったから、有名な〈キャンディード序曲〉をはじめ、煌めくようなアリアや合唱曲といった個々の楽曲の素晴らしさが揺らいだことは一度もない。序曲は現代版《フィガロの結婚》といっても良いかもしれない。弟子の指揮者、佐渡裕にとっても師の作品のなかで最愛の楽曲だというのも納得の名曲だ。そもそも、それだけ手をかけているということはバーンスタイン自身にとっても思い入れの強い作品であったのは間違いないだろう。

佐渡のバーンスタインアルバム収録の模様


 

生涯前半の集大成《ウエストサイド物語》

 こうして苦労を重ねながら、作曲家として舞台作品を手がける技術を磨いていった先にミュージカル《ウエストサイド物語》(1957)のような傑作が生まれるのは、もはや必然だったとも言えるだろう。前述したように振付家ジェローム・ロビンズとの出会いから始まった舞台作品の創作は、またもやロビンズからのアイデアによって生まれた《ウエストサイド物語》により、バーンスタインの人生前半における集大成的作品となったのだから。

 《ウエストサイド物語》が、どれほど大きな成功を収めたかをわざわざ説明する必要はないだろう。1961年には映画化され、その年のアカデミー賞で10部門を独占した。音楽が脇役であった《波止場》と違い、《ウエストサイド物語》では音楽が中心に位置していたから、普段は舞台やオーケストラに触れる機会がない人々にもバーンスタインの音楽はより知られるようになっていった。加えて、この映画公開にあわせたかのように、ウエストサイド物語の名場面をつなぎ合わせた管弦楽曲シンフォニック・ダンス〉(1957/61)が編み直され、オーケストラのレパートリーとしても演奏されるようになった。

映画《ウエストサイド物語》予告編


 

指揮者としての活躍の裏で……

 多忙を極めながらも、いかに1950年代のバーンスタインが充実した創作活動を繰り広げていたかは、こうした一端からも充分に伝わるであろう。では何故、60年代になると創作が停滞してしまったのか。

 1957年11月20日、水曜日。史上初めてアメリカ人のバーンスタインを音楽監督に迎え入れることを、ニューヨークフィルが発表した。それまでの指揮仕事とは異なり、楽団の運営まで携わる音楽監督の責任は客演する指揮者とは全く異なっていた。1958年1月18日、土曜日。テレビ番組「ヤング・ピープルズ・コンサート」の放送がはじまった。これまでクラシック音楽に興味がなかった層にも、テレビを通して希求していくこととなり、バーンスタインの名声は広がる一方に。ただし、バーンスタイン自身が台本や演出にも直接関与しているため、1回の番組制作にかかる負担はかなり大きい。不定期ではあったが、1972年まで放送が継続している。

 もちろん、その他にも様々な仕事が舞い込んできた。その結果として作曲のスケジュールを優先することが徐々に難しくなっていったのだ。事実、1960年代に計画されていたミュージカルの制作は未完のまま頓挫してしまっている。

 こうして、バーンスタイン自身にとっては不本意ながら「ウエストサイド物語の作曲家」というイメージを更新できぬまま1960年代を過ごしてしまった。当然「バーンスタインといえば指揮者」というパブリックイメージは強まり、1970~80年代に再び作曲活動に力をいれるようになってからも、そのイメージを覆すまでには至らず。バーンスタインは1990年10月14日に、72歳でこの世を去っている。

バーンスタインが遺してくれたもの

 冒頭でも記した通り、生誕100年を迎える2018年、バーンスタインの「遺産」に改めて注目が集まっている。彼が残したのは何も作品だけでもないし、指揮者としての録音だけでもない。バーンスタインが生涯にわたって若い音楽家の育成に力をいれていたことを忘れてはいけないだろう。現在も毎年、北海道で開催されている国際音楽教育祭PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)は、バーンスタインが最後に遺した教育的遺産といえる。

 小澤征爾、大野和士、大植英次、佐渡裕など、薫陶をうけた日本人指揮者が多いのも有名だ。なかでも佐渡はこの1年間で最も師の作品を取り上げようとしている弟子のひとりだろう。1月にはアメリカ、2月にはドイツ、3月にはフランス、4月にはオーストリア、そして5月には日本で……と、世界各地でバーンスタイン作品の演奏をおこなっている。なぜ、これほどまでに佐渡は師の作品にこだわるのか、次のように語っている。

“バーンスタイン生誕100周年”は、僕の中では「彼への恩返し」をする時という強い思いがある。彼に出会うことができた一人として、彼の作品の素晴らしさ、音楽の面白さを今こそ、そして生涯伝えていきたいと思っています。

いまの自分があるのは師のお陰である……その強い思いを胸に、誰よりも強い愛情をもって、バーンスタインの作品に生涯を賭して取り組む佐渡。手兵トーンキュンストラー管弦楽団(略称:トンク管)を従えた凱旋公演(北は北海道、南は福岡まで!)を聴き逃すわけにはいかない。

【佐渡裕指揮 トーンキュンストラー管弦楽団】予告ムービー到着!


佐渡裕さんからコメント動画到着!!


 

文=小室敬幸

『RENT』来日公演 × METライブビューイング《ラ・ボエーム》がプレゼントキャンペーン

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2018年8月に来日公演を行うブロードウェイミュージカル『RENT(レント)』と、 2018年3月31日より上映が行われるMETライブビューイング《ラ・ボエーム》とのタイアップ企画として、 プレゼントキャンペーンが実施される。

19世紀のパリの学生街 カルチェ・ラタンを舞台にボヘミアンな芸術家たちの青春を描いたオペラ《ラ・ボエーム》。 その《ラ・ボエーム》のストーリーをベースに、 20世紀末のニューヨーク、 イーストヴィレッジへ設定を変え、エイズ、ドラッグ、同性愛、友の死など様々な問題を抱えながらも夢を諦めず懸命に生きる若者たちの姿を描いたブロードウェイミュージカルが『RENT(レント)』。 

このほどMETライブビューイング《ラ・ボエーム》上映とミュージカル『RENT』来日公演を記念して、次のとおりプレゼントキャンペーンが実施されることとなった。

★東劇(東銀座)にて《ラ・ボエーム》鑑賞時に、『RENT』来日公演の購入済みチケット(未発券の場合はイープラスの申込み状況照会画面)を提示すると、もれなくポップコーンをプレゼント。

★『RENT』来日公演のチケットを購入の上、 来日公演ご観劇日当日にMETライブビューイング《ラ・ボエーム》の鑑賞済み座席指定券半券を公演会場に持参&提示すると、『RENT』オリジナルクリアファイルをプレゼント!

『RENT』を語る上で《ラ・ボエーム》の存在は欠かせない。 主な登場人物の違いは下記の通り。

貧しい若者たちが寒さをしのぐために暖炉で台本を燃やす場面や、大家が家賃(Rent)を取立てに来るシーン、ロウソクの火を借りに来たミミとロジャー(ロドルフォ)の手が触れ合う出会いの場面、「カフェ・ライフ」(カフェ・モミュス)での活気に満ちた若者たちの大騒ぎなど、『RENT』には《ラ・ボエーム》へのオマージュが溢れている。『RENT』の名曲「Seasons of Love」の歌詞にも、《ラ・ボエーム》の恋人たちの姿が重なる。 

『RENT』の生みの親、 ジョナサン・ラーソンがどのように『RENT』を創り上げたのか…《ラ・ボエーム》を鑑賞することでさらにジョナサンの想いやメッセージを深く知ることができる。時代を超えて、人々の心を揺さぶる若者たちの青春の光と影、愛と死の物語をこの機会にオペラとミュージカルの両方で味わってみることをおすすめする。

クラシック音楽の裾野を広げ、ファンを増やしたい! ~関西フィル首席指揮者 藤岡幸夫に聞く~

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現在、関西でいちばん集客力のある指揮者は、関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者の藤岡幸夫ではないか。彼が指揮する定期演奏会をはじめとする楽団の自主公演はどれも満杯。ABC朝日放送が主催する「サマー・ポップス・コンサート」や「クリスマス・ファンタジア」は立見まで完売。そして、色々な地方自治体が主催する関西フィルの演奏会の大半を指揮するのも藤岡で、そのどれもが多くの聴衆で賑わっている。京都市交響楽団の広上淳一や兵庫芸術文化センター管弦楽団の佐渡裕の人気はもちろん高いが、藤岡はその圧倒的な公演数が集客力の高さを裏付けている。藤岡と関西フィルは、なんと年間40公演前後を演奏しているのだから。

藤岡自身がナビゲーターを務めるBSジャパンのTV番組「エンター・ザ・ミュージック」は、4年目を迎えて絶好調。また、映画やドラマの音楽製作で人気の作曲家、菅野祐梧や大島ミチルにオーケストラの曲を依頼、演奏し、そのチケットがこれまた売れている!

オーケストラのビジネスモデル自体が破綻していると言われて久しい現在。クラシック音楽の裾野を広げ、クラシックファンを増やす事が急務だからこそ、藤岡の動きから目が離せない。彼は今何を考え、何をしようとしているのか。そんな彼から話を聞いた。

関西フィルのためなら何でもやりたい!と語る藤岡幸夫 (C)s.yamamoto

関西フィルのためなら何でもやりたい!と語る藤岡幸夫 (C)s.yamamoto

―― 藤岡さんが指揮される演奏会はどれも客の入りが良いですね。

オーケストラにポジションを持ったら、普通は定期演奏会を数多く振りたいと思うものですが、僕は定期は最高でも2回でいい。その代わり、企業や地方の自治体からの依頼公演は出来る限り僕に振らせて欲しいと言って来ました。僕には考えがあったのです。関西フィルは絶対に手を抜かないオーケストラ。彼らの気合の入った演奏をきちんとお届けすれば、それを聴いたお客さまはやがて私たちの演奏を求めて、他の街の演奏会や、本拠地ザ・シンフォニーホールの定期演奏会にお越し頂けるはずだと。20年かかりましたが、今では演奏する曲目にかかわらず定期演奏会は満杯です。もっとも、正指揮者になった2000年当時は、依頼公演は今より30公演ほど少なく、企業のスポンサードも弱く、指揮をする傍ら、それらの営業に駆けずり回りました。

―― 今、お話に出ましたが、藤岡さんはご自身でスポンサー獲得に回られたり、地方自治体のトップに会われたりと、指揮者であるのに積極的に営業をされているイメージが有ります。

僕の師、渡邊暁雄先生が普段から経済人と会い、音楽と直接には関係のないような細かな動きをされているのを見てきました。オーケストラに対する姿勢というか、自分で出来ることは音楽面でも運営面でも精一杯やるというのが、先生から学んだ指揮者像です。幸い、僕の周りには企業のトップなど有力者も多かったことも有り、随分と助けていただきました。

―― まさに慶応閥の強み!ですね(笑)。そもそも藤岡さんはどうして音楽大学ではなく、慶応大学に入られたのですか? 卒業してから音楽大学に入り直されたのですね。

小学校4年の時にトスカニーニの指揮する歌劇「椿姫」を聴いて、指揮者になりたいと親に話したところからすべては始まります。父親はチェロを、母親はピアノを嗜んでいたことも有り、僕の思いは理解してくれました。そこで出た条件が「普通大学をちゃんと卒業すれば、その後、音楽大学に行かしてやる」というもの。指揮者は多少歳を取っていても問題ないだろうと。すでに習っていたピアノに加え、大好きなトスカニーニがチェロをやっていたので、チェロをやりたいと頼んだところ、「わかった。チェロをやらしてやろう。その替わり今すぐ進学塾に通い、中学・高校・大学と一貫教育の学校に入れ。そうすれば受験勉強なしに音楽の勉強が出来る。それと、剣道の道場に行け。指揮者に必要なのは、眼ヂカラと気合だ。」と言われました。すべてを受け入れ、そしてめでたく慶応中学に合格。この時の両親の意見はまさに先見の明!すべて後になって生きました。親には本当に感謝です。

年間40公演前後活動を共にする、藤岡幸夫と関西フィル (C)s.yamamoto

年間40公演前後活動を共にする、藤岡幸夫と関西フィル (C)s.yamamoto

―― 指揮者の渡邊暁雄氏との出会いは、どんなきっかけだったのですか。

指揮は高校1年から習っていましたが、大学になっても周囲の誰も才能が有ると言ってくれなかった。親は内心、大学を出て普通に働いてくれる方がいいと思っていたので、早く見切りを付させてやろうという事で、3年生の時に遠い親戚だった渡邊暁雄先生にお願いをして指揮者になれるかテストしてもらうことになったのです。聴音、チェロ、ピアノとテストをして頂いた結果、先生から「君は絶対に良い指揮者になれるよ。明後日からうちにいらっしゃい」と言っていただき、それから5年間、カバン持ち、運転手、電話番などの間にレッスンしていただくといった完全に内弟子として過ごしました。

先生からは色々な事を教わりました。中でも一番言われたことは、「指揮者は悪口を言われるのが仕事。だけど、こちらから悪口を言ってはいけないよ。人間も音楽も汚れるから」「何か言われた時に、聞く耳を持たないといけない。それを肥やしに出来る奴は成長できるし、拗ねる奴は成長できない」と云うこと。先生が亡くなる前、病室での最後のレッスンを受けた後、「僕が最初に言った教えを覚えている?」と聞かれ、「はい。悪口を言われる側の人間になります」と言ったら、先生はニコッと笑って「分かった。帰って勉強しなさい」と。そのことは今も守っているつもりです。

関西フィルとの付き合いも20年に及び、リハーサルではお互い言いたいことを言い合う関係ですが、絶対に根に持たないようにしています。言い合った相手には、こちらから翌日には「おはよう!」と声を掛けます。

―― そうしてなられた指揮者。演奏されているプログラムを見ていて驚くことが有ります。師匠譲りのシベリウスや、ヴォーン・ウィリアムズ、エルガーなど得意の英国音楽をメインに据えた正統派のプログラムとは別に、若い日本人作曲家の作品をメインに据えたプログラムなども定期演奏会のラインナップに並びます。また、地方の演奏会などでは、前半は映画音楽やポップスを集めたプログラムも見受けられ、随分振り幅の大きなプログラミングですね。

一つには新しい作品を演奏していかないといけないと思っています。しかし、難しい現代音楽を演奏したところで、つまらない! 二度と聴きたくない! と思われたら終わりです。我々がやっている事はリピーター勝負。その為には調性音楽で旋律のある作品を書ける作曲家を育てていく必要があるのではないでしょうか。調性音楽で旋律が有る作品は、素人でもその音楽が安っぽかったら絶対にバレる。映画やドラマの音楽を作曲している人たちの中にはそういった才能の有る人たちもたくさんいます。菅野祐梧さんもその一人で、2016年には交響曲を書いてもらい、定期演奏会で発表しましたが、大変評判となり、CDにもなりました。大島ミチルさん、林そよかさんなどもこれからが楽しみです。ちゃんと発表の場を設けたうえで、これまで同様、新しい作品作りをしていきたいと考えています。

そして、もう一方では皆さんが大好きなポップスや映画音楽などを前半で演奏し、後半はしっかりとシンフォニーを聴いていただくような演奏会もどんどんやっていきたい。指揮者の中にはポップスなんかやりたくないと思っている方も多いと思いますが、僕は聴いていただいた後に、ああ良かった、また来たい!と思っていただけるなら、そして後半にシンフォニーを1曲、ちゃんと聴いていただけるなら、喜んで指揮させて頂きますよ。

新しいオーケストラのレパート作りにも余念が無い (C)s.yamamoto

新しいオーケストラのレパート作りにも余念が無い (C)s.yamamoto

―― 若手作曲家の登用もそうですが、ソリストでもチェロの北村陽さん、ヴァイオリンの内尾文香さんなど、期待の大きな若手演奏家には、どんどん活躍の場を与えておられますね。

関西フィルは動きが速いでしょ。僕の座右の銘が「ピンときたらドンと行け!」ですから(笑)。 他所のオーケストラなら、練習場でやるコミュニティコンサートにゲスト出演くらいかなぁというケースでも、この奏者はイケルと思えば、惜しみなく大きな舞台で弾いてもらいます。これは、僕自身がイギリスやヨーロッパで演奏会をシリーズ化して貰ったり、プロムスにデビューさせてもらったり、とても恵まれていたので、同様に若い人にチャンスの場を与えたいという気持ちの表れですね。

―― 2015年から始まったBSジャパンの「エンター・ザ・ミュージック」は順調に数字を伸ばし、局の看板番組に成長しているようですね。クラシック番組としても無視できない番組となり、関西フィルの知名度は飛躍的に上がりました。

何でもかんでも東京に一極集中しているのはおかしいと思っています。東京のテレビ局で関西フィルをレギュラーにした全国放送の音楽番組を作りたい!という思いが形になって本当に嬉しく思っています。BSジャパンのホームページでは、番組に対する イイネ が最速で1万を超え、現在1.8万を超えているという事で、局もメインスポンサーの阪急さんも喜んで頂いています。

相手の目をしっかり見て、そしてにこやかに取材に対応頂きました。 (C)H.isojima

相手の目をしっかり見て、そしてにこやかに取材に対応頂きました。 (C)H.isojima

―― 色々と忙しく走り回られていますが、これから先のイメージとしてどのようなモノをお持ちですか?

ずーっと変わらず特定の楽団で責任あるポジションを続けて天国に行った指揮者は3人しか思い浮かびません。朝比奈隆氏は大阪フィルを、岩城宏之氏はアンサンブル金沢を、そして渡邊暁雄先生は日本フィルを死ぬまで指揮し続けました。僕にとって関西フィルとの活動はライフワークだと思っています。若い若いと言われて来ましたが、もう55歳。これからの10年は、関西フィルのためになるならどんなことでもやって行きたいと考えています。関西フィルの指揮者陣は3人体制なので、古典のしっかりした作品は、デュメイ監督や飯守泰次郎さんが指揮してくれます。僕は自分に与えられた役割をしっかり務めて、関西フィルをもっとチケットの売れるオーケストラにしたい。そして65歳を過ぎたら少しだけゆっくりさせていただいて、関西フィルを相手に、ブルックナーやマーラーを指揮したいですね(笑)。

―― 本当に関西フィルを愛されているのですね。最後に読者に向けてメッセージをどうぞ。

これまでマーラー・ブームに続いてショスタコーヴィチもブームになりましたよね。そして、シベリウスもちょっとしたブームがあったように感じています。昔と比べて随分と演奏される機会が増えましたので。僕は次ブームになるのは、英国音楽しかないと思っています。それは、英国音楽は調性音楽で旋律をしっかりと守って来たことも大きいと思います。ホルスト、ウォルトン、エルガー、ヴォーン・ウィリアムズ…。彼らの作品はもっと評価されていい。以前、作曲家の三枝成彰さんが司会をされている演奏会でヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」を演奏したのですが、三枝さんが「若いころはヴォーン・ウィリアムズなんて保守的で馬鹿にしていたけど、今聴くと実に美しい曲だ!」と絶賛されていました。嬉しかったですねぇ。

関西フィルの演奏会では色々なタイプの音楽をお聴き頂けます。一度、関西フィルのライブを聴きにお越しください!カジュアルな格好ででも、思いっきりオシャレしてでも楽しめるのがクラシックのコンサートです。皆さま、会場でお待ちしています。

これからも関西フィルと藤岡幸夫の活動から目が離せない! (C)s.yamamoto

これからも関西フィルと藤岡幸夫の活動から目が離せない! (C)s.yamamoto

最愛のオペラとの再会! 園田隆一郎が大阪国際フェスティバルで指揮するロッシーニ『チェネレントラ』

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2018年5月12日(土)にフェスティバルホールで上演されるロッシーニの傑作オペラ『チェネレントラ』。イタリア風のシンデレラ(チェネレントラ)・ストーリーを、ロッシーニのエキスパートとして知られる園田隆一郎が指揮する。今年、園田は第16回齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞したが、その理由としてイタリア・オペラ、特にその中でもロッシーニ・オペラの指揮で注目されていることが挙げられていた。

『チェネレントラ』PR動画。


藝大時代に出会った運命のオペラ

「『チェネレントラ』は僕にとっては初恋の相手のようなオペラなんです。初めて聴いて、初めて勉強したときからのめり込んだ大好きなオペラです。藝大の指揮科に入学した時には、普通に、ベートーヴェンやブラームスの交響曲を指揮できる指揮者になりたい、と思っていました。ところが大学で色々な作曲家の曲が演奏されるのを聴くうちに、なぜかロッシーニが気になるようになって。 ― ロッシーニの演奏ってもっと違うものなんじゃないか? ―  なぜか自分はこの作曲家に対して、こう演奏したい!という気持ちがすごくある、と気がついたんです。ちょうどその頃、新入生歓迎のコンサートで『チェネレントラ』第一幕フィナーレの重唱を演奏する機会があり、そこで初めてこのオペラを知ってすっかりはまってしまいました。すぐに全曲の楽譜を買って、大学の図書館でクラウディオ・アバド指揮、ポネル演出の映像を、もう、それこそ100回くらいは観たと思います(笑)」

「そのうちに『チェネレントラ』が好きすぎて、ついに大学内で有志を集めて自主公演を企画するところまで行ってしまって。藝大奏楽堂でダブル・キャストで2回公演を指揮したんです。当時一緒に演奏した仲間たちは、今、音楽界で活躍している人も多くいます」

園田にとって今回の『チェネレントラ』(東京では同プロダクションを藤原歌劇団が上演する)は、その藝大での公演以来、このオペラを初めて指揮する機会だという。

「何で依頼がこないんだろう?ってずっと思っていました(笑)。なかなか上演されない演目ということもあるんですが。『チェネレントラ』は今でも一番好きなオペラです。そして自分の中で、自分に一番合っている、やりたい曲だ、という思いがあります」

園田 隆一郎

園田 隆一郎

楽しくて、しかもロマンチックな『チェネレントラ』の音楽

ロッシーニといえば一番良く知られているのが『セビリャの理髪師』である。『チェネレントラ』は『セビリャの理髪師』の翌年に同じローマで初演された。その時ロッシーニはまだ24歳。だが、天才作曲家としてすでにオペラ界の頂点にあった。『チェネレントラ』は『セビリャの理髪師』のようなコミカルな部分に加えて、シリアスな内容が同じ位の重要度を持つ作品である。

「主人公のチェネレントラ(灰かぶり娘という意味)とラミーロ王子のすごくロマンチックな音楽は普通のオペラ・ブッファには無い種類のものなんです。軽快なアンサンブルの曲のなかにもチェネレントラが悲しんでいる音楽、喜びをしっとり歌い上げる音楽などが挿入されていて、ワンパターンにならない様々な面を持っている。ロッシーニのオペラの中で『セミラーミデ』や『ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)』なども素晴らしいですが、これらは後期の作品でドラマチックな、劇的な色合いが強いんですね。一方、彼の若い頃の作品の中では『チェネレントラ』が音楽的な充実から言っても随一の素晴らしさを持っていると思います」

園田 隆一郎

園田 隆一郎

ロッシーニ歌手たちが集結する貴重な公演

『チェネレントラ』のタイトルロール、主人公のアンジェリーナを歌うのは脇園彩(スパイスの脇園彩さん記事へのリンク)。今、世界が注目する日本のメッゾソプラノだ。ロッシーニ演奏の最高峰であるペーザロ(イタリア)のロッシーニ・オペラ・フェスティバルやミラノ・スカラ座でロッシーニを歌っている歌手である。

「彼女はロッシーニ・オペラ・フェスティバルのアカデミーで学び、『ランスヘの旅』のメリベーア侯爵夫人という役を初めて歌った日本人なんです。堂々とした声、そして舞台での存在感。メッゾソプラノやアルトがヒロイン役を務めることが多いロッシーニのオペラを歌うのに必要な声を持っている方。音域も広く、中低音から高音までムラなく声を出せることも特徴です」

「それから彼女は人間的な魅力も大きく、明るさ、強さを出せる表現力があります。そして最後には、コロラトゥーラ(歌の装飾的な技巧)のテクニックが本当に素晴らしい。ロッシーニのコロラトゥーラは一色ではないんです。登場人物達はコロラトゥーラで喜びや、哀しみ、怒りなどを表現する。細かい音の連なりを早く歌うという、ある程度、決められた型の中で強烈な感情を表現するところに美しさがあります。その意味では歌舞伎やクラシック・バレエの表現にも共通する部分があると思うのですが、その表現がアーティストの腕の見せ所になるわけなんです」

今回の『チェネレントラ』上演は、脇園以外にもラミーロ王子役を歌う小堀勇介(テノール)、いじわるな継父ドン・マニフィコ役の谷友博(バリトン)、義姉役の光岡暁恵(ソプラノ)、そしてラミーロ王子の家庭教師アリドーロ役の伊藤貴之(バス)など、ロッシーニの歌唱に定評のある歌手が揃っている。

「小堀さんは、脇園さんと同じくロッシーニ・オペラ・フェスティバルの『ランスヘの旅』に出演し、リーベンスコフ伯爵というテノールの難しい役を歌っています。彼とはびわ湖ホールで上演された『連隊の娘』他、共演の機会も多いのですが、今後、ベルカント・オペラの軽めの声が必要な作品では欠かせない存在となっていくでしょう。ドン・マニフィコ役の谷さんはイタリア・オペラのスペシャリストで早口言葉も素晴らしいです。家庭教師アリドーロはバスなのに高音とコロラトゥーラが必要な技巧的なアリアがある難役ですが、今の伊藤さんの声にはぴったりだと思います。そして、義姉役の光岡さんは藤原歌劇団のプリマドンナで、普段はドニゼッティの『ランメルモールのルチア』のような悲劇のヒロインを歌われる素晴らしい歌手ですが、今回はコメディエンヌとしての才能を発揮してもらえると思いますし、アンサンブルをリードするソプラノ・パートを担います。他のキャストの皆さんとは初共演になりますがとても楽しみです」

フェスティバルホールのピットに入るのは日本センチュリー交響楽団だ。

「日本センチュリーさんとは僕がデビューした頃からのお付き合いです。オペラやコンサートで何度もご一緒しています。このオーケストラの特徴は、透明感のある明るい音色で、繊細な表現が可能なこと。それに現場の雰囲気がとても楽しいんですね。イタリア・オペラを一緒に演奏する環境としてはまさに理想的なんです。ロッシーニの軽快な、透明感のある音楽を奏でるのにピッタリなオーケストラだと思っています。彼らと演奏出来て嬉しいです」

園田隆一郎&センチュリー響首席チェロ奏者・北口大輔 対談動画


師であるマエストロ・ゼッダから受け取ったもの

ロッシーニの神様と言われた指揮者アルベルト・ゼッダが2015年の春に大阪国際フェスティバルで『ランスヘの旅』を指揮した時に、彼の愛弟子でもあった園田はアシスタントを務めた。今回、同じ音楽祭で『チェネレントラ』を指揮するにあたっての抱負を聞いた。

「『ランスヘの旅』のアシスタントを務めさせて頂いて、彼の音楽へのこだわり、主張、そして魔法のような指揮棒と表情を一番近くから見せてもらいました。その同じ場所で、今度は自分が『チェネレントラ』を指揮する、ということに強い縁を感じています。マエストロ・ゼッダと同じようには出来ないし、全然敵わないけれど、あの時に受け取ったものを発揮して、皆さんにお届け出来たらいいな、と思っています」

園田 隆一郎/Ryuichiro SONODA
園田隆一郎は、すでにボローニャ歌劇場、トリエステ歌劇場などを指揮し、国際的な活動を展開する気鋭の指揮者。オペラ、シンフォニーの両分野での活躍が期待されている指揮者の一人である。
2006年、シエナのキジアーナ夏季音楽週間『トスカ』を指揮してデビュー。翌年、藤原歌劇団『ラ・ボエーム』を指揮して日本デビューを果たす。同年夏にはペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル『ランスへの旅』の他、フィレンツェのトスカーナ管弦楽団との演奏会、カターニアのベッリーニ大劇場管弦楽団の演奏会を指揮した。その後国内外のオペラへの出演、オーケストラとの出演を重ねている。
近年では、日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会、読売日本交響楽団演奏会、アルベルト・ゼッダ氏の代役で急遽出演した東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会のほか、15年11月にフランダース・オペラでのロッシーニ『アルミーダ』、12月にはトリエステ歌劇場でのドニゼッティ『愛の妙薬』およびクリスマス・コンサートに出演し好評を博した。16年は日生劇場『セビリアの理髪師』、藤原歌劇団『蝶々夫人』『愛の妙薬』などの各公演への出演および国内外のオーケストラとの共演が決定しており、交響曲とオペラの両分野で今後の活躍が期待されている指揮者の一人である。
東京藝術大学音楽学部指揮科、同大学大学院を修了。故遠藤雅古、故佐藤功太郎、ジェイムズ・ロックハートの各氏に師事。その後イタリア、シエナのキジアーナ音楽院にてジャンルイジ・ジェルメッティ氏に師事。2002年より文化庁在外派遣研修員、野村国際文化財団、五島記念文化財団の奨学生としてローマに留学。この間、ローマ歌劇場やマドリード王立歌劇場など、多くのプロダクションでジェルメッティ
氏のアシスタントとして研鑽を積んだ。また ロッシーニの権威アルベルト・ゼッダ氏との交友も深く、ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで師事したのをきっかけにその後ヨーロッパ各地で数々の作品を学ぶ。04年にシエナ・ロータリークラブ「カルロ・コルシーニ音楽賞」を受賞。05年第16回五島記念文化賞 オペラ新人賞を受賞。15年4月より藤沢市民オペラ芸術監督。

 
園田 隆一郎 (C)Fabio Parenzan

園田 隆一郎 (C)Fabio Parenzan

取材・文=井内美香

【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2018年3月26日~2018年4月1日)

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すべての人に好かれることは難しく、かといって嫌われる勇気を持てと言われてもそうそう簡単にできることではありません。面倒ごとに巻き込まれないよう、周りから見られている自分の姿を、改めて作り替えていこうとする人が増えているかもしれません。

思われているような人間ではない、もっとこんなことを考えているんだと伝えたい。いずれにせよ、誤解していたことに改善が図られ、喜びも失望もあるかもしれません。見せたくないものは徹底的に隠す、他人との間柄は仕事なのかプライベートなのか、どこまで入り込ませるのか、具体的に線引きしていく人も多いでしょう。

ネットでのキャラクターをより強固に作りこむか、徹底的に限定された人とやるのか、それとも徹底的に辞めるのか。ゆるーい感覚では続けていくのが難しくなりそう。プライベート過ぎる情報を垂れ流すことを嫌う人も増えそうですし、時間つぶしや人間関係を確認するような連絡も好まれなくなってくるでしょう。何でもかんでもスマホ、という状況に嫌気がさして、形に残るものや人に触れられるものへの熱量は高まる一方かも。

善し悪しや内容に関わらずストレートに物事を言うことが好まれ、中途半端なものはスルーされる。容赦なく追及して確かめるというより、実感や共感がわかないものに対して、興味を持ち続ける時間は惜しい、と考えるひとも増えそう。

反対にこれまで水面下に隠せていたことや、威勢のいいことを言っていても実態が伴っていない告知は見破られやすくなるのかもしれません。SNSに情報依存し過ぎてきた痛いニュースも多くなりそう。アイコンのデザインひとつ、言葉遣いひとつとっても、どこかしっくりこなくなってきたものとは、潔くお別れしたくなるかも。

名刺入れ、スマホケース、カバン、クツ、アクセサリー、ヘアメイク、あなたのことを誰かが説明する時に一番特徴として挙げるものは何か、客観的な情報を聞いてみるのも面白そう。それをガラッと変えると、いつものメンバーから聞いたことがないような情報や、初めて会うようなタイプの新しい人脈を得ることが出来そうです。

【12星座別 今週のラッキーワード】
◆おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
視界良好、フルフラット
◆おうし座(4月20日~5月20日 生まれ)
空気感、オープンスペース
◆ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
向上心、トライアウト
◆かに座(6月21日~7月22日 生まれ)
心理操作、ミステリー
◆しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
図解雑学、グラフィック
◆おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
奇想天外、ハリウッド
◆てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
皮肉、コメディ
◆さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
噓も方便、トリックスター
◆いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
非現実的、ファンタジー
◆やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
明快さ、キャラクター
◆みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
一発撮り、シューティング
◆うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
想像力、スピンアウト

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『ルパン三世』演奏メンバーは角川映画をどう表現するのか?作曲家・大野雄二氏がインタビューで語る

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4月13日、14日の2日間にわたり、『角川映画シネマ・コンサート』が東京国際フォーラムにて開催される。オーケストラの生演奏と角川映画の名場面の上映、ゲストボーカルのパフォーマンスで構成される同コンサートのラインナップは、横溝正史原作・市川崑監督の『犬神家の一族』(76)、森村誠一原作・佐藤純彌監督『人間の証明』(77)、『野性の証明』(78)の3作品。当日は、3作品の劇伴を手がけた大野雄二氏が、総勢50人のスペシャルオーケストラバンド・大野雄二と“SUKE-KIYO”オーケストラとともに演奏。松崎しげる、ダイアモンド☆ユカイも出演する。

犬神家の一族

犬神家の一族

人間の証明

人間の証明

野性の証明

野性の証明

アニメ『ルパン三世』の音楽を手がけるなど、さまざまなフィールドで活躍する大野氏。総勢約50人のスペシャル・オーケストラを率いて、どのようなパフォーマンスを見せるのか。インタビューに応じ、次のように語っている。

映像に音楽を全部合わせるんだったら、映画を観たほうがいい。今回は生演奏なんだから。そこは違う感じにしたい。たとえば曲を演奏している時に、バックで映画のオムニバス的な映像が流れてもいいし、ジャストで映像に合わせてもいい。その中にアドリブとかが出てくる。それに2DAYS公演なので、2日間でまったく同じ内容にはならないと思うよ。

続いて注目したいのは、角川映画に欠かせない「テーマソング」のボーカリストの存在だ。、映画『人間の証明』のテーマソング「人間の証明のテーマ」は、3オクターブという驚異的な声域の持ち主であるジョー・山中が歌った。今回のシネマ・コンサートでは、ダイアモンド✡ユカイが同曲を歌唱。また、『野性の証明』でソウルフルな町田義人が歌ったテーマソング「戦士の休息」は、松崎しげるが歌う。大野は、二人をボーカリストに選んだ理由を次のように語る。

松崎しげる

松崎しげる

ダイアモンド☆ユカイ

ダイアモンド☆ユカイ

c松崎さんとは昔、CMの仕事を一緒にやったことがあって、歌声がやっぱり凄かった。町田義人の若い感じとは違うけど、その分“味”があるので、楽曲をどう表現してくれるのか期待している。ダイアモンド✡ユカイさんに関しても、彼が「人間の証明のテーマ」を歌ったらどうなるのか。僕自身が聴いてみたいんだよね。

また、大野雄二とSUKE-KIYOオーケストラでは、大野氏みずからも鍵盤奏者として演奏する。大野氏は、構想する演奏を次のように語る。

今回は50人以上のオーケストラが、映像に合わせるので、きっちり譜面は書くけど、譜面を守ってもらいながらも、プレイヤーが遊べる箇所をいっぱい作っておきたい。だって、中心となるメンバーはルパンを演奏しているYuji Ohno & Lupintic Sixとそのファミリーだし、みんなと同じことをやるのは嫌いなんだよね。

スペシャルトーク・ゲストは、角川映画で幾度となく金田一耕助を演じてきた石坂浩二だ。当日は、かねてより大野雄二とも親交の深いアナウンサーの土井敏之が司会を務めることも決まっている。『角川映画シネマ・コンサート』が映画、音楽ファンをどうたのしませてくれるのか、気になるところだ。

“SUKE-KIYO”オーケストラのメンバーは以下のとおり。

 

“SUKE-KIYO”オーケストラ メンバー

大野雄二(音楽監督・ピアノ、フェンダーローズ)

市原 康(ドラム)、ミッチー長岡(ベース) 、松島啓之(トランペット)、

鈴木央紹(テナーサックス)、和泉聡志(ギター)、宮川純(オルガン)

Fujikochans[佐々木久美、Lyn、佐々木詩織] (ボーカル・コーラス) 

梶原順(ギター)、宮本一(シンセサイザー)、川瀬正人(パーカッション)

小竹満里(ティンパニー)、平原まこと(アルトサックス)、近藤和彦(バリトンサックス)

エリック・ミヤシロ、鈴木正則、奥村晶(トランペット)

中川英二郎、半田信英、野々下與一(トロンボーン)、中川昌三、大澤明子(フルート)

庄司知史(オーボエ)、藤田乙比古、和田博史(ホルン)、小寺里奈 グループ(ストリングス)

斎藤葉(ハープ)、長須与佳(琵琶)、MiMi(ハンマーダルシマー)

 

角川映画 シネマ・コンサートは4 月13 日・14 日、東京国際フォーラム ホール Aにて開催。

※ダイアモンド☆ユカイの名前の☆は、六芒星が正式表記。


【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2018年4月2日~2018年4月8日)

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先週頃までのバタバタした感覚もピークを過ぎ、出会いと別れの春もそろそろ落ち着きを取り戻していきます。前から薄々気づいていたルールの変更や方針の転換も、その全体像や詳細が明らかになってくるでしょう。それが公に発表されたところで、誰かがホッとするわけでもなく、驚くこともない。言い表せない感情がたくさんあったはずなのに、どうでもよくなってきてしまう。そんなお知らせなのかもしれません。

思った通りには相手が動いてくれないことも多く、自分のやるべきことにもうっかりミスや甘さがあるみたい。それぞれが複雑な事情や想いを抱えていて、そのタイミングや表現がうまくハマってこない感じ。もどかしい日々にはなりそうですが、どうしても譲れないポイントだけ外していなければ、ゆるく流しておいて。

どうしてもやりたいことや続けたい事、例えば音楽とか創作活動とか、お金では替え難い価値を優先して生きている人には、ちょっと苦しい一か月になるかも。趣味や息抜きとしてやっていく分にはいいかもしれない。やりたい想いは尊重してあげたいけれど、それによって気づかぬうちに誰かに負担や犠牲を強いているのかもしれないし、今後の生活に本当に価値がもたらさらえるものなのか、身も蓋もないぶっちゃけ論を考えなくてはいけないのかもしれない。あなたがたった一人で生きていけるのであれば、いいんだけれど。人間そんなわけにはいかないのです。

一番その話をしたくない誰かから、とうとう口火を切られたり、もしかしたらあなたが誰かにそうするのかもしれないけれど、どうにもこうにもすぐには折り合いがつく話ではなさそう。といっても、自らが決断できる残り時間もそんなにあるわけではないみたい。表面上と本心の違いにガッツリ気がついたり、相手からの指摘があるとしたら、それはいよいよ受け止めなきゃいけないんじゃないかな。楽な方を選びたい想いが強くなる一方で、努力したわりに成果が出ていないものには容赦なくYES/NOのジャッジが。夢から覚めたみたいだな、と思うことも増えそうです。

【12星座別 今週のラッキーワード】
◆おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
問題作、オピニオン
◆おうし座(4月20日~5月20日 生まれ)
閃光、フラッシュバック
◆ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
無意味、ナンセンス
◆かに座(6月21日~7月22日 生まれ)
距離感、インタールード
◆しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
煌めき、スパークリング
◆おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
伝説的、レジェンド
◆てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
一撃必殺、キラーチューン
◆さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
印象操作、プロデュース
◆いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
新人発掘、ネクストブレイク
◆やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
専門家、キュレーター
◆みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
雰囲気、ポエミー
◆うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
主義者、ヒップホップ

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ヴァイオリニスト寺下真理子が4月8日「サンデー・ブランチ・クラシック」に参戦

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ヴァイオリニストの寺下真理子が、ピアニストのSUGURU(from TSUKEMEN)と共に、2018年4月8日(日)、渋谷eplus LIVING ROOM CAFE & DININGで行われている「サンデー・ブランチ・クラシック」に登場する。

寺下は1982年和歌山県生まれのヴァイオリニスト。東京藝術大学、ブリュッセル王立音楽院修士課程を卒業。第1回五嶋みどりレクチャーコンサート(1993年)出演。第50回全日本学生音楽コンクール(1996年)中学生の部、大阪大会で第2位受賞。1997年には第2回宮崎国際音楽祭にて、故アイザック・スターン氏の公開レッスン受講。同年、五嶋みどりデビュー20周年記念コンサート(大阪NHK ホール)にて五嶋みどりと共演。2004年には第2回東京音楽コンクール弦楽器部門第2位(ヴァイオリン最高位)受賞し注目を集めた。これまでにソリストとして東京フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団他と共演している。

2013年2月にはデビューCDをリリースし、ヤマハホールにてCD発売記念コンサートを開催、各方面から高い評価を得た。2015年2月にリリースしたアルバム「Ave Maria」(KING RECORDS)は高音質ハイレゾ音源配信サイトにて全ジャンルの中から週間1位を獲得。台湾公演も成功裡に収める。2017年には、さまざまな愛のかたちを雄弁に語った楽曲を収録したアルバム「ロマンス」を発表し、韓国ではクラシック部門で週間1位を獲得するなど、こちらも大きな反響を呼んだ。また、「美少女戦士セーラームーン 25周年記念Classic Concert」にソリストとして参加するなど活動の幅を広げている。

「サンデー・ブランチ・クラシック」とは、“日曜日の午後に誰でも気軽にクラシック音楽のライブ演奏を楽しめる”というコンセプト異色シリーズである。カフェならでは飲食をしながら至近距離で生演奏を聴けるとあって、常に人気を博している。これまで、反田恭平、松田理奈、新倉瞳、上野耕平、曽根麻矢子、山田姉妹ほか多彩な顔ぶれの演奏家たちが登場し、自由気ままなライブを繰り広げてきた。

そんな「サンデー・ブランチ・クラシック」に寺下が満を持して登場する。今回はピアノ演奏のSUGURU​(from TSUKEMEN)が共演。クライスラー「愛の喜び」、ラヴェル「ツィガーヌ」に加え、SUGURU作曲の「SAKURA」や、寺下の自作曲「Home of spirits」なども演奏予定曲目としてアナウンスされている(変更可能性もあり)。

魅惑の演奏技術と麗しい容姿を併せ持つ寺下の音楽を間近で味わえる絶好の機会を見逃す手はないだろう。

【動画】ファリャ:歌劇「はかなき人生」-第2幕 スペイン舞曲 第1番 (クライスラー編曲)Falla Dance espagnole No.1 (arr. Fritz kreisler) / 寺下真理子

最年少で日本音コンを制したヴァイオリニスト戸澤采紀はマーラー・オタク!? 初の本格的リサイタルを開催

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2015年に中3で学生音楽コンクールを制した翌年、なんと日本音楽コンクールでも史上最年少の15歳で優勝し、話題を呼んだヴァイオリニスト戸澤采紀(とざわ・さき)。2018年の4月の時点でもまだ高3という若さだが、既に国際的な活躍が期待されているのは言うまでもない。両親ともにプロのヴァイオリニストという家庭に育ったサラブレッドなのだが、実際にインタビューをしてみると、英才教育を受けた才女というだけではない個性的な素顔が垣間見えた。
9月21日(金)に浜離宮朝日ホールで開催される、初の本格的なソロリサイタルの話を軸に、21世紀生まれの新世代ヴァイオリニストはどんなことを考えているのか、様々な角度から話をうかがった。

――ヴァイオリンを本格的に習い出す前に、ピアノを習われていたそうですね。

実は3~4歳で一度、ヴァイオリンをはじめようとしているんです。最初は母にレッスンを受けたら怖かったので、「父に習う!」と言ったんですよ。そしたら、もっと怖くて……30分レッスンを受けて、ヴァイオリンをすぐに辞めました(笑)。それでピアノを習い始めたんです。

――初っ端から衝撃的なエピソードですね……そんなトラウマになりそうな経験があったのに、どうしてもう一度ヴァイオリンを習い始めたんですか?

たまたま父と母が同じオーケストラのなかで弾いているコンサートを6歳のときに聴きに行ったことがあったんですが、その時に「ピアノじゃこの中には入れない」と思って、ヴァイオリンをやりたいと言いました。だから、いまだにオーケストラに入るためにヴァイオリンをやっているという感じなんです。

――その時の曲目って覚えていらっしゃいます?

マーラーの交響曲第7番「夜の歌」でした。(※2007年11月16日(金)、飯守泰次郎指揮の東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の定期演奏会)

――6歳でマーラー!? しかも玄人好みの「夜の歌」とは渋すぎますね!

いま聴いてもよく分からないんですけどね(笑)。それでヴァイオリンを始めることにしたんですが、両親からのレッスンではうまくいかなくて、最初だけは母に手ほどきを受けたんですが、父(東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 コンサートマスター戸澤哲夫)が幼い頃に習っていた保井頌子先生につくことになりました。

――保井先生のレッスンは、どんな感じだったのでしょう?

すごく優しい先生で、怒ることは殆どなかったですね。私がやりたいことを尊重してくれる先生です。小さい頃のヴァイオリンのレッスンって、作り込んで作り込んで、同じことを何回も練習して、それで舞台に出る……というものが多いと思うんですけど、そういうことはあまりせずに音楽的なことを沢山教えてもらいました。

戸澤采紀

戸澤采紀

――中学生ぐらいになると、続々とコンクールで優勝されるようになりますね。いま在学中の藝高(東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校)に入る前は、どんな生活をされていたんですか?

公立の学校に通いながら桐朋学園の音楽教室で通っていたんですけど、父が結構厳しくて(笑)、中学生の頃が一番勉強を頑張っていました。テスト前などは一週間、ヴァイオリンよりも勉強している時間の方が長かったですし、茶道部にも入っていたので部活との両立も頑張っていました。

――高校生の現在は、普段どのくらい練習されるんでしょうか?

平日は学校があるので3時間ぐらい。学校がない日は大体7時間~10時間とか。食べているときと、寝ているとき以外は1日中弾いているときもあります。他にすることもないですから(笑)。

ヴァイオリンケースの中には……

ヴァイオリンケースの中には……

――それだけ熱心に練習されてきたこともあり、これまで様々なコンクールで優秀な成績を収めてきたわけですが、その中で特に思い出深いものはありますか?

学生音楽コンクールかなぁ。小6から毎年、学生音コンを受けてきて、4回目の中3でやっと全国大会で1位を獲れたんです。学生音コンには3つラウンドがあるんですけど、日コン(日本音楽コンクール)と違って、課題となるのは各ラウンドで1曲ずつなので、1曲にかけられる時間がもの凄く長いんです。だから学生音コンには、1曲の精度をどれだけ上げて、音楽的に内容をつめていくという、そういう細かい勉強を教えてもらいましたね。それまで保井先生には好きにやらせてもらっていたので、自由な感じだったんですけれども、学生音コンのお陰でプロになるにあたっての細かい練習の仕方などが身についた気がします。

――学生音楽コンクールに優勝された際も、その翌年の日本音楽コンクールでも、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を本選で演奏されていますね。

この曲の何が好きかって聞かれると、自分でも正直よく分からないんですけど、やっぱりヴァイオリン協奏曲のなかでは一番好きです。音楽祭に参加するため、(シベリウスの出身地である)フィンランドに何回か行ったんですが一番最初に行ったときにシベリウスの協奏曲を弾いて、スカラシップ(奨学金)を貰ったんです。そういう意味でもこの曲には凄く思い入れがありますね。

――いつ頃から好きになったか覚えていらっしゃいますか?

記憶にないですね(笑)。最初に演奏したのは、中学2年生かな。2014年にかながわ音楽コンクールで大賞を獲ったときにオーケストラと共演する機会をいただいて、そこでシベリウスを選んだんです。

戸澤采紀

戸澤采紀

――他にはどんな音楽がお好きですか?

マーラー・オタクなので私は(笑)。マーラーに関しては交響曲の2番(「復活」)、9番、10番を愛してやまないんです。特に9番は、特別な時にしか聴いちゃいけないっていう風にしていて。だから日コンの前日も、ティボール・ヴァルガのコンクールの本選の前日も、受験の前日も、全部マーラーの9番を聴いていました。両親を部屋から追い出し、部屋を真っ暗にして、スピーカーをすっごい大音量でかけて、それで大号泣してすっきりして本番に臨むんです。

――マーラーでヴァイオリンをはじめ、今もマーラーを心の支えにして音楽を続けていらっしゃることがよく分かりました(笑)。さて、9月21日(金)に東京でリサイタルを開催されるそうですね。

リサイタル自体は何回かやらせていただいたこともあるんですけれど、ここまで大きいホールでやったことはないので私も凄く楽しみなんです。

――会場は、国内屈指の音響を誇る浜離宮朝日ホールですが、どのような印象をもたれていますか?

(父が出演する)モルゴーア・クァルテットの演奏を聴きに何回か行ったことがあります。ダイレクトではありつつも、いい感じのふわっとした響きで後ろから包み込んで音を届けてくれるイメージがありますね。弦楽器特有のちょっとしたニュアンスなども、よく聴こえてくるようなホールだというのは聴きながら思っていたので、演奏するのが今から楽しみです。

――そして東京公演に先立って、8月10日(金)には岡山公演として早島町町民総合会館 「ゆるびの舎」文化ホールでも演奏が予定されています。

実は母の実家が岡山なんです。既に去年、母の姉が主催してくれて演奏をしているんですが、今年も演奏できるのは嬉しいです。

取材中、ちょっとした演奏も

取材中、ちょっとした演奏も

――リサイタルは、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタのなかでも人気の高い第18番(ト長調,K 301)から始まりますね。

明るい雰囲気でコンサートのオープニングを飾れたらなと思って選びました。これは私にとって懐かしい曲で、いつだったっけ……中学2年生でサロンでコンサートしたときにオープニングで弾いたのかな? 自分の若々しさを……まだかろうじて若いので。

――10代ですから、充分すぎるほど若いですよ(笑)。続いては20世紀を代表する大ヴァイオリニストのミルシテインが作曲した無伴奏による「パガニーニアーナ」。これは有名なカプリース第24番をテーマとした変奏曲ですね。こちらを演奏するのは……

演奏するのは初めてです。2014年の『ヴァイオリン フェスタ トウキョウ』で山根一仁さんの演奏を聴いて「スゴいな!」と思ったのがきっかけなんです。音楽家というよりは、ヴァイオリニストとしての技術というか自分の魅力を魅せるという意味で、もの凄く良い曲。技巧的ではあるんですけど、全体を通して凄くセンチメンタルな感じもあったり、派手なところもあったり。変化に富んでいるので、モーツァルトの後に雰囲気を一変させてガラッと変えるっていう意味で選んでいます。

――続けて、もう1曲無伴奏が続きます。イザイの6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタより第5番。正直、6曲のなかでは演奏される機会の多くない作品ですよね。

イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタに関しては去年6番をコンクールで演奏したんですけど、その前から5番が大好きで大好きでしょうがなくて。何故かというと、私はレオニダス・カヴァコスっていうヴァイオリニストが大好きなんですけど、この曲は彼の十八番なんです。

――それだけ戸澤さんを魅了する第5番の聴きどころは、どのあたりでしょうか?

イザイっていうと超絶技巧をみせるというか、音楽の内容も派手で民族的で素晴らしいんですけど、結構技巧的でテクニシャンな感じなところがありつつも、この5番はすごく情景が浮かんでくるというか、ものすごい色彩豊かなんですね。そういうところがもの凄い好きです。なぜか2楽章構成だったりして、まとめ方が結構難しかったりするので、なかなか日本では皆さんやられませんけど。

戸澤采紀

戸澤采紀

――休憩を挟んで、今度はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第8番から後半がはじまります。

この曲は去年の日本音コンの課題だったんです。コンクールを聴きに行ったんですが、自分だったらどういう風に弾けるかをやってみたいなと思ったんです。ベートーヴェンのソナタってそれぞれ個性が豊かで、色々な違いがみられるんですけど、8番に関してはそれが全部凝縮されているようなイメージがあります。ベートーヴェンの明るい面と、歌うような面がつまった作品です。

――プログラムのラストを飾るのはプーランクのヴァイオリン・ソナタです。

この曲は、2年前に日本音コンを獲ったときの三次予選の課題でした。コンクールで弾くまでは知らなかったんですが、それぞれの楽章に特徴的な個性があって、初めて聴いた時にそれはそれは凄い曲だなと思って。よくよく調べたら、書かれた動機もなかなかに凄くて(※独裁政権に反抗して銃殺された詩人ガルシア・ロルカの思い出に捧げられている)。2年前のコンクールの時に聴いてくださった方もいると思うので、過去の自分よりももっと表現して成長した面もお見せ出来たらなと。

――共演するのは丸山晟民(まるやま・あきひと)さん。なんと彼もまだ今年で20歳という若いピアニストです。

共通の友人がいたり、母のヴァイオリン教室の伴奏をしてもらったりで知り合って、共演する前から友達みたいな感じでした(笑)。ピアニッシモで弾くときって、普通は密度まで落ちちゃったりして良い音を出すのは難しいと思うんですけど、ピアニッシモでも物凄い綺麗な音で、キラッと光るような魅力のある音を出すピアニストです。特にベートーヴェンなどは、一緒にやったら洗練された音楽になるんじゃないかなと思ってお声がけさせていただきました。

――もっとベテランの伴奏ピアニストと共演するという手もあったかと思うのですが、なぜ今回、同世代のピアニストとの共演を選んだのでしょう?

私が通っている藝高では、試験の伴奏もみんな学生なんです。年が近い方がお互いに言いやすいし、言ってもらいやすい。コンチェルトとかでもアンサンブルとして出来るっていうのが魅力だと感じました。だから今回も丸山さんに声かけたんです。ヴィルトゥオーゾ・ピース(超絶技巧の小品)をいっぱいというよりは、ソナタをいっぱいやりたいなと思っていたのもあります。そもそもデュオとしてやりたかったんです。

――そう考えるようになったのは、いつ頃からですか?

自分がソロとして弾くのは、実はずっとあんまり好きじゃなくて。責任重大というか……いや、どちらにしろ責任重大なんですけど。やっぱり誰かと一緒に弾くというのがもの凄く好きなんですよね。環境的にも、「オーケストラが大好き!」みたいな人が集まった家なので(笑)。そういう風に育っちゃいました。

戸澤采紀

戸澤采紀

――じゃあ、オーケストラだけでなく、室内楽もお好きなんですか?

いま、ふたつカルテットを組んでいて、今年はそれで活動していたりとか、あとは学校のアカンサスコンサートに参加したり。フィンランドの音楽祭も最初はソロで参加したんですけれど、そこでスカラシップを頂いて、次からはヤングアーティストとして呼んでいただいたので、ヨーロッパの若手の人たちとも一緒に室内楽をやったりしています。

――今後はどんなヴァイオリニストを目指されていかれますか?

ここ数年、コンクールとかで色んな人に声をかけていただいてお話しさせていただく中で、「将来はオーケストラに入りたい」と言うと、どうしても「なんで!? もったいない!」っていう風に言われてしまって。

日本では、オーケストラ・プレイヤーよりもソリストのほうが秀でているというような見方があるのかもしれないですが、絶対そんなことはなくて。それぞれに魅力があって、本当に一流の演奏家というのはソロも室内楽もオーケストラのなかでも、コンサートマスターじゃなかったとしても、弾けなきゃいけないというのが私のなかでずっと思っていることなんです。だからこれから活動していくにあたっては、そういう意味での“一流の演奏家”を目指しつつ、努力していきたいなと思っています。

――最後に記事をお読みになっている皆さまへ、リサイタルに向けたメッセージをお願いします。

コントラストが効いたメリハリのあるプログラムになっていて、なおかつ日本ではあまり演奏される機会が少ないけれど、実はとても素晴らしい曲というものをいっぱい揃えました。メジャーじゃない曲で、その魅力を精一杯伝えるっていうのは、難しいことだとは思うんですが、そういう曲でもお客様に満足していただきたい。自分なりにそういうところも頑張ってしっかり勉強して、演奏したいなと思うので、楽しんでいただけるように頑張ります。是非いらしてください!

取材から解放された瞬間を激写

取材から解放された瞬間を激写

インタビュー・文=小室敬之 撮影=山越 隼

中川晃教・三浦大知ら出演 恩田陸原作「蜜蜂と遠雷」コンサートシリーズ 『ひかりを聴け』オーケストラコンサート~コトダマの音楽会partⅡ~の開催決定

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直木賞・本屋大賞を受賞した、恩田陸原作「蜜蜂と遠雷」コンサートシリーズ 『ひかりを聴け』オーケストラコンサート~コトダマの音楽会partⅡ~が、2018年5月17日・18日にBunkamuraオーチャードホールにて開催される。 本コンサートは、原作小説から創りだした言葉の数々を歌と朗読で表現しながら、その旋律を立体的にピアノとオーケストラで表現する新しい形の音楽会だ。

<蜜蜂と遠雷とは>
第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞した恩田陸による名作。舞台は3年ごとに開催される芳ヶ江国 際ピアノコンクール。そこには数多くの天才たちによって繰り広げられる競争、そして自らとの闘いがあっ た。人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。 


今コンサートの演奏は、東京フィルハーモニー交響楽団、そして数々のドラマ・映画の楽曲を生み出した千住明が、音楽監督・オーケストラ演奏の指揮を務める。また、歌声を響かせてくれるのは、美声に定評のある中川晃教、三浦大知、木村優一らアーティストたちで、豪華ゲストも週替わりで出演する。

ヴァイオリニスト土岐祐奈が届ける春待ちの音色 昼下がりの渋谷で飲食を楽しみながらクラシックを

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“サンデー・ブランチ・クラシック” 2018.2.18 ライブレポート

日曜のお昼のひと時を、渋谷のカフェで音楽を聴きながら過ごすサンデー・ブランチ・クラシック。2月18日に登場したのは若手ヴァイオリニストの土岐祐奈だ。クライスラーやブラームス、ポンセなど、30分の公演で様々な曲を披露。まだ寒い2月ではあるが、来るべき春がすぐそこに来ていることを感じさせるような、心温まる音色に包まれた公演だった。

クライスラーでカフェのテラスでお茶気分に

公演開始の午後1時。赤いドレスに身を包んだ土岐が登場し、ぱっと空間が明るくなる。1曲目はクライスラーの『シンコペーション』。ウキウキと弾むような曲に、ときどきうっとりするようなメロディ。まだ寒さも残る小春日和の街をそぞろ歩き、通りがかった街のカフェで温かい飲み物をいただきホッと一息つくような、そんな気分だ。

「今日は私の自宅のリビングに来ていただいた感じで、くつろぎながらのひと時を楽しんで行ってください」と土岐。まさにほっとくつろぐ1曲目だった。

土岐祐奈(ヴァイオリン)、須関裕子(ピアノ)

土岐祐奈(ヴァイオリン)、須関裕子(ピアノ)

土岐祐奈

土岐祐奈

ブラームスのソナタとスケルツォ

続いてブラームス「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第2番」より第1楽章、同じくブラームスの「FAEソナタ」より第3楽章スケルツォが演奏される。伴奏は須関裕子。土岐の学生時代の恩師の一人で、今回2年ぶりの共演となるという。

須関裕子

須関裕子

「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第2番」は、「スイスの避暑地トゥーン湖で、一説によるとその時思いを寄せていた女性へ向けて書かれた」と土岐が解説する。ブラームスらしい、心の琴線をふっと撫でていくような甘く優しい曲だ。透明な湖の風景に、一抹の哀愁が木の葉になって湖面にひらりと落ちるような味わいがある。

「FAEソナタ」はブラームスと交友のあった作曲家・シューマンとディートリヒとともに作曲したもので、第1楽章をディートリヒ、第2楽章と第4楽章をシューマン、第3楽章のスケルツォ(アレグロ)をブラームスが作曲している。今回演奏されたのはその第3楽章のスケルツォ。ピアノのアグレッシブな低音にのせての演奏は、これまでとは一転して力強く、しかし楽し気にも感じられた。

土岐祐奈

土岐祐奈

土岐祐奈(ヴァイオリン)、須関裕子(ピアノ)

土岐祐奈(ヴァイオリン)、須関裕子(ピアノ)

ロマンティックな曲から超絶技巧へ

4曲目はマヌエル・ポンセの「エストレリータ」。ポンセはメキシコの作曲家でこの「エストレリータ」は“小さな星”という意味。1913年、ポンセ自身の作詞・作曲で書かれた歌曲で、現在はヴァイオリンの演奏曲としても広く知られている。

歌詞は恋する女性の熱い想いを綴ったもの。ゆったりとした、夜のしじまで愛おしい人に思いを馳せるようなロマンチックなメロディが、しかし情熱を帯びた響きを伴って奏でられる。

土岐祐奈(ヴァイオリン)、須関裕子(ピアノ)

土岐祐奈(ヴァイオリン)、須関裕子(ピアノ)

土岐祐奈

土岐祐奈

土岐祐奈

土岐祐奈

そして5曲目はパガニーニ「ヴァイオリン協奏曲 第1番」より3楽章だ。「悪魔に魂を売った」と言われるほどの超絶技巧の演奏家でもあったパガニーニの協奏曲を、「私にとってはチャレンジです」と、今回はヴァイオリン独奏のアレンジ版を演奏する。聴く方は春の小道をスキップしたくなるような、しかし演奏する方はひょっとしたら短距離ダッシュではなかろうかという曲を楽しそうに弾き終え、客席からは「ブラボー!」の声も飛んだ。

アンコールはNHK大河ドラマ『真田丸』のメインテーマ。ヴァイオリンの音色が印象的だった曲で、数年前、日曜の夜に毎週聴いていた人たちも多かっただろう。客席からは大きな拍手が起こり、日曜のひと時は温かな雰囲気と共に幕を閉じた。

土岐祐奈、須関裕子

土岐祐奈、須関裕子

楽しめた演奏。将来的には留学も

終演後、ミニインタビューを行った。

――素敵な演奏をありがとうございました。今日の曲はどういう趣旨で選ばれたのでしょう。

土岐:30分という短い時間ですので、お客様に楽しんでもらいたいなと思い、いろいろな作曲家、時代に、お馴染の曲を入れました。

(左から)須関裕子、土岐祐奈

(左から)須関裕子、土岐祐奈

――普段のリサイタルと、この会場は雰囲気が違ったと思いますが、いかがでしたか。

土岐:温かくて皆さん真剣に、静かに聴いてくださっているので、私も集中して楽しんで演奏できました。コンサートホールと違いパティオ、リビング、ダイニングの3方向にお客様に囲まれて、距離も近く、雰囲気が良かったです。

――ピアノの須関さんは土岐さんの先生ということですが。

土岐:桐朋学園時代の先輩なんですが、私が先生というイメージを持っていて……(笑)

須関:土岐さんが高校生の時、私のリトミックの授業に出ていたんです(笑)。

土岐:2年前にベートヴェンを演奏する際にご一緒していただいたんですが、今回久しぶりに一緒にやりたいなと思いお声がけさせていただきました。先生の音楽が好きなので、私も安心して弾けるんです。

――パートナーは大事なのですね。

土岐:ソナタなどデュオの編成では特に、ピアノの方との相性は必ずついてくるので、自分のパートナーを見つけながらやっていきたいなと。

――今は日本を拠点に活動されていますが、今後は?

土岐:来年度が大学の2年目になります。今年は演奏会やコンクールに挑戦しながら活動し、その後は留学を考えています。具体的な場所などは決まっていませんが、ドイツ圏の音楽や文化が好きなので、先生を探しながらヨーロッパで勉強をできればと考えています。

(左から)須関裕子、土岐祐奈

(左から)須関裕子、土岐祐奈

取材・文=西原朋未 撮影=鈴木久美子

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