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既存の「パスクワーレ」にモヤっとしているなら見てみてほしい、英国ロイヤル・オペラ・ハウス『ドン・パスクワーレ』

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英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/20の第2作目はドニゼッティのオペラ・ブッファ(喜歌劇)『ドン・パスクワーレ』だ。本作は2019年春にパリ・オペラ座で初演され大好評を博したダミアーノ・ミキエレット演出によるプロダクションで、タイトルロールを演じたブリン・ターフェルや英国ロイヤル・オペラ・ハウス初登場のオルガ・ペレチャッコら、出演者が一癖も二癖もある登場人物をそれぞれに好演した現代版『ドン・パスクワーレ』となっている。

1843年の初演以来、170年以上を経てなお名アリアともども繰り返し上演される「喜劇」とされるこの作品、その一方で果たして今の時代、ほんとうに喜劇なのか、権利のための戦いなのか、はたまた老人イジメなのか……といった様々な評価も耳にする。これまで「パスクワーレ」を観て「モヤっとする」「どうも疑問符が拭えない……」という感想を抱いた方々にはぜひ、一度見ていただきたい。

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

■舞台を現代に置き換え、登場人物にはリアリティを

まずはオペラのあらすじをざっとご紹介しよう。

このオペラの主人公は、齢70歳の独身資産家ドン・パスクワーレ。彼は甥のエルネストに遺産を譲るつもりでいたが、エルネストは叔父の定めた結婚相手には見向きもせず、若い未亡人ノリーナに熱を上げている。ノリーナと甥の結婚に反対するドン・パスクワーレは「ならば自分が若い娘と結婚しよう。甥に遺産はやらぬ」と思い立ち、主治医マラテスタに結婚相手を紹介してくれと持ち掛ける。実はエルネストとノリーナの友人でもあるマラテスタは、彼らとともに「わからずやの老人を懲らしめてやろう」と一計を案じ、ノリーナを自身の妹ソフロニアと偽り、花嫁としてドン・パスクワーレに紹介する。まんまとマラテスタらの計略にかかってしまったドン・パスクワーレは、結婚した途端に悪妻と化したソフロニアにひどい目にあわされ、結局エルネストとノリーナの結婚を認め、幕となる。

……という物語、はたして初演時の1840年代は確かに今ほど結婚に自由はなく、それこそ無理矢理年齢の離れた老人のもとに嫁がされる若い娘もいただろう。また当時はヨーロッパ各地で市民運動や革命が起こるなど、いわば時代の価値観も揺れ動いていた。そうしたなかで登場した成金の金満家や権力者を笑い飛ばすことは、確かに喜劇のネタとしては痛快であっただろう。

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

しかしさらに時を経た21世紀、結婚の価値観も変わり、年の差婚だってシニア婚だってある。この物語を「喜劇」として笑い飛ばすには、当時の時代背景への理解をもってしてもなかなかにして微妙だし、ドン・パスクワーレに近しい年齢であればあるほどに、その複雑さは一層増すに違いない。実際にこの演目は2019年11月に新国立劇場でも上演されたばかりだが、絶賛の一方で、どうもすっきりしない、モヤモヤした思いを拭い去れず、未だに頭に微妙な疑問符を付けたままの方々も少なからずいるのではなかろうか。

今回の英国ロイヤル・オペラ・ハウスの『ドン・パスクワーレ』は、そんな疑問符やモヤモヤを拭い去ってくれるような、そんな味わいもあるプロダクションだ。演出のミキエレットは舞台を現代に移し、登場人物たちの闇の部分にも焦点を当てた。子供のまま年老いたパスクワーレやニートの甥、小賢しいノリーナや山師のようなマラテスタなど、癖の強いキャラクターらと「結婚」「遺産相続」というモチーフが絡むことで、この物語が現代的な輪郭を持って、どことなくミステリアスな雰囲気も漂わせながら、なまなましく浮かび上がってくる。そして最後に無理なく笑顔で終わる構成も、ほっと安心させてくれるのだ。

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

■聴かせどころもしっかり押さえた、歌手たちの熱演にも注目

舞台設定もなかなかユニークだ。幕が上がってまず目に入るパスクワーレ邸は宙に屋根が浮かんだ構造。その下には60~70年代のフランス映画に出てくるようなアンティークな車や冷蔵庫、家具が置かれている。一瞬この舞台の時代はいつだ?と思うのだが、ノリーナらはちゃんとスマホを使っているから、間違いなく現代だ。つまり主人公の老パスクワーレは時の止まった屋敷の主で、そこで母親と暮らしていた頃の思い出を振り返りながら、若い娘との結婚を夢見るのだ。なんともヤバい(笑)

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

さらに幕間インタビューで散々「間抜け」と称される甥っ子エルネストは、生活力の欠片も感じられないニート風。屋敷を追い出され、クマちゃんのぬいぐるみを抱えてとぼとぼ歩く姿はかなり情けない。撮影スタジオで働くノリーナは、要領よく世渡りに長けた感じがある。演じるペレチャッコの厚かましさすれすれの存在感も絶妙だ。マラテスタに至っては胡散臭さが服を着て歩いているような雰囲気で、しかもこの男、実はノリーナとただならぬ関係であることさえ漂わせる。とにかく誰もが怪しく、誰もがダメで、またその役どころを捉えた出演者の演技がそれぞれにお見事なのだ。もちろんノリーナの「騎士はその眼差しに射抜かれて」、エルネストの「甘く、清らかな夢よ」や「遥かなる土地を求めて」、ドン・パスクワーレとマラテスタの早口二重唱「そっと、そっと」などの名曲は、しっかりと聴かせてくれるのである。

何より歌う役ではないが、パスクワーレ邸の使用人である老婆にはぜひ、注目していただきたい。彼女がいるからこそ、ラストシーンのドン・パスクワーレの笑顔がぐっと心に迫ってくるのである。

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

(c) ROH 2019 photograph by Clive Barda

文=西原朋未


日本を代表するソプラノ歌手 並河寿美に聞く

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2018年度の文化庁芸術祭賞の大賞受賞に続いて、昨年は兵庫県文化賞を受賞するなど、日本を代表するソプラノ歌手 並河寿美の活動が評価されている。

確かな技術に加え、表現力にも定評のある並河。文化庁芸術祭賞の対象公演となった みつなかオペラ 「トスカ」では、第二幕で警視総監スカルピアを殺した後の大泣きのシーンなど、観る者を瞬時に虜にしてしまう魅力を持ち合わせている。そして、バレエで鍛えた姿勢の良さ(体幹の強さ)と、持ち前の明るさ。

待ち合わせの、クリスマスイルミネーション輝くホテルのカフェに彼女が登場した瞬間、周囲がパーッと一際明るくなったように感じた。

旬の人 並河寿美にあんな事やこんな事を聞いてみた。

日本を代表するソプラノ歌手 並河寿美 (C)H.isojima

日本を代表するソプラノ歌手 並河寿美 (C)H.isojima

―― 先日、テレビで「一万人の第九」の特別番組をやっていました。ソリストで出演されていましたね。

はい。3年振りに出演させて頂きました。「一万人の第九」は、これまでに5回出演しています。大阪城ホールの大半が合唱団で、視覚的にも圧巻です!あれは一万人の出演者の思いと、それを受け止める佐渡さんの熱意で成立しているんだと思います。音楽的な事で言えば、もちろんバランスなどは十分ではありませんが、あれだけの規模でないと成し得ない世界がありますし、単なるお祭り騒ぎではなく、私にとっては特別な「第九」です。

おかげ様で色々な第九に出演させて頂きますが、どの「第九」も私にとっては特別です。第4楽章を歌っていると、必ず涙が溢れてきます。実は、8年前に「第九」に対する概念が大きく変わる経験をしたのです。

―― 東日本大震災チャリティコンサートでの、ズービン・メータ指揮の「第九」ですか?

はい、そうです。

―― テレビで見ましたが、確かにあの「第九」は何か迫ってくるものがありました。

マエストロ・メータが、東日本大震災のチャリティコンサートを指揮される事になり、その出演依頼があった時に、曲が「第九」と聞いて違和感を覚えました。第九というと「フロイデ!」喜びのイメージが強く、どうしてレクイエムではないんだろうかと思ったのです。

マエストロにお会いした時、こういう時には亡くなった人にばかり意識が向きがちだが、残された人や、家族同様のペットと別れて暮らすことになった人に向けて、エールを送りたいんだというハナシを伺いました。確かに追悼や自粛ムードで下を向きがちだった自分を振り返って、なるほどと思いましたが、どこかまだ、本当に演奏して良いのかなと思っていました。

あの日の演奏は、今まで感じた事のない雰囲気の中で行われました。尊敬する藤村美穂子さんの隣で、大好きなマエストロの指揮で歌えるのは夢の様でしたし、オーケストラもコーラスも聴いたことのないような特別な音でした。最後のソリストの四重唱は本当に難しく、高音が上手く嵌るか毎回ドキドキするのですが、マエストロが、こういう風に歌ってみたら楽になるよ!と教えて頂いたフレージングで歌ったら上手くいきました。

当初、演奏終了後の拍手は無しで!ということだったのですが、お客様が我慢できずに拍手されたのがきっかけで、拍手喝采から最後はスタンディングオベーションになりました。お客様も演奏者も、マエストロ、ありがとうございます!と、感謝の思いを伝えたかったんだと思います。カーテンコールではこみ上げる気持ちを押さえられませんでした。「第九」で良かったんだ!「第九」を歌わせて頂けて、本当に幸せだ!止まっていた時計の針をマエストロが動かしてくれた。マエストロ、ありがとうございます!

「第九」の概念というか、「第九」に向き合う姿勢や気持ちが、それまでとは全く変わりました。あれから8年が経過し、何度も「第九」を歌っていますが、マエストロから頂いたアイデアを活かし、あの時の気持ちを忘れずに歌っています。

マエストロ・メータ指揮の「第九」は得るものが多かったです!

マエストロ・メータ指揮の「第九」は得るものが多かったです!

―― メータ指揮の「第九」は、並河さんにとって大きな転機になったのですね。「第九」以外にもマーラーの「復活」や「千人の交響曲」などオーケストラ付きの大曲や、「ミサ」や「レクイエム」などの宗教曲もたくさん歌われていますが、やはりオペラは向き合い方が違うものですか?

オペラは、役によっての違いはありますが、自分を開放出来るのが魅力です。

歴史上の人物などは、こうでなければいけないといったある種の制約のようなものもありますが、それは窮屈さではなく、そこに自分の気持ちを入れたり、客観性を持たせることで役作りに幅を持たせられることが出来、面白いです。

オペラ歌手の中には、演じる事が苦手な人もいるかもしれませんが、私は演じる事が楽しくて仕方ない。それは高校3年まで続けたバレエのおかげだと思います。演出家の指示や衣装さん、メイクさんなど、外からの作り込みも、自分が演じる助けになって、どんどんやりたいことが膨らんでいきます。

ソプラノは、包容力が有って良い人といった役どころが多く、あまり悪役を演じる事はありませんが、昨年、堺シティオペラでやった「黒蜥蜴」の緑川夫人は、煙草を吸ったり、ピストルを構えたり、それでいて明智小五郎に心が向いていて、と云う風に、普段絶対に遣らない役で、難しいけれど、とても遣り甲斐が有って楽しかったです(笑)。

―― 「黒蜥蜴」は客席で拝見しましたが、とても楽しそうに演じておられましたね(笑)。しかし、何と言っても並河さんと言えばイタリアオペラ! 一昨年は、みつなかオペラの「トスカ」で平成30年度文化庁芸術祭の大賞を受賞されました。

大好きな「トスカ」で受賞できたのは嬉しかったですね。私にとって「トスカ」は特別です。

学生時代にCDで聴いたマリア・カラスの「トスカ」に魅了され、大学院の修士演奏でトスカを歌いましたし、「トスカ」についての論文も書きました。 

トスカに憧れ、いつかステージで歌いたいと思っていたのですが、大学院を卒業して2年目の1997年に、ザ・カレッジオペラハウスの「トスカ」公演で初めて、全曲を歌わせて頂きました。ダメ元覚悟で受けたオーディションで選ばれたのです。この時の演出家が栗山昌良先生です。先生からはプリマドンナを演じる上で必要な事を全て教わりました。ドレスのさばき方から始まり、舞台上の所作はすべてです。先生とご一緒したのは、この時の「トスカ」と、兵庫県立芸文センターと堺シティオペラでやった「蝶々夫人」だけですが、洋物、和物それぞれの所作を徹底的に仕込んで頂きました。

学生時代から憧れて来た「トスカ」(2018.10.7 川西みつなかホール) (C)みつなかオペラ実行委員会

学生時代から憧れて来た「トスカ」(2018.10.7 川西みつなかホール) (C)みつなかオペラ実行委員会

―― 初めての「トスカ」が20代半ばですか。「トスカ」は人気のオペラですが、主役3人に比べると他の役が地味な事や、合唱の出番も少なく、それでいて楽器編成が大きかったりで、オペラ団体が取り上げにくい作品ですよね。これまでに何回歌われているのでしょうか。

「トスカ」はこれまでに3度、歌わせて頂きました。2度目に歌ったのが兵庫県立芸文センターのいわゆる佐渡オペラです。佐渡裕マエストロの指揮、ダニエレ・アバドさんの演出で、4ステージで歌わせて頂きました。初めて歌った時から15年が経過していることも有って、イタリアの演出家からアイデアを頂きながら、ある意味、自分の成長を実感出来た幸せな時間でした。

―― そして3回目が、文化庁芸術祭の大賞を受賞されたみつなかオペラですね。

はい。「トスカ」を歌うのには一番良い歳かもしれないなぁと思いながら、これまでに学んで来た事全てを結集して取り組みました。今回の受賞は、みつなかオペラのマエストロ牧村邦彦さんや演出家の井原広樹さんをはじめ、すべてのスタッフ、みつなかホール関係者にとっても苦労が報われた受賞だったので、幸せでした。

―― その時の受賞理由がここにあります。<並河寿美の「トスカ」は、安定した歌唱でアリア「歌に生き恋に生き」を頂点とする大役を歌いきるだけでなく、第2幕殺人の場面での大泣きに象徴されるように、弱さ・脆さをさらけ出す役作りで、演技面に新境地を開いた。この好演は、市民ぐるみでオペラに取り組む兵庫県川西市の環境、指揮の牧村邦彦、演出の井原広樹をはじめとする練達のスタッフに支えられており、芸術家と地域文化の幸福な関係を示す公演でもあった。> この受賞理由は嬉しいですね。

はい。よくぞ専門委員の方が見ていて下さったと思いましたね。大きなプロダクションではなく、地方の客席数500席に満たないホールのオペラですが、目の肥えたお客様にも恵まれ、オーディションで選ばれた出演者から合唱団、カレッジオペラハウス管弦楽団、そして全スタッフの思いが詰まった「みつなかオペラ」で受賞出来たことが幸せでした。実は、牧村マエストロは、初めて「トスカ」を歌ったザ・カレッジオペラハウスの公演の時は、副指揮者でした。「いつか一緒に「トスカ」をやりたいね」と話していて、22年後にそれが実現出来た訳で、縁を感じます。みつなかホールは、表情の変化や芝居的な細かなこだわりをお客様が感じて感じて頂けるホールで、それがちゃんと伝わったようで嬉しかったです。

平成30年度文化庁芸術祭大賞を受賞した「トスカ」(2018.10.7 川西みつなかホール) (C)みつなかオペラ実行委員会

平成30年度文化庁芸術祭大賞を受賞した「トスカ」(2018.10.7 川西みつなかホール) (C)みつなかオペラ実行委員会

―― 並河さんが歌を始めたのはいつからですか?

ピアノとバレエは小さい頃から習っていました。中学の3年間は吹奏楽部でフルートを吹いていたのですが、進路に悩み始め、美術を担当されていた担任の先生に相談した時、「好きな音楽を続ける事を考えた事はないの?」と言われました。のちに音楽の先生に相談したら「フルートは吹奏楽部で付いた癖を取るのに時間がかかるので、歌はどう?」と勧められたのです。「並河さん、いつも音楽の授業中、大きな声で歌っているので。」それが理由でした(笑)。

入試まで2か月しかなかったのですが何とか間に合って、音楽科のある県立西宮高校へ。高校に入ってからもバレエは続けていました。ただ体は細く息は続かず、声もあまり出なかったですね。やはり、バレエと声楽では、必要な身体が違います。

―― そこまで本格的にやって来られたバレエを辞めて、歌一本でいこうと思われたのはどうしてですか。

決断したのは高3の時です。先生が出演するオペラを観て、自分もあのスポットライトの下で歌いたいと思ったからです。バレエを辞めた途端、食べる量は減ったのに、体がどんどん大きくなって、声が出るようになりました。女性としてはバレエをやっていた時の体形が変わるのは、複雑な思いもありました(笑)。

そこから大学受験を考えるようになり、大阪音楽大学の入学要綱に来年オペラハウスが出来ると書いてあったので、オペラをやりに大阪音大に行こう!と迷わず受験を決めました。

―― そしてめでたく合格。大阪音楽大学で師匠の田原祥一郎先生と出会われたのですね。

師匠と勉強している時「残念ながら貴方はいわゆる“美声”ではありません(笑)。一緒に音楽をどう表現するか、どう作って行くかを勉強しましょうね。」と言われました。それを受けて、自分でも声を作ること以上に、表現力に磨きをかける事に時間を費やしたように思います。そんな事も有ってか、学生時代の私は感情過多になりがちで、専攻科の主任でいらした横田浩和先生に「泣くな!」としょっちゅう叱られました。感情過多になると、人に聴かせられる歌ではなくなり、音楽ではないことに気付かされたのです。

色々と試行錯誤を繰り返しながら、何処か頭の中に冷静な自分を置いて、声をコントロール出来るようになると、学生の時に感じていた疲労感が減ったように思います。

学生には私が歌っている姿を見て学んで欲しい。 (C)H.isojima

学生には私が歌っている姿を見て学んで欲しい。 (C)H.isojima

―― 現在、第一線で活躍されながら、母校の大阪音大で学生を教える立場です。二つの顔をどう使い分けられているのでしょうか

教える事は、間接的に自分をレッスンしているような気分ですね。師匠に言われ、当時ハッとした言葉なんかを学生に言いながら、自分は出来ているかなぁと振り返ってみたり…(笑)。師匠をはじめ、色々な先生の言葉に救われてここまでやって来ただけに、自分もしっかり恩返しをしようと思っていますが、まだ軸足はプレーヤーの側。学生には私の歌っている姿を見て学んで欲しいですね。調子が悪い時、その対処方法を見せる事も勉強になると思います。

声楽は身体が楽器だけに、いつまで歌い続けていられるかは実際のところわかりません。どうやれば歌い続けられるのか?もしかしたら2年後歌えていないんじゃないか!など、時にナーバスになったりもしますよ。

一昨年、「トスカ」を褒めて頂きましたが、あの時がピークで、後は下るだけかもしれませんよね…。いやいや、まだまだベストな状態なら、最高のアリアを歌える自信は有りますよ。しかし、やはり体力的にも筋力的にも、疲れやすくなっているのは事実。30代のようにイケイケゴーゴーという訳にはいきません。なのでしっかりと仕事を選んでという思いと、今のうちにアレもコレもやってしまいたいという思いが混在しています。

こんな時には、客観的な第三者の判断に委ねるのが良いのかもしれません。という事で、並河寿美の〇〇〇を聴いてみたい!といった具合に、頂くオファーには、本当に感謝しかありません。

高評価を得たベッリーニ歌劇「ノルマ」での歌唱(2015.9.19 川西みつなかホール) (C)みつなかオペラ実行委員会

高評価を得たベッリーニ歌劇「ノルマ」での歌唱(2015.9.19 川西みつなかホール) (C)みつなかオペラ実行委員会

―― 並河さんは全国の主要オペラプロダクションや、オーケストラの定期演奏会などでご活躍ですが、やはり地元関西のオペラにコンスタントにご出演いただく事は、ファンには嬉しいと思います。やはり関西中心の仕事を選ばれているのでしょうか。

神戸で生まれ育った私は、関西が大好きですし、長くお付き合いを頂いているプロダクションもたくさんあります。「トスカ」をやらせて頂いた みつなかオペラ には、これまで10回くらいは出演させて頂いていますが、レパートリーを広げて頂きました。ベッリーニ「ノルマ」やドニゼッティの「マリア・ストゥアルダ」など、あまりやる機会のなかったベルカントものはとても勉強になりました。

堺シティオペラは、プッチーニの「蝶々夫人」「ラ・ボエーム」や、R.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」、グノー「ロメオとジュリエット」など、比較的オーソドックスなレパートリーをやらせて頂きました。こちらも、随分長いお付き合いです。

そして、兵庫県立芸術文化センターのオペラは、佐渡マエストロのおかげで大きく育てて頂き、色々な役にも挑戦させて頂きました。また、海外の歌手や、海外で活躍中の日本の歌手など、この劇場と関わらなければ出会わなかった人達とも共演出来ました。劇場オープンの30歳半ばからずっと関わらせて頂けて、私の活動の原点とも言えます。このホールが無かったら、今の私は無かったと思います。

ベルカントものへの挑戦機会を頂き感謝している!と語る、ベッリーニ歌劇「ノルマ」(2015.9.19 川西みつなかホール) (C)みつなかオペラ実行委員会

ベルカントものへの挑戦機会を頂き感謝している!と語る、ベッリーニ歌劇「ノルマ」(2015.9.19 川西みつなかホール) (C)みつなかオペラ実行委員会

―― 今後の予定はどうなっていますか?

1月11日、12日の堺シティオペラ「アイーダ」から新年(2020年)はスタートします。3月8日には、大阪音楽大学第51回吹奏楽演奏会で、ヤン・ヴァンデルローストさんの指揮、大阪音大吹奏楽団の演奏で歌い、3月15日には枚方でオペラのアリアを取り上げるコンサートに出演します。

3月28日からは、「東京・春・音楽祭」の一環で、子どものためのワーグナー《トリスタンとイゾルデ》を上演し、イゾルデを歌わせて頂きます。これは、バイロイト音楽祭の期間中に、ワーグナーのオペラを短縮し、子どもでも分かりやすいように内容を再編成して上演するもので、バイロイトでは2009年から行われています。日本では昨年の「さまよえるオランダ人」が初めてで、随分評判になりました。

4月に入るとベートーヴェンイヤーの始まりで、大阪フィルの定期演奏会を皮切りに、「ミサ・ソレムニス」を九州交響楽団と名古屋フィルの定期演奏会でも歌わせて頂きます。

―― 本当に忙しいですね。堺シティオペラの「アイーダ」の会場は、10月にオープンしたばかりのフェニーチェ堺。新しいホールで観る「アイーダ」という事で、観客も楽しみですね。

もちろん私もお客様がいっぱい入った時に、どんな響きがするのか楽しみです。

「アイーダ」は2度目ですが、前回が2011年3月のびわ湖ホールプロデュース公演でした。びわ湖ホールで上演した直後に東日本大震災が発生し、神奈川県民ホールの公演は中止となりました。その時の演出家が、今回演出いただく粟國淳さん。私もそうですが、粟國さんも「アイーダ」には思う所がお有りなのではないでしょうか。あれから10年近く経って、「アイーダ」に対する解釈やアプローチが変わっていると思いますが、もう一度やりたかったという思いは同じだと思います。

―― 今回の「アイーダ」公演に対する意気込みをどうぞ。

アイーダは、エチオピア王女でありながら、エジプト王女アムネリスに仕える奴隷の身分です。姉妹のような関係が、恋や戦争によって微妙に変わっていきます。国と国のぶつかり合いを前面に出しながらも、アムネリスやラダメスに対する心のやり取りを丁寧に描いた演出で、お客様はきっと涙するはず(笑)。相手役の福原寿美枝さんとの付き合いも長く、大人の「アイーダ」をお見せ出来ればと思っています。指揮の牧村邦彦さんも、福原さんも、今年3月の川西キセラホールの開館記念公演「アイーダ」演奏会形式でご一緒していますが、今回はまた違うモノになりそうです。ぜひご覧になって頂けるとありがたいです。

関西を代表する歌姫3人が競演する「ディーヴァの宴」より(左から並河寿美、福原寿美枝、尾崎比佐子) 写真提供:みつなかホール

関西を代表する歌姫3人が競演する「ディーヴァの宴」より(左から並河寿美、福原寿美枝、尾崎比佐子) 写真提供:みつなかホール

―― 最後になりますが、2020年はベートーヴェン生誕250年ということで、「ミサ・ソレムニス」を歌う機会が増えると仰っていましたが、この曲の好きな所を上げて頂けますか。

「ミサ・ソレ」と言えば、私はベネディクトゥスですね。あんなに美しいメロディはないと思います。あれを壊さないように表現するのはものすごく難しいです。あのヴァイオリンソロの高音ヴィブラートにいつも泣かされます。そして歌い出しは、やはりメゾ・ソプラノから(笑)ヴェルディの「レクイエム」のラクリモーサもそうですが、ここ!という所はいつもメゾからです(笑)。そして、ソリストによる美しいメロディの掛け合い。大フィル合唱団の評判も聞いていますし、きっと素敵な音楽が生まれるはず。

「ミサ・ソレ」は「第九」と違って、あまり演奏する機会がないだけに隠れた名曲だと思います。3度もプロのオーケストラで歌える事に感謝です。

―― 最初の「ミサ・ソレ」は大阪フィルのシーズン最初の定期演奏会です。大阪フィルの定期演奏会は初めてですか? 大阪フィルに対してはどんな印象をお持ちですか?

関西の人間にとって大フィルは特別です。昔から聴いていますし、学生時代にはコーラスの一員として定期演奏会で歌った事もあります。ペンデレツキの「七つのエルサレムの門」を、作曲家自身の指揮による定期演奏会でした。あと、大阪フィルではありませんが、倉敷音楽祭ではコーラスのエキストラとして朝比奈隆先生の指揮で歌った事もありました。

ソリストとしては「第九」などで共演させて頂いているのと、西本智実さん指揮のヴェルディ「レクイエム」も歌わせて頂きました。やはり大フィルの奏でるサウンドは特別だと思います。尾高マエストロもご一緒させて頂くのは初めてです。考えると緊張してしまいますが、とても楽しみです。

―― 並河さん、長時間ありがとうございました。これからのご活躍をお祈りしています。

オペラも宗教曲も頑張ります。コンサートホールにお越しください! (C)H.isojima

オペラも宗教曲も頑張ります。コンサートホールにお越しください! (C)H.isojima

取材・文=磯島浩彰

山根一仁(ヴァイオリン)が語る「音楽への愛」~盟友と臨むリサタイルに向けて

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中学校3年生の時に第79回日本音楽コンクールで第1位に輝き、その後も数々の受賞を重ねてきたヴァイオリニスト山根一仁(やまね かずひと)。24歳になった彼は、現在も第一線を走り続けている。華やかな経歴の裏で、音楽への揺ぎない信念をもち、自らの演奏に貪欲に打ち込んできた。2015年からはミュンヘン音楽演劇大学へ留学し、新たな才能を開花させつつある。来年2020年2月に、埼玉、静岡、京都、東京の四都市を巡る『山根一仁 ヴァイオリン・リサイタル』は、海外での経験を踏まえた新しい山根の音楽を聴く、またとないチャンスになりそうだ。リサイタルでは、スイス在住の新鋭ピアニスト小林海都(こばやし かいと)を迎える。二人は、初共演以来、共に音楽の高みを目指してきた。二人の若き才能の躍動感を聴きたい。山根に、リサイタルに込める想いや共演者小林との絆、そしてドイツでの生活を訊いた。

「今やるべき曲」を追求したプログラム

――今回のリサイタルは、全国4カ所を巡るツアー公演ですね。

会場ごとに、毎回、違う演奏になることは間違いありません。そこが、特に楽しみな部分です。今日の演奏と明日の演奏が違うように、その場でしか作れない音楽があります。また、共演するピアニストの海都君は、僕にとって、唯一無二の存在。その彼とどのような音楽をみなさんに届けることができるのかを、とても楽しみにしています。

山根 一仁

山根 一仁

――ベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 《春》」を演奏される予定ですが、なぜこの曲を選んだのですか。

リサイタルが行われる2020年は、ベートーヴェンの生誕250周年に当たります。そのことを意識しました。同時に、ドイツ留学によって自分の演奏がどう変わったかを知ることの出来る曲なのではないかとも考えました。

――山根さんにとって、ベートーヴェンはどのような存在なのでしょうか。

ベートーヴェンは、とても大切にしてきた作曲家です。もちろん、これまでにも彼の作品を演奏会で取り上げてきましたが、とても偉大で遠い存在であるベートーヴェンには、なかなか手を出せないとも感じていました。ヴァイオリン・ソナタ第5番は、名曲と言われるだけあって、音楽じゃない場所が一カ所もない。意外性もありますが、その意外性が必然だと思えるくらいにナチュラルで素敵な曲です。

――名曲といえば、フランクの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調」も抒情的で美しい作品ですよね。

一番の決め手になったのは、海都君と演奏していく過程で、「僕らに合っている」と強く感じられた点です。ドイツの作品を軸にプログラムを作ることもできましたが、敢えて、自分達が「やるべき」曲という観点から選曲しました。

山根 一仁

山根 一仁

――小林さんの音楽的な魅力はどのようなところなのでしょう。

海都君は、優しくて、柔らかくて、人間性があります。彼の人柄は、演奏にも出ています。優しく包むような、それでいて、一緒に流れていく…。音楽は、その人がどういうものを見てきて、何を求めているのかといったことが、全て出ますから。

彼とは音楽の話に没頭することも出来るし、友達としても一緒に過ごすこともできます。こういう素晴らしい共演者に出会えたことは、とても嬉しいです。

――深い信頼関係が伝わってくるお話ですね。普段のお二人はどのような感じなのでしょうか。

3年前に初めて会ったときから、すぐに意気投合できました。その時は12月でしたが、気温が20度ぐらいある暖かい日で、一緒に上野のかき氷屋さんに行った後、ラーメンを食べにいきました。昨日も一緒にファミレスに行ったのですが、15分ぐらいメニューを見ても、全然決まらない…「自分たちにとって最高なのは、どれか?」っていう話になっちゃうんです。美味しいものを追求するところと、優柔不断なところが、お互いに似ているのかもしれません(笑)。​

ドイツの空の下には当たり前のように音楽がある

――現在、ドイツのミュンヘンに留学されていますが、ドイツでの生活はいかがですか。

ドイツに留学して5年目になるところです。演奏活動のために、日本とドイツを行ったり来たりしているので、「ドイツ在住です!」と胸張って言える状況ではありませんが、ヨーロッパの土地には、僕が根底で求めているものがあると思っています。ドイツの空の下には、当たり前のように音楽があるんです。家で音楽をさらっているとき、ふと窓から外を眺めると、青空が見えて鳥が飛んでいたり、落ち葉が落ちたりする情景がある。こういう環境で音楽に向き合えることはいいですよね。音楽家は、生活を音楽に委ねておくべきだと強く感じるようになりました。そういった意味で、ドイツでの留学生活が、成長するチャンスになっていると感じます。

山根 一仁

山根 一仁

――ドイツでは、自炊をされているのですか。

70歳近いドイツ人ご夫婦のお宅にホームステイしていて、家庭料理を作ってくださいます。ただ、僕の食べる量が半端なく多いので自分でも作っています。夜、一人で250グラム、多いときには300グラムくらいのパスタを作って食べています(笑)。ドイツのベーコンは素材も良くおいしいから、カルボナーラを作ったりすると美味しいんですよ。

――ミュンヘン音楽演劇大学では、クリストフ・ポッペン氏に師事されていますね。どんなレッスンなのでしょうか。

ポッペン先生は、とても細かく教えてくださり、多くのものを受けとってきました。

留学する以前から、僕は先生とはスタイルの違う音楽家だと自覚していました。自分とは異なっているけれども、素晴らしい音楽家である先生から、新たにどういったことを学べるかを考えてきました。言葉にすると簡単そうかも知れませんが、実に難しいんです。だけど、そういう経験を重ねて、やっと少しずつ分かってきたこともあると感じます。自分の目指す音楽家への道は、一生続いていくのだと思います。

――ポッペン氏は、指揮者として忙しくされていますが、レッスンはどのようにされているのでしょうか。

先生も僕も公演があってミュンヘンにいないことも多いので、スケジュールを調整してレッスンをお願いしています。ですから、急遽、3日連続(!)なんていうこともありました。先生のご自宅やオーストリアにある別荘で、休日にレッスンして頂くこともあるので、とてもありがたいです。

山根 一仁

山根 一仁

――来年以降は、どのような活動をお考えですか。

ヨーロッパでの研鑽を、もっと積み重ねたいと思っています。ミュンヘンに居続けるのか、違う国で学ぶのかを迷っています。ドイツに住んで、習いたい先生を訪ねるという選択肢もありますね。

――今後、挑戦していきたいことはありますか。

色々な作曲家の作品を弾いていきたい!そして、心から好きだと思える作曲家を紹介していきたいですね。音楽家人生の中で、今後、何度も同じ曲を弾く機会があると思いますが、その時々に真正面から向き合って音楽を伝えていきたいと思っています。それが、僕の役割なのかもしれないと感じるようになってきました。

室内楽やオーケストラとの演奏も大好きですし、機会を頂いたとき、全てのことにオープンでいたい、色々なことに挑戦したいと思っています。やったことのないことをやる時には、恐怖心が勝ったりもしますが、勇気や挑戦する心を常にもって進んでいきたいです。​

――最後に、2月のリサイタルを楽しみに待つお客さまに向けての一言をお願いします。

音楽を愛してやまないヴァイオリニストとピアニストが、「自分たちの心を素直に音にできたら」という想いで演奏会に臨みます。2人で準備を重ね、最高のものを生み出しにいきます。気軽な感覚で、足を運んでいただけたら嬉しいです。

山根 一仁

山根 一仁

取材・文=大野はな恵  撮影=安西美樹 

ピアニスト・紀平凱成が1/7(火)放送「ザ!世界仰天ニュース」に出演 東名阪リサイタルチケットが発売中

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ピアニスト・紀平凱成(きひらかいる)が2020年1月7日(火)19:00より放送の「ザ!世界仰天ニュース」に出演することが決定した。番組では、演奏も披露するという。

2019年4月7日(日)に浜離宮朝日ホールでデビューリサイタルを成功させ、同年10月23日(水)にはCDデビューも果たした紀平。デビューアルバム『Miracle』には、自作品4曲と、得意のカプースチン3曲を収めている。昨年12月23日(月)銀座・王子ホールを皮切りに、アルバム発売記念のピアノリサイタル 「Miracle」東名阪ツアーを行っており、2020年1月18日(土)のザ・フェニックスホールでの大阪公演のほか、2月13日(木)電気文化会館 ザ・コンサートホール(名古屋)、5月9日(土)浜離宮朝日ホール(東京)での追加公演も決定。チケットは現在発売中だ。

SPICEでは、12月23日(月)に行われたライブレポートを開催しているので、ぜひチェックしてみてほしい。

12月23日(月)リサイタルより  撮影=富永泰弘

12月23日(月)リサイタルより  撮影=富永泰弘

【年末年始を振り返り】舞台・クラシックジャンルのおすすめ記事

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【年末年始を振り返り】舞台・クラシックジャンルのおすすめ記事


↓記事はこちらをチェック↓
▼宝塚歌劇雪組トップスター・望海風斗主演で、ギャング映画の傑作を世界で初めてミュージカル化した『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
https://spice.eplus.jp/articles/263292

▼川原一馬×荒木健太朗に聞く、イマーシブシアターの楽しみ方や『サクラヒメ』~『桜姫東文章』より~の見どころとは
https://spice.eplus.jp/articles/262975

▼今なお世界を熱狂させる『デスノート』 ミュージカル版が描き出すもの<前編>
https://spice.eplus.jp/articles/263009

▼神田松之丞インタビュー 特別展『江戸ものづくり列伝-ニッポンの美は職人の技と心に宿る-』音声ガイドによせて
https://spice.eplus.jp/articles/262990

▼務川 慧悟(ピアノ)インタビュー~仏ロン=ティボー=クレスパン国際音楽コンクールの熱狂を聴かせる春のソロ・リサイタル
https://spice.eplus.jp/articles/263224


▽そのほかの記事はこちらから▽
舞台:
https://spice.eplus.jp/articles/play
クラシック:
https://spice.eplus.jp/articles/classic

『世界まるごとクラシック』楽曲紹介 Vol.2 J.S.バッハ「G線上のアリア」~”G線”ってなんのこと?

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「イージー、クラシックへカモン!」を合言葉に、誰もが一度は耳にしたがあるクラシックの名曲を、作曲家や楽曲についての解説を交えて楽しみながら味わえる『世界まるごとクラシック』シリーズ。来年2020年2月9日(日)の東京国際フォーラム公演で12回目の開催となる本コンサートシリーズから、演奏予定曲の一部を解説するイラストが到着! 全5回の連載でお届けします。

連載第二弾は、音楽の父と名高いJ.S.バッハによる「G線上のアリア」。公演では青島先生の軽快トークにのせて繰り広げられるそれぞれの作曲家たちの背景など、公演前に軽くおさらいしておきましょう!

第三弾の更新は2020年1月15日(水)を予定。お楽しみに!

ラストを華やかに飾る邦人作曲家プログラム『上野耕平のサックス道!vol.5』

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前回の公演に引き続き、全席完売となった『上野耕平のサックス道!vol.5』

「毎回、好きなことを演奏させてもらえて幸せでした。ラストとなる今回も、本当に自分のやりたいことだけをプログラムにしました」と上野。この日、ホールに響き渡った音楽は、上野耕平の色に染まった。今やYouTubeなどで、聴きたい、知りたい音源というものは、割と手軽に聴くことができる。オフィシャルサイトですら、フルコーラスを提供していたりもする。そんな時代の中にあって、「生の音」を聴くために、ホールに足を運ぶ意味とは何か?

上野耕平

上野耕平

2019年12月20日(金)東京・浜離宮朝日ホール。

プログラム1曲目、武満徹「小さな空」は、武満作品にしては意外にもシンプルで、優しい曲調が印象的な合唱曲である。懐かしい童謡を思わせるメロディが、サクソフォンという楽器によって歌われると、オリジナルとは一味違う色彩を放つ。ピアノ伴奏はお馴染み、山中惇史。上野の伴奏のほかにも、ヴァイオリニストの漆原朝子、ピエール・アモイヤルなど、国内外のトップアーティストと共演している山中の伴奏は、サクソフォンの音色と柔らかく混ざり合い、多彩な表情を生み出した。

2曲目、逢坂裕「ソプラノサクソフォンとピアノのためのソナタ エクスタシス」。相変わらず粒ぞろいの高速パッセージが見もの。エネルギー溢れるサクソフォンとピアノとの華麗な応酬の果て、頂点へのフィニッシュが決まる。

リハーサルにて

リハーサルにて

続いて山中の作曲による「うたを うたう とき」は、まど・みちおの詩に曲をつけた合唱曲。

うたを うたうとき
わたしは 体をぬぎます
体をぬいで
心一つになって
軽々 飛んでいくのです
(合唱曲
「うたをうたうとき」より)
 

「体をぬいで 軽々飛んでいく」。この詩に、歌に、奏者や聴衆は何を思うだろう。華麗な前曲から一転、優しい癒しの空間に包まれる。

前半ラストは、上野の師である須川展也の委嘱作品、長生淳「天国の月」。山中のコンピングを思わせる伴奏のリズムが、サクソフォンと超絶に絡み合う。前半を通してピアノ伴奏を担った山中は、上野の伴奏者として、まさに阿吽の呼吸で、サクソフォンの音色に新たな色を重ねた。なお11月には初のソロCD「旅と憧れ」をリリースしている。ソリストを支え引き立てるピアノ伴奏の活躍も華々しく、前半は幕を閉じる。

サクソフォンはさまざまな特殊奏法が可能な楽器だが、そのどれもが技術を要する。例えばポルタメントはトロンボーンのようにスライド機能のついた管楽器は得意な奏法だが、サクソフォンでポルタメントを奏でるには、リップコントロールの熟練が必須である。また、管楽器は基本、和音が出せないが、フルートやサクソフォンなどは重音奏法によって同時に2音を放出することができる。こちらも卓越した技術が必要だ。

上野耕平

上野耕平

上野耕平

上野耕平

後半はそんな特殊奏法を駆使し、上野がソリストとして全身全霊をかけ、サクソフォンの無限の可能性を示唆した。

1曲目、棚田文則「ミステリアス・モーニング」から始まる。「サウンドスケープを生で聴く」ような不思議な感覚だ。都会の喧騒を思わせるこの曲の演奏中、上野の視界には、どんなサウンドスケープが広がっているのだろうか。聴衆に見える景色と奏者に見える景色は、必ずしも一致しないだろう。そこを想像して鑑賞することが、この曲の醍醐味かもしれない。

2曲目、坂東祐大「Aerial dance」。サクソフォンの音色は、管楽器の中では最も艶っぽいと言える。この曲は上野によると「危険な香りがする」らしい。官能的な音楽となるのか、下品で卑猥な音に成り下がるのかは、ひとえに、演奏者の力量にかかっている。品のある色香をたたえて、そしてポルタメントや重音奏法など、さまざまな特殊奏法を織り交ぜながら、凄まじい気迫で演奏を終えた。

上野耕平

上野耕平

上野が大学1年の頃に出会ったという林英哲(太鼓)。1982年、太鼓奏者として活動を始め、84年初の太鼓ソリストとしてカーネギー・ホールにデビューという、異色の経歴の持ち主の登場に、会場は色めき立つ。後半3曲目、林のソロによる「宴」が始まると、ホールは一転して荘厳な雰囲気に包まれ、一瞬にして「舞台」へと転換した。太鼓のソロは、どこかピアノの弾き語りのように多様な色合いを感じさせる。そのとてつもないパワーは「迫力」の一言では言い表せない。隆々とした腕、朗朗と響き渡る声から放たれるサウンドは、グルーブ感、躍動感を伴って、林の鼓動がすぐ側に聞こえるような、臨場感に溢れていた。まさに心技体が融合し、三位一体となった演奏終了後、礼をする林の姿に、「かっこいい」という声が客席から嘆息と共に漏れる。これほどまでにクールジャパンがサマになるシーンは、なかなかない。

入念な打ち合わせをする上野耕平(左)とスペシャルゲストの林英哲(右)(リハーサルにて)

入念な打ち合わせをする上野耕平(左)とスペシャルゲストの林英哲(右)(リハーサルにて)

ラストは本日世界初演となる、藤倉大「ブエノ ウエノ」。藤倉は映画「蜜蜂と遠雷」の作中コンクール楽曲の作曲者としても知られる。今日の初演はサクソフォンと太鼓のため、というよりは、上野耕平と林英哲のために書かれた曲のように思える。二人の掛け合いは、どこか能楽の舞台を彷彿とさせる。さながら上野がシテ方で、林が地謡と太鼓を兼ねているといったところ。世界初演となったこの舞台で、サクソフォンの音色と太鼓の複雑なリズムが絡み合いながらも、ユニゾンがバシッと決まる。日本音楽の真骨頂を、この演奏に見た気がした。上野より促されて舞台に上がった藤倉は、満場の客席から盛大な拍手で迎えられた。アンコールには再度、「ブエノ ウエノ」の後半が演奏され、熱狂の渦の中、邦人作曲家プログラムは幕を閉じた。

上野耕平(サックス)とスペシャルゲストの林英哲(太鼓)

上野耕平(サックス)とスペシャルゲストの林英哲(太鼓)

当日は作曲家の藤倉大も駆けつけ握手を交わした

当日は作曲家の藤倉大も駆けつけ握手を交わした

名演なくして名曲は生まれない。本公演でこの場に居合わせた聴衆は、世界初演の大名演を、その音を、確実に胸に刻んだことだろう。

本公演にて上野耕平のサックス道はラストとなったが、来年よりシーズン2が開催されることが上野本人からアナウンスされた。休憩時間、公演後とも、CDやチケット、サインを求める長蛇の列が連なり、次回への期待を膨らませながら、公演を後にした。

取材・文=Junko E. 写真撮影=iwa

『半沢直樹』『ノーサイド・ゲーム』『新選組!』などドラマの名曲を生演奏で楽しむコンサートが決定

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2020年2月24日(月・祝)Bunkamuraオーチャードホールにて、『服部隆之コンサート』の開催が決定した。

本コンサートは、大ヒットドラマを彩った服部隆之の代表曲を、服部隆之指揮 東京フィルハーモニー交響楽団とゲスト・ミュージシャンによる大編成オーケストラの大迫力で楽しめるもの。演奏されるのは、『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』『ノーサイド・ゲーム』『真田丸』『新選組!』など服部が手掛けたドラマ名曲で、”ベスト・オブ・服部隆之”ともいえる一期一会のコンサートになっているという。

服部隆之(作曲・編曲・指揮)プロフィール

服部隆之(作曲・編曲・指揮)

服部隆之(作曲・編曲・指揮)

パリ国立高等音楽院を修了し、1988年に帰国後、 ポップス〈福山雅治・椎名林檎・山崎まさよし 等〉からクラシック〈鮫島有美子・武満徹 等〉まで幅広いアーティストのアルバム、コンサート等の編曲を手がける。作曲家として映画に於いては96年「蔵」98年「誘拐」・「ラヂオの時間」の3作品が日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞、最新作は「ドラえもん のび太の月面探査記」となる。テレビドラマではNHK連続テレビ小説「すずらん」「HERO」「王様のレストラン」NHK大河ドラマ「新選組!」「のだめカンタービレ」「華麗なる一族」「半沢直樹」「下町ロケット」NHK大河ドラマ「真田丸」「陸王」等。ミュージカル「オケピ!」、Bunkamura 委嘱作品で上海シティダンスカンパニーとの日中共同制作「舞劇 楊貴妃」、2008年4月TBS「THE世界遺産」のメインテーマ、2010年上海万博「日本館」の音楽監督、2011年4月よりNHK教育テレビ「フックブックロー」の音楽担当、2015年「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の音楽担当。この他にもコマーシャル、ゲーム音楽等、多岐にわたる音楽ジャンルで作曲家として活躍中である。

「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」に注目! 豪華出演者&魅惑の傑作群で贈る新感覚のバレエ公演

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いま、英国ロイヤル・バレエ団が熱い。世界屈指の名門である同バレエ団は古典作品や物語バレエのみならず新しい創作にも積極的だ。そして日本を含む世界各国から集うスターたちも見逃せない。2019年初夏に行われた日本公演は大盛況で、ロンドンの本拠で催す公演のライブ中継(日本では「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」として上映)も大好評。そんな上り調子のカンパニーのトップダンサーが集う「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」が2020年1月31日(金)~2月1日(土)昭和女子大学 人見記念講堂で行われる。ここではスペシャルな公演のコンセプト、出演者、上演プログラムを紹介し魅力に迫りたい。

■バレエをもっと見てもらいたい! 小林ひかるの熱き想い

プロデュースするのは英国ロイヤル・バレエ団で15年間活躍し先年現役引退した小林ひかる。「日本のバレエの状況を少しでも変えていきたい」との思いから企画した。欧米やロシアではバレエは一流の舞台芸術として幅広く親しまれているが、日本ではバレエダンサーがプロとして活動する基盤がまだまだ弱い。そこで小林は「客層を広げることが第一。皆様に劇場に足を運んでいただき、バレエをもっとよく知ってもらいたい」と考え立ち上がった。

小林ひかる (撮影:稲澤朝博)

小林ひかる (撮影:稲澤朝博)

本公演の第一の特徴は1演目ずつ映像による導入があり、その作品を踊るダンサーが作品について簡単に紹介したり、思いを伝えたりすること。これは観客に「もっと理解していただき、分かりやすく見てもらいたい」という小林の願いが込められているが「解説というよりも、ちょっとしたヒントのようなもの」(小林)で、作品世界へとより深く誘ってくれそうだ。

■バレエの真髄を3つの角度から紹介

そして、この公演は3つのテーマに分かれたプログラムが設定されており、1公演につき2プログラムずつを上演する構成。Part 1「ダイナミズム- Dynamism -はバレエならではのダイナミズムを切り口とし、Part2「パーソナル・エモーション- Personal Emotion -」はダンサーの感情表現に焦点を当て、Part3「神秘的な存在- Mystical Being -」は人間ではない存在を踊る演目を取り上げる。この3つのテーマを「バレエに欠かせない要素」と小林は述べ、バレエファンに限らない多くの人たちにバレエの魅力に開眼してほしいと願っている。

『火の鳥』 (C)Tristram Kenton  ROH

『火の鳥』 (C)Tristram Kenton ROH

■英国ロイヤル・バレエ団屈指の豪華&俊英キャストが10名が集結!

各プログラムの紹介に移る前に豪華出演者に触れたい。ウィールドンの『不思議の国のアリス』『冬物語』という21世紀の傑作物語バレエを初演したローレン・カスバートソン、華やかにして詩情豊かな踊りが魅力的な高田茜、古典作品から現代作品まで鮮烈に踊り分けるヤスミン・ナグディというトップ・プリマが揃う。男性陣も小林の公私のパートナーであるイタリアの貴公子フェデリコ・ボネッリ、日本人離れしたスケールの大きな踊りと存在感で魅せる平野亮一、現代最高峰のダンス―ル・ノーブルと称して過言ではないワディム・ムンタギロフが参加する。シャープかつ優美な造形美に秀でるメリッサ・ハミルトン、このところ飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍するブラジル出身の気鋭マヤラ・マグリ、2020年春全国公開予定の映画『ロミオとジュリエット』(マクミラン振付をマイケル・ナンが監督)でロミオ役を演じる新星ウィリアム・ブレイスウェル、多彩な役柄で才能を発揮する演技巧者であるアクリ瑠嘉も要注目だ。

「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」出演者集合写真 (C)Andreuspenski

「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」出演者集合写真 (C)Andreuspenski

■バレエのならではのダイナミズムとは

Part 1「ダイナミズム- Dynamism」は古典中の古典からネオクラシック、コンテンポラリーまでをしっかりと披露。『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ、『コッペリア』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ、『ライモンダ』第3幕グラン・パよりという古典の名場面で力強い表現と目の覚めるようなテクニックを見せるかと思えば、20世紀の巨匠バランシンの名作『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』で緩急自在に舞う。そしてウィールドンが紡ぐ繊細な音楽性が見事な“Corybantic Games” よりパ・ド・ドゥ、英国ロイヤル・バレエ団常任振付家である鬼才マクレガーの代表作『クローマ』よりパ・ド・ドゥといった21世紀の清新な逸品も堪能できる。

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』

■演者の感情を反映しドラマティックに

Part2「パーソナル・エモーション- Personal Emotion -」にはドラマティックな作品が揃う。マクミランの『ロミオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ、『レクイエム』より2つのソロ(第2曲 オッフェルトリウ・第4曲 ピエ・イェズ)、アシュトンの.“Dance of the Blessed Spirits”という英国バレエの作品だ。オランダの大御所ファン・マーネンによる洗練された佳作“Two Pieces for HET”、かのシルヴィ・ギエムが踊ったことで知られるベジャールの名品『ルナ』 (月のソロ)、ソビエト・バレエ屈指のコンサートピースであるメッセレル振付『春の水』よりパ・ド・ドゥという変化に富んだラインナップも楽しみなところ。小林とダンサーたちが話し合い、演者の感情を反映できる作品を選んだというだけに期待が高まる。

『レクイエム』

『レクイエム』

■バレエならではの神秘の物語がここに

Part3「神秘的な存在- Mystical Being -」には異界や人間ではない存在を扱った物語が並ぶ。フォーキンがロシアの民話から着想した『火の鳥』よりパ・ド・ドゥ、アーノルドの曲にビントレーが振付した“Homage to the Queen”より Earthのパ・ド・ドゥ、バランシンが生んだ絶美の名編『アポロ』より、19世紀のロマンティック・バレエの精華『ラ・シルフィード』、アシュトンがギリシア神話に基づいて振付した『シルヴィア』よりグラン・パ・ド・ドゥを上演し、妖精や神々など神秘的な存在を体現する。イマジネーション豊かな宇宙に浸りたい。

『シルヴィア』 (C)Alice  Pennefather ROH

『シルヴィア』 (C)Alice Pennefather ROH

■独自の視点から比類なき感動体験へ

小林は出演者10名を「皆一緒に踊ってきた信頼の置ける仲間ばかり」と語るが、錚々たる顔ぶれを日本に呼べるのは小林が“ロイヤル・ファミリー”から厚い信頼を得ている証である。アシュトン、マクミラン、ビントレー、マクレガー、ウィールドンらの作品を通して演劇的バレエの極致や音楽的で精神性の高い佳作を披露し、英国バレエの真価を示すのは疑いない。その上で古典や英国もの以外の作品も配してバレエの多様な魅力を独自の視点から提示する。小林の熱い想いと確かなプロデュース力があって実現する新感覚の公演だ。バレエ・フリークはもちろんのこと初めてバレエに触れる方も新鮮な感動を覚えるに違いない。まさに必見である。

【輝く英国ロイヤルバレエのスター達】CM映像

取材・文=高橋森彦

宝塚歌劇団所属の原田諒が東京二期会オペラ『椿姫』を演出 元タカラジェンヌがダンサーで出演

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2020年2月19日(水)、20日(木)、22日(土)、23日(日・祝)の4日間、東京文化会館 大ホールにおいて、東京二期会オペラ『椿姫』を上演する。演出を手掛けるのは、宝塚歌劇団所属の演出家・原田諒。宝塚で斬新な舞台を提供し話題を呼んできた原田にとって、今回がオペラ初演出となる。また指揮には、パリ・オペラ座、バイエルン州立歌劇場の常連で、今欧州で最も注目を集めているイタリア人指揮者ジャコモ・サグリパンティが初来日する。ダンサーとして、千葉さなえ(元宝塚歌劇団雪組/所属時は「涼瀬みうと」)、玲実くれあ輝生かなでという元タカラジェンヌの参加も決定し、気鋭演出家の新たな感性によって、正統派でありながらも 2020年代にふさわしい新しいオペラ『椿姫』が誕生する。2月12日(水)には、ジャコモ・サグリパンティのプレトーク&コンサートが開催、2月20日(木)『椿姫』公演終了後には、原田による終演後のアフタートークも予定されている。

演出:原田諒 プロフィール

原田諒

原田諒

1981年、大阪市出身。 同志社大学在学中の2003年、宝塚歌劇団入団。 2010年『Je Chante-終わりなき喝采-』の作・演出でデビュー。『華やかなりし日々』、『ロバート・キャパ魂の記録』(共に2012年)で、第20回読売演劇大賞 優秀演出家賞を受賞。 2016年に作・演出を手掛けた『For the people-リンカーン 自由を求めた男-』で、第24回読売演劇大賞 優秀演出家賞・優秀作品賞を受賞。『ベルリン、 わが愛』(2017年)、『ドクトル・ジバゴ』(2018年)は第43回菊田一夫演劇賞を受賞した。近年の主な作品に『雪華抄』、『MESSIAH-異聞・天草四郎-』などがある。また『ふるあめりかに袖はぬらさじ』、『安蘭けいドラマティック・コンサート』など外部での演出も手掛けている。オペラへの造詣も深く、今回の『椿姫』が自身初のオペラ演出となる。

指揮:ジャコモ・サグリパンティ Giacomo Sagripanti プロフィール

ジャコモ・サグリパンティ

ジャコモ・サグリパンティ

オペラ・アワード2016において最優秀若手指揮者に選ばれ、この世代で国際的な活躍が最も期待される指揮者である。ヴァッレ・ディトーリア音楽祭、リューベック劇場にデビューし、指揮者としてのキャリアをイタリアとドイツでスタートさせた。その後すぐに欧州の歌劇場が彼に注目し、ザクセン州立歌劇場『チェネレントラ』、ヴェネツィア・フェニーチェ劇場『蝶々夫人』、チューリッヒ歌劇場『愛の妙薬』、ボリショイ劇場『ドン・カルロ』、 パリ・オペラ座『椿姫』『セビリャの理髪師』『チェネレントラ』『カプレーティとモンテッキ』『蝶々夫人』『愛の妙薬』、マエストランサ劇場『チェネレントラ』、ソフィア王妃芸術センター「スターバト・マーテル」等を指揮したほか、ロッシーニ音楽祭やアレーナ・ディ・ヴェローナにおいても聴衆及び批評家双方から高い評価を得た。

コンサートにも定期的に客演し、 王立セビリア交響楽団、 フェニーチェ劇場管弦楽団、 エッセン・フィルハーモニー管弦楽団、 RAI管弦楽団等をはじめとする多数のオーケストラで指揮している。

2016年3月サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団にデビュー。 近年は、 シアトル・オペラにて『オリー伯爵』(新制作)、『セビリャの理髪師』、エッセン・アールト劇場にて『ノルマ』(新制作)、 オビエド歌劇場にて『カプレーティとモンテッキ』(新制作)のほか、グラインドボーン音楽祭には『ドン・パスクァーレ』、バイエルン州立歌劇場には『チェネレントラ』でそれぞれデビュー。近年パリ・オペラ座、バイエルン州立歌劇場での活躍が多く、レギュラーで出演している。

今後は『ランメルモールのルチア』でロイヤル・オペラ・ハウスに登場予定。バイエルン州立歌劇場でのアンナ・ネトレプコ主演『トゥーランドット』の指揮を経て、今回の『椿姫』にて待望の初来日を果たす。

千葉さなえ(元宝塚歌劇団雪組/所属時は「涼瀬みうと」)

千葉さなえ(元宝塚歌劇団雪組/所属時は「涼瀬みうと」)

玲実くれあ(元宝塚歌劇団月組)

玲実くれあ(元宝塚歌劇団月組)

輝生かなで (元宝塚歌劇団月組)

輝生かなで (元宝塚歌劇団月組)

新国立劇場 2020/2021シーズンラインアップ説明会<吉田都・バレエ&ダンス部門次期芸術監督編>~ 初年度は古典を中心にしつつ「チャレンジも」

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2020年1月9日、新国立劇場で2020/2021シーズンのラインアップ発表が行われた。バレエ&ダンス部門では次期シーズンから芸術監督として就任する元英国ロイヤルバレエ団の吉田都が登壇。冒頭でダンサーのさらなるレベルの向上や振付家の発掘・育成、ダンサーの環境整備など、在任中の目標を語ったうえで、新シーズンのラインアップを発表。バレエ公演ではすでに告知されているピーター・ライト振付『白鳥の湖』のほか、バレエでは『くるみ割り人形』、ニューイヤーバレエと吉田都セレクションの2つのトリプルビル、『コッペリア』、『ライモンダ』が、ダンス公演では中村恩恵×首藤康之×新国立劇場バレエ団『Shakespeare THE SONNETS』、「ダンス・コンサート 舞姫と牧神たちの午後 2021」、Co.山田うん『オバケッタ』が上演される。

吉田都=英国、というイメージを覆し、古典が多めでありながらも新制作のコンテンポラリー作品を交えたバランスの取れたプログラムで、一部発表されたキャストでは長年ペアを組んできた小野絢子と福岡雄大をあえて別のダンサーと組ませるなど、新しい時代を感じさせるフレッシュなものともなっている。「チャレンジ」という言葉もしばしば口にしながら、今後の目標などを語った、吉田次期芸術監督の会見と懇親会の様子をレポートする。(文章中敬称略)

(撮影:西原朋未)

(撮影:西原朋未)

■古典で基礎力向上を目指す。フレッシュなキャストに感じる新時代

ラインナップ発表ではまず新国立劇場常務理事の村田直樹が2020/2021シーズンから舞踊芸術監督に就任する吉田都次期芸術監督を紹介し、「劇場としては全力で次期芸術監督を支えていく所存」と語った。

続いて登壇した吉田次期芸術監督はまず、1997年に新国立劇場バレエ団の開場記念公演『眠れる森の美女』で主演した縁にふれながら「身の引き締まる思い」と挨拶。初年度の演目を選ぶにあたり1年目は「基礎の大切さ、テクニックの向上、体力的にハードな全幕物を踊ることによるスタミナ強化の意味も含め、古典作品を重視したラインナップとした。作品への理解などを含め、大原現監督が重視している表現力の向上についても引き続き踏襲していく」と述べた。

シーズン開始演目としてピーター・ライト版『白鳥の湖』を選んだ理由については「登場人物の個性が明確で、観る側、踊る側ともども非常にわかりやすい」ことを挙げ、懇親会ではゲストティーチャーとして自身も在籍したバーミンガム・ロイヤル・バレエ団から、元プリンシパルの佐久間奈緒を招聘することも明らかにした。

「ニューイヤーバレエ」では『パキータ』、バランシン振付『デュオ・コンチェルタント』、元芸術監督であるデイヴィッド・ビントレー振付『ペンギン・カフェ』を上演する。『パキータ』は新国立劇場バレエ団では2003年初演以来18年ぶりの上演。『デュオ・コンチェルタント』は新制作、『ペンギン・カフェ』は2013年以来の上演となる人気作品だ。

(撮影:西原朋未)

(撮影:西原朋未)

さらに「チャレンジの要素を入れた」というプログラムが「吉田都セレクション」。ハンス・ファン・マーネン振付『ファイヴ・タンゴ』 [新制作] 、デヴィッド・ドウソン振付『A Million Kisses to my Skin』 [新制作]、バランシン振付『 テーマとヴァリエーション』の3作品が組まれている。「古典作品はバレエ団のレベルを維持するために重要だが、世界的にコンテンポラリー作品の比重が高まり、古典とコンテンポラリーの両方を踊れるダンサーが求められているのも理解している。ダンサーにとっては(双方を踊るのは)大変なことである一方、踊りのボキャブラリーが増えることにつながる」と語る。『ファイヴ・タンゴ』 は70年代の作品だが、現在でもヨーロッパ各地のバレエ団で取り入れられている作品としてチョイス。『A Million Kisses to my Skin』は「現在活躍している振付家との仕事をするのはダンサーにとっても刺激となる機会であり、踊りの内容ともどもチャレンジに繋がる」として選出した。

ローラン・プティ振付『コッペリア』には世界的なダンサー、フリオ・ボッカがゲストティーチャーとして参加予定。シーズン最後は2004年の初演時に吉田自身がゲストとして踊った牧阿佐美版『ライモンダ』で華やかに締めくくる。またキャストは『白鳥の湖』で米沢唯&福岡雄大、小野絢子&渡邊峻郁、『コッペリア』で小野絢子&渡邊峻郁、木村優里&福岡雄大、『ライモンダ』で米沢唯&福岡雄大、小野絢子&奥村康祐とフレッシュな組み合わせが発表された。「ダンサー達にも話を聞いたうえで、あえて組み合わせを変えた。新たな化学反応を期待したい」と話す。

ダンス公演では『Shakespeare THE SONNETS』を再演。中村恩恵&首藤康之により初演された作品を、今回は小野絢子&渡邊峻郁、米沢唯&首藤康之のペアで上演する。日本のコンテンポラリーダンスの共演であるダンス・コンサート「舞姫と牧神たちの午後 2021」では「Dance to the Future 2019」で上演された貝川鐵夫振付『Danae』が再登場するほか、2005年「舞姫と牧神たちの午後」にて初演された平山素子&中川 賢振付『Butterfly』を新国立劇場バレエ団が上演する。なお2020年8月に上演されるオペラ・バレエ・演劇3部門合同による「子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ Super Angels スーパーエンジェル」では、バレエ団の貝川が振付を担当し、6人のダンサーが参加予定だ。

(撮影:西原朋未)

(撮影:西原朋未)

■バレエに向き合った真摯な姿勢で育成に向かう。技術向上と可能な限りの環境の改善を

引き続き行われた懇親会では、吉田次期芸術監督は「(芸術監督となって)やりたいことはたくさんある」と語る。

そのうちの一つがダンサーの環境の整備で、「踊りだけに集中できる環境があるからこそアーティストが育つ。予算などの問題もありすぐに対応できるものではないのは重々承知しているが、リハーサルルームを増やしたい。リハーサルの合間にダンサーがストレッチをしたり、身体を動かすジムなどの設備がどこか一角にあれば、ダンサーのスタミナの維持などにもつながる。ジムやピラティス、ジャイロトニックなど、個人的に体を鍛えているダンサーもいるが、できればそうした環境を内部に作っていきたいとも思う。世界から見ると日本では設備等々も含め、まだ遅れている面はあるが、提案だけはし続けていきたい」と話す。
そうした状況も踏まえたうえで、ダンサーの指導については「日々のお稽古の内容をより濃くしたい。基礎を見直しも含め、今ある環境の中で効率よくやれれば」という。そのため日常のクラスレッスンのためのゲストティーチャー招聘も考えており、「呼びたい人はたくさんいる。できるだけ多くの先生にダンサー達を鍛えてほしい」というように、講師陣のリストアップも進んでいるようだ。また「表現の部分や、古典を踊る上での舞台上のマナーなど、気になるところはたくさんある。踊りの技術も大事だが、バレエはテクニックだけで踊るものでもない。そうしたところも教えていきたい」とも。さらに「リハーサルに入念に時間をかけ、ダンサーの身体に振りが入った状態で舞台に立てるように指導していきたい」と語る姿には、現役時代に己に厳しく真摯に、日々バレエに取り組んできた「吉田都」を彷彿とさせる。「吉田都」は指導者となっても「吉田都」であると、思わせられた。

(撮影:西原朋未)

(撮影:西原朋未)

■振付家の発掘・育成やバレエ学校への夢も。「吉田都」にできることも積極的に

吉田次期芸術監督は「英国ロイヤルバレエ団は、劇場の歴史は長くはないが、優秀な振付家を育て、素晴らしい作品を世界に発信したことで世界三大バレエと言われるまでに成長した」と語るように、日本人振付家の発掘・育成も目標の一つに掲げており、「在任中に日本人振付家による新作の上演ができれば」とも。2020/2021シーズンのダンス公演には、恒例となっている新国立劇場バレエ団ダンサーの振付作品を発表する「Dance to the Future」が含まれていないが、これは次シーズンに復活の予定だ。

さらに観客動員数の増加も吉田次期芸術監督が考える課題。将来の観客である子供への公演のほか、バレエに興味はあるが敷居が高いと考えている、いわば潜在的需要の見込める観客を取り込むため「例えば私(吉田都)のプレトーク付きイベントやリハーサル見学、クラスレッスン見学など、バレエに興味を持ってもらうイベントなどにも取り組みたい。ライヴビューイングなどもできれば。多様な角度から将来の観客を取り込んで行きたい」とアイデアを語る。このほか日本バレエスタイルを学ぶバレエ学校の設立、バレエを通しての社会貢献など、アイデアや展望は次から次へと出てくる。「自分が海外で培ったもの、得たものをバレエ団のために活かしたい」という吉田次期芸術監督とバレエ団のチャレンジに期待したい。

(撮影:西原朋未)

(撮影:西原朋未)

取材・文=西原朋未

新国立劇場 2020/2021シーズンラインアップ説明会<大野和士・オペラ部門芸術監督編>~意欲的な3シーズン目!

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2020年1月9日、新国立劇場2020/2021 シーズンラインアップ説明会が開かれた。昨年ダンサーとしての引退公演をおこなった国際的なバレリーナ吉田都氏が舞踊部門の次期芸術監督として初めて登壇し、また、オペラ芸術監督の大野和士氏と演劇芸術監督の小川絵梨子氏は3シーズン目を迎える説明会となった。このレポートではオペラ部門の内容をお伝えする。

(撮影:長澤直子)

(撮影:長澤直子)

オペラ部門の 2020/2021シーズン ラインアップは以下の通り。〈新制作4演目、レパートリー6演目 合計10演目46公演〉2020年10月《夏の夜の夢》B.ブリテン作曲(新制作)
2020年11月《アルマゲドンの夢》藤倉大作曲(新制作、創作委嘱作品・世界初演)
2020年11月〜12月《こうもり》J.シュトラウスII世作曲
2021年1月〜2月《トスカ》G.プッチーニ作曲
2021年2月《フィガロの結婚》W.A.モーツァルト作曲
2021年3月 楽劇「ニューベルングの指環」第1日《ワルキューレ》R.ワーグナー作曲
2021年4月《夜鳴きうぐいす》《イオランタ》I.ストラヴィンスキー作曲、P.チャイコフスキー作曲(新制作)
2021年4月《ルチア》G.ドニゼッティ作曲
2021年5月《ドン・カルロ》G.ヴェルディ作曲
2021年7月《カルメン》G.ビゼー作曲(新制作)

(撮影:長澤直子)

(撮影:長澤直子)

大野芸術監督の3シーズン目は、日本人委嘱作品の世界初演、ダブルビル作品としてのロシア・オペラ、そして年3-4本の新制作、と就任時の約束にたがわない意欲的な内容となっている。

新制作の4演目から紹介しよう。シーズン幕開けとなるブリテン《夏の夜の夢》は、ブリュッセルのモネ劇場のプロダクションを新国立劇場が購入することによって実現する新制作。それに加えて、世界初演の藤倉大作曲の《アルマゲドンの夢》、ストラヴィンスキーとチャイコフスキーのダブルビル《夜鳴きうぐいす》《イオランタ》、そしてビゼー《カルメン》が新国立劇場で誕生する新制作となる。

(撮影:長澤直子)

(撮影:長澤直子)

ブリテンの《夏の夜の夢》は、20世紀の作品の中でも「底抜けに明るく、シェークスピア独特の変装劇があり、妖精による夢幻劇ありの素敵な一夜」としての雰囲気を持つ、「ブリテンのきめこまやかなオーケストレーションに彩られたキラキラしたオペラ」(大野氏)である。2004年にモネ劇場で初演されたマクヴィカー演出は、森を描いた美術が舞台から客席までの広がりを感じさせるプロダクション。英国の作曲家ブリテンということで、指揮にもイングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督ブラビンスを起用する。妖精の王オーベロン役には日本を代表するカウンター・テナー藤木大地、ティターニアはスウェーデンの歌姫アヴェモ、その他の歌手達も演技が達者な若手を中心に起用する。

(撮影:長澤直子)

(撮影:長澤直子)

《紫苑物語》に続く日本人作曲家委嘱シリーズ第2弾は、ロンドン在住で、昨年映画『蜜蜂と遠雷』にも曲を提供して話題となった藤倉大の《アルマゲドンの夢》。大野芸術監督が藤倉氏に委嘱するときに「現代に関連した物語を」と要望し、SFの父と呼ばれる英国のH.G.ウェルズの短編小説『世界最終戦争の夢』(1901年)が原作に選ばれた。藤倉との仕事が多いハリー・ロスが台本を書いた英語の一幕オペラである。フル・オーケストラで合唱も入る一時間半ほどの曲。20世紀の初頭に書かれた原作は、時空を自在に行き来しながら、忍び寄る全体主義、そして科学技術の発展がもたらす大量殺戮への不安を鋭く描いたもの。ちなみに藤倉はすでに昨年の春にこのオペラの作曲を終えているという。

演出は2018年のザルツブルク音楽祭で《魔笛》を演出したリディア・シュタイアー。情熱のあふれる舞台と、現代的な問題意識の掘り起こし方に定評がある。タクトを取るのは芸術監督の大野自身。この世界初演は新国立劇場から世界に発信する重要な公演となるだろう。

次なる新制作はストラヴィンスキーの《夜鳴きうぐいす》とチャイコフスキー《イオランタ》というロシア・オペラの二本立て(ダブルビル)。《夜鳴きうぐいす》は大野芸術監督がかつてリヨン歌劇場などで指揮し世界的に高い評価を得たオペラでもある。今回は《イオランタ》との組み合わせで、今シーズンの幕開けを飾った《エウゲニ・オネーギン》を指揮したユルケヴィチが担当する。演出はギリシャ出身の巨匠コッコス。コッコスはこの新制作に先立ち、すでに新国立劇場オペラ研修所試演会で《イオランタ》を演出している。キャストでの注目は、新国立劇場の《ドン・パスクワーレ》で評判となったコロラトゥーラ・ソプラノのトロシャンが夜鳴きうぐいす役を、ヨーロッパ一流歌劇場に出演しているロシア出身のソプラノ歌手シウリーナがイオランタ役を歌うことだろう。

最後の新制作はビゼー《カルメン》。新国立劇場で昨年、空前絶後の巨大セットによる《トゥーランドット 》を演出したアレックス・オリエによる新演出。大野芸術監督の指揮でコンビが再び実現する。バルセロナ出身のオリエによる《カルメン》は、白熱の情熱の世界が展開する予定という。タイトルロールはエクサンプロヴァンス音楽祭他で同役を演じている、今最も輝いているフランスのメゾソプラノ歌手ドゥストラックが登場、他にもドン・ホセのアガザニアン、エスカミーリョのドゥハメル、ミカエラの砂川涼子など一流のキャストが出演する。

(撮影:長澤直子)

(撮影:長澤直子)

新制作は以上だが、レパートリー作品にも、指揮やキャストにフレッシュな顔ぶれが揃った。

年末はオペレッタの最高傑作《こうもり》。ウィーン宮廷歌手ツェドニック演出の舞台。指揮はイタリアを拠点に活躍するフランクリン、シュムッツハルト、ケスラーという優れた主役カップルに加えて、名歌手クルト・リドルがフロッシュ役で出演するのもオペラ・ファンには大きな魅力だ。

マダウ=ディアツ演出の《トスカ》は新国立劇場を代表するプロダクションの一つである。今回はイタリアの名匠カッレガーリの指揮、若手で活躍中のイゾットンのトスカ、そしてスター歌手メーリ、バリトンのソラーリなどが新国立劇場初登場となる。

ホモキ演出の《フィガロの結婚》も人気プロダクションだ。今回の出演はプリアンテ、ガンベローニ、モラーチェなどのイタリア人歌手たちと、臼木あい、脇園彩という日本人の若手スター歌手による混合キャスト。ベテラン指揮者ピドも新国立劇場初登場で、傑作アンサンブル・オペラをどのように統率してくれるのか楽しみである。

3月にはワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」から《ワルキューレ》が上演される。タクトは新国立劇場のオペラ前芸術監督の飯守泰次郎。フリードリヒ演出の舞台で歌うのはキルヒ、アンガー、シリンス、ストリッド、テオリン、藤村実穂子など、「これ以上のキャストは世界でもなかなかいない」という充実したメンバーだ。

ドニゼッティの《ルチア》を指揮するのはファーストネームに「希望」という意味の名前を持つイタリア人女性指揮者、スペランツァ・スカップッチ。すでにウィーン国立歌劇場他の多くの劇場で活躍し、王立ワロニー歌劇場の音楽監督を務める。日本でも東京・春・音楽祭などで活躍する指揮者だ。そしてルチア役には新国立劇場で《椿姫》のヴィオレッタ役を歌ったイリーナ・ルングが出演、大野監督によれば「狂乱の場をどう導くか」「指揮者と歌い手のかけひきも大きな聴きどころ」である。エドガルドをブラウンリーが歌うのも期待大。

《ドン・カルロ》を指揮するのは新国立劇場ではおなじみでヴェルディに定評のあるカリニャーニ。出演歌手はフィリッポ二世を歌うミケーレ・ペルトゥージ、ドン・カルロを歌うルチャーノ・ガンチ、エリザベッタを歌うマリーナ・コスタ=ジャクソンなどが新国立劇場初登場となる他、このオペラのキーパーソンであるロドリーゴを《紫苑物語》で高い評価を得たバリトン歌手高田智宏が歌うのも聴き逃せない。

現代のオペラ・シーンを反映した新制作、そしてバランスが取れた演目とキャストによる来シーズンは、どの公演もそれぞれ意義深いものになりそうである。

(左から)小川絵梨子、大野和士、吉田都 (撮影:長澤直子)

(左から)小川絵梨子、大野和士、吉田都 (撮影:長澤直子)

取材・文=井内美香  撮影=長澤直子

若手登竜門、2つの国内コンクールで優勝した18歳のピアニスト・亀井聖矢が次に目指すもの

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亀井聖矢(かめいまさや)は、2019年、若手音楽家の登竜門とも言われる日本音楽コンクール・ピアノ部門、そしてピティナ・ピアノコンペティション特級に17歳で優勝した俊英。飛び入学特待生として桐朋学園大学に入学し、現在、1年に在籍している。

――ピアノを始めたきっかけを教えてください。

出身は愛知県で、高校まで愛知県にいました。ピアノは4歳のときに始めました。

物心つく前、僕は外で遊ぶというタイプではなく、家で鍵盤のおもちゃで遊んでいるような子供だったので、それを見て、母がピアノを習わせてみようと思い、近所の先生のところへ通いだしたのが始まりです。小学生になって、コンクールを1年に1回程度受けるようになりました。そして、中学1年生の時、今も教えていただいている長谷正一先生に出会いました。​

――いつ頃、ピアニストになろうと決心しましたか?

中学の頃から、音楽の道に進みたいと思っていました。中学1年生のときに、学生音楽コンクールの全国大会に進みました。中学2年生のときに、ピティナのF級全国決勝大会で銀賞をいただきました。中学校の部活では、卓球部に所属していました。ほとんど幽霊部員でしたけれどね(笑)。

――そして、愛知県立明和高校音楽科に進まれました。

まわりがみんな音楽の道に進もうしている人たちという環境で、とても刺激を受けました。その頃から、コンクールをより積極的に受けるようになりました。

亀井聖矢

亀井聖矢

――高校2年終了後、飛び入学特待生として桐朋学園大学に進学されましたね。

高校2年のとき、先生を通して、桐朋学園大学で飛び入学という話があるのを聞きました。仲の良い友達と過ごす時間が1年短くなるのは、さみしく思いましたが、新しい環境でいろいろなことが勉強できるのは自分にとってすごく良いことですから、すごく行きたいという気持ちもありました。高校の杉浦日出夫先生に相談したら、「それはすごく良い話」と言っていただけ、それで受験を決めました。

試験は実技だけでした。桐朋には今までそういう(飛び入学特待生の)制度がなく、僕が初めてでした。

――大学ではいかがですか?

桐朋では、新しく上野久子先生と岡本美智子先生に教えていただいています。先生たちにいろんな視点からアドバイスをもらい、それを吸収して、自分の解釈にまとめて、自分の音楽にしています。周りには、日本音楽コンクールで第1位を取ったような先輩たちがたくさんいて、自分もがんばらないと追い付いていけないような高いレベル。刺激を受け、切磋琢磨しています。大学では、音楽史や音楽理論も勉強できて、とても充実しています。

――2019年の日本音楽コンクールのファイナルとピティナ・ピアノコンペティションの特級ファイナルで、ともに、サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」を取り上げましたね。これは珍しい選曲ではないですか?

ラフマニノフやプロコフィエフが王道なのでしょう。でも、サン=サーンスの第5番を聴いて、きれいな部分、激しい部分があり、すごく惹き込まれ、弾きたいと思って楽譜を買いました。コンクールで弾くことを先生たちに相談したら、「この曲を選ぶ人は少ないし、この曲で大丈夫?」と言われました。僕は、好きな曲を弾きたい思いと、サン=サーンスの第5番は演奏者によって変わる魅力的な曲だと思っていたので、「弾きたいです」と言って、押し切りました。最終的に良い結果をいただいて、先生たちにも「良い曲だったね」と言われました(笑)。

亀井聖矢

亀井聖矢

――サン=サーンスとは、フランス音楽に特に興味があるということですか?

フランス音楽というより、サン=サーンスの曲自体にすごく魅力を感じました。第1楽章は最初がすごくきれいで、第2楽章は「エジプト風」の副題の通り、異国情緒豊かな旋法が現れて、面白い。第3楽章は、技巧的にも難しくて、派手に盛り上がり、見ていても、聴いていても、楽しい。全楽章を通して、いろんな場面があり、飽きないのです。

――それまでにオーケストラとの共演の経験はありましたか?

小さい編成で1楽章だけ弾いたことはありましたが、フル・オーケストラで協奏曲の全楽章を弾くのはサン=サーンスが初めてでした。

――好きなレパートリーについて教えてください。

リストのような、派手でわかりやすく、聴いている人にも喜んでもらえる曲が好きです。楽しんでもらえるのがうれしくって、そういうレパートリーが好きで、得意です。

最近はショパンが好きですね。小さい頃は特に何とも感じなかったのですが、最近、弾いたり、聴いたりして思うのは、同じようなパッセージが何回繰り返されても毎回違う表現ができるということ、そして、その繰り返しは何回聴いてもきれいだと思えるメロディがあってこそ可能だということ。その良さを引き出せるかどうかは、演奏者の表現にかかっていると思います。

亀井聖矢

亀井聖矢

昔から好きなのはバッハですね。すごく緻密に音楽が組み立てられているフーガのようなものが特に好きです。

コンチェルトでは今後、ラフマニノフを弾きたいと思っています。彼のソナタは弾いたことがあるのですが、コンチェルトはまだなので演奏してみたいです。

――2020年2月26日(水)の日本音楽コンクール受賞者発表演奏会ではチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番 第1楽章を演奏されますね。

チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は、ずっと弾きたいと思っていた曲です。こういう機会をいただけたので、ちゃんと勉強していきたいと思います。

――2020年3月21日(土)のピティナ・ピアノコンペティション入賞者記念コンサートでは、独奏と室内楽ですね。

第1部でソロを弾かせていただいて、第2部はピアノ五重奏です。最初はスペインもので、アルベニスの組曲「イベリア」第2巻から「トゥリアーナ」。「リストのハンガリー狂詩曲」第13番は、ヴォロドスの編曲による、リストの原曲をさらに華やかに技巧的に昇華させたような、聴き応えも見応えもある、楽しい曲です。後半は、ポローニア・クァルテットとドヴォルザークのピアノ五重奏曲から第3、4楽章を弾きますが、弦楽器のアンサンブルとの共演は初めてです。

「緊張する」と言いながら撮影にのぞむ亀井

「緊張する」と言いながら撮影にのぞむ亀井

――これからは海外へも活動の場を広げていくのでしょうか?

今月末(2019年12月末)に初めてヨーロッパに行き、パリでレッスンを受けてきます。そして、2020年4月にはウィーンでのリサイタルがあります。

――将来はどういうピアニストになりたいですか?

コンサートを積み重ねて、「亀井君の演奏をもう一度聴きたい」と思われるようなピアニストになりたいです。国内はもちろん海外でコンサートをひらいたり、オーケストラとも共演したりしたいです。それから、海外のコンクールも少しずつ受けていって、できれば5年後のショパン・コンクールに挑戦したいと思っています。

――大学生活はいかがですか?

大学に入って、東京で一人暮らしになり、自分でご飯を作ったりもします。嫌々ながら家事もしています(笑)。どこかに遊びに行ったりというようなことはあまりありません。

作曲するのも好きで、趣味で曲を書いたりしています。今は大学の副科で作曲の勉強もしています。ちゃんとした曲が出来たら、どこかで演奏したいですね。

亀井聖矢

亀井聖矢

取材・文=山田治生 撮影=福岡諒祠

目の前にオーケストラが! VRを使ったデジタル・プログラム『VRサウンド・ステージTokyo』が開催決定

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2020年1月11日(土)~29日(水)(※20日(月)・21日(火)を除く)東京芸術劇場 アトリエウエストにて、VRを使ったデジタル・プログラム『Philharmonia Orchestra & Esa-Pekka Salonen present VRサウンド・ステージTokyo』の開催が決定した。

本プログラムは、エサ=ペッカ・サロネン率いる英国名門オーケストラ、フィルハーモニア管弦楽団の大型来日公演に合わせて行われるもので、VRを使ったデジタル・プログラムは、同楽団が先進的な取り組みとして力を入れているものだという。参加者は、VRヘッドセットとヘッドフォンを装着。フィルハーモニア管弦楽団のコンサートを360度の映像と臨場感あふれるサラウンド音響で、ステージの上のオーケストラの一員になったような没入感を体験できる。

今回VRで体験できるのは、サロネン指揮によるマーラー/交響曲第3番より、第6楽章(終盤の約5分間)。マーラー/交響曲第3番といえば、1983年、弱冠25歳の無名の指揮者だったサロネンが、マイケル・ティルソン・トーマスの代役として、フィルハーモニア管弦楽団を指揮し大成功を収めた作品。サロネンの指揮者としてのキャリアを築き、30年にわたる同楽団との強い結びつきを創るきっかけとなった作品だ。そんなサロネンは、2020/2021シーズンを最後に退任することが発表されており、2020年1月23日(木)、28日(火)、29日(水)に東京芸術劇場 コンサートホールにて行われる『東京芸術劇場 海外オーケストラシリーズ フィルハーモニア管弦楽団』が同楽団との最後の日本公演となる。

なお、この事業は日英交流年『UK in JAPAN 2019-20』のイベントとしても位置付けられている。

【ニュースを振り返り】1/7(火)〜9(木):舞台・クラシックジャンルのおすすめ記事

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SPICE・1/7(火)〜9(木):舞台・クラシックジャンルのおすすめ記事

↓記事はこちらをチェック↓
▼『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』2020年版、“全キャスト”&“大人キャスト出演スケジュール”等を発表
https://spice.eplus.jp/articles/263490

▼新国立劇場 2020/2021シーズンラインアップ説明会<小川絵梨子・演劇芸術監督編>~ イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出、イザベル・ユペール主演『ガラスの動物園』を招聘!
https://spice.eplus.jp/articles/263530

▼衝撃作が雷鳴と共に蘇る! ミュージカル『フランケンシュタイン』囲み取材&ゲネプロレポート 中川晃教×加藤和樹ver.
https://spice.eplus.jp/articles/263503

▼『デスノート THE MUSICAL』レム役パク・ヘナにインタビュー「すべてはお客様のために全力を尽くします!」
https://spice.eplus.jp/articles/263115

▼須賀貴匡、宮崎秋人、壮一帆、池田努が『冬の時代』出演に向けて意気込みを語る
https://spice.eplus.jp/articles/261838

 

▽そのほかの記事はこちらから▽
舞台:
https://spice.eplus.jp/articles/play
クラシック:
https://spice.eplus.jp/articles/classic


クイーン・メドレーほか『世界まるごとクラシック』ゲストピアニスト・角野隼斗の演奏曲目が決定

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2020年2月9日(日)東京国際フォーラムにて開催される『世界まるごとクラシック2020 ~ ニッポン!チャ♪チャ♪チャ♪ ~』ゲスト奏者の角野隼斗の演奏曲目が決定した。

角野は、パリ、ウィーン、ポーランド等国内外でコンサート活動を行う傍ら、“Cateen(かてぃん)”名義で自ら作編曲および演奏した動画をYouTubeにて発信し、総再生回数は800万回を突破している若手ピアニスト。今回『世界まるごとクラシック』で披露することが決定した演奏曲は、「クイーン・メドレー“ボヘミアン・ラプソディ” (角野隼斗/井田勝大 編曲)」「ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュイン)」の2曲。この2曲が世界まるごとクラシックで披露されるのは初だという。

角野隼斗

角野隼斗

2020年の公演で12回目を迎える『世界まるごとクラシック』シリーズ。SPICEでは、シリーズ第1回から10年以上に渡り本シリーズで指揮・お話しを務める青島広志へインタビューを行ったほか、コンサート本番を前に、当日演奏される曲目から数曲を取り上げイラスト付きで紹介していく全5回連載を掲載中だ。こちらもあわせてチェックしてみてほしい。

再来日のディズニー・アカペラ・コンサート『ディカペラ』公演詳細が決定 『アナ雪2』楽曲も

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2020年夏に再来日することが発表されていたディズニー初の公式アカペラグループ DCappella(ディカペラ)の来日ツアー詳細が発表され、2020年8月15日(土)東急シアターオーブでの東京公演を皮切りに、名古屋公演、神奈川公演、大阪公演、高松公演、広島公演、兵庫公演、福岡公演の全8会場で行われることが決定した。

ディカペラは、全米各地から数多くの応募を受け、個々の歌唱力だけでなく、パーソナリティやカリスマ性、そして何よりも歌うことをこよなく愛す、ベストな7人をオーディションにて厳選。ディズニーの“D”とアカペラをミックスしてネーミングされた、ディズニー初の公式アカペラグループだ。音楽監督にアカペラ界のパイオニア、大ヒット映画『ピッチ・パーフェクト』や、ブロードウェイミュージカル「In Transit」を手掛けたディーク・シャロンを迎える。

2019年には初の日本全国ツアーを開催。大型 LED に映し出される、ディズニー・アニメーションの映像を背景に、『美女と野獣』『リトル・マーメイド』『アナと雪の女王』などディズニー映画を彩る名曲の数々のほか、「ホーンテッドマンション」や「イッツ・ア・スモール ワールド」などのディズニーランド・パークアトラクションの音楽を披露。映画『3匹の子ぶた』から「狼なんかこわくない」は、映像と見事なシンクロで効果音までを声だけで再現し、観客を魅了。「鳥肌が止まらなかった」「声だけとは思えない」と好評を博し、2020 年夏全国ツアーが決定した。

全国ツアーは 2020年8 月15 日(土)〜23 日(日) 東急シアターオーブ(東京)を含む全8会場 にて開催。チケット先行販売は 1 月 16 日(木)正午 12 時より開始される。

予定曲目

♪イントゥ・ジ・アンノウン(Into the Unknown)『アナと雪の女王2』より
♪輝く未来 (I See the Light)『塔の上のラプンツェル』より
♪闘志を燃やせ!(Iʼll Make a Man out of You) 『ムーラン』より
♪パート・オブ・ユア・ワールド (Part of Your World)『リトル・マーメイド』より
♪フレンド・ライク・ミー(Friend Like Me)『アラジン』より
ほか
 ※曲目は変更となる可能性がございます。予めご了承下さい。

【来週の星占い】ラッキーエンタメ情報(2020年1月13日~2020年1月19日)

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昨年の秋ごろから特に気になり始めていたこと、しばらく先送りにしようと持ち越していた悩みや困りごと、日常生活での違和感のようなものが、スッと先に進み始める気配。継続は力なり、とはいえ、続けることだけが目的になっていることを、どんどん手放して整理していくタイミングです。

具体的にどう断捨離をするのか、新しく組み立てるのか、関わる人たちの間で話し合いが密になり、1月末頃から様々な取り決めが行われ、少なくとも3月の春分から7月頃にかけて、あらゆる分野で刷新を目の当たりにしていくことになるでしょう。

旧いご縁と新たなご縁、両方の観点から物事を令和の新時代にチューニングしていく感覚を持っているといいようです。迷ったら感情ではなく、損得で判断していいみたい。持ちつ持たれつ、で情けをかけていてもしょうがなく、ニーズと合致するかどうか、ある意味ドライな感覚で進めていくスタイルで、自己保身につとめるのも手です。

時間をかけて何かを習得することや、目標を長期に渡り設定して取り組んでいくには、とてもいい時期です。やってみたいと思っていることや、なりたい自分の姿は、より具体的にイメージしてスケジュールを決めてみましょう。ある程度の予算を投資すること、それによってどういうリターンがありそうか、数字を仮にでも設定しておくとよいみたい。

すでに、ずっと長い時間をかけて探求してきたことがある方、愚直に物事を進めてきた方にとっては、ようやく陽の目を見るような機会を得たり、誰からも評価されていないと思っていたことが、急に重宝されるようになったり、立場が逆転するような思いをするような出来事がありそうです。何事も背伸びせず、誠実に向き合うことがカギとなりそう。

【タロットのお告げによる ラッキーポイント】

星占いの12星座がもつ性質や性格の傾向から
「火・土・風・水」4つのタイプ別にラッキーポイントをお伝えします!

〈火の星座〉のあなたへ
牡羊座(3月21日~4月19日 生まれ)
獅子座(7月23日~8月22日 生まれ)
射手座(11月22日~12月21日 生まれ)

自分でも忘れかけていたことに救われるような出来事がありそう。チャンスの前髪、というのはこういうものか。と、目の前がパッと開けていくのかもしれません。

〈土の星座〉のあなたへ
牡牛座(4月20日~5月20日 生まれ)
乙女座(8月23日~9月22日 生まれ)
山羊座(12月22日~1月19日 生まれ)

先行きが不透明なものは、ドンドン処分していきましょう。どこに向かっているのか見えない状態で続けていても、その先には行き止まりしかないみたい。

〈風の星座〉のあなたへ
双子座(5月21日~6月20日 生まれ)
天秤座(9月23日~10月22日 生まれ)
水瓶座(1月20日~2月18日 生まれ)

思い切って散財してみるのもありなのかもしれません。損することもあれば得することもある。すべては経験。本当に欲しかったものは何なのか、見つけられそうです。

〈水の星座〉のあなたへ
蟹座(6月21日~7月22日生まれ)
蠍座(10月23日~11月21日 生まれ)
魚座(2月19日~3月20日 生まれ)

こういうものか、とタカを括っていたら、予期せぬライバルが現れてサッとお宝を奪われてしまいそう。ぬかりなく、謙虚に、思い立ったら即行動が吉ですよ。

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【ニュースを振り返り】1/10(金)~13(月):舞台・クラシックジャンルのおすすめ記事

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NBAバレエ団が『ドラキュラ』『狼男(世界初演)』を同時上演 ゲストに英国ロイヤル・バレエ団 平野亮一

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2020年2月15日(土)・16日(日)新国立劇場 中劇場にて、NBAバレエ団『ホラーナイト』が上演される。本公演は、アメリカで大旋風を巻き起こしたブラム・ストーカー原作『ドラキュラ』の第1幕と、NBAバレエ団ソリストで若手振付家の宝満直也による世界初演『狼男』を同時上演するもの。

「ドラキュラ」第1幕

「ドラキュラ」第1幕

『ドラキュラ』はブラム・ストーカー原作『吸血鬼ドラキュラ』の出版100周年を記念して、1996年にミルウォーキー・バレエ団の芸術監督マイケル・ピンクがバレエ化したもので、音楽はフィリップ・フィーニー、装置、衣装はマシュー・ボーンとのコンビで知られるレズ・ブラザーストンという第一線のクリエイターたちが結集して作り上げた超大作。振付のマイケル・ピンクはロンドンフェスティバルバレエ(現在のイングリッシュ・ナショナル・バレエ)でダンサーとして活躍後、ミルウォーキー・バレエ団の芸術監督を務め、古典名作バレエの再振付の他、『ピーター・パン』や『ドリアン・グレイ』なども振付けている。NBAバレエ団では2014年に日本初演を果たし、芸術監督久保紘一が第69回文化庁芸術祭舞踊部門新人賞を受賞した。今回は再演を望む声に応え、8月の全幕上演に先駆けプレビュー公演として第一幕を上演する。また、2月15日(土)14:00と16日(日)14:00の公演では、主役のドラキュラ役に英国ロイヤル・バレエ団よりプリンシパルの平野亮一をゲストに迎える。

平野亮一

平野亮一

『狼男』の振付は、NBAバレエ団『海賊』、久保紘一版『白鳥の湖』などの振付も手掛けているの若手振付家であり、バレエダンサーでもある宝満直也。2016年オン・ステージ新聞若手振付家ベスト1を受賞し、2017年には新国立劇場バレエ団からNBAバレエ団に移籍。舞台で活躍する傍ら、振付家としても数多くの作品を発表し、高い評価を得ている 2月15日(土)18:00の回ではドラキュラ役も演じる。

宝満直也

宝満直也

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